「文春図書館2022ミステリーベスト10」。
- 1位「方舟」夕木春央
- 2位「名探偵のいけにえ」白井智之
- 3位「#真相をお話しします」結城真一郎
- 4位「爆弾」悟 勝浩
- 5位「此の世の果ての殺人」荒木あかね
- 6位 「リバー」奥田英朗
- 7位「同志少女よ、敵を撃て」逢坂冬馬
- 8位「捜査線上の夕映え」有栖川有栖
- 9位「俺ではない炎上」朝倉秋成
- 10位「馬鹿みたいな話!」辻真先
- 11位「プリンシパル」長浦京
- 12位「夜の道標」芹沢 央
- 13位「録音された誘拐」阿津辰海
- 14位「君のクイズ」小川 哲
- 14位「煉獄の時」笠井 潔
- 16位「爆発物処理班の遭遇したスピン」佐藤究
- 17位「地図と拳」小川 哲
- 18位「神薙虚無最後の事件」紺野天龍
- 19位「名探偵に甘美なる死を」方丈貴恵
- 20位「入れ子細工の夜」阿津川辰海
1位「方舟」夕木春央
山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれ水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。そんな矢先に殺人が起こった。タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。
- いや~、久しぶりに帯の大絶賛通り、大当たりの作品でした。たまには帯を信じていいんだ。ラスト数ページまでは正直まあまあというレベルだったんですが、ラスト数ページで世界反転。
- 大ドンデン返し!えー!考えもしなかった結末。 最初は読み難く、進みが遅かったけれど中盤からはどうなる?誰が犯人?と考えながら読み耽る。
- あぁあーーーっ!!!読後、絶句&目の前が真っ暗になった。(新幹線内で読み終えてしまい、ショックを抑えるのに必死
2位「名探偵のいけにえ」白井智之
病気も怪我も存在せず、失われた四肢さえ蘇る、奇蹟の楽園ジョーデンタウン。調査に赴いたまま戻らない助手を心配して教団の本拠地に乗り込んだ探偵・大塒は、次々と不審な死に遭遇する。奇蹟 VS 探偵!ロジックは、カルトの信仰に勝つことができるのか?
- タイトル回収もよく出来ていて、最後まで驚きの連続だった。いけにえとは何のことだろうとは思っていたが、まさかサブタイトルまで伏線だったとは。
- 評判通り、めちゃくちゃ面白かったです!どれも納得感のあるロジカルな多重推理、これでもかという伏線の数々、二転三転そのまた先の真実、そして見事なタイトル回収、どれもが圧巻としか言いようがない大傑作。面白かった。
- 誰が、どのように、よりも「なぜ」が染みた。心に残りそうな作品。りり子さん、好きです。
3位「#真相をお話しします」結城真一郎
「でも、何かがおかしい」5つのお話。かすかな違和感。そして狂気。「何となくラストが見えるなー」なんて思いながら読んでいくと・・・。私たちの日常に潜む小さな”歪み”、あなたは見抜くことができるか。
- 今の時代を描いた短編集でテンポもよく文書も読みやすいのでどんでん返し物を手軽に読みたいって人におすすめ。
- ストーリーはとにかくひねってあるので、いい意味で裏切られておもしろかったです。一読の価値あります。
- 短編5編で繋がりは無くてちょっと怖い、人間的な意味で。パパ活やUber、YouTubeなど、現代のツールを駆使した時代にあったミステリーだった。
4位「爆弾」悟 勝浩
- タイムリミットへの緊張感の中、感情を表に出さす自分を卑下しながらも心の奥底をついてくる容疑者スズキタゴサクと刑事たちの駆け引きに読む手が止まらない。
- 事件の真相やスズキの正体になかなか辿り着かせず、読むのを止められない。高度な心理戦や人の心の闇を抉り出すような描写など、感情も揺さぶられる一冊。
- 警察も大変だな…。こんなストーリーを考えつく作者って、すごい犯罪できそう…笑。最後の爆弾は…?楽しませてもらいました。
5位「此の世の果ての殺人」荒木あかね
小惑星「テロス」が日本に衝突することが発表され、世界は大混乱に陥った。そんなパニックをよそに、小春は淡々とひとり太宰府で自動車の教習を受け続けている。小さな夢を叶えるために。年末、ある教習車のトランクを開けると、滅多刺しにされた女性の死体を発見する。教官で元刑事のイサガワとともに、地球最後の謎解きを始める――。
- あと2ヶ月で小惑星が衝突、と何処かで見たような設定なのに、既視感は少ない。一見ハチャメチャだけど、それぞれ筋が通っていてうなずける。
- 週末世界と言う設定が斬新、但し、それほど暗い気持ちにならずに読めた。登場人物がそれぞれ魅力的で、人間模様としても充分楽しめた。期待以上の良作だった。
- 謎を追う道中で出会う地球最後の時を過ごす人々の姿に色々な感情を刺激されて面白かった!主人公のハルに完全に感情移入してしまい最後は涙しながら読み進めました。
6位 「リバー」奥田英朗
同一犯か? 模倣犯か?
群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で相次いで女性の死体が発見!
十年前の未解決連続殺人事件と酷似した手口が、街を凍らせていく。
- 長編でありながら解決には至らず、動機もモヤモヤのままだが、大作だからこそのリアルさと得体の知れない不気味さを思いっ切り味わって読了。
- 600ページを超える分厚い本だけど、飽きさせない。容疑者3人とも怪しすぎ。
- 誰が真犯人かという読みはことごとく覆され、「おいおい、そんなんありかい」と絶句した。
7位「同志少女よ、敵を撃て」逢坂冬馬
独ソ戦が激化する1942年。ドイツ軍によって、母親を殺された主人公は復讐するために一流の狙撃兵になることを決意する。独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かいおびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵”とは?
- 最後は救われて安堵。戦争が人を変えてしまうのは度々聞く話だが、それにしても女性たちを傷つけ苦しめる男性にはほとほと嫌気が差す。
- セラフィマが戦争から学びとった命の意味。「失った命は元に戻ることはなく、代わりになる命もまた存在しない。」
- ミステリとして読まなくても十二分に面白く、戦争小説としても、セラフィマの成長物語ヒューマンドラマとしても完成度が高い物語になっていた。
8位「捜査線上の夕映え」有栖川有栖
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捜査線上の夕映え(有栖川有栖)2022-01-11
大阪の場末のマンションの一室で、男が鈍器で殴り殺された。金銭の貸し借りや異性関係のトラブルで、容疑者が浮上するも……。「俺が名探偵の役目を果たせるかどうか、今回は怪しい」
火村を追い詰めた、不気味なジョーカーの存在とは――。
- こういう球を投げて来るとは思ってなかった。旅情を掻き立てられ、上品な文章に身を委ねる、心地良い時間が過ごせました。
- いいなあ鈍行で南紀一周! 電波不通のロッジに篭って名著一気読み! トリックはわりと脱力系だけど、物語的な肉付けのお陰でなかなか印象的。
- もう30年に亘るシリーズの最新作。時代は移れど謎解きの楽しみと、何よりもシリーズの「空気感」を変わらなく味わえました。
9位「俺ではない炎上」朝倉秋成
- 途中から先が気になって目まぐるしく変わる状況に読む手を止められず寝不足…。続きが気になって早く読書する時間を作りたいと思ってようやく読める時は至福でした。
- 身近な恐怖を感じさせるリアリティがあり「六人の嘘つきな大学生」より好みの作品だった。
- 前作に引き続き、この本も気持ち良く騙されました。スピード感あふれそういうところも現代的かなと思います。でも怖いネットの情報量。
10位「馬鹿みたいな話!」辻真先
11位「プリンシパル」長浦京
1945年。暴力組織の一人娘は父の死により、後継者の兄たちが戦地から帰還するまで「代行」役となることを余儀なくされる。幾多の謀略を経て、次第に権力と暴力の魔力に魅せられていく綾女。そして、鮮血に彩られた闘争の遍歴は、やがて、戦後日本の闇をも呑み込む。
- なかなかの殺戮もので過去のヤクザ抗争もびっくりの展開。戦後のアンダーグラウンド史を下敷きに、事実とフィクションをうまく重ねた作品。
- 血で血を洗う所業のオンパレード。これぞ長浦作品!戦後間もないヤクザが蔓延っていた時代。侠気に生きる物語は正に高倉健、鶴田浩二を思い出させる。
- 惰性で読むが、挫折寸前だった。一転、100pあたりからは俄然物語世界に没入して、あとはほぼ一気呵成。小説構成の荒っぽさもかえって魅力になっていて、長編らしい読み味
12位「夜の道標」芹沢 央
13位「録音された誘拐」阿津辰海
大野探偵事務所の所長・大野糺が誘拐された⁉ 耳が良いのがとりえの助手・山口美々香は様々な手掛かりから、微妙な違和感を聞き逃さず真実に迫るが、その裏には15年前のある事件の影があった。誘拐犯VS.探偵たちの息詰まる攻防。本当に騙されていたのは誰だ?
- 犯人との攻防戦は二転三転して、面白くて飽きない展開だった。これはほぼシリーズ化するだろうから続編お願いします。
- 小さな伏線を撒いては回収に次ぐ回収。徐々にボルテージを上げていったところでのラストの…。飽きさせない展開が極上のエンタメテイスト。いやぁ、老獪にして達者。
- 次から次へ明らかにされる真相。思いもよらぬところが伏線になっていたりして、さすがの構成力。著者は今一番のっているミステリ作家ではないか。
14位「君のクイズ」小川 哲
14位「煉獄の時」笠井 潔
16位「爆発物処理班の遭遇したスピン」佐藤究
爆発物処理班の遭遇したスピン…鹿児島県の小学校に、爆破予告が入る。急行した爆発物処理班の駒沢と宇原が目にしたのは黒い箱。事件のカギとなるのは量子力学!?第165回直木賞作家 異次元レベルの最新短編集
- 全編から例外なく立ち上る芳醇な暴力のにおいに読後の酩酊感が半端ないです。直木賞選考で的外れな選評してた林真理子をバカにしてたけど、これは確かに読む人選ぶなあ。
- 短編集と知らずに読んだ。のめり込むとは、こういうことか。人の心情や情景がスルスル入り込んでくる。佐藤究作品を初めて読んだが面白かった。
- この人、警察・ヤクザ・狂気が抜群にうまい。なぜこんなにリアリティを感じるのか不思議。一番好きなのは「猿人マグラ」。ぶっちぎりで好き。次点が「九三式」。
17位「地図と拳」小川 哲
18位「神薙虚無最後の事件」紺野天龍
19位「名探偵に甘美なる死を」方丈貴恵
- これぞ本格ミステリー!と言わんばかりに謎解きパートが素晴らしく、散りばめられた謎が、ロジカルに綺麗に組み上げられいく様は圧巻です。
- 素人探偵が集められ、VR空間と現実空間とを行き来する中で、犯行と推理と反証が繰り返される。よくこんなの思いつくなぁ!
- 素人探偵たちが弄するトリックも含めると、一冊とは思えない量の推理を楽しめる。しかもどれもが高水準。文句なしに楽しめた。特殊設定ミステリ好きは必読。
20位「入れ子細工の夜」阿津川辰海
『透明人間は密室に潜む』の衝撃、ふたたび――。古書の街に現れた探偵の秘密、禁断の「犯人当て入試」狂騒曲、虚実が裏返る入れ子細工の2人劇、コロナ禍に覆面レスラー大集合で本人確認不能?……本格ミステリの極限を探る、濃縮された四編。
- 二転三転して、結末が全く読めない。何よりも作者さんのミステリー好きがよく伝わってきて、登場する作品にニヤリとしてしまう。
- 阿津川辰海。やっぱり厚みが違うんだよな。短編集でもやりたい放題ぶちかましてくる姿勢がたまらない。いいぞ、もっとやれ!!!てか、やりすぎでしょ、これ。
- マスクマンや犯人当て入試はコメディ色が強くて笑ってしまう面白さだったけど、ハードボイルド・探偵の話がいちばん好き。鮮やかなどんでん返しに「はぁあ??」ってなる。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 文春図書館 を書きます。