2023年8月の 国内ミステリー ベスト5

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 国内ミステリー を書きます。

書店は本との出会いの場。しかし、新刊や旧作、ベストセラーと並んだ中からどんな作品を選んだらよいか悩む人も多いのではないでしょうか。

おすすめ国内ミステリーを月別にご紹介します。

2023年8月発行の国内ミステリー

2023年8月に発売された国内ミステリー小説をご紹介します。

  • 「素敵な圧迫」呉勝浩
  • 「逆転正義」下村敦史
  • 「球形の囁き」長岡弘樹
  • 「焔と雪 京都探偵物語」伊吹亜門
  • 「十戒」夕木春央

さてこの五冊は年間ベストに入るでしょうか。

「ヴァンプドッグは叫ばない」

A国MD州で現金輸送車襲撃事件が発生。遠く離れたA州で襲撃犯一味の車が乗り捨てられており、マリアと漣は州都フェニックス市へ向かう。警察と軍の検問や巡回が行われる市内。だがその真の理由は、研究所から脱走した、20年前に連続殺人を犯した男〈ヴァンプドッグ〉を捕らえるためだった。驚愕しつつもマリア達は捜査を始めるが、次々と脱走犯の過去の手口と同様の無差別殺人が起きてしまう。一方、フェニックス市内の隠れ家に潜伏していた襲撃犯五人は、厳重な警戒態勢のため身動きを取れずにいたが、仲間の一人が密室状態の邸内で殺されて…!? 厳戒態勢が敷かれた都市と、密室状態の家。二重の密室をくぐり抜け殺人を繰り返す、殺人鬼〈ヴァンプドッグ〉の正体とは? 名刑事・マリアと漣が挑む史上最大の難事件! 大人気本格ミステリシリーズ第5弾。

「無法の世界 Dear Mom, Fuck You」

『民宿雪国』の興奮再び。一気読み必至のサバイバルエンターテインメント。 「東京を出よう」 世界的な群発火災、異常乾燥と未知のウイルスにより、経済は完全に停止し、無秩序な世界が到来した日本。 略奪が常態化した都会に身の危険を感じた同性カップルの久佐葉イツキと葉子は、息子の貴一とともにショットガンを携え東北の「恵田町」を目指す。 死と裏切りが隣り合わせの旅路に果てに、イツキと葉子が見たものとは……?

ちぎれた鎖と光の切れ端

2020年8月4日。島原湾に浮かぶ孤島、徒島(あだしま)にある海上コテージに集まった8人の男女。その一人、樋藤清嗣(ひとうきよつぐ)は自分以外の客を全員殺すつもりでいた。先輩の無念を晴らすため--。しかし、計画を実行する間際になってその殺意は鈍り始める。「本当にこいつらは殺されるほどひどいやつらなのか?」樋藤が逡巡していると滞在初日の夜、参加者の一人が舌を切り取られた死体となって発見された。樋藤が衝撃を受けていると、たてつづけに第二第三の殺人が起きてしまう。しかも、殺されるのは決まって、「前の殺人の第一発見者」で「舌を切り取られ」ていた。

「あと十五秒で死ぬ」

撃たれて死ぬまでの十五秒間で、 私は必ず犯人を告発してみせる。 〈十五秒後に死ぬ〉という奇抜な状況設定で起きる 四つの事件。この真相をあなたは見破れるか? 第12回ミステリーズ!新人賞佳作を収録、衝撃のデビュー作品集! 死神から与えられた余命十五秒をどう使えば、「私」は自分を撃った犯人を告発し、かつ反撃できるのか? 被害者と犯人の一風変わった攻防を描く、第12回ミステリーズ!新人賞佳作「十五秒」など四編を収録。〈十五秒後に死ぬ〉というトリッキーな状況設定で起きる四つの事件の真相を、あなたは見破れるか? 単行本刊行後に反響を呼んだ、第12回ミステリーズ!新人賞佳作収録のデビュー作品集、待望の文庫化!

「後宮の女官占い師は心を読んで謎を解く」

《心理》で難事件を解いてみせましょう。《後宮》×《ミステリー》、開幕。 後宮の女官として働きながら占い師をしている易妙。ある日、妃妾たちに占いを披露していると、見目麗しい男から「俺の素性を当てられたら大月餅をやる」と持ちかけられ、第一皇子の命累紳であることを言い当てる。大好きな大月餅を受け取った妙が帰り支度をしていると、先日占った妃妾の縊死した報せが入る。すぐさま現場に駆けつけた妙は自害ではなく殺害されたことを見抜き、持ち前の《推理力》と《心理》で事件を解決に導くのだが、数日後、彼女の活躍の一部始終を見ていた累紳から「俺と組まないか。俺は、あんたが欲しい」と提案されることに。累紳が妙を欲しがる狙いとは……!?

「ちぎれた鎖と光の切れ端」

「私たちが絆を断った日、島は赤く染まった。」 復讐を誓う男がたどり着いた熊本県の孤島(クローズドアイランド)で目にしたのは、仇(かたき)の死体だった。 さらに第二、第三の殺人が起き、「第一発見者」が決まって襲われる――。 2020年8月4日。島原湾に浮かぶ孤島、徒島(あだしま)にある海上コテージに集まった8人の男女。その一人、樋藤清嗣(ひとうきよつぐ)は自分以外の客を全員殺すつもりでいた。先輩の無念を晴らすため–。しかし、計画を実行する間際になってその殺意は鈍り始める。「本当にこいつらは殺されるほどひどいやつらなのか?」樋藤が逡巡していると滞在初日の夜、参加者の一人が舌を切り取られた死体となって発見された。樋藤が衝撃を受けていると、たてつづけに第二第三の殺人が起きてしまう。しかも、殺されるのは決まって、「前の殺人の第一発見者」で「舌を切り取られ」ていた。 そして、この惨劇は「もう一つの事件」の序章に過ぎなかった――。

「黒い糸」

千葉県松戸市の結婚相談所でアドバイザーとして働くシングルマザーの平山亜紀は、仕事で顧客とトラブルを起こして以降、無言電話などの嫌がらせに苦しめられている。 亜紀の息子・小太郎が通う旭ヶ丘小学校の6年2組でも、クラスメイトの女児が失踪するという事件が起きていた。 事件後に休職してしまった担任に替わり、小太郎のクラスの担任を引き継いだ長谷川祐介は、クラス委員長の倉持莉世から、クラスの転入生の母親が犯人だという推理を聞かされて戸惑うが、今度はその莉世が何者かに襲われ意識不明の重体となってしまう。 特定のクラスの周辺で立て続けにおきる事件の犯人は同一なのか、またその目的とは。

「素敵な圧迫」

『爆弾』『スワン』の気鋭が放つ、超弩級のミステリ短編集 「ぴったりくる隙間」を追い求める広美は、ひとりの男に目を奪われた。あの男に抱きしめられたなら、どんなに気持ちいいだろう。広美の執着は加速し、男の人生を蝕んでいく――(「素敵な圧迫」)。 交番巡査のモルオは落書き事件の対応に迫られていた。誰が何の目的で、商店街のあちこちに「V」の文字を残したのか。落書きをきっかけに、コロナで閉塞した町の人々が熱に浮かされはじめる――(「Vに捧げる行進」)。 ほか全6編を収録。 物語に翻弄される快感。胸を貫くカタルシス。 文学性を併せ持つ、珠玉のミステリ短編集。

八角関係

父親の遺産によって贅沢三昧の暮らしをする三兄弟と妻、さらには警察官や女流作家が同居する広大な屋敷内で殺人事件が発生。住人たちを恐怖に震えあがらせる惨劇は連続殺人事件へと発展する……。不可能犯罪の魅力を満載した本格探偵小説、雑誌連載から72年の時を経て初の単行本化!

「魔女推理:嘘つき魔女が6度死ぬ」

春。満開の桜の樹の下で、僕は「彼女」に再会した。檻杖くのり。久城という街に住まう、美しくも謎に満ちた存在。「魔女」と称される彼女の周囲では常に事件が起こり……。記憶を失った少女。川で溺れた子ども。教会で起きた不審死。不可思議な謎の原因は「魔法」なのか。あるいはそれは「噓」なのか。くのりと僕、二人の高校生の等身大の青春を描く魔法×ミステリー、ここに開幕。

「彼らは世界にはなればなれに立っている」

社会派エンターテインメントの雄が贈る衝撃作 「わたしたちの過去も現在も未来も写しとられている。恐るべき傑作だ」(解説より) 翻訳家 鴻巣友季子 「最初のひとりがいなくなったのはお祭りの四日後、七月最初の木曜日のことだった」―― ここは〈始まりの町〉。物語の語り手は四人――初等科に通う十三歳のトゥーレ、なまけ者のマリ、鳥打ち帽の葉巻屋、窟の魔術師。彼らが知る、彼らだけの真実を繋ぎ合わせたとき、消えた人間のゆくえと町が隠し持つ秘密が明らかになる。人のなし得る奇跡とはなにか――。 社会派エンターテインメントで最注目の作家が描く、現代の黙示録!

「彼女の隣で、今夜も死人の夢を見る」

特異な霊感体質を持つ彼女と自分。大学生の苦くて甘い青春ホラーミステリ! 大学2年生の奥津湊斗(おきつ・みなと)は霊が視えるのに加え、「死人の夢」を見る力を持っている。 それは、霊に取り憑かれた人の近くで眠ると、夢でその霊の“死の瞬間”を生々しく追体験させられてしまうというもの。 幼い頃よりこの特異な霊感体質に苦しめられてきた湊斗は、なるべく他者と接触を持たないようにして生きていた。 だが、同じ学年に復学してきた高原玲奈(たかはら・れいな)と出会い、事態は一変する。 彼女は、10年間行方不明だったが突然「神隠し」から帰ってきたと噂されている女子で、とびきり美しい容姿ながら周囲から奇異と偏見の目で見られ、距離を置かれていた。 それというのも玲奈は講義中に、度々前触れもなくバケツの水を被ったかのようにずぶ濡れになり、本人は「怪異の仕業だ」と頑なに言い張るのだ。 実は玲奈は、「神隠し」という異境から帰ってきたせいで、特異な霊感が生じてしまっていた。 死体が発見されていない霊、つまり神隠しとも解釈できる霊に寄り憑かれやすくなっており、さらに霊障が具現化しやすくなってしまっているらしい。 湊斗は色々な意味で目立つ存在の玲奈を避けようとするが、あるきっかけから思わず手を差し伸べてしまう。 それ以来、「死人の夢」を使って彼女に憑いた霊の行方不明の死体の在りかを捜していくことになり……。 「死人の夢」を見る湊斗と「本物の神隠し」から帰ってきた玲奈。 誰にも理解されない孤独な大学生2人が、唯一無二の関係を築いていくまでの、苦くて甘い青春ホラーミステリ。

「ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 IX 人の死なないミステリ」

書き下ろし作品が本屋大賞にノミネートされたことで、作家としての評価が少しずつ高まってきていた李奈。そんなある日、岩崎翔吾絡みで因縁のある出版社、鳳雛社の編集者から新作執筆のオファーが舞い込む。数多くの作家が代表作を発表してきた文芸ひとすじの老舗からの誘いに、喜び勇んで会社を訪ねる李奈だったが、そこから思いもよらない事件に巻き込まれていく――。

「ラスプーチンの庭 刑事犬養隼人」

これはカルトか、民間医療か――。大人気社会派警察医療ミステリ! 警視庁捜査一課の犬養隼人は、娘の入院仲間だった少年の告別式に参列することに。自宅療養に切り替えた彼の遺体は奇妙な痣だらけだったが、両親は心当たりがないという。さらに翌月、同じような痣のある自殺死体が発見される。検視の結果いずれも事件性なしと判断されたが、納得できない犬養が独自に捜査を進めると、謎の医療団体に行き当たり……。 これはカルトか、民間医療か。大人気社会派警察医療ミステリ第6弾!

「ひまわり公民館よろず相談所」

あなたのお悩み、公民館のヒーローたち(全員お年寄り)が解決します。 夫の転勤で向日葵町に引っ越してきた八山友里は、慣れない育児に四苦八苦していた。泣き止まない息子・蒼を抱いて迷い込んだ町の公民館で、凄腕の元保育士“寝かしつけのお園”と出会う。この町では、クセのある特技を持つ老人たちが集まって、よろず相談所を開いていた。サイキック後藤、犬校長の竹田、ちくわ笛の三好……?どんなに小さな特技でも、きっと誰かの役に立てる。公民館を舞台にした、癒やしとぬくもりの物語。

「脳科学捜査官 真田夏希 アナザーサイドストーリー」

人気シリーズ書き下ろし! 新たな才能に、夏希と上杉は出会う! サイバー特捜隊の織田の逮捕で真田夏希が奔走していた頃、根岸分室の上杉輝久もまた、一人の女性を救うため、北アルプスを歩き回っていた。上杉がかつて愛した五条香里奈の妹・紗里奈が、県警へ辞表を出して行方を眩ました。独自の感性を持ち、優秀な鑑識課員だった紗里奈は、同僚たちから妬まれていたのだ。黒部川源流で彼女を見つけた上杉は、彼女を自分の部下にすることを決意する。新たな展開を迎える書き下ろし警察小説。

「或るスペイン岬の謎」

柄刀一版“国名シリーズ”ここに完結! 心臓移植経験者である南美希風は、その移植手術を執刀した恩人の娘であるエリザベス・キッドリッジの長期休暇に合わせて日本中を旅していたが、行く先々で不可解な事件に巻き込まれていく。すべてが反転した“あべこべ”の密室。雨中、庭に放置された全裸の被害者。悠久の森に佇む異質な殺人現場。シリーズ史上最高となる圧巻のロジックで名探偵・南美希風が奇跡の不可能犯罪に挑む!

「花怪壇」

ホラー作家・最東対地は、大阪の夜凪を舞台にしたホラー小説を書こうとしていた。夜凪とは大阪の五つある色街のこと。取材に訪れた椿夜凪で梅丸という遊女の噂を耳にする。梅丸は複数の夜凪に出没する美貌の女で、血なまぐさい噂がつきまとう。最東は梅丸の謎と夜凪に潜む怪談を集めはじめるが、梅丸の話を新たに収集するたびに、ある不思議な感慨を覚える――。

「遠火 警視庁強行犯係・樋口顕」

東京・奥多摩の山中で他殺体が発見された。警視庁捜査一課の樋口班は現場に急行。調べを進めていくと、殺されたのは渋谷署の係員が職質をしたことがある女子高生で、売春の噂があったことが判明する。樋口顕は被害者の友人である美人女子高生と戸外で面会。すると、その様子を撮影した何者かによってインターネット上に写真を流され、同僚やマスコミから、あらぬ疑いをかけられてしまう。秀でた能力があるわけではなく、他人を立てることを優先し、家族も大切にしながら、数々の難事件を解決してきた樋口。謀略を打ち破り、殺人事件の真相に辿り着くことができるのか。

逆転正義

『同姓同名』が中国でベストセラー、TikTokで話題、中学生ビブリオバトルでチャンプ本に! どんでん返しの名手が仕掛ける常識がひっくり返るエンタメミステリ短編集 SNSにも正義警察、正義中毒者が蔓延る現代ニッポン! 「あなたはそんなに正しいの?」

「蒼天の鳥」

大正十三(1924)年七月、鳥取県鳥取市──。 主人公の田中古代子は、女性の地位向上を目指し「新しい女」の潮流を訴える女流作家である。本格的に作家として活動するため、娘の千鳥と内縁の夫・涌島義博の三人で、鳥取から東京に引っ越しをする予定を立てていた。移住直前のある日、古代子は千鳥と共に、活動写真「兇賊ジゴマ」を観るために鳥取市内の劇場「鳥取座」に向かう。ところが観劇中、場内で火事が発生。取り残された古代子と千鳥が目にしたのは、煙につつまれる舞台上に立つ「本物」の「兇賊ジゴマ」であった。逃げようとする二人の目の前で、ジゴマはひとりの男を刺殺し、逃亡する。命からがら鳥取県気高郡浜村の自宅に逃げ帰った古代子と千鳥であったが、一息つく暇もなく、再び謎の人物に襲われるのだった。 果たしてこの世の中に、本物のジゴマなどいるものだろうか……? 謎は思いがけない事態へと発展していく。 鳥取出身の実在の作家・田中古代子をモデルに、友人の女流作家・尾崎翠や鳥取に流れてきた過激アナキスト集団「露亜党」、関東大震災など、大正期を鮮やかに描く歴史活劇ミステリー!

「百鬼大乱」

暗殺と裏切りの三十年を駆け抜けた「名将 太田道灌」 東国の諸葛孔明と呼ぶにふさわしき漢【おとこ】ここにあり! 応仁の乱に先駆けること十三年、 鎌倉公方が関東管領を殺害。 血みどろの戦国時代が幕を開ける 将軍への野心を抱く鎌倉公方。ついに足利義教の討伐を受け、断絶。 乱れた関東を治めるため新たな公方が選ばれるも、管領上杉家と軋 轢が続く。意地と誇りがぶつかり合い、関東を二分する戦いとなる。 命がけで公方を守る簗田持助。上杉を支える太田道灌。 両者の才知をつくした戦いを活写する歴史巨編。 知られざる関東の戦国が今、明らかになる。

「奈良監獄から脱獄せよ」

数学教師の弓削は冤罪で捕まり、日本初の西洋式監獄である奈良監獄に収監されていた。ある日、殺人と放火の罪で無期懲役刑となった印刷工の羽嶋が収監される。羽嶋も自分と同じく冤罪だったことを知った弓削は、彼とともに脱獄をたくらむ。典獄からの嫌がらせ。看守の暴力で亡くなった友人。奈良監獄を作った先輩からの期待。嵐の夜、ついに脱獄を実行する――。 人気BL作家が描く、究極の友情。

「まだ出会っていないだけ」

会員になれば3ヵ月で結婚できる――そんな評判を耳にして、青山の一等地に事務所を構える「スマイル結婚相談所」に、今日も男女が訪ねてくる。30代食品メーカー勤務女性、30代洋酒メーカー勤務男性、20代家事手伝い女性、30歳医薬品メーカー研究者など多種多様……。「人生は笑う練習」が信条の44歳社長・岸本達也は、34歳のスタッフ・葉山希とともに、彼らの「運命の出会い」をサポートできるか!? 『私が結婚をしない本当の理由』改題。

「日本医家伝」

シーボルトと遊女・其扇の間に生まれ、当時女性でありながら医学の道を志した楠本いね、「解体新書」翻訳を成し遂げた前野良沢、ロシヤ抑留中に種痘法を習得した中川五郎治など、後に著者によって長篇として描かれた人物を含む、日本近代医学の先駆者である十二人の医家たちの苦難の生涯を描く。

「高知・龍馬 殺人街道」

「私は、現代の坂本龍馬である。必ず、日本を洗濯する」。宣言書が雑誌社に届いた。その言葉通りに、物議をかもした社長、有名漫画家、風俗王が射殺されてゆく。そして、遂に狙いは総理大臣に定められた!龍馬を崇拝し、彼の足跡を辿りながら、大胆な手口で犯行を続ける男。高知、京都、十津川警部の捜査行は続く。トラベルミステリーとサスペンスを見事に融合させた長篇小説。

「夫妻集」

娘が婚約者を連れてきた。 他人の分の寿司も遠慮なく口にする、だらしのない男。 娘が選んだ人ならば。自分は、心が広く先進的な父親。そう思っていたはずなのに。 神保町にある出版社、景談社で働く佐原滝郎は、娘の結婚に心が揺らぐ。 「娘が結婚すべきではない」と感じた婚約者は、意外にも滝郎の妻には好印象。 妻もあの婚約者のことは気に入らないと思っていたのに、一体なぜ? 積み重ねてきた夫婦生活の中で初めて見えた、自分と妻の間にあるひずみ。 もしかして、妻と自分はーー。 社内の三組の夫婦の姿を見ていくうちに、滝郎はある決意を固める。

「ぼくたちがコロナを知らなかったころ」

旅に出られる。人に会える。それはこんなに幸せなことなんだ──。 機内誌『翼の王国』人気エッセイいきなり文庫化! 充実の上海ブックフェア。ニューヨークでの観劇とテニス観戦。故郷・長崎のランタンフェスティバルで出会った幻想的な風景。長編小説『国宝』の誕生秘話。そして愛猫の金ちゃん銀ちゃんのこと……。時はまさにコロナ前夜。自由に旅をして現地の人びとと交流ができることは、なんと貴重で尊いのだろう。数々の傑作小説を世に送り出す著者がライフワークとする機内誌『翼の王国』連載エッセイ。

「賢治と妖精琥珀」

宮澤賢治にまつわる作品の中でも、最もユニークなものが本作であることは間違いない 三田主水(解説より) 人智を超える力を帯びた琥珀をめぐる暗闘が始まる! 書き下ろし大正ロマンファンタジー いきなり文庫! 大正12年、奇妙な石を持った男が宮澤賢治のもとを訪れる。ふたつに割れた琥珀の片割れで、封じ込められているのは妖精なのだとか。半信半疑で石を手に樺太への旅に出た賢治に、以前からこの石を追っているという男女が接近してくる。彼らの話では、もう片方の琥珀の力で不死となった祈禱僧ラスプーチンが奪取を狙っているという──。人智の及ばぬ琥珀をめぐる暗闘を描く大正ロマンファンタジー。

「さようなら、私たちに優しくなかった、すべての人々」

姉を殺した七人への復讐に少女は命を捧げた 四方を山に囲まれた田舎町、阿加田町。 この町の高校に通う中川栞は、いじめを受けて不登校になっていた。 ある日、栞の家に同居人として佐藤冥がやって来る。 誰にも心を開かない冥は、この町へ来た目的を栞だけに告げた。 「姉を死に追いやった七人の人間を皆殺しにしてやりたいの」 三年前、冥の姉・明里は、この町で凄惨ないじめに遭い自ら命を絶っていた。 その復讐のために、冥はここへ戻ってきたのだ。 冥は阿加田神社に伝わる血塗られた祭儀『オカカシツツミ』を行い、巨大な蛇の神『オカカシサマ』を自らの身に宿らせることで、七人の人間を殺していく計画を立てていた。 夏至の夜、冥は儀式を成功させる。 それから一日に一人ずつ、冥は神様の力を借りて、栞と共に姉の死に関わった人間を殺していく。 復讐と逃避行の日々の中、いつしか二人は互いに恋愛感情を持つようになる。 だが冥は栞に、一つの隠し事をしていた。それは『オカカシツツミ』を行った人間は、最後には自らの魂を神様に捧げなければならない、つまりは〈冥の死〉が避けられないことを。 「ジャンプ+」でも人気爆発中の、今一番キテる作家が送る、残酷青春ラブロマンス!!

「共感覚探偵 奇々怪界は認めない」

その“呪い”に共感しましょう――。 現代の「生き神さま」が「作られた怪異」の真相を暴く、共感覚ミステリ! 土砂災害で行方不明になった数年後に奇跡の生還を果たした祇王芯夜。大学生になっても「生き神さま」と噂される芯夜のもとに、同居人で幼なじみの矢鳥笙を経由して奇怪な相談が舞い込んだ。それはお寺に夜な夜な火の玉が浮遊するようになり、目撃者は体調を崩し、ついに死者まで出たという。怯える女性に、芯夜は「怪異も人が作るもの」と一刀両断し、真相解明に動き出す。だが芯夜には、ある秘密があって…。 心を読むあやかし「サトリ」の呪い。 夜な夜な浮遊する火の玉。 子どもをさらう鬼子母神。 炎に包まれた「火前坊」 「共感覚」を持つ青年による“非”怪奇事件簿 開幕!!

「ドゥルガーの島」

大手ゼネコン勤務の加茂川一正は、インドネシアの小島で海底に聳え立つ仏塔を発見する。一正はこの遺跡の保護を自らの使命とし本格的な調査に乗り出すが、次々と障壁が立ち塞がる。住民の反発、開発を優先する地主、他宗教からの弾圧……人間の欲望が女神の怒りに触れたとき、島に激震が走る。圧巻の長編エンタテインメント!

球形の囁き

45万部超のヒット作となった『傍聞き』の表題作で、主人公を務めたシングルマザー刑事の啓子と、一人娘の菜月。 新聞記者になることが将来の夢だった小六の菜月が高校生、大学生となり、そして夢を叶えたなかで数々の事件に遭遇する。 母娘の際立つ推理力が導き出した、難事件の真相とは? 前作『緋色の残響』に続く、母娘シリーズ短編集の最新刊

「桜の血族」

警視庁暴力団対策課の刑事の妻であり、娘でもある仲野誓はある日、同じ課で働く夫の賢治が銃撃されてしまう。 誓は犯人を逮捕するため、「警視庁初の女マル暴刑事」である薮哲子とコンビを組む。復帰早々に日本最大の暴力団・吉竹組の元組員の会社宅で爆破事件が発生。 この事件は本家と関東に分裂した吉竹組の抗争、そして賢治銃撃事件とも複雑に絡んでいるのか。 マル暴刑事の執念と複雑化する暴力団組織の闇、血飛沫舞うヤクザの生き様から目を離せない。 警察小説のヒットメ―カーが描く、規格外のマル暴女刑事

「長野善光寺殺人参詣 小仏太郎探偵日誌」

長野、松本、小布施… 偽探偵の裏の顔を暴け! 山根七海から息子で会社員の勇一郎の素行を調査してほしいとの依頼を受け、私立探偵・小仏太郎は尾行を進める。そこで勇一郎の交際相手・門島淡路の不審な行動に着目する。調査を進めたところ、彼女の祖母が轢き逃げされた事件の犯人を突き止めようとしているらしい。轢き逃げしたのは東京と長野で暮らす兄弟のようだが、彼らには見過ごせない裏の顔があって…。謎の兄弟の周りで起こる怪事件の真相は!?

焔と雪 京都探偵物語

探偵・鯉城は「失恋から自らに火をつけた男」には他に楽な自死手段があったことを知る。それを聞いた露木はあまりに不可思議な、だが論理の通った真相を開陳し……男と女、愛と欲――大正の京都に蠢く情念に、露木と鯉城が二人の結びつきで挑む連作集

「蔭桔梗」

紋章上絵師の章次は、元恋人の賢子から「着物に蔭桔梗の紋を入れてほしい」と、20年前と同じ依頼をされる。当時はある事情から下職に廻してしまったのだが、賢子は紋を見て怒り、それ以降疎遠になってしまったのだ。なぜ彼女は再び同じ依頼をしたのかという真相が語られる「蔭桔梗」。浸抜屋の利雄は、見知らぬ女性から母の形見という留袖のしみ抜きを依頼される。やがてふたりは恋仲になるが……。着物が殺人事件の謎を解く手掛かりになる「竜田川」など11 編。男女の恋愛模様に絡む謎と意外な結末を描く、傑作短編集。第103回直木賞受賞作。

「京都船岡山アストロロジー3 恋のハウスと檸檬色の憂鬱」

作家デビューの試練を乗り越えた神宮司桜子は、「星読み」に改めて向き合う決意を固める。 決断に迷ったり、進路に悩む人たちの心を整える手伝いができればと思った桜子は……。

「人喰い鬼の花嫁」

母を亡くし、義母と義姉に迫害される生活を続けてきた春日部莉子。 ある日、姉にひどい折檻を受けると、姉が酒呑童子という鬼の嫁に指名されたと知る。 酒呑童子の嫁は、「お披露目」という一年に一度の祭りを境に全員姿を消す。 人喰いと噂の立つ酒呑童子への嫁入りを拒む姉は、莉子に自分の代わりに嫁入りをしろと言い渡した。 白無垢を身につけ、顔が見えないようひっそりとお屋敷に向かった莉子。 しかし、酒呑童子は第一声、「俺が欲しかったのは、端からおまえだ」。 愛を知らなかった莉子は、人喰い鬼のもとで初めて愛を知っていくーー。

「最後の光 警視庁総合支援課2」

家庭内で、幼い命が奪われた。逮捕されたのは、母・夏海の交際相手。母子は日常的に暴力を受けていたという。支援課・柿谷晶は支えとなり得る人物を探そうとするが、夏海は子どもの実の父親について頑なに口をつぐみー。答えなき仕事に奔走する若き女性警察官を描く「総合支援課」第2巻!

「さよなら日和」

お客さまに夢を与え続けた遊園地――。 そこは、「さよなら」の瞬間まで奇跡が起こる場所だった! 遊園地『星ヶ丘ハイランド』は今日で廃園、営業最終日。 恋心を胸に秘めた少年、問題を抱えた親子、微笑ましい老夫婦、かつて遊園地のヒーローショーに出演していた俳優――。 さまざまな思いが交錯するとき、思いもよらなかった奇跡が起こる。 疲れた心をほんのり癒す傑作群像劇! 単行本『廃園日和』を改題

「サーカスから来た執達吏」

「あたし、まえはサーカスにいたの」 大正14年。莫大な借金をつくった樺谷子爵家に、晴海商事からの使いとしてサーカス出身の少女・ユリ子が取り立てにやって来た。 返済のできない樺谷家は三女の鞠子を担保に差し出す。ユリ子と鞠子は、莫大な借金返済のため「財宝探し」をすることにした。 調べていくうちに近づく、明治44年、ある名家で起こった未解決事件の真相とはーー。

「母子草 風の市兵衛 弐」

還暦を前に大店下り酒屋の主・里右衛門が病に倒れた。店の前途もさることながら、 里右衛門の脳裡を掠めたのは、若き日に真心を通わせた三人の女性だった。唐木市兵衛は、里右衛門から数十年も前の想い人を捜し出し、現在の気持ちを伝えてほしいと頼まれる。一方、店では跡とりとなる養子が、隠居しない義父への鬱憤を、遠島帰りの破落戸にうっかり漏らしてしまい……。

「修羅の標的 傭兵代理店・改」

ザポリージャ原発をロシア軍から奪回せよ――ウクライナ国防省から極秘依頼を受けた、藤堂浩志率いるリベンジャーズ。作戦中、浩志はプーチン大統領直轄の特殊部隊に拉致される。仲間は浩志救出のため、明石柊真らケルベロスとともにロシア支配地域に潜入する。だが、やがて哀しき決別が……。傭兵たちは、謀略の限りを尽くす敵を狩るべく戦地を駆け抜ける!

「ノストラダムス・エイジ」

呪われし1999年7月生まれ―― 東京郊外で発見された15人の遺体。胸に抱かれた預言書には、「人類滅亡の章」にしおりが挟まれていた。当初は集団自殺とみられたが、他殺の可能性が浮上。被害者には、1999年7月生まれのオカルト好きが集まる“世紀末五銃士”のメンバーも含まれていた。事件から一年半、残る“世紀末五銃士”のメンバーが次々と惨禍にみまわれ……。 終末への新たなる警告! 戦慄のオカルトミステリー。

「たわごとレジデンス」

舞台はシニアのための高級マンション。 ひと癖もふた癖もある令和の高齢者と 彼らに振り回される若者世代との確執を 奇想小説の名手が鋭く描いた人間図鑑 虚言、妄信、陰謀論―― セレブなシニアの真実はどこに 「このままではレジデンスがスラム化する!」 東京郊外の一等地にそびえ立つ高級分譲マンション 『レジデンス悠々』。 最上階ともなれば分譲価格は二億円を下らない、 セレブだけが入居できる終の棲家である。 住人は何ひとつ不満のない老後を謳歌している……はずだった。 「スポーツは悪だ! 陰謀だ!」と声高に叫ぶ元教師。 「皆さんと滑稽エンタメ映画を撮りたいの」 と言い出す往年の女流監督。 「あたしの人生、リボーンするのよ!」と爆買いをやめない有閑マダム……。 奇想天外な放言に振り回される、珠玉の5編(

十戒」夕木春央

殺人犯を見つけてはならない。それが、わたしたちに課された戒律だった。 浪人中の里英は、父と共に、叔父が所有していた枝内島を訪れた。 島内にリゾート施設を開業するため集まった9人の関係者たち。 島の視察を終えた翌朝、不動産会社の社員が殺され、そして、十の戒律が書かれた紙片が落ちていた。 “この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない。守られなかった場合、島内の爆弾の起爆装置が作動し、全員の命が失われる”。 犯人が下す神罰を恐れながら、「十戒」に従う3日間が始まったーー。 週刊文春ミステリーベスト10(「週刊文春」2022年12月8日号)国内部門&MRC大賞2022など4冠に輝き、ミステリ界を震撼させた『方舟』夕木春央、待望の最新作!

「月夜行路」

専業主婦の涼子は、冷え切った夫との関係や言うことをきかない二人の子どもとの生活に、疲労感と閉塞感を覚えていた。45歳の誕生日を明日に控えた深夜、書籍編集者の夫に女性から一本の電話がかかってきた。「小説家の重原宗助先生からの仕事が入った」と家を出てしまう夫。我慢の限界に達した涼子は、家を飛び出す……。涼子が向かった先は、夫の愛人ホステスが勤めるクラブの入ったビル。1階のBAR「マーキームーン」に入ると、文学好きの美しいママが話しかけてくる。性別は男だというママは、涼子の悩みや素性を鋭い洞察力と推理力で言い当ててしまう。涼子がママに夫の愚痴を話すと、唯一の「良い思い出」である大学時代の彼氏・カズトにもう一度会おうと、旅に出ることになる。

「怪盗クイーン 摩天楼は燃えているか バトルロイヤル 後編」

「世界征服券」–ムンドウ・エクスプを狙って、世界中の悪党たちがニューヨークに集結! クイーンに恨みをもつ初楼、敵を殲滅させようと暗躍する各国の犯罪組織、そして悪党たちの一網打尽を図る国際刑事警察機構……。 それぞれの思いが交錯するなか、エンパイアステートビルのパーティ会場で大規模乱戦(バトルロイヤル)が勃発する!

「大井川殺人事件 旅行作家・茶屋次郎の事件簿」

一組の男女が南アルプスの秘境聖岳で遭難した。茶屋次郎の知人の娘波路は助かったが、恋人の若松は消息不明のままだった。茶屋は情緒あふれる蒸気機関車で紅い鉄橋を越え現場へ。だが若松は絞殺され、死体とともに米国製の錠剤が発見される。それは命を脅かす危険薬物だった。さらに入手ルートを追っていた探偵も刺殺されたことが明らかとなり、事件は急展開を迎える!

「有栖川有栖選 必読! Selection12 泡の女 〈新装版〉」

幸福は泡のように消え去る。夏子は絶望感に包まれ ていた。伊豆へ静養旅行に向かった筈の父が、茨城 県大洗海岸で縊死。夫が容疑者に。勾留期限はクリ スマス・イブの午前零時。残されたのは僅か三日。 夫の無実を証明すべく奔走する夏子の前に、父の黒 い過去が次々浮かび上がる。裏切りと愛に引き裂か れた女が聖夜に見たものは? アイリッシュ『幻の 女』に挑むタイムリミットサスペンス。

「むかしむかしあるところに、死体があってもめでたしめでたし。」

一世を風靡したといっても過言ではない、日本のむかしばなしをミステリーで読み解いた『むか死』シリーズの最新刊にして最終巻。あっと驚くミステリーのもとになったむかしばなしは「こぶとりじいさん」「耳なし芳一」「舌切人雀」「三年寝太郎」そして「金太郎」――いずれも趣向に富んだ、これまでの作品に勝るとも劣らない作品集。

「梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション3 葉山宝石館の惨劇」

帆村財閥の異端児・建夫が葉山に設立した私設宝石 博物館――収蔵品の剣・銃・斧を使い、長女・光枝 の三人の恋人候補が次々殺されていく。「なぜ三重 密室を作らねばならなかったか?」Why(理由) を問うユニークな“密室動機講義”から導かれる、 仰天の真相とは? 昭和が終わった年/新本格勃興 期、新書ミステリの雄が放った、稚気と本格推理へ の愛全開の熱き挑戦状(ラブレター)。

「夜行列車の女 〈新装版〉」

寝台特急で知り合った女は一年前に死んでいた!? 謎また謎に十津川と亀井が迫る! 会心の長篇トラベル・ミステリー。 雑誌「旅と人間」のカメラマン・木下孝は、新型寝台特急“サンライズエクスプレス”を取材するため、高松まで乗車することになった。 女好きの木下は、隣りの個室に乗り合わせた若い美女と知りあい、永井みゆきと名のるその女の目的地・道後温泉まで同行することを企む。 が、乗りかえ駅の坂出で彼女が起きてこないのに不審を抱き、その室をあけると、別の女の死体が出てきたのだ。 しかも、永井みゆきと名のる女は、去年東京で死んだ筈だという…。 謎が謎を呼ぶ事件に十津川と亀井が挑む、長篇トラベル・ミステリー。

「三星京香の殺人捜査」

県警本部刑事部捜査一課の三星京香は、とあることから刑事部長に拳を振り上げ、十年の警察人生に終止符を打った。五歳になる娘を抱える彼女の再就職先は、県内でも有数の法律事務所。だが、事務所内にキッズルームまで作ってくれた居心地の良い事務所の副代表が、殺人事件の重要参考人として警察署に任意同行された!?京香にできることは事件の真相を探ることか…元女性警察官の著者が、警察における女性の立場や警察官の考え方をちりばめながら描く、新しい警察小説。

「交渉人・遠野麻衣子 籠城」

喫茶店経営者が、客を人質にして籠城した。猟銃を所持する犯人は交渉人を銃撃、そしてテレビでの生中継を要求する。要求の意図が読めない中、警察が苦肉の策として考えた意外な方法とはー。犯人との息詰まる心理戦を描く警察サスペンス「交渉人」シリーズ第三弾「籠城」が、渾身の大改稿&改題で、ほぼ新作に!

「さよならごはんを今夜も君と」

学生はワンコインで食べられる夜食専門店。痩せて可愛くなりたい若葉、何を食べてもおいしくない学年トップの小春、オーガニック料理だけで育った凌真……。悲しみや寂しさを少しずつ消化できるように、店主の朝日さんは愛情を込めた一皿をつくる。孤独な心に力が満ちて、止まっていた時間が動き出す。世界一優しいお夜食で再生していく感動作。

「奇病庭園」

奇病が流行った。ある者は角を失くし、ある者は翼を失くし、ある者は鉤爪を失くし、ある者は尾を失くし、ある者は鱗を失くし、ある者は毛皮を失くし、ある者は魂を失くした。 何千年の何千倍の時が経ち、突如として、失ったものを再び備える者たちが現れた。物語はそこから始まる―― 妊婦に翼が生え、あちらこちらに赤子を産み落としていたその時代。森の木の上に産み落とされた赤子は、鉤爪を持つ者たちに助けられ、長じて〈天使総督〉となる。一方、池に落ちた赤子を助けたのは、「有角老女頭部」を抱えて文書館から逃げだした若い写字生だった。文字を読めぬ「文字無シ魚」として文書館に雇われ、腕の血管に金のペン先を突き刺しながら極秘文書を書き写していた写字生は、「有角老女頭部」に血のインクを飛ばしてしまったことから、老女の言葉を感じ取れるようになったのだ。写字生と老女は拾った赤子に金のペン先をくわえさせて養うが、それが「〈金のペン先〉連続殺人事件」の発端だった…… 歌集『Lilith』、短篇集『無垢なる花たちのためのユートピア』、掌篇集『月面文字翻刻一例』の新鋭、初の幻想長編小説。

「鐘を鳴らす子供たち」

復興の希望・伝説のラジオドラマの舞台裏 物語は高度成長期と呼ばれる昭和48年、『鐘の鳴る丘』に出演した当時小学生の一人、良仁への一本の電話から始まる。この日、戦後を代表する劇作家であり、『鐘の鳴る丘』の脚本家・菊井一夫が逝去。電話は菊井の葬儀の知らせだった。知らせを受けて菊井との記憶に思いを馳せる良仁の脳裏には、いつしか「緑の丘の赤い屋根 とんがり帽子の時計台…」と、少年少女たちの歌声が流れ始めていた。 昭和22年。ようやく給食が再開したものの、ほとんどの子どもがいつもお腹を空かせていた時代。東京・練馬区の小学校に通う良仁は親友の祐介と全力で遊びまわる日々を送っていた。そんなある日、良仁と祐介、そして、隣のクラスの実秋を含めた数名が、NHKのラジオ放送劇『鐘の鳴る丘』に出演することに。良仁たちが演じるのは、当時、社会問題となっていた戦後浮浪児の役。戦争への負い目を胸に抱えた大人たちと共に、伝説となるラジオドラマ『鐘の鳴る丘』をつくる日々が始まる。 戦後の混乱期、ラジオが唯一の娯楽ともいえた時代、作り手側に立つことになった子どもたちが見た世界とは。戦争への後悔を抱えた大人達と一緒に希望を模索する日々の行方は・・・。

「毒入りコーヒー事件」

『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞しデビュー、『2021本格ミステリ・ベスト10』にもランクインするなど、業界からも注目を集める著者、書下ろし文庫最新作! 嵐の夜には、家族に「死」が訪れる……。あまりにも似た二つの死の現場に隠された真相とは!? 大胆な仕掛けが幾重にも張り巡らされた本格ミステリー。箕輪家の長男・要は、自室で毒入りコーヒーを飲んで自殺。しかし、「遺書」と書かれた便箋こそ見つかったものの、その中身は白紙だった。そして12年後の命日、家族が集まった嵐の夜に、今度は父親が自室で死んだ。傍らには毒入りと思しきコーヒーと白紙の遺書――それは、要のときと同じ状況で……。果たして、連関する二つの死の真相とは? 酷い嵐のために道路が冠水して医者や警察も来られないなか、たまたま道に迷って居合わせた闖入者の男たちが事件の謎に挑む。

「スマホを落としただけなのに 連続殺人鬼の誕生」

累計97万部突破の大ヒットシリーズ最新刊は、15人以上を殺害してきた連続殺人鬼が生まれるまでの物語(エピソード・ゼロ)です。神奈川県の山中で大量の白骨死体が発見された連続猟奇殺人事件。スマートフォンを駆使して黒髪の女性ばかりを狙った猟奇的な事件だった。朝起きると、首を吊って天井からぶら下がった母親を発見した佐藤翔太。身寄りのない翔太は養護施設に送られ、神田ヨシハルという少年に出会う。神田は翔太と距離を縮めて殺人を促し、翔太は施設長の殺害に加担することになる。しかし翔太に殺害した記憶はなく——。神田はハッカーとして生計を立て、犯罪に次々と手を染めていた。そして翔太の殺害を企てるが——。物静かで孤独な少年を“怪物”にしたターニング・ポイントは、どこなのか。『このミステリーがすごい!』大賞シリーズ。

「百年の子」

昭和~令和へ壮大なスケールで描く人間賛歌 人類の歴史は百万年。だが、子どもと女性の人権の歴史は、まだ百年に満たない。 舞台は、令和と昭和の、とある出版社。コロナ蔓延の社会で、世の中も閉塞感と暗いムードの中、意に沿わない異動でやる気をなくしている明日花(28歳)。そんな折、自分の会社文林館が出版する児童向けの学年誌100年の歴史を調べるうちに、今は認知症になっている祖母が、戦中、学年誌の編集に関わっていたことを知る。 世界に例を見ない学年別学年誌百年の歴史は、子ども文化史を映す鏡でもあった。 なぜ祖母は、これまでこのことを自分に話してくれなかったのか。その秘密を紐解くうちに、明日花は、子どもの人権、文化、心と真剣に対峙し格闘する、先人たちの姿を発見してゆくことになる。 子どもの人権を真剣に考える大人たちの軌跡を縦糸に、母親と子どもの絆を横糸に、物語は様々な思いを織り込んで、この先の未来への切なる願いを映し出す。 戦争、抗争、虐待……。繰り返される悪しき循環に風穴をあけるため、今、私たちになにができるのか。 いまの時代にこそ読むべき、壮大な人間賛歌です。

「警官は吠えない」

ラブラドール・レトリバーのナインと山小屋で暮らす元刑事・村瀬の前に、突然見知らぬ青年・秋山亮が現れた。 「悪いが、しばらくの間、彼の世話を頼む」と書かれた手紙を持って。 手紙の主は、京都左京署時代にコンビを組んでいた刑事・柳智也。 元相棒の勝手な振る舞いに戸惑う村瀬は柳に連絡を取ろうとするが、まったく電話に出ない。 嫌な予感を覚えつつも、預かる理由が分からないまま、秋山の面倒を見る羽目に――。 柳の身を案じ、ひとりで捜し始めた村瀬は、なぜか京都市南部に古くから大きな勢力を持っている暴力団・条南興業から圧力をかけられる。 さらに、条南興業の敵で、北部を縄張りにする北天会のナンバー2である阿佐井峻が姿を見せ、村瀬を手助けすると言い出した。 いったい理由はなんなのか? 困惑する中、村瀬の後輩刑事・三島翔太から電話が入る。 「秋山亮が死体で見つかった」と――。 預かっている青年と殺された男は、同姓同名の別人なのか? 真相を追う村瀬に、手帳を置いた原因となった発砲事件が立ちはだかる。

「死者の試写会へようこそ 怪異名所巡り 12」

人間だけじゃない。幽霊にだって深い事情があるのです。 霊感バスガイド・町田藍が、怪奇現象の裏に隠された真実を明らかにする! <すずめバス>シリーズ最新刊! 何が上映されるかわからない試写会<スニークプレビュー>に誘われた藍。 そこで上映されたのは、実際に起きた殺人事件をモデルにしている映画で……。 表題作「死者の試写会へようこそ」など、全6話。 〈幽霊と話せる〉名物バスガイドが、悩める人々と幽霊たちの心の霧を晴らす!

「さくら聖・咲く: 佐倉聖の事件簿」

弟を養うためサラリーマンになる!そう決意した大学三年の佐倉聖。元政治家、大堂の下で事務員をしているが、コネ採用はお断りだ。事務所がらみの難問は鮮やかに解決する聖も、就職活動では悪戦苦闘。面接先の広告代理店では事件に遭遇、商社ではインターンシップを突然クビに。奮闘する聖の元に、身に覚えのない五通の内定通知が届く―。爽快感あふれる青春ユーモア・ミステリー。

「潜伏犯 捜査前線」

相棒はシングルマザー刑事――殺人事件で組んだ警視庁捜査一課の波多野警部と保科志帆刑事には因縁の過去が。傑作警察小説!

「村でいちばんの首吊りの木」

母から息子への痛切な願い。手紙に秘められた真相は!? 手首を切断された女の死体を名古屋の下宿に残して長男が失踪。事件の第一発見者は、奥飛騨の寒村から長男を訪ねてきた母親だった。息子の無実を訴える母と、大学受験を控えた次男との間で交わされる手紙が、やがて驚愕の真実を浮き彫りに……。 著者ベスト級の呼び声高い表題作ほか、騙りの技巧を凝らした中編三本を収録。極上の本格ミステリ集! 初文庫化を記念して、ミステリ作家・阿津川辰海氏とのロング対談を特別収録!

「八月の御所グラウンド」

京都が生んだ、やさしい奇跡。 ホルモー・シリーズ以来16年ぶり 京都×青春感動作 女子全国高校駅伝――都大路にピンチランナーとして挑む、絶望的に方向音痴な女子高校生。 謎の草野球大会――借金のカタに、早朝の御所G(グラウンド)でたまひで杯に参加する羽目になった大学生。 京都で起きる、幻のような出会いが生んだドラマとは――。 今度のマキメは、じんわり優しく、少し切ない 人生の、愛しく、ほろ苦い味わいを綴る傑作2篇

「アガタ」

「見えているのに見えないもの、それを捜すのよ」 オシャレすぎる女性警視が新米刑事に突きつけた言葉の意味は? 美大に通う女子学生が背中をめった刺しにされて殺された。しかし、指紋も足跡もなく、防犯カメラの映像も残っていない。警視庁の捜査一課に異動したばかりの青木一は捜査本部に呼ばれ、地元の有力者の息子がストーカーだったという噂を耳にして、無断で本人に接触したため管理官から大目玉を食らう。一方、鵜飼縣は警視庁本部庁舎の片隅であらゆる犯罪情報を収集分析して汎用性の高い検索システムを構築している。スタッフの桜端道が投資詐欺事件の情報をつつきまわすうちにたどり着いた謎の闇サイトには殺人現場の生々しい写真が。縣は秘かに美大生殺害事件の捜査の進み行きを探り始める……。 『脳男』の作者による規格外の警察小説の誕生!

「耳袋秘帖 南町奉行と幽霊心中」

大川の小舟で発見された心中死体は、別々の事件で死んだはずの二人だった。洗い直すと怪しいことばかり。次々に起こる怪異の行方は?

「凍結事案捜査班 時の呪縛」

警察小説界注目の実力派作家・麻見和史氏が文春文庫初登場です!主人公の藤木は50代の男性刑事。もともとはやり手刑事でしたが、妻をガンで亡くしたことで仕事への意欲を失い。コールドケース(未解決事件)を扱う「警視庁捜査一課 特命捜査対策室支援係」に配属されます。そこに、30年前に立川でおきた小学4年生遺体遺棄事件の再捜査が命じられます。子供を失った父親に話を聞くことで、藤木が失っていた「刑事の矜持」が再び動き出すのか? 「曲者」が揃った「支援係」の面々とたどり着いた事件の真相とは!?

「終末のアリア」

2021年9月11日、国会議事堂に無人機が墜落・炎上した。同時多発テロから20年のこの日、誰が何を目的に日本の中枢を狙ったのか。同じ日、国際指名手配中のイスラム過激派テロリスト・赤星瑛一が警察に出頭、「CIAに暗殺される」と保護を求めてきた。警察は赤星をテロ犯と睨み拘束するも、その後サイバー攻撃が立て続けに発生、電力供給がストップし東京は大混乱に陥る。取調室の赤星は「神の裁き」だと繰り返すばかりで犯人像は掴めぬまま、追い打ちをかけるように北朝鮮からのミサイル発射警報が鳴るー。未曾有の危機に、日本政府はどう立ち向かうのか?

まとめ