2023年9月の 国内ミステリー ベスト5

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 国内ミステリー を書きます。

書店は本との出会いの場。しかし、新刊や旧作、ベストセラーと並んだ中からどんな作品を選んだらよいか悩む人も多いのではないでしょうか。

おすすめ国内ミステリーを月別にご紹介します。

2023年9月発行の国内ミステリー

2023年9月に発売された国内ミステリー小説をご紹介します。

  • 「あなたが誰かを殺した」東野圭吾
  • 「鵼の碑」京極夏彦
  • 「存在のすべてを」塩田武士
  • 「楽園の犬」岩井圭也
  • 「777 トリプルセブン」伊坂幸太郎

さてこの三冊は年間ベストに入るでしょうか。

「可哀想な蠅」

目障りなハエを消していけば、世界は今より美しくなるのだろうか。 近所で目撃した光景をツイートしたのをきっかけに絡んでくるようになった、粘着質なアカウント。芽衣子は、誰からも相手にされない可哀想な彼を、スマホの中で「飼う」ことに決めるが……。 SNSで、会社で、家の中で。どこからか湧いてくる、哀れな人たち。蓋をしてしまいたい感情。日常の裏で誰もが「見て見ぬふり」をしているものを突き付ける、うっすらとブラックな短篇集。

「ミドルノート」

2023年09月29日 ミドルノート

ひと振りの香水で 明日のわたし、もっと輝く! ベストセラー『翼の翼』『君たちは今が世界』で大躍進の著者がすべての女性に贈るエール。 食品会社同期でワーキングマザーの菜々と愛美。アロマデザイナーに転身した元同期の麻衣。菜々たちと同い歳の派遣社員・彩子。働くスタイルや活躍の場が異なる四人のアラサー女性は、新型肺炎が蔓延し、混沌とした時代の波に揉まれ、変化を余儀なくされる。焦りや不安、重圧のなかで、彼女たちが拠りどころにしたものとは!? 「香水は、使われている成分の揮発性に細かい差があり、時間とともに香り方が変化してゆく。肌につけた時、最初の数分の香りをトップノートというそうで、次にくるのがミドルノート、その先にラストノートと呼ばれる香りがあって、最後の香りがずっと続く(中略)とはいえ、ミドルノートも、ラストノートの手前の大事な香りです。強く香ることも多いので、やっぱりミドルノートがその香水の中心っていうか、わたしはミドルノートを基準に香水を選ぶことが多いかなって感じがします。」(本文より) 社会人同期として、同じスタート地点(トップノート)から歩み始めたのに、結婚、出産、昇進、転職など、それぞれが別々の道を進んでいる――人生の「ミドルノート」で試行錯誤する女性たちは、この先どこへ向かうのか。

「実話奇譚 狂骨」

「遺体を焼かずにその辺りの地面に埋めて…」 住宅地で次々に起こる凶事の因果、実在する忌み地の恐怖!! (「狂骨」より) 体験者の生々しい恐怖を再現する川奈怪談、最新刊! 怪談師としても活躍する川奈まり子の最新作は、呪いと因果に絡めとられた恐怖が満ちる奇譚の数々! ・店の常連と出来心でラブホテルへ行った男性を襲う女の情念が起こす怪異「恋慕の淵」 ・幼い頃に亡くなった友だちが箪笥に乗って現れたら…男の奇妙な告白「箪笥の友だち」 ・幽霊画に魅入られた者の悲劇と恐怖の結末「幽霊画の祟り」 ・怪死事件が相次ぐ神奈川県某所の住宅地――そこは地主一族が墓地を宅地造成した場所だった。改葬されずに埋もれたままの人骨の上に何も知らずに暮らす人々、そして秘密を知る少女を襲う恐怖を描く表題作「狂骨」 ――など怒涛の30話を収録。

「間の悪いスフレ」

コロナ禍で厳しい日々の続く飲食店業界。〈パ・マル〉でも、テイクアウト・メニューを考えたり、料理教室を始めたり……。そんな中でも、料理教室で起きたトラブル、ひとりでテイクアウトを買いにくる男子中学生の事情、自身のレストランにスタッフが定着しないのはなぜかと嘆く他店のシェフ等々、名探偵シェフ三舟のまわりには解くべき謎がいっぱい。待望のシリーズ第4巻。

「あの魔女を殺せ」

グロテスクな人形作りで、世界中からファンを集める常世三姉妹。その新作発表の場に立ち会うことになったフリーライター・麻生真哉は、娘とともに群馬の山中にある館に向かう。奇妙ながらも心惹かれる人形の発表の晩、三姉妹の長女が殺害される。現場はほぼ密室。残された姉妹は、犯人に心当たりがあるようだが……。魔術を伝承した姉妹たちを襲う殺人者は何者なのか? 『名探偵の証明』の市川哲也が贈る、新境地の長編ミステリ。

「エレファントヘッド」

本格ミステリ大賞受賞の鬼才が仕掛ける、空前絶後の推理迷宮。 精神科医の象山は家族を愛している。だが彼は知っていた。どんなに幸せな家族も、たった一つの小さな亀裂から崩壊してしまうことを――。やがて謎の薬を手に入れたことで、彼は人知を超えた殺人事件に巻き込まれていく。 謎もトリックも展開もすべてネタバレ禁止! 前代未聞のストーリー、尋常ならざる伏線の数々。 多重解決ミステリの極限!

「交渉人・遠野麻衣子 ゼロ」

犯罪抑止対策室にいた麻衣子の元に交渉人研修への参加命令がくだる。やがて特殊詐欺の摘発に参加することになり――シリーズ最新作!

「あなたが眠るまでの物語」

余命1ヶ月。天国に近いこの場所で、死を待つ人に、私ができること。 天国に近いこの場所は、今日も命のにおいで満ちていた――。 緩和ケア病棟で看護師をする倉田さんの仕事は、余命宣告をうけた患者さんのケアをし、その最期の時まで寄り添うこと。チームカンファレンス、介助、エンゼルケア。ときに複雑な事情を抱える患者と家族に向き合いながら、いくつもの死を見送ってきた。 この静かな病棟で、ある日起きた幽霊騒ぎ。出所不明の噂は、患者、主治医、新人看護師、配達中の売店スタッフまでを巻き込んで、棟内に波紋を広げていき……。誰にも等しく訪れる〈最後の夜〉を描いた、号泣必至の感動作。

「ミステリ作家 拝島礼一に捧げる模倣殺人」

天才ミステリ作家と週刊誌記者が立ち向かう、おぞましき猟奇事件。 謎に包まれた天才ミステリ作家・拝島礼一の代表作「絵札の騎士」を模倣した連続猟奇殺人事件が発生。 新米週刊誌記者の織乃未希は、唯我独尊な拝島に半ば強引に協力を求められ、秘密裏に事件を調査することになる。 “原作者”としての強みと推理力で事件を紐解いていく二人だったが、模倣犯が仕掛けた狡猾な罠や、世間に渦巻く”正義”という呪いが容赦なく襲い掛かってくる――。 壮絶な頭脳戦の果てに、二人が辿り着く驚愕の真相とは?

「猫弁と狼少女」

累計40万部突破、大人気「猫弁」シリーズ最新作! 冴えない容貌、天才的な頭脳……自分のことは後回しで人の幸せを第一に考える稀代のお人好し弁護士、百瀬太郎。 婚約者である大福亜子と同居中で、幸せをかみしめている。 猫がらみの脅迫事件の依頼を受けて調査中、未成年者略取の疑いをかけられて留置場に! 当番弁護士の、「透明人間」こと沢村透明以外との面会を断り、事件については黙秘を貫く百瀬。 警察から連絡ももらえず蚊帳の外に置かれた亜子は、百瀬を信じ切れるのか。 振り切った亜子がとった行動とは。 沢村透明のもとに武者修行に出ていた縁から一緒に百瀬のために奔走する直は、そのなかで自らの進む道を見つける。 七重と野呂は相変わらずの賑やかさで百瀬を信じ、支え、事務所を守っている。 百瀬は留置場でも法律相談会を開いている。 そして自らの過去を振り返る。 【百瀬太郎】という人間は、どうやって形成されたのかーー「猫弁エピソード0」とも言える作品です。 今まで「猫弁」を読んだことがない人でも大丈夫! 今作からでもお楽しみいただける、そんな優しくあたたかい作品です。

「何年、生きても」

磯貝美佐、39歳。妊活がうまくいかず、母親離れができない優柔不断な夫・要一郎との生活に見切りを付けるべく、家を出た。東京の下町・谷中の六畳一間で、アンティーク着物のネットショップ「蔦や」を一人で切り盛りしている。友人は、恋愛対象が男性の美しき骨董屋、関くんだけだ。 ある日美佐が実家の蔵を整理していると、箪笥に大切に仕舞われた、祖母・咲子のものにしては小さすぎる着物を見つける。そして、抽斗の二重底に隠されていた3冊のノートと、見たことのない美少女が写った古写真も……。 この少女はどこの誰で、咲子とはどのような関係だったのか? ノートを読み始めた美佐はやがて、着物と少女の謎を突き止めた。咲子の生涯を懸けた「思い」を知った美佐は、ある決断をする――。ベストセラー『妻の終活』の著者が贈る、永遠の「愛」の物語。 『花は散っても』改題。

「残像」

不思議な共同生活を送る彼女たちの目的とは。巨悪に迫る衝撃のサスペンス! 浪人生の堀部一平は、バイト先で倒れた葛城を送るため、自宅アパートを訪れた。そこでは、晴子、夏樹、多恵という年代もばらばらな女性3人と小学生の冬馬が、共同生活を送っていた。他人同士の生活を奇妙に感じた一平は冬馬から、女性3人ともに前科があると聞く。一方、政治家の息子・吉井恭一は、度々送られてくる不快な写真に苦悩していた。身を寄せ合う晴子たちの目的、そして水面下で蠢く企ての行方は。衝撃サスペンス!

「怪談狩り 葬儀猫」

怪異蒐集家が厳選して語り継ぐ、本当に怖い怪談実話集。 コロナ禍の町で、異様な格好の男を目撃した主婦の体験が不思 議な「面布」。引っ越したばかりの地で、近所で立て続けに起きた不幸と、その共通点に震撼する「大黒柱」など、日常で遭遇する恐怖に加え、八甲田山雪中行軍遭難事件と千日デパート火災事故という2つの歴史的な事件にまつわる怪異の総括を収録。障りを危惧して伏せていた事実など、今だからこそ書けるエピソードも。実話怪談の先駆者が、土地に刻まれた記憶を語り継ぐ。

「伊桜里 高校事変 劃篇」

ベールに包まれた、最強姉妹の妹―― 優莉匡太の七女・伊桜里は、5歳のときに児童福祉施設から養子として引き取られ、いまは中学生になっていた。優莉家の子供たちの多くはその宿命により過酷な道を歩んできたが、果たして伊桜里は? ベールに包まれた最強姉妹の妹は、暗色に覆われはじめた日本で何を思い生きてきたのか。姉・結衣との出会いによって、運命の歯車が大きく動き出す白熱の大展開! 新しいエピソード満載、人気シリーズ、怒濤のスピンオフ!

「ロミオとサイコ 県警本部捜査第二課」

この二人の刑事から目が離せない。気鋭による書き下ろし警察小説 Q県警本部捜査第二課の刑事・猿渡朗希は、自他ともに認める県警一の色男で、鏡に映る自分に見惚れている。だが、そんな彼の平穏な刑事生活を脅かす存在が現れた。警察庁からキャリアとして着任した課長の神木彩子──サイコだ。猿渡の高校の同級生だった彼女は、十年前と変わらぬ苛烈さを持っていた。彼女を警戒した刑事部長は、猿渡に監視役を命じるが……。汚職まみれの県警に、サイコが旋風 を巻き起こす、書き下ろし長篇。

「遠い唇 北村薫自選 日常の謎作品集」

日常の謎の名手・北村薫による自選集!表題作「遠い唇」のその後とは――? コーヒーの香りで思い出す学生時代。今は亡き、姉のように慕っていた先輩から届いた葉書には、謎めいたアルファベットの羅列があった。(「遠い唇」)/『吾輩は猫である』『走れメロス』……宇宙人カルロロンたちが、地球の名著と人間の不思議を解く?(「解釈」)/辛い時にすがりつきたくなる、大型犬のような同棲中の彼氏。そんな安心感満点の彼の、いつもと違う行動と、浴室にただよう甘い香り。(「パトラッシュ」)/トークショーの相手、日本通のアメリカ人大学教授の他殺死体を目撃した作家・姫宮あゆみ。教授の手が不自然な形をとっていたことが気になった姫宮は、《名探偵》巫弓彦に電話をかける――(「ビスケット」)など、2019年に刊行した全7篇に、「遠い唇」の主人公・寺脇と、『飲めば都』にも登場する女性編集者・瀬戸口まりえが出会う場面を描いた「振り仰ぐ観音図」、そして二人が再会し、句を介して関係が始まっていく様子を描いた「わらいかわせみに話すなよ」の計2篇を加え、ここに完全版として刊行!

「宿罪 二係捜査(1)」

新たな警察小説のシリーズが誕生した!刮目せよ、刑事たちの執念の捜査を! 15年前、ひとりの少女が突如失踪した。彼女の行方を追い続けていた町田署の水谷早苗巡査は病に倒れ、帰らぬ人となった。事件当時、水谷と同僚だった香田警部は、彼女の葬儀に際し、「遺体なき殺人事件」を専任とする警視庁の信楽京介に、再捜査の協力を願い出るのだった。一方、中央新聞の藤瀬祐里は、信楽が秘密裏に追う事件に迫ろうとしていた──。それぞれの想いと信念が、凍り付いた時を再び動かす。書き下ろし警察小説。

「准教授・高槻彰良の推察EX2」

読めば、本編が100倍楽しめる! 推しキャラのエピソード満載の番外編。 その日、高槻が扱ったのは、電話にまつわる都市伝説。 中でも有名な「メリーさんの電話」についての講義が終わったあと、 尚哉は友人の難波から、話があると誘われる。 そして現れたのは、難波の彼女・愛美。 彼女は「なくした人形が、だんだん近づいてくるみたいなの」と言って……。(――「やがてソレはやってくる」) 建築設計事務所を営む遠山宏孝は、尚哉と同じ、嘘を聞き分ける力を持つ。 その力を手に入れてしまった幼い頃から、彼はひとりになった。そんなある日……。 懸命に生きようとする二匹の猫たちと、ひとりぼっちの遠山との出会いが招く、素敵な奇蹟。(――「遠山と猫の話」) 高槻を「特別な友達」だと思っている小学生の智樹。 6年生になり、中学受験で周りがピリピリし始めた頃、彼は不思議な話を聞く。 ある廃工場で工場長が失踪し、なんと異次元に行ってしまったらしい。 「その工場は、今でも異次元とつながったままなんだって」 早速高槻に連絡する智樹だが……。

「緊立ち 警視庁捜査共助課」

カメラアイを武器に群衆から手配犯を捜す刑事と、広域捜査班の刑事。緊急立ち回り情報に立ち向かう二人の女性刑事の喜怒哀楽を描く。

「あなたが誰かを殺した」東野圭吾

閑静な別荘地で起きた連続殺人事件。 愛する家族が奪われたのは偶然か、必然か。 残された人々は真相を知るため「検証会」に集う。 そこに現れたのは、長期休暇中の刑事・加賀恭一郎。 ――私たちを待ち受けていたのは、想像もしない運命だった。

「隣人を疑うなかれ」

連続殺人、かもしれない。 羊の群れに狼が潜んでいるなら、 気づいた誰かがどうにかしなければ、狩りは終わらない――。 自宅マンションに殺人犯が住んでいる?  隣人の失踪をきっかけに不穏な疑念を抱いた主婦の今立晶は、事件ライターの弟とともにマンションの住人たちを調べることに。 死体はない、証拠もない、だけど不安が拭えない。 ある夜、帰宅途中の晶のあとを尾けてきた黒パーカの男は誰なのか? 平凡な日常に生じた一点の黒い染みが、じわじわと広がって心をかき乱す、傑作ミステリー長編。

「でぃすぺる」

小学校最後の夏休みが終わった。小学校卒業まであと半年。
ユースケは、自分のオカルト趣味を壁新聞作りに注ぎ込むため、〝掲示係〟に立候補する。この地味で面倒だと思われている掲示係の人気は低い。これで思う存分怖い話を壁新聞に書ける!……はずだったが、なぜか学級委員長をやると思われたサツキも立候補する。
優等生のサツキが掲示係を選んだ理由は、去年亡くなった従姉のマリ姉にあった。
マリ姉は一年前の奥神祭りの前日、グラウンドの真ん中で死んでいた。現場に凶器はなく、うっすらと積もった雪には第一発見者以外の足跡は残されていなかった。つまり、自殺の可能性はなく、マリ姉を殺した犯人が雪が積もる前に凶器を持ち去ったはず。犯人はまだ捕まっていない。
死の謎は『奥郷町の七不思議』に隠されているのか? 三人の〝掲示係〟が挑む小学校生活最後の謎。『屍人荘の殺人』の著者が仕掛けるジュブナイル×オカルト×本格ミステリ。

「あなたに心はありますか?」

AIに心は宿るか。慟哭の社会派ミステリー 東央大工学部特任教授・胡桃沢宙太は、交通事故で家族を失い、自身も半身に瑕疵を負って車椅子生活を余儀なくされている。 彼はAIロボットに心を持たせるべく、盟友の二ツ木教授と産学官共同の巨大研究開発プロジェクトを立ち上げ、世間の耳目を集めていた。 しかし、キックオフイベントとなる講演会でパネリストとして登壇した教授の一人が壇上で倒れ、帰らぬ人となってしまう。 その後、胡桃沢を含む他の三人の教授たちにも殺害予告が届く。標的にされた胡桃沢たちは、AIの軍事利用に激しく異を唱えていた。

「ヒマかっ! Get a Life!」

広島から家出して上京した17歳の桧山光希は、ふとした出会いから足場工事会社「須田SAFETY STEP」の見習い社員になることに。 そこには、見た目はいかついがナイスガイな先輩たちがいて、光希にとっては新鮮な驚きの世界だった。 実は、光希はかつては強い霊感を備えていたが、ある事件がきっかけでその能力を失っていた。 だが、先輩の頭島が一緒にいるときだけ再び“見える”ことに気づく。 かくして、光希と頭島、さらにはもう一人の先輩である奥を加えた3人による幽霊退治が始まる――。

「好きです、死んでください」

無人島のコテージに滞在する男女の恋模様を放送する、恋愛リアリティーショー「クローズド・カップル」の撮影が始まった。 俳優、小説家、グラビアアイドルなど、様々な業種から集められた出演者は交流を深めていくが、撮影期間中に出演者である人気女優・松浦花火が死体となって見つかった。 事件現場の部屋は密室状態で、本土と隔絶された島にいたのは出演者とスタッフをあわせて八人のみ。一体誰がどうやって殺したのか? そして彼女の死は、新たな惨劇を生み出して――。 恐るべき事件の〈真犯人〉は誰なのか? 衝撃のラストが待ち受ける孤島ミステリ!

「777 トリプルセブン」伊坂幸太郎

殺し屋シリーズ最新作。世界で最も不運な殺し屋、ふたたび!! あの世界で一番不運な殺し屋が、また騒動に巻き込まれる――。『マリアビートル』では新幹線から降りられなかったが、今度は東京の超高級ホテルから出られない……!? 

「午後のチャイムが鳴るまでは」

こいつら、最高すぎる……! 昼休みの“完全犯罪”にご用心!? 本格ミステリ大賞受賞作家の最高到達点! 九十九ヶ丘高校のある日の昼休み、2年の男子ふたりが体育館裏のフェンスに空いた穴から密かに学校を脱け出した。タイムリミットは65分、奴らのミッションは達成なるか(第1話「RUN! ラーメン RUN!」)。文化祭で販売する部誌の校了に追いつめられた文芸部員たち。肝心の表紙イラストレーターが行方不明になり、昼休みの校内を大捜索するが――(第2話「いつになったら入稿完了?」)。 他人から見れば馬鹿らしいことに青春を捧げる高校生たちの群像劇と、超絶技巧のトリックが見事に融合。稀代の若き俊英が“学校の昼休み”という小宇宙を圧倒的な熱量で描いた、愛すべき傑作学園ミステリ!

「金猫座の男たち」

往年の輝きを失い、休館の危機を迎えた映画館「金猫座」。そこに集まるのは訳ありな人ばかり。 かつて支配人が捨てた恋人の娘がアルバイトを志願したり、父親に頭の上がらない青年が幻覚に襲われていたり、窓口のおばさんの憧れの人が突如訪ねてきたり……。 不器用な生き方しかできない男女のドラマを哀歓たっぷりに描く。

「ロング・ロード 探偵・須賀大河」

私立探偵の須賀は、学生時代の友人で現在はIT社長の春山から12年ぶりに連絡を受け、社内に出回る怪文書の調査を依頼される。春山の秘書やハッカーの友人の協力で犯人に罠を仕掛けるが、事態は思わぬ方向へ……著者のこだわりが詰まった正統派ハードボイルド

「ダ・ヴィンチの翼」

治癒の力をもつ少年コルネーリオが見つけた瀕死の男は、フィレンツェ共和国政府の要人の一人、芸術家ミケランジェロの密偵で、故国を救うために万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチが隠した兵器の設計図を探していた。病弱だが聡明な少女フランチェスカと共に探索の一行に加わったコルネーリオは、敵の追っ手が迫るなか天才の残した手がかりを追う。『ヴェネツィアの陰の末裔』の著者が16世紀イタリアを舞台に描く歴史ファンタジイ。

「ラザロの迷宮」

湖畔にある洋館を友人と一緒に訪れた月島。殺人事件の犯人を当てる、脱出型の謎解きイベントが開催されるという。だが、男女8人の参加者たちが発見したのは、本物の死体だった。一方、所轄の刑事・紗和は、血塗れで保護された男の捜査に駆り出され、本庁の刑事・久賀とコンビに。しかし男は、記憶をすべて失っていた――。二つの事件は次第に繋がり、驚愕の真相が明らかに……。戦慄の最終章に備えよ!次々と覆される推理が、次第に快感になる――中毒必至のサイコ・ミステリ。

「傑作集: 日本ハードボイルド全集7」

〈日本ハードボイルド全集〉最終巻は、一作家一編で厳選したアンソロジー。大坪砂男の探偵作家クラブ賞受賞作「私刑」にはじまり、片岡義男、小泉喜美子、小鷹信光など翻訳者としても功績のある人々の珠玉編、さらには稲見一良のデビュー作「凍土のなかから」や高城高の文庫全集未収録短編「骨の聖母」等の入手困難だった逸品まで全16編を収録。解説として編者三名の書き下ろしによる「日本ハードボイルド史」概説を収め、有終の美を飾る。

「リアル鬼ごっこ ラブデスゲーム」

賞金5億円のゲーム「リアル鬼ごっこ」に当選した、日渡一葉。 超貧乏で家族のためにお金をかせぐ必要があった一葉は、喜んで参加するが、優勝する条件は「鬼に愛されること」だった!! イケメンハイスペック高校生の「鬼」八尋の愛を手に入れるため、集まった20人の美少女たち。制服にスニーカー姿で、まったく場違いな一葉は、いきなり八尋とケンカしてしまい『不合格』と、タッチされそうになるが…。 高級リゾートで美少女たちのデスゲームが始まる。 「リアル鬼ごっこ」初のガールズ部門開催!!

「いまこそガーシュウィン」

アメリカで指折りのピアニスト、エドワードは、大統領選挙の影響で人種差別が激化し、変貌しつつある国を憂い、音楽で何かできないか模索していた。 そこで、3カ月後に予定しているカーネギーホールでのコンサートで、黒人音楽を愛した作曲家、ジョージ・ガーシュウィンの名曲「ラプソディ・イン・ブルー」を弾くことを思い立つ。 しかし、マネージャーがガーシュウィンでは客を呼べないと反対したため、ショパン・コンクール中に演奏で人命を救い、一躍有名になった男、岬洋介との共演を取り付けることにした。 一方、新大統領の暗殺計画を進めていた〈愛国者〉は、依頼主の男から思わ提案をされー一。 音楽の殿堂、カーネギーホールで流れるのは、憎しみ合う血か、感動の涙か。

「望みの薬種 大江戸監察医」

町医者が遙かに及ばぬ医術とめっぽう強い喧嘩技を持つ仁平のもとに難題がふりかかる。 薬酒問屋の和泉屋の主・和兵衛が理由の分からぬ病で、意識不明で寝込んでいたのだ。 仁平も原因を見つけられず、手をこまねいていた。 服用してる薬に何かあるのか? 仁平は文献を読み込み病状を探ると とんでもないことが発覚する。和兵衛に迫る殺意を、仁平は防ぐことが出来るのか? 人気シリーズ第2弾。

「浜村渚の計算ノート 10さつめ ラ・ラ・ラ・ラマヌジャン」

「キューショーサンジュツ? なにそれ?」 数学テロ組織「黒い三悪定規」のメンバーによる、立てこもり事件が発生した。犯人たちは5階建ての図書館に人質を取って立てこもる。彼らが投げかけてきた問題は古代中国の数学。当然、警察官たちの手に負えるものではなく、我らの救世主、数学少女の浜村渚が現場に向かう。数学のラビリンスと化した巨大図書館ビルを浜村渚は攻略できるのか!? その他3編を収録!

「唐国の検屍乙女 水都の紅き花嫁」

検屍から謎を解く! 人生に絶望した少女が破天荒な天才少年とバディを組む、中華×ミステリー×ラブコメ?

「マインド・チェンバー 警視庁心理捜査官」

多摩中央署に、警視庁本部捜査一課から一人の女性刑事が配属されてきた。吉村爽子。彼女は、いまだ経験と勘に基づく捜査手法に重きを置く日本の警察において、異端視されがちな「心理捜査官」だった。 多摩中央署の新たな同僚たちに心を開く様子を見せない吉村だったが、管内で、女性が殺害される事件が発生。犯人は快楽殺人者の可能性がある。新たな被害者を出さないために、懸命の捜査が始まる――。 吉村爽子の悲しき過去。そのトラウマは新たな舞台で克服されるのか。大人気「警視庁心理捜査官」シリーズが講談社文庫に登場。

「鵼の碑」京極夏彦

殺人の記憶を持つ娘に惑わされる作家。 消えた三つの他殺体を追う刑事。 妖光に翻弄される学僧。 失踪者を追い求める探偵。 死者の声を聞くために訪れた女。 そして見え隠れする公安の影。 発掘された古文書の鑑定に駆り出された古書肆は、 縺れ合いキメラの如き様相を示す「化け物の幽霊」を祓えるか。 シリーズ最新作。

「星降る宿の恵みごはん: 山菜料理でデトックスを」

必死で働いてきた会社をリストラされ、立ち直れないでいるまひろは、たまたま見た動画に誘われ、突発的に只見への旅にでた。宿の山菜料理は、優しく、暖かく、落ち込むまひろの心にまでしみこんで来る。この地は子どもの頃に訪れ、ちょっとした思い出があった――。 豊かな自然と美味しい料理が心を癒やし、小さな謎やわだかまりを解きほぐす再生の物語!

「幸せの国殺人事件」

中学一年の薗村海斗は、最近は学校に来なくなってしまっている同級生・桶屋太市、同じく同級生の女子・烏丸未夢と、オンラインゲームを通して交流を深めていた。ある日三人は、廃園になった遊園地≪ハピネスランド≫で撮影されたと思われるある動画を見てしまい、その動画が一体何なのかを突き止めるため、ハピネスランドに侵入することに…。思わぬ方向へ展開していく事件を追いながら、海斗たちは少しずつ真実に近づいていく―。 少年少女たちの瑞々しい感情と友情を描き出す傑作青春ミステリが誕生!

「ミナヅキトウカの思考実験」

水崎大学数学科に通う神前裕人は、ひょんなことから殺人事件の現場に遭遇。被疑者として警察署に連行されてしまう。嫌疑をかけられたままの状態に不安を感じた裕人は、刑事の促しに応じる形で、自身が通う大学の怪異研究会に足を運ぶことに。そこでオカルトマニアの水無月透華との出会いを果たした裕人の日常は、その日を境に一変。透華に振り回されながら、さまざまな事件の現場に足を踏み入れていくことに…。 街中で突如燃える女、棺の内側から響く物音、目だけくり抜かれた死体… 怪異の仕業とも取れる事件の真相を、「思考実験」をもとに導き出す超常×解決ミステリー!

「葬る」

誰もが迎える”そのとき”のために 多くの人の死に接するうち従来の墓地のあり方に疑問を抱いた石材店の娘・浜尾麻衣は、その人の生き方に添った“葬る”を模索していく。 鎌倉にある石材店、石浜の娘・浜尾麻衣は、施主の信頼を集める父・隆一、職人の緒方と墓石を売るのが仕事だ。高額な都営霊園から永代供養、樹木葬、散骨など、時代とともに葬法の考え方も家族のあり方も移り変わっていく。これまで通りの商売をしていていいの? 麻衣がさまざまな”葬る”を考えるなか、母・曜子が倒れて――。お仕事小説の名手が贈る感動作!

「向日葵色のフリーウェイ: 杉原爽香50歳の夏」

登場人物が読者と一緒に年をとる「爽香」シリーズ第36弾! 杉原爽香は、恩師の河村布子から、布子の古い知人・小川久子の娘が起こした殺人事件について相談を受ける。どうも冤罪らしいのだ。しかもすでに娘は服役中という。真犯人を見つけ出すため調査に乗り出す爽香たち。たが、真実を隠蔽しようとする勢力が、さまざまな手段で爽香たちの行く手を阻む。冤罪事件の真相解明という、かつてない難題に50歳の爽香が挑む。

「サドンデス」

21歳の理子は金銭面で厳しい生活を送ってきたが、ある女性と出会い、人生が好転する。彼女に誘われてラウンジで働き、高い評価を受け、新規の店を任されることになった。充実した暮らしぶりをSNSにアップロードする一方で、その飛躍を妬む者も増えていく。百貨店で閑職に追いやられ、しまいには墓穴を掘ってクビになった小島もその一人だ。そんななか、世間では無差別殺人事件が立て続けに起きる。模倣犯なのか。警視庁サイバー犯罪対策課の長峰はインターネット上で一連の事件の奇妙な共通点に気づく。折しも、小島の理子への嫉妬心はやがて殺意に変わっていって――。

「ぎんなみ商店街の事件簿: Brother編」

古き良き商店街で起きた不穏な事件。探偵役は四兄弟と三姉妹、事件と手がかりは同じなのに展開する推理は全く違う!? 〈Sister編〉との「両面読み」がおすすめです! ぎんなみ商店街近くに住む元太・福太・学太・良太の兄弟。母は早くに亡くなり父は海外赴任中だ。ある日、馴染みの商店に車が突っ込む事故が起きる。運転手は衝撃で焼き鳥の串が喉に刺さり即死した。事故の目撃者は末っ子で小学生の良太。だが福太と学太は良太の証言に違和感を覚えた。弟は何かを隠している? 二人は調査に乗り出すことに(第一話「桜幽霊とシェパーズ・パイ」)。 中学校で手作りの楽器が壊される事件が発生。現場には墨汁がぶちまけられ焼き鳥の串が「井」の字に置かれていた。学太の所属する書道部に犯人がいるのではと疑われ、兄弟は真実を探るべく聞き込みに回る(第二話「宝石泥棒と幸福の王子」)。 商店街主催の「ミステリーグルメツアー」に随行し、長男で料理人の元太は家を空けている。学太が偶然脅迫状らしきものの断片を見つけたことから、元太が誘拐事件にかかわっている可能性が浮上。台風のなか兄の足跡を追う福太たちに、ある人物が迫る!(第三話「親子喧嘩と注文の多い料理店」)

「ぎんなみ商店街の事件簿: Sister編」

古き良き商店街で起きた不穏な事件。探偵役は三姉妹と四兄弟、事件と手がかりは同じなのに展開する推理は全く違う!? 〈Brother編〉との「両面読み」がおすすめです! ぎんなみ商店街に店を構える焼き鳥店「串真佐」の三姉妹、佐々美、都久音、桃。ある日、近所の商店に車が突っ込む事故が発生した。運転手は衝撃で焼き鳥の串が喉に刺さり即死。詮索好きの友人を止めるため、都久音は捜査に乗り出す。まずは事故現場で目撃された謎の人物を捜すことに。(第一話「だから都久音は嘘をつかない」) 交通事故に隠された謎を解いた三姉妹に捜査の依頼が。地元の中学校で起きた器物損壊事件の犯人を捜してほしいというものだ。現場には墨汁がぶちまけられ、焼き鳥の串が「井」の字に置かれていた。これは犯人を示すメッセージなのか、それとも……?(第二話「だから都久音は押し付けない」) 「ミステリーグルメツアーに行く」と言って出掛けた佐々美が行方不明に!? すわ誘拐、と慌てる都久音は偶然作りかけの脅迫状を見つけてしまう。台風のなか、姉の足跡を追う二人に、商店街のドンこと神山が迫る――。(第三話「だから都久音は心配しない」)

怪物のゆりかご

鎌倉にある名門・冬江高校2年の滝蓮司は、眉目秀麗だが変人の卯月麗一とともに生徒や教師からの様々な依頼を解決する”学内便利屋”活動にいそしむ。
よく晴れた秋の日、“凄惨な動画”がSNSで注目を集める。
蓮司と麗一は、動画内で自殺を図り何者かを告発した男子高校生・円城寺蒼と交際していた少女・田崎菜月から、ある依頼を受ける。
――蒼は何者かに脅迫されていたのではないか。
真実を知ろうと調査を進めるふたりは、“人の闇”と直面する。
良妻賢母と評判の、蒼の母親・貴子、お嬢様学校に通っているはずの菜月、同級生から慕われていたという蒼自身にさえも、仄暗い噂が……。
さらに事件は過去へもその業火を広げてゆく!

「東京ゼロ地裁 執行 1」

東京地裁民事部の山代忠雄は、派手な刑事裁判とは無縁の冴えない中年判事。妻の尻に敷かれ、娘ふたりを溺愛する良き家庭人だが、誰にも言えぬ裏の顔があった。 その正体は霞が関の極秘組織「東京ゼロ地裁」裁判長――刑事事件の被害者側が民事で勝ち取った賠償金を平気で踏み倒す悪党に「同じ手口で100万倍返し」し、身をもって債務履行させる闇の裁判所のボスなのだ。 表の職場である東京地裁で、離婚や土地争いなど浮世の揉め事を淡々と裁いた山代が、定時に帰宅すると見せかけて向かった先は、江戸城の外堀跡にある秘密の扉。 密かに中に入り、薄暗い地下通路を進むと、影裁きの場「東京ゼロ地裁」の法廷へ。 そこは、殺しも騙しも平気なばかりか、反省ゼロの加害者に用意された最終処分場。陰湿ないじめの主犯格や極悪レイプ魔など、刑は確定したものの、被害者側への民事賠償金の支払いからはあの手この手で逃げ続けるターゲットの情報が、今宵も続々と寄せられる。 山代の手足となって働くのは、表の地裁でも部下である熱血執行官・谷地修一郎、歌舞伎町の凄腕美人女医・美鈴、府中刑務所のベテラン刑務官の立花藤太ら、いずれもクセモノ揃い。精神的にも経済的にも困窮する被害者側の無念を晴らすべく、許せぬ未払い人の金も命も強制執行し、血の一滴まで取り立てていく。 衝撃ミステリー『極刑』でデビューし、2作目『いっそこの手で殺せたら』が大きな話題となった小倉日向による初の書き下ろしシリーズ第1弾!!

「鬼人幻燈抄 明治編 夏宵蜃気楼」

明治十年(1877年)。甚夜は、思春期を迎えた娘の野茉莉との接し方に手を焼く日々をおくっていた。 そんな中、すっかり鬼そばの常連客になった染吾郎が、百鬼夜行の噂話を仕入れてくる。 夜毎、京の町を練り歩く数多の怪異――その中心にいたのは、五年前、甚夜と兼臣が対峙して苦戦を強いられた鎖を操る鬼女だった。 いよいよ災厄の女、マガツメが動き出す。

「君のために鐘は鳴る」

最愛の妻を亡くし引退したベストセラー作家がある日ふと目覚さますと、そこは見知らぬ孤島だった。 やがて桟橋に船が着き、老若男女が島に降り立つ。一行はデジタル機器に囲まれた日常の疲れを癒し、本来の人間性を取り戻す「デジタル・デトックス」のために島に渡って来たという。 メンバー相互の会話や、視線を合わせることさえ禁じられ、読書やメモをとること、音楽を聴くことも不可。食事は菜食のみ、そして殺生も厳禁という環境の中でデジタル・デトックスが始まるが、やがて残酷な連続殺人事件が発生する。 作家はそのすべてを目撃するのだが、なぜかメンバーたちの目には彼の姿が映らないらしい……。 華人系マレーシア人の女性作家が、ミステリ界の巨匠・島田荘司氏が提唱する21世紀本格に応えて放った、〈21世紀の『十角館の殺人』〉!

「詐欺師の誤算」

返済の約束は再三にわたって破られたが、その日には間違いなく入金される予定であった。銀行に入金を確かめるため、玄関を出ようとしたその時、電話が鳴った……。 受話器をとると、その男は「警視庁の者」だと名乗り、金を貸している「相手の名前」を告げ、「知っているかどうか」を訊ねてきた。 ──それが、事件の始まりであった。

「神の呪われた子 池袋ウエストゲートパークXIX」

女子高生のルカは、父親が亡くなり、新興宗教「天国の木」に走った母親に養育放棄されている宗教2世だ。マコトや自身も宗教2世だった子ども食堂の主催者・アズはルカに親身に接するが、彼女が教祖の目に留まり、花嫁候補に選ばれてしまう。さらに、教団には教祖直属で荒事を請け負う部署があり、マコトたちに悪質な嫌がらせを仕掛けてくる。マコトとタカシは、Gボーイズを動員し、ルカを救い教団をたたく計画を練るが……。 表題作のほか、投機目的で高騰するビンテージ・ウイスキーを狙うバイヤー、過激な推し活をする〈私生(サセン)〉、闇バイトの連続強盗団が登場。難破船さながらの日本で起きている事件を鮮やかに切り取る全4編。

「出署拒否 巡査部長・野路明良」

津賀署管内で起きた老女殺害事件で慌ただしい中、警務課の野路明良は、出署を拒否し引きこもる新人警官・友枝蒼を復職させるため彼の家に通っていた。様々な説得も奏功せず、無反応な友枝。このままではクビになってしまう。だが、野路が思いがけず口にした事件の被害者宅が近所だと知るや、俄かに興味を示す。野路はさらに情報を集め、友枝の意欲を引き出そうとするが……。

「おぼろ菓子 深川夫婦捕物帖」

深川蛤町で飯屋〈川野〉を営むお純と一帯を駆け回る岡っ引きの弥助。 この夫婦、誰もが羨むほど仲が良い。美味い夕餉を摂りながら、睦まじく日々の事を語り合う。この日は弥助の縄張で起きた凄惨な花魁殺しの話だ。現場に遺された血文字「月千」と菓子と思しき薄茶色の塊。奉行所の誰もが真意を掴めぬ中、お純は食の知識と味覚からある仮説を唱え、事件は思わぬ展開に!

「隠密鑑定秘禄三 下達」

ついに、その時がきた 将軍の腹心候補は見つかるのか? 決死の秘命を受けた射貫大伍の 「諸国大名調査行脚」が始まる 旅に出たくても出られない。 小人目付の射貫大伍は、 焦燥感に駆られていた。 「躬の腹心となる大名を探し出せ」 との秘命を将軍家斉より下されたが、 松平定信の横槍に遭い 出発できずにいたのだ。 しかし、ついにその時がきた。 廻国剣術修行の許可を得た大伍は、 旗本に扮し武蔵国岡部に向かう。 藩主、安部信亨は有用な男なのか。 決死の隠密調査が始まった。

「牙の紋章」

今より濃い時間が、濃い情熱が、 あの日々にはあった――。 忘れられるのか? そこから逃げるのか? 熱情滾る、格闘ビルドゥングス・ロマン! 片山草平は路地裏でやくざ者に土下座する陣内雅 美の姿を見た。かつてムエタイのチャンピオン・ ソータンクンに完敗した過去を持つ、空手家・片 山。そしてソータンクンの八百長で思わぬ勝利を 手にし、やる気を失ったキックボクサー・陣内。 あの時過ごした濃密な時間の中にもう一度身を投 じようとする格闘家二人。不器用な彼らを通し男 の藻掻き生きる姿を描く、格闘ビルドゥングス・ ロマン。

「警察庁ノマド調査官 朝倉真冬 能登波の花殺人事件」

警察庁に届いた匿名の密書 父殉職の地、輪島で真冬が知る 衝撃の事実とは―― 「上層部の意向で証拠の 破棄が行われた」 警察庁刑事局に匿名の密書が届いた。 輪島中央署に捜査本部が開設された 「鴨ヶ浦女子大生殺人事件」での 不正捜査疑惑。 告発を受け現地に飛んだ 地方特別捜査官・朝倉真冬の 胸はざわつく。 輪島は、警察官だった父が 暴力団員の凶弾に斃れ 殉職した地だった。 内偵を進めるうち父の事件との 奇妙な関連が見え隠れし始め……。 大人気警察シリーズ、急展開!

「公儀鬼役御膳帳 春疾風 〈新装版〉」

この酒は、手ひどい罠の味がする… 舌で難敵と渡りあう、 鬼役――隼之助の活躍! 将軍が食事をとる前に味見をして毒が盛られるこ とを防ぐのが、御膳奉行――鬼役の勤め。だがそ の頭である木藤家の役割はそれだけにとどまらな かった。父・多聞の命を受け、鬼役を継いだ隼之 助は、町人として暮らしながら幕府に敵対する一 派を探る。彼の優れた“舌”は、潜入先の酒問屋 〈笠松屋〉が扱う博多の白酒から、危険な罠の味 を感じとった……。好調シリーズ第三弾!

「南アルプス山岳救助隊K-9 さよならの夏」

君を助けるため、僕はここに来た――。 南アルプス・北岳で発見された記憶喪失の男性。 被害者が両眼を刺し貫かれた連続殺人事件。 山岳救助隊員&救助犬が事件の謎に迫る! 北岳で救助活動の帰路、南アルプス山岳救助隊員の星野夏実と相棒の救助犬メイは、 岩場にたたずむ若い男性を発見する。意識ははっきりしていたが、名前も住所もわからず、 ザックの中の免許証から水越和志という名前が判明した。 翌日、夏実は和志を甲府市内の実家まで送る。妹の真穂は会社の同僚からの電話で、 和志が登山のため休暇を取っていたが、下山予定日を過ぎても出社してこないこと、 しかも北岳ではなく別の山に登る予定だったことを知る。なぜ彼は北岳にいたのか? 一方、甲府では連続殺人事件が起きていた。 被害者はいずれも若い女性で、両眼を鋭い凶器で刺し貫かれていた。 真穂は大学の山岳部に所属しており、友人と北岳への登山を計画していた。 すると和志も同伴するといい……。 好評山岳ミステリー最新刊!

「存在のすべてを」塩田武士

平成3年の児童同時誘拐事件。身代金受け渡し時の犯人逮捕に失敗し、小学生の少年はその後無事発見されるも、4歳の少年は犯人と共に姿を消す。それから30年。当時警察担当だった新聞記者の門田は誘拐された少年の今を知る。それが契機となり、門田は事件の真相を求めて再取材を始めるが…。

「映画ノベライズ ミステリと言う勿れ」

広島で開催中の美術展を訪れた、天然パーマの大学生・久能整。街を歩いていた整は、突然、見知らぬ女子学生に名前を呼ばれる。「久能整くん、力を貸して。じゃないと私、殺されるかもしれない」――。 彼女、狩集汐路は、犬堂我路に整のことを推薦されたのだと言う。我路は、かつて整が遭遇したバスジャック事件で知り合った青年だ。わけがわからない整だったが、汐路に半ば強引に連れられ、狩集の本家を訪れることに。そこでなぜか整は、亡くなった汐路の祖父の遺言書開示の場に立ちあうことになってしまう。 相続人の候補は汐路と三人のいとこたち。汐路によると、狩集家は代々、相続争いで何人もの死者が出ているらしい。相続人としての権利を得るためのお題をクリアしようと、競い合うことになった汐路たち。だが、直後から怪しい出来事が頻発するようになって……。 天然パーマの大学生・久能整が、今度は遺産相続事件に巻き込まれる!? 人気漫画家・田村由美による大ヒットコミックを原作とした映画を、完全ノベライズ!

「オイサメサン」

小学生の夏休みに霊が「視える」ようになった鈴。 初めて視たのは、赤い服を着た爪のない不気味な女の霊。怖い、怖い、怖いーー。 怯える鈴を救ったのは、祖母がくれた「オイサメサン」の指輪だった。 だが7年後のある日、バイト先のファミレスで「祓える」男に出会う。 彼はオイサメサンは詐欺師だと吐き捨てた。 オイサメサンは、詐欺師なんかじゃない。 しかし、赤い女は7年経った今でも鈴のことを追いかけていた。 鈴はある殺人事件に巻き込まれ、予想もしない運命に呑まれていく。

「#殺人事件の起きないミステリー 自薦『このミステリーがすごい!』大賞シリーズ傑作選」

人が死ななくても、ミステリーってこんなに面白い! 『このミス』大賞シリーズのなかから、著者自ら選んだ“人の死なないミステリー”のみを集めました! 抽選くじの番号が重複してしまった理由とは……岡崎琢磨「ビブリオバトルの波乱」。 危険なダイエットを続ける女子大生に隠された秘密とは? 友井羊「ふくちゃんのダイエット奮闘記」。 日常に潜む謎を名探偵たちが華麗に解決!怖がりさんでも楽しめるとっておきのミステリー集。

「3分で殺す! 不連続な25の殺人」

幼い二人はなぜ殺されたのか。(中山七里「オシフィエンチム駅」) 一年前に夫が死んだ場所で、妻が望んだのは……。(安生正「白い記憶」) この物語の意味に気づいた時、あなたはきっと戦慄する。(岡崎琢磨「三霊山拉致監禁強姦殺人事件」) 「父を殺した」と言う、祖父の言葉の真意とは。(海堂尊「赤い顔」) 宝島社の大人気ショートショートシリーズから、鮮やかで濃密な殺人事件の物語を25作品、厳選!

「江戸彩り見立て帖 粋な色 野暮な色」

天性の色彩感覚を持ち、色のことになると寝食忘れてしまう江戸っ子・お彩。 その才能に目をつけた、煮ても焼いても食えない京男・右近。 凸凹バディもいよいよ絶好調! 右近に押し切られ、塚田屋で呉服の色見立てを始めたお彩。 妾腹の弟である右近を目の敵にしている塚田屋の主人は、 「新しい流行り色を作れ」と無理難題を出す。 お彩と右近は、気風のいい辰巳芸者の蔦吉に助けを求めようとするが、 けんもほろろな塩対応で取りつく島もない。 しかし、右近には何やら秘策があるようで……。 一方、近所の油店・香乃屋のお伊勢には、対照的な二人の婿候補が登場。 濃紺の小袖も粋な弥助は若い娘たちにも大人気。 一方、野暮天の文次郎は、野暮だとされる浅葱色が好きで、 娘たちに「浅葱色」と陰でこっそり呼ばれている始末。 はたして、恋の勝者は……? 色は奇跡を起こせるか? 江戸の色彩の奥深さが話題、 文庫オリジナルシリーズ第三弾!

「奇跡の人」

31歳の相馬克己は、交通事故で一度は脳死判定をされかかりながら命をとりとめ、他の入院患者から「奇跡の人」と呼ばれている。しかし彼は事故以前の記憶を全く失っていた。8年間のリハビリ生活を終えて退院し、亡き母の残した家にひとり帰った克己は、消えた過去を探す旅へと出る。そこで待ち受けていたのは残酷な事実だったのだが…。静かな感動を生む「自分探し」ミステリー。

「楽園の犬」岩井圭也

1940年。サイパンに元英語教師の麻田健吾が降り立つ。南洋庁サイパン支庁庶務係としてだが、実際は日本海軍のスパイだった。この地には各国のスパイが跋扈しているため、開戦に備えて情報収集を行うのが使命だ。あるとき、漁師の自殺の真相を追っていた彼は南洋群島の闇に踏み込み…。

「百鬼園事件帖」

〈ビブリア古書堂〉シリーズ著者がおくる文豪×怪異×ミステリー! 舞台は昭和初頭の神楽坂。影の薄さに悩む大学生・甘木は、行きつけのカフェーで偏屈教授の内田榮造先生と親しくなる。何事にも妙なこだわりを持ち、屁理屈と借金の大名人である先生は、内田百間という作家でもあり、夏目漱石や芥川龍之介とも交流があったらしい。 先生と行動をともにするうち、甘木は徐々に常識では説明のつかない怪現象に巻き込まれるようになる。持ち前の観察眼で颯爽と事件を解決していく先生だが、それには何か切実な目的があるようで……。 偏屈作家と平凡学生のコンビが、怪異と謎を解き明かす。

まとめ