2023年4月の 国内ミステリー ベスト5

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 国内ミステリー を書きます。

書店は本との出会いの場。しかし、新刊や旧作、ベストセラーと並んだ中からどんな作品を選んだらよいか悩む人も多いのではないでしょうか。

おすすめ国内ミステリーを月別にご紹介します。

2023年4月発行の国内ミステリー

2023年4月に発売された国内ミステリー小説をご紹介します。

  • 「世界でいちばん透きとおった物語」杉井光
  • 「最後の祈り」薬丸岳
  • 「香港警察東京分室」月村了衛
  • 「時計泥棒と悪人たち」夕木春央
  • 「私雨邸の殺人に関する各人の視点」渡辺優

さてこの三冊は年間ベストに入るでしょうか。

「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」

私は、最愛の娘を凌辱した挙げ句に殺した犯人を――許せなかった。少年法に守られて、極刑にもならずに、今ものうのうと生きている、あの鬼畜、あの悪魔。娘のいない人生など、何の価値もなかった。私自身は、どうなってもよかった。だから包丁を握りしめ、メッタ刺しにして殺してやったのだ……、罪にふさわしい罰を与えてやったのだ……! しかし、我に返った私は復讐の決行を決意した瞬間まで引き戻されていた。何度殺しても、何度殺しても、時計は先に進まない――。

「仮題・中学殺人事件【新装版】」

「この推理小説中に伏在する真犯人は、きみなんです」。冒頭の名フレーズが有名な本書は、牧薩次(ポテト)と可能キリコ(スーパー)の探偵コンビが活躍する記念すべきシリーズ第一作。不可能状況で起こる事件、時刻表トリック、いきいきとしたキャラクター造形など、デビュー作にして辻真先の魅力のすべてが詰まっている。待望の新装版で登場。

「号泣」

この怖さ、動悸がするほどヤバすぎる! 新宿の男装ホストクラブで働く百合には、声優になる夢があった。だが現実は、池袋の狭いアパートでの共同生活。同居人の真優は西川口のソープ嬢、大卒の累はホスト狂い。百合自身にも暗黒の過去があった――。不幸の吹き溜まりに忍び寄る不気味な影、見知らぬ男からの宅配便、ルームメイトとの不協和音。 「私、まだ生きなくちゃいけないの……」 慟哭と異様な戦慄に鳥肌が立つ傑作。『愛しのシャロン』改題。

「世界でいちばん透きとおった物語」杉井光

大御所ミステリ作家の宮内彰吾が、癌の闘病を経て61歳で死去した。  女癖が悪かった宮内は、妻帯者でありながら多くの女性と交際しており、そのうちの一人とは子供までつくっていた。 それが僕だ。  宮内の死後、彼の長男から僕に連絡が入る。 「親父は『世界でいちばん透きとおった物語』というタイトルの小説を死ぬ間際に書いていたらしい。遺作として出版したいが、原稿が見つからない。なにか知らないか」  奇妙な成り行きから僕は、一度も会ったことがない父の遺稿を探すことになる。知り合いの文芸編集者・霧子さんの力も借りて、業界関係者や父の愛人たちに調べを入れていくうちに、僕は父の複雑な人物像を知っていく。  やがて父の遺稿を狙う別の何者かの妨害も始まり、ついに僕は『世界でいちばん透きとおった物語』に隠された衝撃の真実にたどり着く――。

「ペニー・レイン 東京バンドワゴン」

堀田家の暮らす下町に〈日英テレビ〉のロケ隊がやってくる!? そして迎える、“大引っ越し大会”。そんな慌ただしい日々に飛び込んでくるのは、新規開業するお店の謎や、突然の放火疑惑、思いがけない告白に、大事な家族のメンバーとの別れ……。巡る時代を共にしてきたご近所の仲間たちと、改めて「LOVE」を分かち合う。

「時計泥棒と悪人たち」夕木春央

実業家・加右衛門氏へ贋物の置時計を打ってしまった事実を知った伊口。 泥棒に転職をした蓮野とともに、その置時計は加右衛門氏へ所有する美術館にあるという情報を得、盗むことを計画するがーー? (第1章 加右衛門氏の置時計)

「ローズマリーのあまき香り」

世界中で人気を博す、生きる伝説のバレリーナ・クレスパンが密室で殺された。 1977年10月、ニューヨークのバレエシアターで上演された「スカボロウの祭り」で主役を務めたクレスパン。 警察の調べによると、彼女は2幕と3幕の間の休憩時間の最中に、専用の控室で撲殺されたという。 しかし3幕以降も舞台は続行された。 さらに観客たちは、最後までクレスパンの踊りを見ていた、と言っていてーー? 名探偵・御手洗潔も活躍、島田荘司待望の長編新作!

「芥子はミツバチを抱き」

南アフリカ出身の母親と日本人の父親との間に生まれたダブルの少年・ジェリコは、小学校でいじめに遭ってから不登校になり、VRドローンレースにのめり込む。しかし、出場していたイスタンブルでのレースの最中に制御を奪われた彼のドローンが爆弾テロに使用されてしまう……。日本に居られなくなったジェリコは、母の遠縁を名乗る男性・マルグッドに導かれて、ミャンマーとタイの国境地帯にある小さな村に潜伏することになった。そこで出会ったのは、芥子を栽培する少女のリィ・レイと、ドローンを「歌」でコントロールする「ミツバチ」の女、ノーンとプロイだった。やがてジェリコは、自分と同年代ながら「戦争」「貧困」「ブラックビジネス」に向き合う少年少女たちと触れ合う中で、残酷過ぎる世界の真実を目の当たりにしていく。

「君は医者になれない 膠原病内科医・漆原光莉と血嫌い医学生」

血が怖いという致命的ハンデを抱える医学生・戸島光一郎。落第にリーチが掛かった彼は、救済措置として人手不足のアレルギー・膠原病内科の手伝いを命じられる。 免疫が己の身体を傷付けてしまう難病患者を診療する、膠原病内科、通称アレコー。その外来医長・漆原光莉は、歯に衣着せぬ言動に加え、人として残念な面が多々あるものの、どんな些細な症状も見逃さない名医として大きな信頼を得ていた。そんな彼女の下で戸島は様々な患者と出会い、多くのものを学んでいく。

「純黒の執行者 正しい悪魔の殺しかた」

妻子を殺された復讐のため、瀕死の重傷の中、己の死を回避する代償として悪魔・ベルと契約した刑事・一之瀬朱理。 「担当する事件の被疑者は必ず死亡する」と周囲から不審を抱かれながらも、ベルに犯罪者たちの魂を捧げて生命をながらえ、朱理は執念の捜査で真犯人を探しだした。 人知を超えた存在【黒い悪魔】に復讐を果たすべく、朱理はある決断を下す。ベルすらも欺きながら、朱理はその目的に近づいていくが――。 宿命づけられた人間と悪魔、ダークサスペンス完結編!!

「幽霊と探偵2」

ついに人香の真相が明らかに――!? 幽霊×探偵の謎解き事件簿第2弾! 元刑事の探偵・巻矢と幽霊の相棒・人香のコンビに訪れる相変わらずのささやかな謎。しかしある人物に監禁された廃ビルから始まった巻矢の災難は周囲の人間を巻き込みながらやがて人香失踪の真相に繋がっていき――!?

「アブソルート・コールド」

K県見幸市を統治する佐久間種苗を襲った細菌テロは、100名超の研究員を殺害する。事件を追う高層民のコチ、国境警備隊の来未、元刑事の尾藤の前に立ち塞がる「アブソルート・コールド」とは?『プラ・バロック』の著者が、令和日本に放つサイバーパンク巨篇

「育休刑事 (諸事情により育休延長中) 」

任意聴取に同行?息子がやっと寝たところですが?育休延長中の秋月刑事が相談されたのは、ある医院で起きた窃盗事件。容疑者は以前そこで働いていた女性というが、彼女には「生後10ヶ月の子供を放置できない」という厳然たるアリバイがあった。ワンオペ育児の「不可能」が事件解決を阻む一方、秋月自身も密かに実績をあげて捜査一課に戻れるかが気にかかり…。私生活と仕事のバランスに悩むすべての人に贈る、本格ミステリ。

「憧れの作家は人間じゃありませんでした4」

編集者の瀬名あさひが担当するのは吸血鬼作家・御崎禅。御崎は警視庁異質事件捜査係の協力者として人外事件に関わるが、危険な目にばかり遭い、あさひは気が気でない。そんなある日、御崎禅に自らの血を与え、彼を吸血鬼にした『母』がアメリカから来日する。なぜか彼女の観光に付き合わされるあさひだが、やがて御崎が吸血鬼になった経緯と『母』が背負う罪を知ることにー。運命の歯車が『輪舞曲』を紡ぐ、感動の完結巻!

「なごり雪」

「なごり雪に願い事をすれば叶うって、小学生の頃に読んだ本に書いてあったの」トップモデルの海斗に密着取材するため、スイスを訪れたファッションライターの小野寺古都。季節外れのなごり雪が舞うチューリヒで、古都は露悪的に振る舞う海斗の真の姿を探ろうとする。やがて似た者同士の2人は惹かれあうが、幸せも束の間、海斗が交通事故で半身不随となってしまった。死を望む海斗と、生を望む古都。二人の愛の行方は?

「夜道を歩く時、彼女が隣にいる気がしてならない」

零細出版社でアルバイトをしている大学生の米田は、雑務やHPの更新の他に実話怪談の記事の執筆を担当している「怪談ライター」だ。 ある日米田は取材の最中に、乃亜という不思議な、赤い服を着た女性と出会う。 彼女はオカルトマニアで実際に怪談の現場に多数足を運び、科学的に証明できるのかどうかや、再現性がある事象なのかどうかを確かめているのだった。 そして乃亜は怪談の中でも特に「神隠し」について執着しており、自らもいつか異界へと行くことを夢見ていた。 初めはかかわり合いになりたくないと感じていた米田だったが、深夜のオカルトスポット巡りなどのまっとうではないデートを通じて、否応なく距離を縮めていく。 だが彼女には、怪異にまつわる切ない過去があった――。 そして夏休み、米田と乃亜は、奇妙な祭りの風習があるという話を聞いて、後輩の実家がある山奥の土地に赴いたのだが……。

「魔女の原罪」

法律が絶対視される学校生活、魔女の影に怯える大人、血を抜き取られた少女の変死体。 一連の事件の真相と共に、街に隠された秘密が浮かび上がる。 僕(宏哉)と杏梨は、週に3回クリニックで人工透析治療を受けなければならない。そうしないと生命を維持できないからだ。ベッドを並べて透析を受ける時間は暇で、ぼくらは学校の噂話をして時間を潰す。 僕らの通う鏡沢高校には校則がない。ただし、入学式のときに生徒手帳とともに分厚い六法を受け取る。校内のいたるところには監視カメラが設置されてもいる。 髪色も服装も自由だし、タピオカミルクティーを持ち込んだって誰にも何も言われない。すべてが個人の自由だけれども、〝法律〟だけは犯してはいけないのだ。 一見奇妙に見えるかもしれないが、僕らにとってはいたって普通のことだ。しかし、ある変死事件をきっかけに、鏡沢高校、そして僕らが住む街の秘密が暴かれていく――。 『法廷遊戯』が映画化され注目を集める現役弁護士作家の特殊設定リーガルミステリー。

「WALL」

この巨大な壁は何? 人々を消失させる恐怖のWALLから逃げられるのか? 202X年のある夏の日、シコタン島(色丹島)の墓地で祈りを捧げていた ロシア人老夫婦が、丘の上から半透明のヴェールが近づいていることに気づく。不思議に思った二人が手をつないだままその壁に触れたとき、彼らの腕は「消去」した――。触れた人間の肉体のみが消去される「ウォール」と名付けられたこの巨大な壁は、1日に20km程度という遅さながら、やがて北海道に上陸、本州も射程に、徐々に西へと、人々を飲み込んでいく。本土上陸から首都圏到達まで1か月ほどしか猶予はない。真実とデマが入り混じりながら拡散され、日本はパニックに包まれていく。「ウォール」が暗示するものは、人類をな洛に突き落とす自然災害や疫病であり、経済格差によって人々を「分断」するものであり、無慈悲な「神の制裁」であり、極めて「平等な存在」である。唐突に出現したこの得体のしれない凶器に、人間は科学と人智をもって対峙しなくてはいけない。善悪を問わず本性をむき出しにする人間たちをあざ笑うかのような「WALL」。果たして結末は――。著者渾身の書き下ろし。一気読みのパニックSFミステリー。

「人獣細工」

遺伝子操作によって誕生した人間の臓器、四肢、眼球などを持つ異形のブタたちそのさまざまな器官を異種移植された少女の身も凍る秘密とは。

「ダナエ」

世界的な評価を受ける若き画家・宇佐美の個展で、義父を描いた作品が無残に破壊されるという事件が発生。ナイフで切り裂かれ、硫酸をかけられたその惨状はまるで、同様に破壊された巨匠・レンブラントの「ダナエ」に酷似していた。脅迫電話をかけてきた容疑者は少女で、これは予行演習であると告げる。宇佐美は、妻が前の夫のもとに残してきた一人娘が容疑者ではないかと推測するが……。犯行は義父への恨みによるものなのだろうか?(「ダナエ」) 不世出の偉才・藤原伊織による、珠玉の短編集。

「カンブリアⅢ 無化の章-警視庁「背理犯罪」捜査係」

都知事選候補者殺害は“能力者”によるものだった。実行犯と目される伊沢は、過去に起こった凄惨な殺人事件の真犯人とも考えられる。尾島、閑谷ら特殊八係は伊沢の所在を追うが、現行法で裁けないことや社会への影響を恐れた警察庁が、“能力者”の逮捕を禁じてしまう。超常現象のような犯罪に対し、警察は、尾島たちは何ができるのか!?

「真相崩壊」

元 気象庁予報官が描く自然災害ミステリ!台風による豪雨で土砂災害が発生し、ひとつのニュータウンが消失した。復旧現場から発見された一家四人の惨殺遺体。防災ジャーナリスト名取陽一郎が現場に立ったとき、真実への扉が開かれる――!

「世界一くだらない謎を解く探偵のまったり事件簿」

東京の出版社で編集をしていた櫻井は、今までの日常から遠く離れた場所――徳島を訪れた。 彼女は、元刑事の阿久井が営む一日おひとりさま限定の宿、秘境温泉『かくれが』に宿泊予約をしていたが――その宿に泊る条件は『世界一くだらない謎』を用意することだった!?  他人にとっては取るに足らない、くだらない謎……しかし、その謎の真相には宿泊客の秘められた想いが隠れている。 宿を訪れる人たちが持ち込む謎を宿の店主・阿久井が鮮やかに解き明かしていくライトミステリー。

「コロナ漂流録」

未知のウイルスは世の中を恐怖に陥れただけでなく、腐敗した政治をも露わにした――。2022年6月――東城大学医学部附属病院では、学長の高階が学長室を退去、子飼いの田口と部屋の交換を提案する。そんな黎明棟でホスピス病棟とコロナ病棟の責任者を兼務している田口に、新任の中堅医師・知覧が叛旗を翻し、独立を宣言。この問題を解決するため、田口は禁断の一手、厚生労働省の火喰い鳥・白鳥圭輔を東城大に召喚した。

「香港警察東京分室」月村了衛

香港国家安全維持法成立以来、日本に流入する犯罪者は増加傾向にある。国際犯罪に対応すべく日本と中国の警察が協力する――インターポールの仲介で締結された「継続的捜査協力に関する覚書」のもと警視庁に設立されたのが「特殊共助係」だ。だが警察内部では各署の厄介者を集め香港側の接待役をさせるものとされ、「香港警察東京分室」と揶揄されていた。メンバーは日本側の水越真希枝警視ら5名、香港側のグレアム・ウォン警司ら5名である。 初の共助事案は香港でデモを扇動、多数の死者を出した上、助手を殺害し日本に逃亡したキャサリン・ユー元教授を逮捕すること。元教授の足跡を追い密輸業者のアジトに潜入すると、そこへ香港系の犯罪グループ・黒指安が襲撃してくる。対立グループとの抗争に巻き込まれつつもユー元教授の捜索を進める分室メンバー。やがて新たな謎が湧き上がる。なぜ穏健派のユー教授はデモを起こしたのか、彼女の周囲で目撃された謎の男とは。疑問は分室設立に隠された真実を手繰り寄せる。そこにあったのは思いもよらぬ国家の謀略だった――。 アクションあり、頭脳戦あり、個性豊かなキャラクターが躍動する警察群像エンタテイメント!

「最後の祈り」薬丸岳

東京に住む保阪宗佑は、娘を暴漢に殺された。妊娠中だった娘を含む四人を惨殺し、死刑判決に「サンキュー」と高笑いした犯人。牧師である宗佑は、受刑者の精神的救済をする教誨師として犯人と対面できないかと模索する。今までは人を救うために祈ってきたのに、犯人を地獄へ突き落としたい。煩悶する宗佑と、罪の意識のかけらもない犯人。死刑執行の日が迫るなか、二人の対話が始まる。

「連鎖」

不倫相手を殺した人妻しずかの弁護を引き受けた鶴見。殺人を認めながら、不倫を否定するしずかの真意に迫るが……。書き下ろし長編ミステリー。

「鉞ばばあと孫娘貸金始末」

金貸の鉞ばばあお絹から金を借りた商家の主が首を括って死んだ。孫娘のお鈴は、残された妻子のため、真相を……。大江戸事件帖。新シリーズスタート!

「かなしきデブ猫ちゃん マルの秘密の泉」

1年前、外の世界を見ようと家を飛び出し、愛媛中を旅した伝説のデブ猫・マル。今度は飼い主のアンナ、そして恋人のマドンナの病を治すため、再び愛媛を巡る旅に出たー。万病に効く水を求めて、“伊予の小京都”と呼ばれる城下町の大洲市から西日本の最高峰、石鎚山まで。マルは無事にアンナやマドンナを救うことができるのか!?あのデブ猫ちゃんが帰ってきた!待望の愛媛編第2弾。

「陽炎の闇-オッドアイ」

米海軍空母内で殺人事件が発生! 最強の捜査機関「特別強行捜査局」は、見えない敵に辿り着けるか。人気シリーズ第10弾!

「隣はシリアルキラー」

ぎりっ、ぎりっ。ぐし、ぐし。ざああああっー。深夜2:20、神足友哉は、今日もアパートの隣室から聞こえてくる不気味な物音で起こされた。ふと、隣人の徐浩然が死体を解体する姿を妄想するが、近所で遺体の一部が発見されたことで現実味を帯びる。気になった彼は、真夜中に部屋から出た徐を尾行すると、想像を絶する恐ろしい展開に。五感から震え上がるような体験を提供するホラーミステリー。

「ぼんぼん彩句」

17音の奥に潜む誰も知らない物語。社会派、時代、ホラー、SF…ジャンルを超えて様々なストーリーを紡いできた宮部文学の新しい挑戦!繊細で彩り豊かに輝く12編の宝石。

「それでも旅に出るカフェ」

独身一人暮らしの瑛子にとって、元同僚の円が切り盛りする「カフェ・ルーズ」はすっかりなくてはならない存在になった。コロナ禍によって営業方法を変えるといった困難を強いられていたのはカフェ・ルーズだけでなく、瑛子の周りもそうだった。同僚や店に訪れる客は皆、何かを抱えていて…。ロシアの「リャージェンカ」や中国の「湯圓」、インドの「クルフィ」など、読めば食べたくなるスイーツが甘くない事情を解決していく。大好評コージーミステリ第二弾!読めば旅に出られる“おいしい”連作短編集。

「ホワイトデス」

原因不明の漁師の失踪が、始まりだった。巨大なホホジロザメが目撃されるようになっても、一時的に迷い込んだだけだろうと誰もが考えた。しかし彼らは、いつまで立っても外海に去ることはなかった。事態は悪化の一途を辿る……。追い出せないのか。駆除するしか、ないのか。そもそも、そんなことはできるのか!? 平和な海を取り戻すべく、決死の掃討作戦が始まろうとしていた……。圧巻のスケールで放つ海洋パニックエンタテインメント!

「松本・江の島殺人事件」

上高地の横尾山荘に宿泊中の女が失踪した。翌朝、同じ山荘近辺でテント泊をしていた男が刺殺体で発見される。二つの事件に関連性はあるのか? 松本署の道原伝吉は複数の可能性を視野に入れ、捜査を開始する。その最中、女の交際相手の男の下へ赴くが、直後に蒸発。時を同じくして、七里ヶ浜でその男に関係する者が殺された。不気味に連なり続ける事件を食い止めるため、道原は江の島に向かうが……。凶事の真相に刑事・道原が鋭く迫る!

「話を戻そう」

幕末の佐賀藩を舞台に、からくり儀右衛門の孫が冴えわたる機智で怪異に挑むが……話は横道に逸れまくり、なかなかストーリーが進まない!? 膨大な情報量で挿し込まれる史実に話は脱線を繰り返し、ついにはストーリーをも凌駕する! 脱線の先に隠された○○とは? 著者初の偏愛歴史ミステリー。

「灰色の家」

常駐看護師の冬木栗子が勤める老人ホーム「山南涼水園」で、男性入居者が滝壺に飛び込んだ。彼は溌溂と過ごしていたはずなのに……。自責の念に駆られた栗子が調べ始めると、遺産問題、派閥争い、横恋慕……と、施設内部を蝕む黒い秘密が露わになっていく。そして、彼女がいよいよ不安を募らせた矢先、さらなる入居者の“自殺”が発生してしまい――。高級老人ホームを内側から蝕む「闇」とは? “連鎖自殺”の果てに辿りつく結末は驚愕必至。

「黒蝶貝のピアス」

社会人生活に疲労や疑問を感じ転職活動をする環は、小さなデザイン事務所の求人に惹かれるものがあり応募する。面接当日、そこにいた社長は、かつて憧れた地元のアイドルユニットで一番輝いていた、あの人だった――。アイドルを辞め会社を興した久里子と、アイドル時代の彼女に憧れて芸能界を夢見ていた環は、互いに距離を探りながら、それぞれの過去やコンプレックスを見つめ直してゆく。年齢や立場を越えた先にある”絆”を描く、魂を揺さぶる物語。

「オール・ノット」

友達もいない、恋人もいない、将来の希望なんてもっとない。 貧困にあえぐ苦学生の真央が出会ったのは、かつて栄華を誇った山戸家の生き残り・四葉。 「ちゃんとした人にはたった一回の失敗も許されないなんて、そんなのおかしい」 彼女に託された一つの宝石箱が、真央の人生を変えていく。 「大丈夫だよ。オール・ノットの真珠にすれば。あんたみたいながさつな子も。これは絶対に切れない、そういうつなぎ方をしているんだよ」 「え、オール・ノットって、全部ダメだって意味じゃなかったっけ?」 「全部ダメって意味もあるけど、全部ダメってわけでもない、っていう意味もあるんだよ。そうだよ。全部ダメってわけじゃないんだよ。なにごとも」

「そしてあなたも騙される」

夫のDVから逃れ、7歳の娘を育てるシングルマザーの貴代に届いた、滞納家賃の督促状。仕事もなく、財布の中は小銭だけ。強制退去まで、あと10日!? 親戚にも街金にも借金を断られ、追い詰められた彼女がすがったのは、SNS上で客を集める個人間融資の「ソフト闇金」だった。 やけに親切に借金返済を猶予し、子育てなどプライベートな相談にも乗ってくれる、「未奈美」と名乗る見知らぬ貸主。その優しさとは裏腹に、貴代の借金は雪だるま式に増えていく。 いったい「未奈美」とは何者なのか? ひとたびネットの暗闇を彷徨えば、二度と元には戻れない……。

「27000冊ガーデン」

星川駒子は県立高校の図書館に勤める学校司書だ。たまたま居合わせた出入りの書店員・針谷敬斗と共に、生徒が巻き込まれた事件の解決に一役買う。 そんな二人のもとには、ディスプレイ荒らしや小口ずらり事件など、図書館や本にまつわる謎が次々と持ち込まれる!? 学校図書館を舞台にすべての本好きに贈る、心あたたまるミステリー。

「私雨邸の殺人に関する各人の視点」

嵐の私雨邸に取り残された11人の男女。 資産家のオーナーは密室で刺殺され、世にも珍しい〈探偵不在〉のクローズド・サークルが始まる。 館に集ったのは怪しい人物ばかり。いったい誰が犯人を当てるのか。各人の視点からなされる推理の先に、思わぬ悲劇が待っている。

「敵前の森で」

「あなたには、捕虜の処刑および民間人に対する虐待の容疑がかけられています」戦後まもなく、インパール作戦の日本人指揮官にかけられた嫌疑。 偽りを述べたら殺すと言い放ち、腹を探るような問いを続ける英人大尉。北原はしだいに違和感を覚える。 この尋問には別の目的があるのではないか? 戦場の「真実」を炙り出してゆく傑作長編。

「カンヴァスの恋人たち」

私は、幸せになるために芸術をやるんです。 碧波市の美術館に勤める学芸員の貴山史絵は、80歳の女性画家、ヨシダカヲルの展覧会を担当することになる。ヨシダは美術業界から一線を退いたあと、山奥のアトリエでひとり絵を書き続けていた。担当になった史絵は、東京で働く恋人との将来や、職場での人間関係、学芸員としてのキャリアに悩んでいた。今ではほとんど無名と言っても良いヨシダの展覧会開催に疑問を抱く史絵だったが、ヨシダとの交流を重ねるうちに、その不思議な魅力と、ひとり筆をにぎりつづける生き方に魅了され、自身も次第に変わり始める。 展覧会の準備に奮闘する一方で、史絵はヨシダの過去が気掛かりだった。一時は戦後の女性画家として名を上げていたにもかかわらず、なぜ表舞台から消えてしまったのか。ふたたび絵を描き始めるまでの空白の10年間に何があったのか。ふたりが心を通わせたとき、ヨシダが語るのは、秘められた愛についてだった――。

「2020 ザ・ベストミステリーズ」

短編ミステリー界の「日本代表」、ここに集結! 第73回日本推理作家協会賞短編部門受賞作 矢樹 純『夫の骨』も収録! プロの読み手たちが驚愕、興奮、大絶賛! 厳格な選考を勝ち抜いた珠玉の傑作のみを豪華収録。 極上の読書体験を約束する“唯一無二”のアンソロジー! 2019年に発表されたあらゆる短篇推理小説の中から、日本推理作家協会の厳格な選考を通過した珠玉の傑作だけを豪華厳選収録。新鋭からベテランまでキャリアに関係なく、「とにかく面白くて優れた」短篇のみを集めました。

「ちょっと奇妙な怖い話」

私の名は進木独行。五年以上前にデビューしたホラー系作家である。本書では、私自身がこれまでの人生で体験してきた奇妙な出来事を元にして、つらつらと話をつづっている。もちろん見聞きしたことも含まれている。本書で楽しむべき肝は、本筋の「奇妙」のみならず、寄り道した部分にも含まれている。実体験をそのまま描いたものもあるが、本書は創作か実体験か判別しづらいことがウリでもある。──さて、今回の第1話は私が中学1年生のときに訪れた石垣島での体験の話。「星の砂」で有名な白い砂浜で海水浴を楽しんだ帰り、世にも奇妙な海の生きものに遭遇したのだった……。

「君が見たのは誰の夢? Whose Dream Did You See?」

ドイツで受けた精密検査でロジに不具合が見つかった。詳しく 調べるため、グアトと共に日本へ帰国。情報局本部に近い病院へ 入院した。そのロジの診断データが、外部に漏洩しているという。 ロジは、まったく未知の新種ウィルスに感染している可能性が あり、何者かがその情報を探っていると思われた。ロジを心配して 病院へ向かうグアトは、そこでロジの姉と称する女性と出会うが。

「エンドロール」

202X年。新型コロナウイルスのせいで不利益を被った若者たちの間で自殺が急増する。自殺者の中には死ぬ前に自伝を国会図書館に納本するという手間をかけている者がいた。その数200人。共通するのは陰橋冬という自殺をした哲学者の最後の著書と自伝を模倣するということ。 早世したベストセラー作家・雨宮桜倉を姉に持つ雨宮葉は、姉が生前陰橋と交流があり、社会状況の変化から遺作が自殺をする若者を肯定しているという受け止められ方をしてしまったという思いから、自殺を阻止しようとするが……。

「夢魔の牢獄」

教師の田附悠成は、過去へ遡って友人たちに憑依するという特異能力を持つ。 だが誰に憑くかは選べない。確実なのは、恩師の義理の息子が殺された22年前に戻ってしまうことだけ。 身をもって体験する友人たちや被害者の不可解な行動、そして隠された女の死。 迷宮入り殺人事件の“あの日”を繰り返す田附が辿り着いた驚愕の真相とは?

「法廷遊戯」

法曹の道を目指してロースクールに通う、久我清義(くがきよよし)と織本美鈴(おりもとみれい)。 二人の“過去”を告発する差出人不明の手紙をきっかけに、 彼らの周辺で不可解な事件が続く。 清義が相談を持ち掛けたのは、 異端の天才ロースクール生・結城馨(ゆうきかおる)。 真相を追う三人だったが、それぞれの道は思わぬ方向に分岐して――? 2020年5月、エンタメ界に激震をもたらす長編法廷ミステリー! 

「街とその不確かな壁」

十七歳と十六歳の夏の夕暮れ……川面を風が静かに吹き抜けていく。彼女の細い指は、私の指に何かをこっそり語りかける。何か大事な、言葉にはできないことを――高い壁と望楼、図書館の暗闇、きみの面影。自分の居場所はいったいどこにあるのだろう。<古い夢>が奥まった書庫でひもとかれ、呼び覚まされるように、封印された「物語」が静かに動き出す。

「おぅねぇすてぃ <新装版>」

文明開化に沸く明治5年。突然の再会が若い男女の運命を変えた。 英語通詞を目標に函館の商社で働く雨竜千吉。横浜で米国人妻となっていたお順。幼馴染みの二人が、しまいこんでいた気持ちを開くのに時間はいらなかった。しかし、密会はあえなく露見した。やがて、お順は離婚を懇願するが、すれ違いながらも千吉に真実の恋を貫く妻に、夫はある条件を付けた――。

「トラップ・ハンター 憑依作家 雨宮縁」

憑依作家・雨宮縁の担当編集者真壁は、戦慄した。共に社を出て家路についた同期入社の森山が殺害された直後、縁を熱烈に支持する書店員が命を奪われたのだ。遺体の顔面にはスマイルマークと思しき傷が残されていた。自分も狙われるのではと怯える真壁だったが、縁の怒りは頂点に達していた。またしても帝王アカデミーの犯行なのか? 縁は自身を餌に罠を張るが――。

「有栖川有栖選 必読! Selection10 アリバイの唄 夜明日出夫の事件簿」

タクシードライバー・夜明日出夫。ある晩乗せたカップルの女が三週間後に殺害され……前代未聞の大トリックを暴く!

「孤独なき地―K・S・P」

新署長赴任の朝。署の正面玄関前で、容疑者を連行中の刑事が雑居ビルから狙撃された。目の前で事件に遭遇した歌舞伎町特別分署の沖幹次郎刑事は射殺犯を追う。銃撃戦の末、犯人のひとりを仕留めるが、残るひとりは逃亡した。金を生む街、新宿歌舞伎町で暴力組織が抗争を開始したのだ。息も吐かせぬ展開と哀切のラストシーン。最高の長篇警察小説。

「若きウェルテルの怪死」

編集者の私は、知り合った金谷という老人から、推理小説になるかも知れないと日記を預かる。―金谷が旧制二高生だった昭和九年、師事する考古学者・大平の家で友人の堀分が変死した。同じ頃、大平邸から考古学資料として重要な人間の化石骨が盗まれていた。そして堀分がメンバーであつた非合法組織・東北反戦同盟を名乗る犯人から、化石骨と引換えに二千円の要求が…。長篇ミステリー。

「Jミステリー2023 SPRING」

なぜ、ミステリーはこれほどまでに魅力的なのか。その答えがここにあります。 東野圭吾、近藤史恵、真梨幸子、白井智之、阿津川辰海、結城真一郎。 名手たちの見逃せない新作書下ろしを収録! 唯一無二のアンソロジー、待望の第三弾。

「斬新 THE どんでん返し」

人気作家が、最後の最後で物語の景色を一変させる「どんでん返し」をテーマに描くミステリーアンソロジー。驚き5連発の小旅行をお楽しみください。

「人狼サバイバル 暗中模索! 小学校の人狼ゲーム」

赤村ハヤトは怒っている。伯爵という謎の人物に、命がけの人狼ゲームをたびたび強いられ、本当に命を落とすこともあった。今回もある小学校に、参加者が集められた。ルールは簡単だ――「狼が隠した心臓を見つければ、勝利となる」。 村人陣営は知恵をしぼり、狼への質問と投票で、答えを導き出そうとするが、そこには予想外の落とし穴が――!!

「夜空に浮かぶ欠けた月たち」

東京の片隅、小さな二階建ての一軒家。庭に季節のハーブが植えられているここは、精神科医の夫・旬とカウンセラーの妻・さおりが営む「椎木(しいのき)メンタルクリニック」。キラキラした同級生に馴染めず学校に行けなくなってしまった女子大生、忘れっぽくて約束や締め切りを守れず苦しむサラリーマン、いつも重たい恋愛しかできない女性会社員、不妊治療を経て授かった娘をかわいいと思えない母親……。夫妻はさまざまな悩みを持つ患者にそっと寄り添い、支えていく。だが、夫妻にもある悲しい過去があって……。

「警視庁暴力班」

都内で起きた連続猟奇殺人事件を調べる捜査一課は、在日米軍の介入を理由に捜査中断を言い渡される。唯一、継続捜査を許されたのは、左遷されたキャリア・北森が率いられる暴力班だった。日米間の思惑を意に介さず、常識外れの奴らがホシを追う!

「30ページでループする。そして君を死の運命から救う。」

「30ページをループするんだ。悲劇を変えるまで何度も!」 ペンギンの着ぐるみをまとった少女・時湖が俺に告げたのは悲劇を巻き起こす〈怪物〉との戦い、熾烈な“シナリオバトル”の始まりだった。 八月七日、名古屋。夏祭り会場で銃撃事件が発生し、行方不明の初恋相手とおぼしき少女が撃ち殺された悲劇をきっかけに、俺は再び八月七日の朝に目覚めていた。“30ページ分しか行動できない”という制約、そして次々と浮かび上がる事件にまつわる謎。ループの中では無数の困難が俺たちを待ち構える。俺と時湖は協力して〈怪物〉に立ち向かうことにするが、着ぐるみを脱いだ彼女の素顔はまさかの…… 。 30ページで悲劇を書き換えられるか。今、運命の二人が試練に挑む。

「#刑事の娘は何してる?」

コメンテーターや情報番組MCが唇を削がれ十指を切断される連続殺人。被害者の共通点はこの国の「老害」を糾弾していたのだが

「毒蜜 冷血同盟」

裏社会専門の始末屋・多門剛は私鉄の踏切で女子学生の名取琴美を救い出す。琴美は有名製菓会社社長令嬢だが、窃盗症(クレプトマニア)をネタにスーパーの万引きGメン・草野から百万円を恐喝されていた。さっそく制裁の鉄拳を加える多門だが、弱みに付け込む草野は琴美に宝石店で盗みを働かせようと再び脅しをかける。彼の背後には恐るべき野望を抱く犯罪集団が!

「レモンと殺人鬼」

十年前、洋食屋を営んでいた父親が通り魔に殺されて以来、母親も失踪、それぞれ別の親戚に引き取られ、不遇をかこつ日々を送っていた小林姉妹。 しかし、妹の妃奈が遺体で発見されたことから、運命の輪は再び回りだす。 被害者であるはずの妃奈に、生前保険金殺人を行なっていたのではないかという疑惑がかけられるなか、 妹の潔白を信じる姉の美桜は、その疑いを晴らすべく行動を開始する。

「ホワイ・ダニット 行動心理捜査官・楯岡絵麻」

人気カップルYouTuberとストーカー、犯行時の記憶を失ったカリスマホスト、天才子役の母親の転落死……。 相手のしぐさから噓を見破る敏腕美人刑事・楯岡絵麻が、お馴染みの捜査一課のメンバーとともに数々の難事件に挑む!

「京都怪異物件の謎 桜咲准教授の災害伝承講義」

地名や伝承から、その土地で過去にあった事件や未来に起こりうる災害を推測する「災害伝承」研究の第一人者・桜咲竜司。 出張で京都を訪れた彼は、不動産鑑定士である姉・椎名からの依頼で、奇妙な土地の調査をすることになる。 行方不明者が帰ってくる“神戻し”の伝承が残る産婦人科医院。 過疎化したニュータウンに残された、怨霊を祀る天満宮。 その地に伝わる怪異の真相を桜咲が解き明かす!

「検察特捜 レディライオン」

仮装行列でにぎわうハロウィンの夜。横浜本牧の覚醒剤取引を急襲した麻薬取締官6名を含む10人が短機関銃で殺戮される。 麻薬Gメン急襲部隊が虐殺された裏には北朝鮮ルートの影が? 凶器の供給源はまさかの自衛隊なのか!? 国家安全保障局(NSS)に加わった東京地検特捜部の女性検事が、神奈川県警とタッグを組み、麻薬ルート撲滅のため、謀略渦巻く港町を駆けめぐる。だが、巨悪の魔手は岩崎の幼い娘にも迫ろうとしていた。 最後に彼女がたどり着いた恐るべき真相とは!?

「はるか、ブレーメン」

小川春香、16歳。3歳で母に捨てられた彼女は、育ての親である祖母も亡くし、正真正銘のひとりぼっちだ。そんな彼女が出会ったのが走馬灯を描く旅をアテンドする〈ブレーメン・ツアーズ〉。お調子者の幼馴染、ナンユウととも手伝うことに。認知症を患った老婦人が、息子に絶対に言えなかった秘密。ナンユウの父が秘めていた、早世した息子への思い。様々な思い出を見た彼女は。人の記憶の奥深さを知る。そんな折、顔も覚えていない母から「会いたい」と連絡が来るのだが……。

「わたしの結び目」

転校生の里香は、クラスで浮いていた彩名と仲良くなるが、徐々に彼女の束縛がエスカレートする。彩名の親友が事故死したことを知った里香が死の真相を探るうち、「あの子を殺したのはわたしなんだ」と彩名に告白される。それを境に、持ち物がなくなったり、机に花瓶が置かれたり、不穏な出来事が里香に続く。「あの子の時と同じだ」と噂するクラスメイトたち。なぜ彩名は里香を追い詰めるのだろうか――。

「いのちの十字路」

医師国家試験に合格し、野呂は金沢のまほろば診療所に戻ってきた。娘の手を借りず一人で人生を全うしたい母。母の介護と仕事の両立に苦しむ一人息子。末期癌の技能実習生。妻の認知症を受け入れられない夫。体が不自由な母の世話をする中二女子。……それぞれの家庭の事情に寄り添おうとするけれど、不甲斐ない思いをするばかりの野呂には、介護していた祖母を最後に“見放してしまった”という後悔があった。

「駒場の七つの迷宮」

東大駒場キャンパスには七つの迷宮がある。その全てに足を踏み入れたとき、明らかになる真相とは!?新興宗教サークル『思索と超越研究会』に所属する東大生・葛城陵治は、朝の勧誘活動中に不思議な女性と出会う。彼女・鈴葦素亜羅はいくつもの宗教をかけもちして天才的な勧誘活動を行なう、人呼んで〈勧誘女王〉だった。彼女の独特な考え方に戸惑いつつ惹かれる葛城。やがて素亜羅も入会した葛城たちのサークルは、駒場寮での死体発見に始まる奇怪な事件の連鎖に遭遇する!新本格推理の雄・小森健太朗が母校・東京大学を舞台に巻き起こす怪事件。この迷宮に、出口はあるのか。

「魔女のいる珈琲店と4分33秒のタイムトラベル」

過去に戻って、後悔の瞬間をやり直せたら――。札幌の珈琲店を舞台に、〝時を渡す〟店主と少女が織り成すほろ苦くも温かい物語。