最近はなくなりましたが、たまに作った番組のクレームを受けることがありました。電話の向こうはお客様なので筋の通ったご意見には対応します。中にはわけのわからない人もいます。そうした人には適当に相槌を打ちました。
ごく稀に、威力業務妨害に当たるようなケースもありました。こうしたケースは大体粘着質です。ああ言えばこういうタイプの相手です。正直な受け答えをすると時間は延々過ぎていきます。
問題をただすというのではなく、自分の存在感を主張するために電話というリアルな手段を使って不満をぶつける。電話口の向こうに常識が通じない世界が広がっていることを感じました。
Contents
クレーマーとネット炎上
ネットが炎上するとき、何が起きているのか。
意思疎通の手段がアナログな電話からデジタルなネットに変わっても、本質は変わらないと私は思います。
ネットの炎上は、不満を持つ自分の存在に注目してほしいという思いから始まります。
その数が少ないうちは鬱憤ばらしですみますが、その数が多くなると社会不安に繋がりかねません。その実例がアメリカの大統領選で明るみに出ました。
「いいね! 」戦争 兵器化するソーシャルメディア
軍事研究とSNS研究の第一線で活躍する知識人が、多数の事例をもとにネット炎上の本質と、炎上がもたらす危機の実態を解明した本です。
「自分の存在を認めてほしい」と不満をネットにぶつける個人。その存在を巧みに利用して自分の利益に繋げる政治家の登場。こうした現象は世界中に拡大しています。
そのいい例が先の参院選。炎上を煽る政治家が日本にも誕生してしまいました。
なぜネット上に「荒らし」やフェイクニュースが氾濫するのか?
- フェイクニュースは、真実を伝える記事より約6倍速く広がる。
- 以前に聞いたことがあるニュースは、嘘であっても信じられやすい。
- SNSで最も早く遠くまで伝わる感情は怒りである。
ネットを使いこなす上で、個人情報の保護に注目が集まります。知らないうちに自分の情報が第三者に使われてしまうことがあるからです。個人の情報を不正に使った詐欺事件もあとを絶ちません。
個人の不利益はわかりやすいリスクです。しかしそれ以上に恐ろしいのは社会的なリスクのように思います。フェイクニュースに踊らされ、誤った選択をするリスクは個人の被るリスクを大きく上回るのです。
武器として使われるのがSNS。それも私たちが気軽に使う”いいね”のメッセージだという指摘には驚愕します。
ネットリテラシーとは「インターネットの便利さと脅威、ルールを理解し、適確な情報を利用して、よりよい情報発信をすることができる能力」を言います。
ネットで起きている現実を冷静に受け止め、危機を乗り切る力を身に着けることが求められています。