【結果】 このミステリーがすごい! 2024年版 国内編ランキング20

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 このミステリーがすごい! を書きます。

今年もやってきましたミステリーの季節。

「この展開、予想できるはずがない!」展開の読めなさが魅力的なミステリー。

掉尾を切って始まりました今年のミステリーランキング

このミステリーがすごい!2024年版国内編ベスト20作品を紹介します。

Contents
  1. このミステリーがすごい! 2024年版 国内部門ランキング20
  2. 2023年9月
  3. 2023年8月
  4. 2023年7月
  5. 2023年6月
  6. 2023年5月
  7. 2023年4月
  8. 2023年3月
  9. 2023年2月
  10. 2023年1月
  11. 2022年12月
  12. 2022年11月
  13. 2022年10月
  14. このミステリーがすごい! よくある質問

このミステリーがすごい! 2024年版 国内部門ランキング20

1「可燃物」米澤穂信

余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。 群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。 群馬県警利根警察署に入った遭難の一報。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、そこには頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた男とほぼ特定できるが、凶器が見つからない。その場所は崖の下で、しかも二人の回りの雪は踏み荒らされていず、凶器を処分することは不可能だった。犯人は何を使って〝刺殺〟したのか?(「崖の下」) 榛名山麓の〈きすげ回廊〉で右上腕が発見されたことを皮切りに明らかになったばらばら遺体遺棄事件。単に遺体を隠すためなら、遊歩道から見える位置に右上腕を捨てるはずはない。なぜ、犯人は死体を切り刻んだのか? (「命の恩」) 太田市の住宅街で連続放火事件が発生した。県警葛班が捜査に当てられるが、容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまう。犯行の動機は何か? なぜ放火は止まったのか? 犯人の姿が像を結ばず捜査は行き詰まるかに見えたが……(「可燃物」) 連続放火事件の“見えざる共通項”を探り出す表題作を始め、葛警部の鮮やかな推理が光る5編。

  • 鍵となる一つの問いと、届きそうで届かない絶妙な難易度の解。米澤先生らしい苦さ、そして渋さを兼ね備えた落ちの数々。
  • 群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ 読み進めるごとに じわじわと面白さが滲み出てきます
  • 葛警部のキャラに沿って、極めてソリッドな筆致。その硬質さで、犯行に隠された人間ドラマが引き立つ。 菓子パンとカフェオレをお供に読むのをオススメします

2「鵺の碑」京極夏彦

1954年。薔薇十字探偵社の探偵助手・益田龍一は失踪した薬局店主の捜索を依頼される。一方、京極堂たちと日光のホテルに滞在していた作家の関口巽はメイドから忌まわしい過去を告白される。さらに、刑事の木場は戦前に起きた消えた死体の謎を追う。果たして一連の出来事の繋がりとは?

  • お馴染みの登場人物も勢揃いでの活躍を見せ、京極堂らの過去を知る人物も登場するなど、長年待ち望んでいた身としてはこみ上げるものがあった。
  • もうこの作品がまさに鵼。色々な要素が詰まり過ぎてこの本自体がテーマになっている。
  • 他作品との繋がりにも心踊りました。カバー裏の色、不思議な装丁だと思っていたらそういうことか!

本作品は2023年9月に講談社ノベルスとしても刊行されています。単行本として出版するにあたり、本文レイアウトに合わせて加筆修正が為されていますが、ストーリーなどは変わっておりません。

3「あなたが誰かを殺した」東野圭吾

閑静な別荘地で起きた連続殺人事件。
愛する家族が奪われたのは偶然か、必然か。
残された人々は真相を知るため「検証会」に集う。
そこに現れたのは、長期休暇中の刑事・加賀恭一郎。
――私たちを待ち受けていたのは、想像もしない運命だった。

  • 加賀恭一郎シリーズの新作というと否が応でもハードルが上がってしまいましたが、そのハードルを楽々と超えた華麗なるミステリーを堪能しました。
  • 謎ばかりどんどん出てくるし、まさかの人物は紛れ込んでいるし、物語に引き込まれてしまい一気読みでした。人の裏の顔って本当に知らない方が幸せだなと思います。
  • 小さな嘘も見逃さない眼力の鋭さは読み応えありですね。飽きのこない展開で最後まで一気読みしました。

4「エレファントヘッド」白井智之

並行世界系SF多重解決ミステリー。 時間を遡り、分岐した世界の自分たちと繰り広げる謎解き合戦。

5「アリアドネの声」井上真偽

救えるはずの事故で兄を亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから救助災害ドローンを製作するベンチャー企業に就職する。業務の一環で訪れた、障がい者支援都市「WANOKUNI」で、巨大地震に遭遇。ほとんどの人間が避難する中、一人の女性が地下の危険地帯に取り残されてしまう。それは「見えない、聞こえない、話せない」という三つの障がいを抱え、街のアイドル(象徴)して活動する中川博美だった――。 崩落と浸水で救助隊の侵入は不可能。およそ6時間後には安全地帯への経路も断たれてしまう。ハルオは一台のドローンを使って、目も耳も利かない中川をシェルターへ誘導するという前代未聞のミッションに挑む。

  • 井上先生災害救助ミステリー、300頁あるがスリリングな展開とテンポ良さで一気読み
  • 設定がとても惹かれますし、物語全体軸がシンプルでわかりやすかったです。 最後にちょっとどんでん返し要素もあって、楽しくスルスル読めました
  • こんなどんでん返しがあるなんて思ってもみなかったから、本当に驚いた。これは…とても良いです…私は泣きました…

6「木挽町のあだ討ち」永井紗耶子

疑う隙なんぞありはしない、あれは立派な仇討ちでしたよ。
語り草となった大事件、その真相は――。
ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆・菊之助による仇討ちがみごとに成し遂げられた。父親を殺めた下男を斬り、その血まみれの首を高くかかげた快挙はたくさんの人々から賞賛された。二年の後、菊之助の縁者だというひとりの侍が仇討ちの顚末を知りたいと、芝居小屋を訪れるが――。新田次郎文学賞など三冠の『商う狼』、直木賞候補作『女人入眼』で今もっとも注目される時代・歴史小説家による、現代人を勇気づける令和の革命的傑作誕生!

  • なんて、清々しい読後感!ちょっぴりジンときて、なんかこう、人間も捨てたもんじゃないなぁとしみじみ思えた。
  • 悲しい辛いこともありながら、居場所を見つけていく過程がいい。なんとも優しくあったかい物語でした。ページボリュームとしてはそれほどではないのに、中身が濃くて読み応えあった。
  • 芝居小屋っていう設定が上手いですね! そのまま映画化とかなりそうです。

7「君のクイズ」小川 哲

生放送のTV番組『Q-1グランプリ』決勝戦に出場したクイズプレーヤーの三島玲央は、対戦相手・本庄絆が、まだ一文字も問題が読まれぬうちに回答し正解し、優勝を果たすという不可解な事態をいぶかしむ。いったい彼はなぜ、正答できたのか? 真相を解明しようと彼について調べ、決勝戦を1問ずつ振り返る三島はやがて、自らの記憶も掘り起こしていくことになり――。 読めば、クイズプレーヤーの思考と世界がまるごと体験できる。人生のある瞬間が鮮やかによみがえる。そして読後、あなたの「知る」は更新される!  「不可能犯罪」を解く一気読み必至の卓抜したミステリーにして、エモーショナルなのに知的興奮に満ちた超エンターテインメント!

  • 「彼は何故その問いに答えれたのか?」という問いを明かすミステリーとして、非常に惹きつけられるし、気付いたら人生讃歌領域に足を踏み入れていてグッときた
  • 一冊を通して、クイズ解答者思考や戦略などを知ることができ、今後クイズ番組に見方がかわるかも
  • 薄め本だし、読みやすい内容になってると思うので、初心者さんにもオススメ

8「世界でいちばん透き通った物語」杉井 光

  • たくさんの読了報告を見て、相当な期待値を持って読み始めたが、完全に期待を上回った読後感!しかも、1日一気読み!何も言えないけど、とりあえず読んで損なし!いや〜本当に透き通ってたわ〜
  • 紙の本の良さを活かした1冊です! タイトルの意味が分かった時には驚きました!
  • 著者をはじめ関係者様の並々ならぬ努力の結晶。これはもう小説への愛しか感じない

9「鈍色幻視行」恩田陸

謎と秘密を乗せて、今、長い航海が始まる。
撮影中の事故により三たび映像化が頓挫した“呪われた”小説『夜果つるところ』と、その著者・飯合梓の謎を追う小説家の蕗谷梢は、関係者が一堂に会するクルーズ旅行に夫・雅春とともに参加した。船上では、映画監督の角替、映画プロデューサーの進藤、編集者の島崎、漫画家ユニット・真鍋姉妹など、『夜~』にひとかたならぬ思いを持つ面々が、梢の取材に応えて語り出す。次々と現れる新事実と新解釈。旅の半ば、『夜~』を読み返した梢は、ある違和感を覚えて――

  • 答えを導かずに終わったらどうしようかと思ったが、ほどよく着地。長い旅ではあったが楽しかった。
  • 後から思い返すと人生に影響を与えたと思われる瞬間。大切なのは真実。旅で体験したすべてが作品のようだった。よかったです。
  • 長かった。長くても、集中できる作品もあるけど。人それぞれの感性。久々に疲れた。そんな感想です。

10「ちぎれた鎖と光の切れ端」荒木 あかね

2020年8月4日。島原湾に浮かぶ孤島、徒島(あだしま)にある海上コテージに集まった8人の男女。その一人、樋藤清嗣(ひとうきよつぐ)は自分以外の客を全員殺すつもりでいた。先輩の無念を晴らすため–。しかし、計画を実行する間際になってその殺意は鈍り始める。「本当にこいつらは殺されるほどひどいやつらなのか?」樋藤が逡巡していると滞在初日の夜、参加者の一人が舌を切り取られた死体となって発見された。樋藤が衝撃を受けていると、たてつづけに第二第三の殺人が起きてしまう。しかも、殺されるのは決まって、「前の殺人の第一発見者」で「舌を切り取られ」ていた。そして、この惨劇は「もう一つの事件」の序章に過ぎなかった――。

11「午後のチャイムが鳴るまでは」阿津川辰海

九十九ヶ丘高校のある日の昼休み、2年の男子ふたりが体育館裏のフェンスに空いた穴から密かに学校を脱け出した。タイムリミットは65分、奴らのミッションは達成なるか(第1話「RUN! ラーメン RUN!」)。文化祭で販売する部誌の校了に追いつめられた文芸部員たち。肝心の表紙イラストレーターが行方不明になり、昼休みの校内を大捜索するが――(第2話「いつになったら入稿完了?」)。
他人から見れば馬鹿らしいことに青春を捧げる高校生たちの群像劇と、超絶技巧のトリックが見事に融合。稀代の若き俊英が“学校の昼休み”という小宇宙を圧倒的な熱量で描いた、愛すべき傑作学園ミステリ!

12「11文字の檻」青崎有吾

大事件に遭遇したカメラマンが感じた違和感を描く「加速していく」、全面ガラス張りの特異な屋敷での不可能殺人の顛末「噤ヶ森の硝子屋敷」、人気コミックのノベライズ「前髪は空を向いている」、どんでん返しの切れ味鋭い「your name」、百合小説として評判となった「恋澤姉妹」などに、力作書き下ろし「11文字の檻」を加えた全8編。『体育館の殺人』で衝撃のデビューから10年、著者の集大成ともいえるノンシリーズ短編集。

13「十戒」夕木春央

殺人犯を見つけてはならない。それが、わたしたちに課された戒律だった。 浪人中の里英は、父と共に、叔父が所有していた枝内島を訪れた。 島内にリゾート施設を開業するため集まった9人の関係者たち。 島の視察を終えた翌朝、不動産会社の社員が殺され、そして、十の戒律が書かれた紙片が落ちていた。 “この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない。守られなかった場合、島内の爆弾の起爆装置が作動し、全員の命が失われる”。 犯人が下す神罰を恐れながら、「十戒」に従う3日間が始まったーー。

  • 読む順番としては方舟→十戒の方が良いと思います。驚きのレベルが違う。
  • 犯人から示された十の戒律を守る為に行動を制限されるという設定が面白い。何となく犯人は分かったけれどまさかの繋がりが。面白かった。
  • 例えると、母親に手を引かれて安心して歩いてたのに、気がついたらゴリラと手を繋いでた、みたいな衝撃。

14「鏡の国」岡崎琢磨

大御所ミステリー作家・室見響子の遺稿が見つかった。
それは彼女が小説家になる前に書いた『鏡の国』という私小説を、死の直前に手直ししたものだった。「室見響子、最後の本」として出版の準備が進んでいたところ、担当編集者が著作権継承者である響子の姪に、突然こう告げる。「『鏡の国』には、削除されたエピソードがあると思います」――。削除されたパートは実在するのか、だとしたらなぜ響子はそのシーンを「削除」したのか、そもそも彼女は何のためにこの原稿を書いたのか……その答えが明かされた時、驚愕の真実が浮かび上がる。

15「焔と雪 京都探偵物語」伊吹亜門

探偵・鯉城は「失恋から自らに火をつけた男」には他に楽な自死手段があったことを知る。それを聞いた露木はあまりに不可思議な、だが論理の通った真相を開陳し……男と女、愛と欲――大正の京都に蠢く情念に、露木と鯉城が二人の結びつきで挑む連作集

  • これはズルいです、大好きすぎる。 感情揺さぶられるバディミステリー。 “ホワイダニットの先を行く”。 名探偵というものはこのために居て、推理というものはこのためにあって欲しい、と強く願ってしまう。 やさしい謎解きでした。
  • 「焔と雪」序盤の文章を読んでああ…いい…ぼかぁこういうのが読みたかったんだよ…いいね…になったので、通読が楽しみだ 大事に読もう
  • 【刀と傘】で伊吹作品の虜になりましたが、今作【焔と雪 京都探偵物語】の時代設定がやはりいいですね~! 作品終盤で判明する仕掛けには驚きました。

16「777 トリプルセブン」伊坂幸太郎

あの世界で一番不運な殺し屋が、また騒動に巻き込まれる――。『マリアビートル』では新幹線から降りられなかったが、今度は東京の超高級ホテルから出られない……!?伊坂幸太郎、2年ぶりの完全書き下ろし。殺し屋シリーズ最新作。

  • 案の定、死体が沢山だけど、とにかくサクサク終わるので、グロさはあまりないエンタメ小説。意外な展開もあり、最後まで楽しめた。
  • 久々の殺し屋シリーズ、不運な殺し屋天道虫がホテル内で女性を護ため殺し屋達と戦う。今回も面白かった。
  • 細かな仕掛けと軽妙な会話、警句を捻ったような新しい蘊蓄に溢れスカッと読める。

17「アミュレット・ホテル」方丈貴恵

警察の介入が一切なく、偽造パスポートでもグレネードランチャーでもルームサービスでお届け可能な犯罪者御用達ホテル。そこでは守るべき2つのルールが存在する。①ホテルに損害を与えない。②ホテルの敷地内で障害・殺人事件を起こさない。そんな絶対的なルールが破られる時、ホテル探偵が独自の捜査で犯人を追い詰める。

  • ホテル探偵が事件を解決、とちょっとワンパターンになりがちだけどホテル探偵の過去を絡めての話も多く興味深い。
  • ホテル内で殺人でも起ころうもんなら、警察なぞお呼びではなくかっこいい“ホテル探偵”が快刀乱麻のごとく解決してしまうのが爽快。
  • 特殊設定ミステリの、この設定を楽しむ一冊でした。

18「金環日蝕」阿部暁子

輪郭は強烈な輝きを放っているのに、 彼の中心は闇に沈み、謎めいたまま―― ひったくりの犯人を突きとめた。 事件はそれで終わらなかった。 私たちは、ある男が歩んだ道を 辿り直すことになる。 〈犯罪と私たち〉を真摯に描く、実力派作家、渾身の新境地。

  • 真相に迫るほどに、根深い現代の闇が見えて来る社会派ミステリ。初期の宮部みゆき作品を読んでるような面白さ。
  • 一つのひったくり事件を発端にして、それに関わる人の過去や真実が明らかになっていく 読み終えてタイトルの意味がしっくりくる物語だと思った。
  • 読み始めの印象とその後展開していく物語の内容のギャップが凄い。

19「魔女の原罪」五十嵐律人

法律が絶対視される学校生活、魔女の影に怯える大人、血を抜き取られた少女の変死体。
一連の事件の真相と共に、街に隠された秘密が浮かび上がる。

19「ローズマリーのあまき香り」島田荘司

世界中で人気を博す、生きる伝説のバレリーナ・クレスパンが密室で殺された。1977年10月、ニューヨークのバレエシアターで上演された「スカボロゥの祭り」で主役を務めたクレスパン。
警察の調べによると、彼女は2幕と3幕の間の休憩時間の最中に、専用の控室で撲殺されたという。しかし3幕以降も舞台は続行された。さらに観客たちは、最後までクレスパンの踊りを見ていた、と言っていてーー?名探偵・御手洗潔も活躍、島田荘司待望の長編新作!

2023年9月

「あなたが誰かを殺した」東野圭吾

閑静な別荘地で起きた連続殺人事件。
愛する家族が奪われたのは偶然か、必然か。
残された人々は真相を知るため「検証会」に集う。
そこに現れたのは、長期休暇中の刑事・加賀恭一郎。
――私たちを待ち受けていたのは、想像もしない運命だった。

  • 加賀恭一郎シリーズの新作というと否が応でもハードルが上がってしまいましたが、そのハードルを楽々と超えた華麗なるミステリーを堪能しました。
  • 謎ばかりどんどん出てくるし、まさかの人物は紛れ込んでいるし、物語に引き込まれてしまい一気読みでした。人の裏の顔って本当に知らない方が幸せだなと思います。
  • 小さな嘘も見逃さない眼力の鋭さは読み応えありですね。飽きのこない展開で最後まで一気読みしました。

「鵼の碑」京極夏彦

1954年。薔薇十字探偵社の探偵助手・益田龍一は失踪した薬局店主の捜索を依頼される。一方、京極堂たちと日光のホテルに滞在していた作家の関口巽はメイドから忌まわしい過去を告白される。さらに、刑事の木場は戦前に起きた消えた死体の謎を追う。果たして一連の出来事の繋がりとは?

  • お馴染みの登場人物も勢揃いでの活躍を見せ、京極堂らの過去を知る人物も登場するなど、長年待ち望んでいた身としてはこみ上げるものがあった。
  • もうこの作品がまさに鵼。色々な要素が詰まり過ぎてこの本自体がテーマになっている。
  • 他作品との繋がりにも心踊りました。カバー裏の色、不思議な装丁だと思っていたらそういうことか!

本作品は2023年9月に講談社ノベルスとしても刊行されています。単行本として出版するにあたり、本文レイアウトに合わせて加筆修正が為されていますが、ストーリーなどは変わっておりません。

「存在のすべてを」塩田武士

平成3年の児童同時誘拐事件。身代金受け渡し時の犯人逮捕に失敗し、小学生の少年はその後無事発見されるも、4歳の少年は犯人と共に姿を消す。それから30年。当時警察担当だった新聞記者の門田は誘拐された少年の今を知る。それが契機となり、門田は事件の真相を求めて再取材を始めるが…。

  • 誘拐小説の中でも天下一品の作品、30年後当時担当記者だった門田のしつこいぐらいの調査は圧巻の 一言に尽きます。
  • 事実を積み上げていく様は事件への執念というよりジャーナリズムのありよう。そして当時関わっていた刑事たちの無念さが深くささってくる。骨太のミステリーのようでいて、最後には、どうぞその事実を暴かないでくれと、涙が堪えきれなかった。
  • 我を忘れるくらい没入して一気読みし、最後は号泣。

「楽園の犬」岩井圭也

1940年。サイパンに元英語教師の麻田健吾が降り立つ。南洋庁サイパン支庁庶務係としてだが、実際は日本海軍のスパイだった。この地には各国のスパイが跋扈しているため、開戦に備えて情報収集を行うのが使命だ。あるとき、漁師の自殺の真相を追っていた彼は南洋群島の闇に踏み込み…。

  • ミステリとしても、戦争文学としも読み応えがあり、エピローグの手紙にはグッとくる。直木賞候補作に入りそうな気がします。
  • それにしても、なんという臨場感か、緊張感か。加えて綺麗な文章が絶えず脳波を震わせている。秀逸過ぎる。
  • 圧巻!優れた映画を観終えたような余韻に浸っている。

「777 トリプルセブン」伊坂幸太郎

あの世界で一番不運な殺し屋が、また騒動に巻き込まれる――。『マリアビートル』では新幹線から降りられなかったが、今度は東京の超高級ホテルから出られない……!?伊坂幸太郎、2年ぶりの完全書き下ろし。殺し屋シリーズ最新作。

  • 案の定、死体が沢山だけど、とにかくサクサク終わるので、グロさはあまりないエンタメ小説。意外な展開もあり、最後まで楽しめた。
  • 久々の殺し屋シリーズ、不運な殺し屋天道虫がホテル内で女性を護ため殺し屋達と戦う。今回も面白かった。
  • 細かな仕掛けと軽妙な会話、警句を捻ったような新しい蘊蓄に溢れスカッと読める。

2023年8月

十戒」夕木春央

殺人犯を見つけてはならない。それが、わたしたちに課された戒律だった。 浪人中の里英は、父と共に、叔父が所有していた枝内島を訪れた。 島内にリゾート施設を開業するため集まった9人の関係者たち。 島の視察を終えた翌朝、不動産会社の社員が殺され、そして、十の戒律が書かれた紙片が落ちていた。 “この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない。守られなかった場合、島内の爆弾の起爆装置が作動し、全員の命が失われる”。 犯人が下す神罰を恐れながら、「十戒」に従う3日間が始まったーー。

  • 読む順番としては方舟→十戒の方が良いと思います。驚きのレベルが違う。
  • 犯人から示された十の戒律を守る為に行動を制限されるという設定が面白い。何となく犯人は分かったけれどまさかの繋がりが。面白かった。
  • 例えると、母親に手を引かれて安心して歩いてたのに、気がついたらゴリラと手を繋いでた、みたいな衝撃。

「素敵な圧迫」呉勝浩

物語に翻弄される快感。胸を貫くカタルシス。文学性を併せ持つ、『爆弾』『スワン』の気鋭が放つ、超弩級のミステリ短編集。

  • 呉さんが今気になっている現象を、アナーキーな世界から切り取って作った斬新なコラージュのような6編だった。
  • 長編と同様に物語に入り込み足元をすくわれ息を詰めてひとつひとつを楽しんだ。
  • 重厚な話が多い呉さんの短編集。 冒頭の表題作はある種のフェチ話。 とはいえそれが突き詰めるとホラーになっていくというもの。

「逆転正義」下村敦史

「見て見ぬふり」教室のいじめ。僕は見て見ぬふりなんかできない!
「保護」コンビニの前で佇む制服姿の女性。彼女を一人にはできない!
「完黙」麻薬の売人。麻薬取締官に口を割るわけにはいかない!
「ストーカー」人を殺めたトイレに男を入れてはいけない!
「罪の相続」罪のない俺の息子が殺されたなんて許せない!
「死は朝、はばたく」刑務所から出てきたら普通の生活を送っていいのか!

  • 最後に待ち受けるどんでん返し。読みやすくてどれも面白かった。
  •  結果、全てのストーリーに騙されてしまった!自分の頭が固くなっている事を実感。 事実と真実は違う、ということですね。
  • 題名の通り逆転する正義。目に見えている物事はいかに表面的なものなのか突き付けられる

「球形の囁き」長岡弘樹

シングルマザー刑事の啓子と、一人娘の菜月。新聞記者になることが将来の夢だった小六の菜月が高校生、大学生となり、そして夢を叶えたなかで数々の事件に遭遇する。母娘の際立つ推理力が導き出した、難事件の真相とは?

  • 謎解きそして菜月の成長物語としても面白かった。
  • 軽快なミステリに程良く情も絡んだ本シリーズは好みなので、菜月の娘・彩弓が成長するまで続けて欲しい。
  • トリックや種明かしが斬新すぎで面白い!小ネタも多くへぇ〜が沢山。色々とリアリティには欠けるけど、読み物としては現実離れしてて面白かったです。

「焔と雪 京都探偵物語」伊吹亜門

探偵・鯉城は「失恋から自らに火をつけた男」には他に楽な自死手段があったことを知る。それを聞いた露木はあまりに不可思議な、だが論理の通った真相を開陳し……男と女、愛と欲――大正の京都に蠢く情念に、露木と鯉城が二人の結びつきで挑む連作集

  • これはズルいです、大好きすぎる。 感情揺さぶられるバディミステリー。 “ホワイダニットの先を行く”。 名探偵というものはこのために居て、推理というものはこのためにあって欲しい、と強く願ってしまう。 やさしい謎解きでした。
  • 「焔と雪」序盤の文章を読んでああ…いい…ぼかぁこういうのが読みたかったんだよ…いいね…になったので、通読が楽しみだ 大事に読もう
  • 【刀と傘】で伊吹作品の虜になりましたが、今作【焔と雪 京都探偵物語】の時代設定がやはりいいですね~! 作品終盤で判明する仕掛けには驚きました。

2023年7月

梅雨物語」貴志祐介

貴志祐介が描くホラーミステリの極北 。あなたの罪が、あなたを殺す。 ・命を絶った青年が残したという一冊の句集。元教師の俳人・作田慮男は教え子の依頼で一つ一つの句を解釈していくのだが、やがて、そこに隠された恐るべき秘密が浮かび上がっていく。(「皐月闇」) ・巨大な遊廓で、奇妙な花魁たちと遊ぶ夢を見る男、木下美武。高名な修験者によれば、その夢に隠された謎を解かなければ命が危ないという。そして、夢の中の遊廓の様子もだんだんとおどろおどろしくなっていき……。(「ぼくとう奇譚」) ・朝、起床した杉平進也が目にしたのは、広い庭を埋め尽くす色とりどりの見知らぬキノコだった。輪を描き群生するキノコは、刈り取っても次の日には再生し、杉平家を埋め尽くしていく。キノコの生え方にある規則性を見いだした杉平は、この事態に何者かの意図を感じ取るのだが……。(「くさびら」) 想像を絶する恐怖と緻密な謎解きが読者を圧倒する三編を収録した、貴志祐介真骨頂の中編集。

  • 怖っ! 夏の夜にぴったりのホラーミステリー中編集、俳句をテーマにした皐月闇は必読
  • 3編とも終始漂う閉塞感とまとわりつく気持ち悪さ。まさに梅雨の如く。
  • 罪を犯した者に安寧は訪れない。執拗に責め苛まれて破滅する姿を描く、止まない雨の物語です。怖い夢は、お好きですか?

「可燃物」米澤穂信

余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。 群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。 群馬県警利根警察署に入った遭難の一報。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、そこには頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた男とほぼ特定できるが、凶器が見つからない。その場所は崖の下で、しかも二人の回りの雪は踏み荒らされていず、凶器を処分することは不可能だった。犯人は何を使って〝刺殺〟したのか?(「崖の下」) 榛名山麓の〈きすげ回廊〉で右上腕が発見されたことを皮切りに明らかになったばらばら遺体遺棄事件。単に遺体を隠すためなら、遊歩道から見える位置に右上腕を捨てるはずはない。なぜ、犯人は死体を切り刻んだのか? (「命の恩」) 太田市の住宅街で連続放火事件が発生した。県警葛班が捜査に当てられるが、容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまう。犯行の動機は何か? なぜ放火は止まったのか? 犯人の姿が像を結ばず捜査は行き詰まるかに見えたが……(「可燃物」) 連続放火事件の“見えざる共通項”を探り出す表題作を始め、葛警部の鮮やかな推理が光る5編。

  • 鍵となる一つの問いと、届きそうで届かない絶妙な難易度の解。米澤先生らしい苦さ、そして渋さを兼ね備えた落ちの数々。
  • 群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ 読み進めるごとに じわじわと面白さが滲み出てきます
  • 葛警部のキャラに沿って、極めてソリッドな筆致。その硬質さで、犯行に隠された人間ドラマが引き立つ。 菓子パンとカフェオレをお供に読むのをオススメします

ノウイットオール あなただけが知っている」森バジル

1つの街を舞台に描かれる、5つの世界は、少しずつ重なりあい、影響を与えあい、思わぬ結末を引き起こす。すべてを目撃するのは、読者であるあなただけ。推理小説/青春小説/科学小説/幻想小説/恋愛小説。5つの物語は、5度世界を反転させる。森バジルを読めば「世界が変わる」

  • そこかしこに差し挟まれた一見無意味な一文に意味があったことに読了して振り返って気づく。どうやったらこんな物語が書けてしまうのか。 
  • 一冊で5ジャンルの小説が読めるお得な本は初めてだった。贅沢な読書を楽しめた。
  • エンターテインメント高めの作品でわくわく読み進んでいくと読み返したくなり、読み返しておーっ!となりながら読了。すぐにもう一度読みたい。

「未明の砦」太田愛

共謀罪、始動。標的とされた若者達は公安と大企業を相手に闘うことを選ぶ。
その日、共謀罪による初めての容疑者が逮捕されようとしていた。動いたのは警視庁組織犯罪対策部。標的は、大手自動車メーカー〈ユシマ〉の若い非正規工員・矢上達也、脇隼人、秋山宏典、泉原順平。四人は完璧な監視下にあり、身柄確保は確実と思われた。ところが突如発生した火災の混乱に乗じて四人は逃亡する。誰かが彼らに警察の動きを伝えたのだ。所轄の刑事・薮下は、この逮捕劇には裏があると読んで独自に捜査を開始。一方、散り散りに逃亡した四人は、ひとつの場所を目指していた。千葉県の笛ヶ浜にある〈夏の家〉だ。そこで過ごした夏期休暇こそが、すべての発端だった――。

  • ラストまで目が離せない展開。読み応えがあって面白かった。
  • 労働組合活動の入門書にもなりそう。
  • 知識は自分を守るための武器になること、行動を起こせば現状を変えられること、皆で団結すれば大きな相手を動かせること。ラストに感動した。心を突き動かす、実りある読書になった。

「アミュレット・ホテル」方丈貴恵

警察の介入が一切なく、偽造パスポートでもグレネードランチャーでもルームサービスでお届け可能な犯罪者御用達ホテル。そこでは守るべき2つのルールが存在する。①ホテルに損害を与えない。②ホテルの敷地内で障害・殺人事件を起こさない。そんな絶対的なルールが破られる時、ホテル探偵が独自の捜査で犯人を追い詰める。

  • ホテル探偵が事件を解決、とちょっとワンパターンになりがちだけどホテル探偵の過去を絡めての話も多く興味深い。
  • ホテル内で殺人でも起ころうもんなら、警察なぞお呼びではなくかっこいい“ホテル探偵”が快刀乱麻のごとく解決してしまうのが爽快。
  • 特殊設定ミステリの、この設定を楽しむ一冊でした。

2023年6月

「アリアドネの声」井上真偽

救えるはずの事故で兄を亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから救助災害ドローンを製作するベンチャー企業に就職する。業務の一環で訪れた、障がい者支援都市「WANOKUNI」で、巨大地震に遭遇。ほとんどの人間が避難する中、一人の女性が地下の危険地帯に取り残されてしまう。それは「見えない、聞こえない、話せない」という三つの障がいを抱え、街のアイドル(象徴)して活動する中川博美だった――。 崩落と浸水で救助隊の侵入は不可能。およそ6時間後には安全地帯への経路も断たれてしまう。ハルオは一台のドローンを使って、目も耳も利かない中川をシェルターへ誘導するという前代未聞のミッションに挑む。

  • 井上先生災害救助ミステリー、300頁あるがスリリングな展開とテンポ良さで一気読み
  • 設定がとても惹かれますし、物語全体軸がシンプルでわかりやすかったです。 最後にちょっとどんでん返し要素もあって、楽しくスルスル読めました
  • こんなどんでん返しがあるなんて思ってもみなかったから、本当に驚いた。これは…とても良いです…私は泣きました…

「この夏の星を見る」辻村深月

亜紗は茨城県立砂浦第三高校の二年生。顧問の綿引先生のもと、天文部で活動している。コロナ禍で部活動が次々と制限され、楽しみにしていた合宿も中止になる中、望遠鏡で星を捉えるスピードを競う「スターキャッチコンテスト」も今年は開催できないだろうと悩んでいた。真宙(まひろ)は渋谷区立ひばり森中学の一年生。27人しかいない新入生のうち、唯一の男子であることにショックを受け、「長引け、コロナ」と日々念じている。円華(まどか)は長崎県五島列島の旅館の娘。高校三年生で、吹奏楽部。旅館に他県からのお客が泊っていることで親友から距離を置かれ、やりきれない思いを抱えている時に、クラスメイトに天文台に誘われる――。
コロナ禍による休校や緊急事態宣言、これまで誰も経験したことのない事態の中で大人たち以上に複雑な思いを抱える中高生たち。しかしコロナ禍ならではの出会いもあった。リモート会議を駆使して、全国で繋がっていく天文部の生徒たち。スターキャッチコンテストの次に彼らが狙うのは――。
哀しさ、優しさ、あたたかさ。人間の感情のすべてがここにある。

  • 諦めるしかないのか?いや、彼らは今できることを精一杯やろうとする。前例がないから自分で考えてやるしかないのだ。スターキャッチコンテストに向けての盛り上げが感動的。
  • 悪い人や嫌なヤツが一人も出てこない・・一瞬、重松清さんの作品かと勘違いしてしまうような心温まる物語です。
  • いいなぁ。純粋に羨ましさとこの中に参加したいなぁっていう気持ち。ISS観測のところはちょっと鳥肌だったし泣けてしまった。読後感良。

「アンリアル」長浦京

両親の死の真相を探るため、引きこもり生活を脱し警察官を志した19歳の沖野修也。
警察学校在学中、ある能力を使って二件の未解決事件を解決に導いたが、推理遊び扱いされ組織からは嫌悪の目を向けられることになってしまう。
そうした人々の目は皆、暗がりの中で身構える猫のように赤く光って見える。それこそが、沖野の持つ「特質」だった。
ある日、単独行動の挙句、公安の捜査を邪魔したことで、沖野は副所長室に呼び出され聞きなれない部署への異動を命じられる。
「内閣府国際平和協力本部事務局分室 国際交流課二係」。
そこは人知れず、諜報、防諜を行う、スパイ組織だった–。
日本を守る暗闘に巻き込まれた沖野は、闇に光る赤い目の数々と対峙していくことになるのだが……。スパイ小説のシンギュラリティとなる記念碑的作品、ついに刊行。

  • スパイ組織の上司先輩が曲者ぞろいで、敵味方との駆け引きがすごい。
  • スパイ小説とSF小説…最後まで馴染めなかったけど読み易かったのでサクサクいけました。
  • ワンパターンといえばワンパターン。絶対に続編のある終わり方も、読み終わってみれば少し不完全燃焼。

「エフェクトラ――紅門福助最厄の事件」霞流一

名脇役の40周年記念イベントに異変の予兆……
リハーサル現場に立ち会った私立探偵・紅門福助の推理は冴える?
トリック、ロジック、ギミック満載の本格エフェクトが炸裂!
数多くの「死に役」を演じ「ダイプレイヤー」と称された役者・忍神健一。その役者生活四十周年を記念するセレモニーを開催することに。それに乗じて役をもらおうと集まる一癖も二癖もある役者の卵たち。イベント準備中、不可解な事象が続くなか足跡のない雪のバンガローで関係者の変死体が発見される。

  • 細かい事を書くとネタバレになってしまうが、ちょっと表現し難い読後感!!読んで良かった。
  • WHO、HOW、WHYをロジカルに語るシーンは一気読み必至。そしてラストに驚きも。すっかりやられたわ! 
  • 著者の書籍の中で最高の長さ。質量共に、今作は新たな代表作になる気がする。それ程の力作だった。

「その謎を解いてはいけない」大滝瓶

生まれつき左眼だけ翠色、オッドアイの女子高生・小鳥遊(たかなし)唯(ゆい)は、右目に緑色のカラコン、黒いマントの二八歳独身男性、暗黒院(あんこくいん)真実(まこと)(本名・田中友治)が営む探偵事務所で助手を務めている。
ある日、探索中に日が落ちて山奥から帰れなくなった二人は、蛇怨館(じゃえんかん)と呼ばれる洋館に泊めてもらうが、翌朝一室で死体が見つかる。ところが探偵として推理しようとした田中が暴いたのは犯人ではなく、決して解いてはいけない謎で……。異能の著者が贈る新感覚本格ミステリ開幕!

  • 中二病たちが繰り広げるPOPな日々と、殺人事件。 ベタな黒マント、翆色のコンタクトレンズ、包帯、眼帯。 バカだなwと安全な場所から嘲笑いながら読める。
  • 強烈なキャラばかりで突っ込みが追いつかない。けれども、全体を通してみるとしっかり本格ミステリ。
  • 面白い面白くない以前に不愉快?ちょっと違うな!黒歴史はいいとしてこんな地図にも載ってないような村で都合よく4人がこんな事になるかよ!

2023年5月

「ヨモツイクサ」知念実希人

北海道旭川に《黄泉の森》と呼ばれ、アイヌの人々が怖れてきた禁域があった。
その禁域を大手ホテル会社が開発しようとするのだが、作業員が行方不明になってしまう。
現場には《何か》に蹂躙された痕跡だけが残されてた。
そして、作業員は死ぬ前に神秘的な蒼い光を見たという。
地元の道央大病院に勤める外科医・佐原茜の実家は黄泉の森のそばにあり、
7年前に家族が忽然と消える神隠し事件に遭っていて、今も家族を捜していた。
この2つの事件は繋がっているのか。もしかして、ヨモツイクサの仕業なのか……。

  • 世界にはまだ見つかってない多くの生物がいる訳だし…。とりあえず怖かったです。
  • 壮絶なクマとの戦いかと思ったら、ホラーでアイヌ伝説と医療ミステリーが混ざって想像できない展開になっている
  • 設定は面白いけど展開がベタ過ぎてちょっとダルかった。

「風配図 WIND ROSE」皆川博子

1160年5月、バルト海交易の要衝ゴットランド島。
流れ着いた難破船の積荷をめぐり、生存者であるドイツ商人と島民の間で決闘裁判が行われることとなった。重傷を負った商人の代闘に立ったのは、15歳の少女ヘルガ。
義妹アグネが見守る中、裁判の幕が開き、運命が動き出す――

  • 逆境に負けないヘルガ、そんなヘルガへ憧れるアグネ、自分へ道を開くには厳しい世界で女の子たちが奮闘していくのがよかったです。
  • 皆川さんの資料を読み込み、ご自身の血肉とされる、貪欲な創作意欲に感服した。さすが物語の女王。
  • 言語の違い、宗教を違い、職業や身分の違い、そして性別の違いなど多くの問題を抱えながら強く成長していくふたり。当時の女性としては無謀な生き方かもしれないけど助けてくれた人たちも含め魅力的な登場人物が多くて楽しかった。

「鈍色幻視行」恩田陸

謎と秘密を乗せて、今、長い航海が始まる。
撮影中の事故により三たび映像化が頓挫した“呪われた”小説『夜果つるところ』と、その著者・飯合梓の謎を追う小説家の蕗谷梢は、関係者が一堂に会するクルーズ旅行に夫・雅春とともに参加した。船上では、映画監督の角替、映画プロデューサーの進藤、編集者の島崎、漫画家ユニット・真鍋姉妹など、『夜~』にひとかたならぬ思いを持つ面々が、梢の取材に応えて語り出す。次々と現れる新事実と新解釈。旅の半ば、『夜~』を読み返した梢は、ある違和感を覚えて――

  • 答えを導かずに終わったらどうしようかと思ったが、ほどよく着地。長い旅ではあったが楽しかった。
  • 後から思い返すと人生に影響を与えたと思われる瞬間。大切なのは真実。旅で体験したすべてが作品のようだった。よかったです。
  • 長かった。長くても、集中できる作品もあるけど。人それぞれの感性。久々に疲れた。そんな感想です。

「メロスの翼」 横関大

世界中の強豪選手が集結した「第1回東京レガシー卓球」。
会場では、急遽出場となった毛利翼(マオリーイー)という中国の補欠選手が注目を集めていた。
初戦でいきなり世界ランク3位の選手を一蹴した男のユニフォームには、中国選手のはずなのになぜか日の丸が縫い付けられていたのだ。
不思議な選手の登場に動揺するテレビ局の中継スタッフが調べると、6年前、毛利翼(もうりつばさ)という大学生が、殺人の罪で逮捕されていたことが明らかになる。カメラに映る男とその大学生は同一人物なのだろうか?過去と現在をつなぐ、絆のラリーが始まった。

「しおかぜ市一家殺害事件あるいは迷宮牢の殺人」早坂吝

 女名探偵の死宮遊歩は迷宮牢で目を覚ます。姿を見せないゲームマスターは「六つの迷宮入り凶悪事件の犯人を集めた。各人に与えられた武器で殺し合い、生き残った一人のみが解放される」と言うが、ここにいるのは七人の男女。全員が「自分は潔白だ」と言い張るなか、一人また一人と殺害されてゆく。生きてここを出られるのは誰なのか? そしてゲームマスターの目的は?ふたつの事件の交点が見えたとき、世界は反転する。読者を挑発し続ける鬼才の超絶技巧ミステリ!

2023年4月

「世界でいちばん透きとおった物語」杉井光

  • たくさんの読了報告を見て、相当な期待値を持って読み始めたが、完全に期待を上回った読後感!しかも、1日一気読み!何も言えないけど、とりあえず読んで損なし!いや〜本当に透き通ってたわ〜
  • 紙の本の良さを活かした1冊です! タイトルの意味が分かった時には驚きました!
  • 著者をはじめ関係者様の並々ならぬ努力の結晶。これはもう小説への愛しか感じない

「最後の祈り」薬丸岳

東京に住む保阪宗佑は、娘を暴漢に殺された。妊娠中だった娘を含む四人を惨殺し、死刑判決に「サンキュー」と高笑いした犯人。牧師である宗佑は、受刑者の精神的救済をする教誨師として犯人と対面できないかと模索する。今までは人を救うために祈ってきたのに、犯人を地獄へ突き落としたい。煩悶する宗佑と、罪の意識のかけらもない犯人。死刑執行の日が迫るなか、二人の対話が始まる。動機なき殺人の闇に迫る、重厚な人間ドラマの書き手・薬丸岳の新たな到達点。

  • 内容は重く、深く考えさせられたが、読後感は悪くない。
  • 死刑制度というものについて、贖罪について、遺族の感情について、確定死刑者について、その親族について、刑場で働く人たちについて、深く考えさせられる内容だった。

「香港警察東京分室」月村了衛

日本と香港で合同捜査を行う「特殊共助係」別名・分室。日本に潜伏中の香港民主活動家キャサリン・ユーの確保が今回の任務。日中さまざまな組織の思惑が入り乱れ、ドンパチ銃撃戦、人がバタバタ死にます。

  • メチャクチャ好みの作品。実力はあるのに個性豊か過ぎて取扱注意な警察官の溜まり場最高!
  • 凄い銃撃戦でした。ここはホントに日本か?でも、フィクションだよね~と、言っていられない現実が追いかけてきてる気がする。

「時計泥棒と悪人たち」夕木春央

実業家・加右衛門氏へ贋物の置時計を売ってしまった事実を知った井口。
泥棒に転職をした蓮野とともに、その置時計は加右衛門氏が所有する美術館にあるという情報を得、盗むことを計画するがーー?

  • 実業家・加右衛門氏へ贋物の置時計を売ってしまった事実を知った井口。
    泥棒に転職をした蓮野とともに、その置時計は加右衛門氏が所有する美術館にあるという情報を得、盗むことを計画するがーー?
  • 友人として心安い二人が、事件に巻き込まれたりしながら、その事件を金庫開け等の泥棒時代の知識とかで解決していく。主役二人のキャラクターが立っているので楽しく読めた。
  • 「帝大を卒業し、泥棒になった」探偵役の、短時間で分かってしまう鋭い推理。面白かった

「私雨邸の殺人に関する各人の視点」渡辺優

嵐の私雨邸に取り残された11人の男女。
資産家のオーナーは密室で刺殺され、世にも珍しい〈探偵不在〉のクローズド・サークルが始まる。
館に集ったのは怪しい人物ばかり。いったい誰が犯人を当てるのか。各人の視点からなされる推理の先に、思わぬ悲劇が待っている。

  • 中盤にダレるところはあったが、推理しながら読んでいくのが楽しい。序盤の期待値よりは絶対に上回ってくると思う。
  • それぞれ人物の心模様が、巧みに書き分けられている。その視点のギミックが、ミステリに結びついているのが面白い。
  • トリックも稚拙で、殺害理由も理解できない内容でした。

2023年3月

「上海灯蛾」上田早夕里

1934年上海。「魔都」と呼ばれるほど繁栄と悪徳を誇ったこの地に成功を夢見て渡ってきた日本人の青年・吾郷次郎。 彼の許を謎めいた日本人女性が訪ねる。ユキヱと名乗るその女が持ちこんだのは、熱河省産の極上の阿片と芥子の種。 次郎は阿片の売買を通じて上海の裏社会を支配する青幇の知己を得て、上海の裏社会に深く踏み入っていく。栄光か。破滅か。夜に生きる男たちを描いた、上海ピカレスク。

  • 人間の欲はどこまでも果てしない… 戦時中の上海を舞台に血で血を洗う歴史ノワール。
  • 哀しみと怒り、友情と非情、敬愛と憎悪。相反する感情がごちゃ混ぜになった黒社会のドラマが刺激的で一気に引き込まれました。
  • 史実とフィクションのバランスも凄く良く出来ています。 面白かった!

化石少女と七つの冒険」麻耶雄嵩

この学園は呪われている!? 白雪にまみれ 赤い紐で手首を結び合った三人の死体、 男子の制服を着て死んでいた女子生徒、 殺され焼かれた書道教師…… 良家の子女が集う京都の名門高校で、 またまた相次ぐ怪事件に、 名探偵まりあの血が再び騒ぐ。 神舞まりあは、 自分以外の部員わずか一人という 零細古生物部を率いる化石オタクのお嬢様。 そして、誰にも認めてもらえない 女子高生探偵だ。 こちらも誰にも見向きもされない古生物部に、 なぜか加入してきた怪しい一年生。 無理矢理お嬢様のワトソン役にされ続けた 男子部員が抱えた黒い秘密。 その上、いかがわしい新入生探偵まで登場。 怪しさ倍増の果てに、予測不能の結末が!

  • 探偵役推理をワトソン役が握りつぶす という独特展開は変わらずですが 最終章で凄いことが起こります。 さすが麻耶さん一筋縄ではいきません。
  • 風物詩ように殺人事件が起こる特殊学園ミステリ 相変わらずクセが強い麻耶作品なので、決してオススメはできない(笑)
  • 悪魔書だった…。前作から続けて読んだから恐怖倍増。 殺人が頻発するシチュエーションが当然世界だからこそ、その影響は無力であるという読み手傲慢さを突きつけられた。

「ゴリラ裁判の日」須藤古都離

カメルーンで生まれたニシローランドゴリラ、名前はローズ。メス、というよりも女性といった方がいいだろう。ローズは人間に匹敵する知能を持ち、言葉を理解する。手話を使って人間と「会話」もできる。カメルーンで、オスゴリラと恋もし、破れる。厳しい自然の掟に巻き込まれ、大切な人も失う。運命に導かれ、ローズはアメリカの動物園で暮らすようになった。政治的なかけひきがいろいろあったようだが、ローズは意に介さない。動物園で出会ったゴリラと愛を育み、夫婦の関係にもなる。順風満帆のはずだった――。
その夫が、檻に侵入した4歳の人間の子どもを助けるためにという理由で、銃で殺されてしまう。なぜ? どうして麻酔銃を使わなかったの? 人間の命を救うために、ゴリラは殺してもいいの? だめだ、どうしても許せない! ローズは、夫のために、自分のために、正義のために、人間に対して、裁判で闘いを挑む! アメリカで激しい議論をまきおこした「ハランベ事件」をモチーフとして生み出された感動巨編。第64回メフィスト賞満場一致の受賞作。

  • 動物の権利やひいては人権まで考えさせられる深い内容でありながらエンターテインメントとしても非常に面白かった。
  • 何が人間を人間たらしめているのか。言葉の持つ力とは。ゴリラ目線で描かれる壮大な物語だった。
  • 話自体は面白かったけど読みにくかった。 私が思っているより他の生物たちはずっと賢いのかもしれない。 ゴリラの生態について興味が湧いた。

「魔女と過ごした七日間」東野圭吾

その夏、信じられないことばかり起きた。「ラプラスの魔女」シリーズ!
AIによる監視システムが強化された日本。
指名手配犯捜しのスペシャリストだった元刑事が殺された。
「あたしなりに推理する。その気があるなら、ついてきて」
不思議な女性・円華に導かれ、父を亡くした少年の冒険が始まる。

  • ラプラスシリーズの続編であることがわかり、中学生の熱い友情、犯罪捜査と一般市民のプライバシーの問題まで踏み込んだ物語を、読みやすく、しっかりまとめてくる東野さんの上手さが光りました。
  • 少年たちと円華チーム、警察側のストーリーが入れ替えで進み、読み手を惹きつける手法は流石の安定感。
  • 今作で警察の秘密の捜査方法について書かれているが、これは現実にありそうで怖い。

「クローズドサスペンスヘブン」五条紀夫

俺は、間違いなく殺された――。なのに、ここはどこだ? 気がついたら目の前にはリゾートビーチと西洋館。姿の見えない配達人から毎朝届く不思議な新聞によると、ここは天国屋敷で、現世で惨殺された6人が記憶をなくした状態で天国に返り咲いたらしい。俺は、誰だ? なぜ、誰に殺された⁉ 館ものクローズドサークルに新風を吹き込む、“全員もう死んでる”系ミステリー、爆誕。

  • 現実離れした舞台設定だが、物語の世界に入り込めば気にならなかった。6人のキャラも良く、全員に親しみを持てた。
  • 面白かったです。最後にあとひとひねり欲しかったな。
  • 文章はしっかりしているが、会話文が多かったり、コメディ要素が入ったりしているので好みはわかれそう。エンタメものとして面白かった。

2023年2月

黄色い家」川上未映子

十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。危ういバランスで成り立っていた共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解し……。人はなぜ罪を犯すのか。世界が注目する作家が初めて挑む、圧巻のクライム・サスペンス。

  • 金でどうやって人が変わっていくのかが見事に描かれていて、一気に読んでしまった!
  • 犯罪の入り口を疑似体験できる一冊。後半の生々しい感情表現が圧巻。
  • 終盤100ページあまり、息つく暇もない展開と痛々しさ。まことにすごいものを読んでしまったなあ。

「彼女はひとり闇の中」天祢涼

十月の日曜の朝、横浜・日吉に住む千弦は昨夜近くの小道で女性が刺殺されたことを知る。しかもそれは昨夜「相談したいことがある」とのみLINEを送ってきた幼なじみの玲奈だった。相談は事件に関わるものだったのか――悩んだ千弦は真相をさぐろうと決意する。未来と仲間の見えない時代に凄絶な孤独が引き起こした悲劇の結末とは――。

  • 天袮さん初読み。面白い。本ならではのミステリー。伏線いっぱい張られてたのに、ことごとくスルーした結果、そうだったのか!って驚いた。
  • 序盤で犯人がわかってしまってあーあーと思ってしまいましたが意外や意外、読み進めていくと、それをくつがえす展開に読む手が止まらず。
  • 本書はミステリ面で一級品ですが、それに加えて現代社会の悲しい問題が当事者の側から描かれ読者の胸に深く突き刺さります。

「完全なる白銀」岩井圭也

写真家として活動する藤谷緑里はアラスカに向かっていた。シーラと北米最高峰デナリに挑むためだ。
緑里とシーラの旧友、リタ・ウルラクは新鋭の女性登山家として名を馳せていた。リタとシーラの故郷、サウニケは北極海に面した小さな島だが、90年代後半から地球温暖化の影響で海に浸食されている。このままでは島は海に沈む――そんな故郷の危機を世界に知らしめる。それがリタが登山家として名を上げようとした理由だった。だがリタは冬季デナリ単独行に挑み、下山途中に消息を絶ってしまう。頂上から「完全なる白銀」を見た――という言葉を残して。
行方不明となったあと、リタの言動を疑ったマスコミは彼女を<冬の女王>ではなく<詐称の女王>と書き立てた。緑里とシーラは、リタが登頂した証を求めるべくデナリに挑むことに。だが世界最難関の山への登攀は、一筋縄にはいかない。ブリザード、霧、荷物の遺失、高度障害……二人の信頼関係も揺らぐ。さまざまな困難を乗り越え、北米大陸で最も高い地へ手を伸ばす緑里。その先に見えたものとは。
極限の高地だけでなく、社会でも闘う女性たちを描きだす、気鋭の著者の新境地。

  • 雪山イコール男性の登山と思い込んでいたけど、3人とも女性だったのもいい。非日常を味わえる読書時間だった。
  • 友情、生き甲斐、すれ違いや葛藤、家族。登山小説なんて地味な分野だと思ってたけど、詰め込まれた思いに胸が詰まる。
  • 環境保全、男女差別、少数民族などの課題も含みながら、真実を知るための厳しい冬山の登頂。そこで見た景色、追いかけた謎の解明、緊迫感ある読書となった。

2023年1月

「木挽町のあだ討ち」永井紗耶子

疑う隙なんぞありはしない、あれは立派な仇討ちでしたよ。
語り草となった大事件、その真相は――。
ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆・菊之助による仇討ちがみごとに成し遂げられた。父親を殺めた下男を斬り、その血まみれの首を高くかかげた快挙はたくさんの人々から賞賛された。二年の後、菊之助の縁者だというひとりの侍が仇討ちの顚末を知りたいと、芝居小屋を訪れるが――。新田次郎文学賞など三冠の『商う狼』、直木賞候補作『女人入眼』で今もっとも注目される時代・歴史小説家による、現代人を勇気づける令和の革命的傑作誕生!

  • なんて、清々しい読後感!ちょっぴりジンときて、なんかこう、人間も捨てたもんじゃないなぁとしみじみ思えた。
  • 悲しい辛いこともありながら、居場所を見つけていく過程がいい。なんとも優しくあったかい物語でした。ページボリュームとしてはそれほどではないのに、中身が濃くて読み応えあった。
  • 芝居小屋っていう設定が上手いですね! そのまま映画化とかなりそうです。

「ドールハウスの惨劇」遠坂八重

舞台は鎌倉にある名門・冬汪高校。
同高二年の滝蓮司は、眉目秀麗だが変人の卯月麗一とともに、生徒や教師から依頼を受け、思ってもみない方法で解決を図る”学内便利屋”として活動している。その名も「たこ糸研究会」。会長は蓮司、副会長は麗一。取り壊しの決まっている古い校舎の一角が、ふたりの部室にして”事務所”だった。
ある日蓮司は、道を歩けばスカウトが群がり学内にはファンクラブすら存在する超絶美少女、藤宮美耶という同級生から、ある依頼を受ける。
その依頼とは――。
蓮司と麗一が依頼を引き受けたがゆえ、惨劇の幕は開く! 舞台は、鎌倉に佇む白亜の豪邸。ふたりは特異な家族にまつわる、おぞましい事件の真相をひもといてゆく。
新進気鋭の著者が放つ、渾身のミステリー!

  • 学園ミステリなので眉目秀麗で変人の探偵役に子が日常の謎を解いていく話かと思いきや結構ハードな内容を含んだミステリでした。
  • 高校生の軽妙な会話がツボ。 毎週木曜五限の英語の時間に、必ず腹痛を起こす滝蓮司。 たこ糸研究会所属。 もうこれだけで心持って行かれたよね! あ、ちゃんとミステリーです。
  • 表紙からライトめな学園ミステリーかと思いきや、なかなかに重いまさにタイトル通りの展開に。でも面白かった! 

「名探偵のままでいて」小西マサテル

かつて小学校の校長だった切れ者の祖父は、七十一歳となった現在、幻視や記憶障害といった症状の現れるレビー小体型認知症を患い、介護を受けながら暮らしていた。
しかし、小学校教師である孫娘の楓が、身の回りで生じた謎について話して聞かせると、祖父の知性は生き生きと働きを取り戻すのだった!
そんな中、やがて楓の人生に関わる重大な事件が……。

  • このミス大賞受賞作、読みやすく、謎解きも面白かった。 いつまでも、名探偵のままでいて欲しい。
  • 無理な推理もあるな、、と思いつつも最後のストーカーの謎はハラハラしながら一気に読み進めてしまった。タイトル通り名探偵のまま、いつまでもいつまでも、と願う。
  • おじいちゃんが名推理を披露するって短編ものです。 可愛らしい主人公と、その他素敵な登場人物たちのおかげで、あっという間に読むことが出来ました。

2022年12月

黒真珠 恋愛推理レアコレクション」連城三紀彦

果てしなくくりかえされる愛憎。反転する虚実。そして待ち受ける驚愕の結末――。 騙りの巨匠の大技が冴え渡る、これまで単著未収録だった貴重な恋愛×ミステリ短篇14篇を初書籍化。 文庫オリジナルアンソロジー、没後十年刊行。

  • 没後10年、ミステリ界のレジェンドの発掘短編集。 収録作の多くが、80・90年代に書かれたものだが、時代を超越した作品性と面白さに、改めて感じ入った。
  • 恋愛と推理を掛け合わせた作品を書かせたら連城三紀彦の右に出る物はいないのではと思わせる読後感。
  • 私的には日本一のどんでん返しの名手。これは没後10年で恐らく最後の新作。最初は長編がお勧めです。

ここでは誰もが嘘をつく」嶋中潤

この仕事は、誰かがやらなければいけない。 目の前の患者を救うことを、分け隔てなく。 函館にある医療刑務所分院に努める金子由衣(かねこゆい)は、2年目の矯正医官。医療刑務所では、患者である受刑者の平均年齢も高く、凶悪な罪を犯した者も基礎疾患などを抱え医師の助けを必要としている。一方で不調を訴え刑務作業逃れをしようとするものも多い。受刑者の過去の罪と患者としての現在の状況を毎日のように目の当たりにし、贖罪とは何かを考える由衣だったが、当直の晩、糖尿病を患っていた前科四犯の受刑者が亡くなった。これは医療事故か、あるいは殺人事件なのかーー。

  • 矯正医官はただ単に病気に向き合うだけではない過酷な職業だ。そしてミステリとしては受刑者の病死に漠然とした疑いを持つ結衣の苦悩が加わる。一見、地味ではあるが、人の道を真摯に問う作品だった。
  • 大切な人を殺された被害者の気持ち、犯罪者の家族の思い、簡単には割り切れない人の心は本当に難しい。精神科医の中村医師がよかったな。
  • 遠い世界の話じゃなく、むしろ身近でリアルな内容に、ミステリーの衝撃的な終わりではない、少し胸がギュッとなるような物語。

「踏切の幽霊」高野和明

都会の片隅にある踏切で撮影された、一枚の心霊写真。
同じ踏切では、列車の非常停止が相次いでいた。
雑誌記者の松田は、読者からの投稿をもとに心霊ネタの取材に乗り出すが、
やがて彼の調査は幽霊事件にまつわる思わぬ真実に辿り着く。

  • 幽霊話と実際起きた事件がうまくリンクしてて一気に読めた。読み終わった満足感あり。
  • 面白くて一気読み。“社会派怪談”という新ジャンル?
  • めちゃくちゃホラーだったらどうしよう…って思ったけど、要所要所でちょっとホラーなだけだったので、怖がりな自分でも最後まで読めた。 

「バールの正しい使い方」青本雪平

転校を繰り返す小学生の礼恩が、行く先々で出会うクラスメイトは噓つきばかりだった。
なぜ彼らは噓をつくのか。
友達に嫌われてもかまわないと少女がつく噓。
海辺の町で一緒にタイムマシンを作った友達の噓。
五人のクラスメイトが集まってついた噓。
お母さんのことが大好きな少年がつかれた噓。
主人公になりたくない女の子がついた噓。
さらにはどの学校でもバールについての噂が出回っているのはなぜなのか。
やがて礼恩は、バールを手にとり――。

  • ミステリとしても良質だし、青春小説としても申し分のない面白さ。読み終えた今はすごいタイトルだと感心する。
  • 衝撃!思ってる話と全く違う笑!ただ、読みやすい謎解きもあり、優しい気持ちになりながら読了。よく練られてて面白かった〜。
  • タイトルも物騒な感じだと思ったけど、読み終えた後にはガラリと印象を変え切なくも清々しい気分に。

「骨灰」冲方丁

大手デベロッパーのIR部で勤務する松永光弘は、自社の高層ビルの建設現場の地下へ調査に向かっていた。目的は、その現場について『火が出た』『いるだけで病気になる』『人骨が出た』というツイートの真偽を確かめること。異常な乾燥と、嫌な臭い――人が骨まで灰になる臭い――を感じながら調査を進めると、図面に記されていない、巨大な穴のある謎の祭祀場にたどり着く。穴の中には男が鎖でつながれていた。数々の異常な現象に見舞われ、パニックに陥りながらも男を解放し、地上に戻った光弘だったが、それは自らと家族を襲う更なる恐怖の入り口に過ぎなかった。

  • 東京渋谷という都会のど真ん中で、一つボタンを掛け間違えたためにこんなことになるって、あるかもしれない。とりあえず主人公家族は平穏を取り戻して良かった。いや、良かったのか?怖くて一気読みの一冊。
  • 途中から取り憑かれてからの主人公がホントに怖くて久しぶりに冷え冷えとした。でもさすがの冲方丁さん、文章でみせられました。
  • 過去と現在。家族。少しずつ自然とおかしな方向へ導かれていく光弘。怖いと思いながら、面白かった。

2022年11月

栞と噓の季節」米澤穂信

ベストセラー『本と鍵の季節』(図書委員シリーズ)待望の続編! 直木賞受賞第一作 猛毒の栞をめぐる、幾重もの嘘。 高校で図書委員を務める堀川次郎と松倉詩門。 ある放課後、図書室の返却本の中に押し花の栞が挟まっているのに気づく。 小さくかわいらしいその花は――猛毒のトリカブトだった。 持ち主を捜す中で、ふたりは校舎裏でトリカブトが栽培されているのを発見する。 そして、ついに男性教師が中毒で救急搬送されてしまった。 誰が教師を殺そうとしたのか。次は誰が狙われるのか……。 「その栞は自分のものだ」と嘘をついて近づいてきた同学年の女子・瀬野とともに、ふたりは真相を追う。 直木賞受賞第一作は、著者の原点とも言える青春ミステリ長編!

  • 相変わらず高校生とは思えない理知的な登場人物たちが出てくる米澤作品だけれど、叙述なのか伏線なのか何度も前に戻って確認しながらの読書はとっても楽しかった。
  • とても鋭い二人が,あほらしい寒いギャグのやりとりをしているところなんてシュールで面白いし,そうかと思えば突然一歩踏み込んだ推理をして驚かせてくれたりする。そのギャップが読んでいて面白い。
  • さりげない会話のやり取りから嘘や矛盾を見抜いていくので読者も気が抜けません。年末の読書タイムを楽しめました!

「そして、よみがえる世界。」西式 豊

医療テック企業、SME社が開発した脳内インプラント〈テレパス〉によって、介助用ロボットや仮想空間〈Vバース〉でのアバターの直接操作が可能となり、身体障害者の活動範囲が大幅に拡大した近未来。事故で脊髄を損傷しテレパスユーザーとなった脳神経外科医の牧野は、かつての恩師で、現在は同社の役員である森園からオペの代理執刀の依頼を受ける。記憶と視覚を失った少女エリカに視覚再建装置を埋め込む手術は無事成功したはずだったが、術後エリカは謎の黒い影の幻に脅かされるようになる。そして院内では新たな事件が起こり、経営陣の一人が犠牲に……。仮想と現実のはざまで少女を翻弄する幻影の、その驚愕の正体とは!? 第12回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作。

  • やがて実現するかもしれない世界にワクワクするとともに、科学の発展生み出した怪物の存在にはゾッさせられました。SFミステリの傑作です。
  • 前半は理解するのに読むのに時間かかったしまったけど、中盤以降の謎解き始まるあたりから惹き込まれて一気読み。
  • 仮想と現実入り交じった終盤の攻防には胸熱くなる。面白かった!

特殊清掃人」中山七里

誰もいなくなった部屋にこそ、住んでいた者の嘘のない生きざまが現れる──。特殊清掃業者〈エンドクリーナー〉には、日々、様々な依頼が押し寄せる。彼らの仕事をとおして、死者が抱えていた様々な事情が浮かび上がる。『護られなかった者たちへ』の著者が贈るヒューマン・ミステリー。

  • 故人の意志を汲み取りながら、その人生に寄り添う姿はグッとくるものがあります。少しグロテスクな描写はありますが、おすすめできます。
  • 元刑事の五百旗頭亘、社員の秋廣香澄、白井寛、3人のキャラにも好感が持てるし、あの鑑定人も登場するし、是非シリーズしてほしい。
  • 現場の凄惨でグロい描写はさすが。鑑定士氏家の登場にもニヤリ。また新たなジャンルを開拓、この作者さん才能は無限なのかと感嘆。

「教誨」柚月裕子

女性死刑囚の心に迫る本格的長編犯罪小説! 幼女二人を殺害した女性死刑囚が最期に遺した言葉―― 「約束は守ったよ、褒めて」 吉沢香純と母の静江は、遠縁の死刑囚三原響子から身柄引受人に指名され、刑の執行後に東京拘置所で遺骨と遺品を受け取った。響子は十年前、我が子も含む女児二人を殺めたとされた。香純は、響子の遺骨を三原家の墓におさめてもらうため、菩提寺がある青森県相野町を単身訪れる。香純は、響子が最期に遺した言葉の真意を探るため、事件を知る関係者と面会を重ねてゆく。

  • 久しぶりに、好きなジャンルの重めの社会派ミステリー。
  • 柚月さんの作品の中で一番重かった。ずっと辛い話が続くし、響子さんのやった事は絶対にダメけど最後に救いがあったと信じたい。
  • 最近あまり読めない波がきている中で、ページを捲る手が止まらなかった1冊。

「闇の聖域」佐々木譲

満洲に渡った警察官は猟奇殺人を追い、運命に抗う画家は最後の恋に生きる。 警視庁を退職して満洲・大連警察署特務巡査となった河村修平は、初勤務早々、殺人事件の捜査に携わる。被害者男性の首には頸動脈を狙ったような傷があり、修平は東京で起こった殺人事件との類似に気づく。一方、新進画家の中村小夜は街で偶然出会った青年ルカへの想いを深めてゆくが、彼には一族にまつわる秘密があった。やがて小夜は警察が事件の容疑者としてルカを追っていることを知る。 ただならぬ予感に満ちた圧巻のサスペンス×ロマンス長篇。

  • ただならぬ予感に満ちた圧巻のサスペンス×ロマンス長篇。
  • この時代のこの独特な雰囲気漂う感、結構好きでした。もうちょい踏み込んでもっとその先を読みたかったけど。「図書館の子」を彷彿させたかな。読みやすく読了。
  • 時代背景が面白く緊張感が高まる現代にも通じるものを感じた。結末にはロマンがあって意外性もあり楽しく読みました。大満足満足!!!!

2022年10月

「金環日蝕」阿部暁子

輪郭は強烈な輝きを放っているのに、 彼の中心は闇に沈み、謎めいたまま―― ひったくりの犯人を突きとめた。 事件はそれで終わらなかった。 私たちは、ある男が歩んだ道を 辿り直すことになる。 〈犯罪と私たち〉を真摯に描く、実力派作家、渾身の新境地。

  • 真相に迫るほどに、根深い現代の闇が見えて来る社会派ミステリ。初期の宮部みゆき作品を読んでるような面白さ。
  • 一つのひったくり事件を発端にして、それに関わる人の過去や真実が明らかになっていく 読み終えてタイトルの意味がしっくりくる物語だと思った。
  • 読み始めの印象とその後展開していく物語の内容のギャップが凄い。

「赤ずきん、ピノキオ拾って死体と出会う。」青柳碧人

前作『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』でミステリー界に衝撃のデビューを果たした赤ずきんに相棒ができました。 その名はピノキオ! とある目的があって一緒に旅をするのですが、ゆく先々でまたもや事件が発生します。 『白雪姫』『ハーメルンの笛吹き男』『三匹の子豚』……。 世界のみんなが知っている童話をベースにした連作本格ミステリ第二弾。 今作も、あの決め台詞が炸裂します。

  • ピノキオの特性を上手く活かして犯人を特定していくのがすごい!原作と話や性格が違いすぎて笑った
  • よく知っている彼らは少し違う登場人物たちが繰り広げるギャグ!推理小説だ
  • 「あなたの犯罪計画はどうしてそんなに杜撰なの?」 という赤ずきんの決め台詞が今作も健在

「変な絵」雨穴

デビュー作『変な家』が30万部を超える大ヒット! 人気急上昇中のホラー作家・雨穴が手がける2作目のテーマは“変な絵”。 不穏なブログ、消えた男児、惨殺死体、補導少女……見れば見るほど“何かがおかしい”9枚の奇妙な図絵がからみあう、スケッチ・ミステリー!

  • 作者本人も不気味だけど内容も不気味だった。人間怖い系。若者に売れているのが分かる。おまけで限定動画がついている。
  • オカルトジャンルかと思ったら、湊かなえのような愛情の表と裏を描いた推理小説でとても楽しめる作品でした。
  • 一見頭を使いそうな内容のお話なのですが、入り込みやすい文章でさらさらと理解出来た為、読んでいて気持ちよかったです。

不知火判事の比類なき被告人質問」矢樹 純

誰もみたことのない衝撃の逆転裁判がはじまる――。フリーライターの湯川和花は殺人事件の裁判を傍聴するのだが、結審直前に衝撃的な被告人質問を目の当たりにする。
左陪席の不知火春希裁判官が予想外の質問を被告に投げかけ、悲しすぎる事件の真相を自白のもとに晒して法廷の景色を一変させてしまう。
こうした不知火判事の質問は「他に類を見ない質問」と法曹関係者の間で囁かれていた。

  • 矢樹さんらしい最後のオチはお見事!淡々とするどい一言を放ち事件解決に導く不知火判事のシリーズ化に期待。
  • 「マザーマーダー」で好きになった矢樹純さんの新刊!読むしかないでしょう。 裁判がテーマだと難しいかなと思ったけど、凄くわかりやすくてぐんぐん読めた。
  •  逆転裁判がテーマの4編の短編集。不知火判事の「他に類を見ない被告人質問」がクセになる。登場キャラも良かったし、法廷が舞台の新しいパターンのどんでん返しは新鮮で面白かった。

「君のクイズ」小川 哲

生放送のTV番組『Q-1グランプリ』決勝戦に出場したクイズプレーヤーの三島玲央は、対戦相手・本庄絆が、まだ一文字も問題が読まれぬうちに回答し正解し、優勝を果たすという不可解な事態をいぶかしむ。いったい彼はなぜ、正答できたのか? 真相を解明しようと彼について調べ、決勝戦を1問ずつ振り返る三島はやがて、自らの記憶も掘り起こしていくことになり――。 読めば、クイズプレーヤーの思考と世界がまるごと体験できる。人生のある瞬間が鮮やかによみがえる。そして読後、あなたの「知る」は更新される!  「不可能犯罪」を解く一気読み必至の卓抜したミステリーにして、エモーショナルなのに知的興奮に満ちた超エンターテインメント!

  • 「彼は何故その問いに答えれたのか?」という問いを明かすミステリーとして、非常に惹きつけられるし、気付いたら人生讃歌領域に足を踏み入れていてグッときた
  • 一冊を通して、クイズ解答者思考や戦略などを知ることができ、今後クイズ番組に見方がかわるかも
  • 薄め本だし、読みやすい内容になってると思うので、初心者さんにもオススメ

このミステリーがすごい! よくある質問

このミステリーがすごい2023 国内編のランキングは
1.呉勝浩『爆弾』
2.白井智之『名探偵のいけにえ』
3.有栖川有栖『捜査線上の夕映え』
4.夕木春央『方舟』
5.長浦京『プリンシパル』
6.佐藤究『爆発物処理班の遭遇したスピン』
7.逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』
8.芦辺拓『大鞠家殺人事件』
9.小川哲『地図と拳』
10.奥田英朗『リバー』
このミステリーがすごい2024国内編の予想は
りさま屋
物語良品館資料室

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