【順位】2023年 ベスト経済書 はこれだ

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 ベスト経済書 を書きます。

毎年年末恒例の選書ランキングが週刊ダイヤモンドに発表されました。

経済学者・経営学者・エコノミスト123人が選んだベスト経済書です。

2023年 ベスト経済書

1.「行動経済学」室岡健志

1) 行動経済学の理論と伝統的な経済学の理論のつながり、その背後にあるエビデンスを明確に示しながら解説。
2) 行動経済学の理論が、経済学のさまざまな分野でどのように応用されているかを具体的に解説。たとえば、貯蓄行動、購買行動、求職活動、労働契約、教育、財政、医療、健康などへの応用例を紹介。
3) 行動経済学に関連する政策、データ収集、実験などの実施を考えるための理論な基盤を提供。たとえば、消費者保護政策、競争政策、課税政策、年金政策などを考える。

2.「21世紀の財政政策 低金利・高債務下の正しい経済戦略」オリヴィエ・ブランシャール

マクロ経済学の世界的権威が読み解く財政課題、そして日本への教訓
日本は現在の金融政策・財政政策を維持できるのか?
長期に及ぶ低金利、目標に到達しないインフレと低成長……。金融政策が実効下限制約に直面する中で、本当に必要な経済政策とはいかなるものか。マクロ経済学の世界的権威が、経済の安定化に向けて、財政政策の役割を明らかにする。
財政政策については2つの対立する見方がある。1つは高水準の債務から債務削減を絶対的な優先事項とするものであり、もう1つは低金利を理由に財政には余地があり、債務の増加も排除すべきではないとするものだ。
一方、本書では、低金利は債務の財政面の費用だけでなく、債務の厚生面での費用も低下させるとして、低金利によって金融政策の余地が縮小する中で、財政政策をマクロ経済の安定化のために活用することの利点を提唱する。
日本は現在の金融政策や財政政策を続けることができるのか。財政破綻、金利上昇のリスクをどう見るか。日本が長期停滞を脱するための正しい方向性とは?
今後の日本のマクロ経済政策の方向性の輪郭を説得的に示し、1990年代以降の日本の金融政策と財政政策について丁寧に分析。近年進められているマクロ経済政策の再検討において決定版となる一冊。

3.「なぜ男女の賃金に格差があるのか:女性の生き方の経済学」クラウディア・ゴールディン

女性たちはどのように「家族」と「仕事」を選択してきたのか。
ウーマンリブ、「静かな革命」、リリー・レッドベター公平賃金法など、20世紀以降を振り返りながら、
各職業のデータを経済分析し、女性の賃金の上昇を阻む原因を抉り出す。
アメリカのみならず世界の先進国の男女の「働き方」を見直すきっかけとなる一冊。

5.「中央銀行はお金を創造できるか―信用システムの貨幣史―」金井雄一

社会に深く浸透している経済学の「常識」が、いかに貨幣の実態を捉えそこね、不合理な判断や施策を生み出してきたか、イギリス金融史の精緻な分析をもとに鋭く実証。近代的貨幣の生成プロセスを「信用」の次元から描き直すことで、MMTにもつながる素朴な認識を覆し、政策の指針を示す。

6.「イノベーション」清水 洋

どのような性質を持ち,どのようなバターンがあるのか? そしてどのようなメカニズムで生み出されるのか? イノベーションそのものに焦点を当て,基礎から定義・測定,組織,政策まで学ぶ基本書。姉妹書『アントレプレナーシップ』とあわせて読むとより効果的。

7.「半導体戦争 世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防」クリス・ミラー

半導体は石油を超える「戦略的資源」だった――
気鋭の経済史家が鮮やかに解き明かす、いびつな業界構造と米中対立の新側面
半導体不足の主な原因は、半導体サプライ・チェーンの問題にあるわけではなかった。
確かに、供給の混乱もあるにはあった。たとえば、COVID-19によるマレーシアのロックダウンで、現地の半導体パッケージング業務に支障が生じたのは事実だ。しかし、調査会社のICインサイツによると、2021年の世界全体の半導体デバイスの生産量は、1.1兆個以上と過去最高だった。2020年比で13%増だ。
つまり、半導体不足は、供給の問題というより、主に需要の増加の問題だったのである。半導体の需要を突き上げていたのは、新型のPC、5Gの携帯電話、AI対応のデータ・センター、そして突き詰めれば、計算能力を求める私たちの飽くなき欲求だった。
こうして、世界中の政治家たちが、半導体サプライ・チェーンのジレンマを見誤った。

8.「民主主義の経済学 社会変革のための思考法」

 いま民主主義の真価が問われている。ロシア、中国、イラン、北朝鮮といった民主主義とは異質な権威主義国家の脅威だけでなく、トランプ前大統領時代からのアメリカ国内の混乱など、民主主義国家の存在を揺るがす事態が続いている。
 本書は近年目覚ましく発展している「新しい政治経済学」による民主主義の分析である。選挙を中心に政治経済学の代表的なモデルと、それに関連する実証研究を紹介する。

9.「価値論 人類学からの総合的視座の構築」デヴィッド グレーバー

『負債論』や『ブルシット・ジョブ』そして遺作となった『万物の黎明(The dawn of everything)』(D・ウェングロウとの共著)などの著作で、つねに世の「常識」とされるものの根幹にある思考パターンの転覆を試みてきたデヴィッド・グレーバーが、自身の博士論文の出版を後回しにしてまで取り組んだ「最初の主著」であり、袋小路に入り込んでいる社会理論がそこから抜け出すために仕掛けられた「価値の総合理論」。
さまざまな社会の価値体系を記述してきた人類学は、ポストモダン(思想)と新自由主義が席巻するなか、批判なき相対主義という罠に嵌っている。その人類学を救い出そうとするグレーバーの当初の目論見は思わぬ壮大な思考実験、つまり新たな価値理論の構築へと進む──
「意味の体系(この世界を理解したい)」と「欲望の理論(このような状況を実現したい)」を、そしてカール・マルクスとマルセル・モースを架橋する、のちに複数の怪物的な著作として結実したグレーバー思想の源流。

10.「資本とイデオロギー」トマ・ピケティ

ベストセラー『21世紀の資本』を発展継承する超大作、ついに邦訳。《財産主義》という視点から、三機能社会、奴隷制社会、フランス革命、植民地支配から現代のハイパー資本主義まで、巨大なスケールで世界史をたどり、イデオロギーと格差の関係を明らかにする。さらには《バラモン左翼》と《商人右翼》の連合に囚われつつある現代民主政治を分析。労働者の企業統治参画と累進年次資産税など、新たな公正な経済システムを提示する。

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