【順位】 このミステリーがすごい! 2022年版 海外部門ランキング20

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 このミステリーがすごい! を書きます。

全国のミステリーファンのガイドブックとして親しまれるのが「このミステリーがすごい!」

一年間に発行されたミステリーをランキング形式で紹介するガイドブックです。

海外編ランキング一位は「 ヨルガオ殺人事件 」でした。

1ヨルガオ殺人事件
2自由研究には向かない殺人
3スリープウォーカー
4父を撃った12の銃弾
5台北プライベートアイ
6オクトーバー・リスト
7彼と彼女の衝撃の瞬間
8木曜殺人クラブ
9TOKYO REDUX 下山迷宮
10第八の探偵

【速報】週刊文春2022ミステリーベスト10決定・国内編 一位は黒牢城

【速報】週刊文春2022ミステリーベスト10決定・海外編 一位はヨルガオ殺人事件

1.ヨルガオ殺人事件 上・下

『カササギ殺人事件』から2年。クレタ島でホテルを経営する元編集者のわたしを、英国から裕福な夫妻が訪ねてくる。彼らが所有するホテルで8年前に起きた殺人事件の真相をある本で見つけた──そう連絡してきた直後に娘が失踪したというのだ。その本とは名探偵〈アティカス・ピュント〉シリーズの『愚行の代償』。かつてわたしが編集したミステリだった……。

2.自由研究には向かない殺人

高校生のピップは自由研究で、5年前に自分の住む町で起きた17歳の少女の失踪事件を調べている。交際相手の少年が彼女を殺害し、自殺したとされていた。その少年と親しかったピップは、彼が犯人だとは信じられず、無実を証明するために、自由研究を口実に警察や新聞記者、関係者たちにインタビューをはじめる。ところが、身近な人物が次々と容疑者として浮かんできてしまい……。予想外の事実にもひるまず、事件の謎を追うピップがたどりついた驚愕の真相とは。ひたむきな主人公の姿が胸を打つ、英米で大ベストセラーとなった謎解きミステリ!

  • 現実の謎解きもアティカス・ピュントの謎解きもどちらも面白くて目が離せません。作中作『愚行の代償』への流れもスムーズで楽しめました。
  • 今回も間違いのない面白さです。一晩通して読む経験がこの歳になってあるとは思いませんでした。迷っている方、ミステリ初心者の方、あまりミステリに興味がない方、全てにおすすめです!
  • 現実世界と作中作の登場人物をリンクさせながら読み進めていくのがおもしろくて、二転三転あったのでハラハラドキドキしながらほんまに最後まで楽しませてもらいました。

3.スリープウォーカー マンチェスター市警 エイダン・ウェイツ

「スリープウォーカー」 | 気持ちのスイッチ

十数年前、夢うつつのまま一家を惨殺したと目される男〈夢遊病犯(スリープウォーカー)〉が、癌で余命宣告され病院に収容された。相棒サティと共に警護を命じられたエイダンだったが、男は何者かの襲撃を受けて眼前で死亡。サティも重傷を負う。現場には怪しげなジャンキーの女の姿が。なぜ死にかけている男がわざわざ殺されたのか?真相を追うエイダンにまたしても〝警察の闇〟が襲いかかり、同時に彼を憎む凶悪な犯罪者に命を狙われることに。その魔の手は、やがて長く離ればなれだった妹にまで向けられていく――。人物造型、謎解き、人間ドラマと、すべてに秀でた警察ノワール完成型の誕生。

  • 解説に「名探偵みなを集めてさてと言い」という句が紹介されていた。
  • 八方塞がりの状況で逃げ出すわけにもいかず、結局巻き込まれていたのは組織の権力争いという、いかにもノワールな作。
  • 本作では12年前の一家惨殺事件の真犯人探しと、賞金首となってしまった刑事ウェイツ自身の生き残り戦が並行して描かれる。

4.父を撃った12の銃弾

12歳の少女ルーは、父とともに亡き母の故郷に移り住んだ。それまでは父とふたり、各地を転々としながら暮らしてきたが、娘に真っ当な暮らしをさせようと、父サミュエルは真っ当に働くことを決めたのだ。しかし母方の祖母は父娘に会おうとしない。母はなぜ死んだのか。自分が生まれる前、両親はどんなふうに生きてきたのか。父の身体に刻まれた弾傷はどうしてできたのか。真相は彼女が考える以上に重く、その因縁が父娘に忍び寄りつつあった……。

  • 銃社会や壮大な自然の描写が、アメリカという国のスケールの大きさを良くも悪くも著しており、ハードボイルド小説に一味足した感触をもたらしていると思った。
  • 父と暮らす娘の成長とその父の過去の話が交互に展開する構成もよかった。
  • ハードボイルド家庭小説。自然描写の鮮やかさ、ルーのこじれにこじれた思春期模様、ホーリーの逃れようのない暴力人生、そのどれもが映像として脳裏に映し出された。

5.台北プライベートアイ

劇作家で大学教授でもある呉誠(ウ―チェン)は若い頃からパニック障害と鬱病に悩まされてきた。
ある日、日頃の鬱憤が爆発して酒席で出席者全員を辛辣に罵倒してしまう。
恥じ入った呉誠は芝居も教職もなげうって台北の裏路地・臥龍街に隠遁し、私立探偵の看板を掲げることに。
だが、にわか仕立ての素人探偵が台北中を震撼させる猟奇事件・六張犂(リュウチャンリ)連続殺人事件に巻き込まれ、警察から犯人と疑われる羽目に陥る。
呉誠は己の冤罪をはらすため、自分の力で真犯人を見つけ出すことを誓う。
監視カメラが路地の隅々まで設置された台北で次々と殺人を行い、あまつさえ呉誠の自宅にまで密かに侵入する謎のシリアルキラー〈六張犂の殺人鬼〉の正体は?

  • 何故か懐かしい気持ちにさせてくれる、台湾行きたい気持ちMAXにさせてくれるハードボイルドテイストミステリー。情景もいいが人間模様もいい。
  • 猥雑さのある台北の空気感も魅力的で、日本の作家の名前がちょこちょこ出てくるのも嬉しい。
  • 序盤こそ、散文調のどこにいくのか分からない思索に戸惑いましたが、警察・マスコミ相手に丁々発止でやり合う、中盤以降は熱に駆られるように面白かった。

6.オクトーバー・リスト

娘を誘拐され、秘密のリストの引き渡しを要求された女ガブリエラ。隠れ家にひそみ、誘拐犯との交渉に向かった友人の帰りを待っていた。しかし玄関にあらわれたのは誘拐犯だった。その手には銃。それを掲げ、誘拐犯は皮肉に笑った……。だが読者よご用心。全ては見かけ通りではない。章ごとに物語は時間軸をさかのぼり、あなたの知らなかった「事実」が次々に明かされ、白は黒に、黒は白に反転をくりかえす。謎のオクトーバー・リスト。それを狙う者たち。迷路のようなニューヨークの街で展開される人狩り。世界最強のサプライズの魔術師ディーヴァーが繰り出すサスペンスとサプライズ。そして全ての真相が明かされるのはラスト2章!

  • 物語は最終章から始まる。時間を遡りながら進行して行く前代未聞のサスペンスだ。章を追うごとに、事件の詳細が明らかになっていくが、事件が解明されるのは終わり2章から。
  • アイディアといい、構成力といい、もはや天才的。普通はこの後どうなるの?って読むものだけど、この前に一体何があったの?というのが気になって、ぐいぐい引き込まれてしまう。
  • なるほどねぇ、そうきたか。紹介文や皆さんのレビューでどんでん返しがあることはわかってたので、半ば過ぎには怪しいと思い始めたけどそれでもひっくり返しっぷりはみごとでした。

7. 彼と彼女の衝撃の瞬間

ロンドンから車で2時間ほどの距離にある町・ブラックダウンの森で、女性の死体が発見された。爪にマニキュアで“偽善者”という言葉を書かれて……。故郷で起きたその事件の取材に向かったのは、ニュースキャスター職から外されたばかりのBBC記者のアナ。事件を捜査するのは、地元警察の警部ジャック。アナとジャックの視点で語られていく不可解な殺人事件。しかし、ふたりの言い分は微妙に食い違う。どちらかが嘘をついているのか? 

  • 語り手は事件を取材するBBCの女性記者アナと地元警察に所属するアナの元夫ジャック、そして謎の犯人らしき人物…この「信頼できない語り手」たちが語る物語、兎に角展開が素晴らしく読者を最後まで飽きさせないリーダビリティとそれを活かす訳文が秀逸。
  • サクサク読めてみんななにかを隠してる。登場人物一覧がないところからどんどん絞り込まれていくが。なかなか面白かった。
  • 各章の最後の一文で秘密や事実が次々と明かされて、それこそが私にとって「衝撃の瞬間」の連続だった。最後の最後まで犯人当ては定まらず、ミスリードされ続け、作者の意図通り翻弄される快感。

8.木曜殺人クラブ

未解決事件の調査をして暇をつぶす老人グループ〈木曜殺人クラブ〉。入居する施設の関係者が殺されたのをきっかけに、彼らは真相究明に乗り出すことに。英国で異例の速度で100万部突破のフーダニット。新人離れした完成度を誇るユーモラスな謎解きミステリ

  • ミステリーそのものより、高齢者施設に入居しているシニアたちの好奇心と行動力!の方が読みごたえがあった。 長い人生を歩いてきたそれぞれの人生に光が当たると本当にキラキラ輝く感じがした。
  • 英国ユーモアミステリの伝統を引き継ぐ傑作である。笑いだけでなく、アイロニーも悲しみもあり、ホロっとさせられる。
  • こんな楽しい老人になれるよう頑張ります。「太陽が昇り、空は青く、空気には殺人が漂っている。

9.TOKYO REDUX 下山迷宮

1964年、6月。初のオリンピックを目前にする東京で、下山事件に関する作品の取材を進めていた探偵小説作家・黒田浪漫が失踪した。編集者を名乗る男の依頼で黒田の行方を追うことになったのは元刑事の私立探偵・室田。だが消えた作家の足跡を追ううちに、室田は東京の暗い半面にひそむ黒い黒い迷宮に少しずつ踏み込んでゆく……。

  • ノンフィクションではない。自殺・他殺両説の謎解きとかではなく、迷宮「占領下」の日本・東京を描いた「小説」。下山事件を知るというならばやはり原点は清張の「黒い霧」で良い。 
  • 戦後最大の怪事件、「下山事件」。その闇にイギリス作家が挑む未曾有のミステリー大作。
  • ちょっと期待して読み始めたが、ダメだった。この反復、リフレイン。くど過ぎて読み進めない。夜の雨のシーンなど、効果的だなと思うところもあったが、全編、これをやられると、こっちが狂気じみてくる。

10.第八の探偵

独自の理論に基づいて、探偵小説黄金時代に一冊の短篇集『ホワイトの殺人事件集』を刊行し、その後、故郷から離れて小島に隠棲する作家グラント・マカリスター。彼のもとを訪れた編集者ジュリアは短篇集の復刊を持ちかける。ふたりは収録作をひとつひとつ読み返し、議論を交わしていくのだが……フーダニット、不可能犯罪、孤島で発見された住人の死体──7つの短篇推理小説が作中作として織り込まれた、破格のミステリ

  • 7篇の短編とその短編の間で、著者と編集者の対話を挟むという変わった構成。最後で大どんでん返しの構造が明らかとなり、まあよくもこんなこと思いついたなと感心。
  • 千街晶之が巻末で解説する通り、いかにも1980年代後半からの国産ミステリの趣向で、世界的に本格ミステリ再興の潮流があることを改めて嬉しく思った。

20位まで

11 悪童たち

優等生の中学二年生、朱朝陽(ジュー・チャオヤン)のもとに、孤児院から脱走してきた昔馴染みの少年丁浩(ディン・ハオ)とその〝妹分″の普普(プープー)が訪ねてくる。行く当てのない二人をかくまうことになり、当初は怯えていた朝陽だったが、しだいに心を開いていく。山に遊びに行ったあと、カメラで撮影した動画を見返していたとき、彼らはそこに信じがたい光景が映り込んでいたことに気づく。人が崖から突き落とされる場面が……衝撃の展開に息をのむ華文サスペンス

12 狼たちの城

第二次世界大戦の末期、ニュルンベルクのユダヤ人古書店主イザークと家族のもとにポーランド移送の通達が届く。彼は絶望のなか、レジスタンスに関わっていると聞いたかつての恋人クララを頼るが、彼女が用意してくれたのはゲシュタポの特別犯罪捜査官アドルフ・ヴァイスマンとしての偽の身分証だった。イザークは受け渡しの場でヴァイスマンに間違われたまま、ナチスに接収された城内で起きた女優殺人事件の捜査に臨むことに。ゲシュタポの深奥部で彼は無事生き抜き、事件を解明できるのか?

13 文学少女対数学少女

高校2年生の〝文学少女〟陸秋槎は自作の推理小説をきっかけに、孤高の天才〝数学少女〟韓采蘆と出逢う。彼女は作者の陸さえ予想だにしない真相を導き出して……〝犯人当て〟をめぐる論理の探求「連続体仮説」、数学史上最大の難問を小説化してしまう「フェルマー最後の事件」のほか、ふたりが出逢う様々な謎とともに新たな作中作が提示されていく全4篇の連作集。華文青春本格ミステリの新たなる傑作!

14 運命の証人

法廷でひとりの男がまさに始まらんとする裁判の審理を見守っていた。男は弁護士だが、この場所にいるのは二件の殺人の、ほぼ有罪が確定した被告としてだった。ことの始まりは六年前。駆け出しの事務弁護士としてキャリアをスタートさせたばかりの男は、友人にある女性を紹介される。のちに妻となるその美女との出会いから、運命は狂いだしたのだ。迫真の法廷論戦と精妙な謎解きが合わさった、ディヴァイン中期の傑作本格ミステリ!

15 誕生日パーティー

16 ビーフ巡査部長のための事件

17 老いた殺し屋の祈り

18 見知らぬ人

これは伝説的作家の短編の見立て殺人なのか? ――イギリスの中等学校タルガース校の旧館は、かつてヴィクトリア朝時代の作家ホランドの邸宅だった。クレアは同校の教師をしながら、ホランドの研究をしている。ある日、クレアの同僚が自宅で殺害されてしまう。遺体のそばには“地獄はからだ”と書かれたメモが残されていたが、それはホランドの幻想怪奇短編「見知らぬ人」に繰り返し出てくるフレーズだった……。作中作が事件を解く鍵となる、2021年海外ミステリ最高の注目作! 英国推理作家協会(CWA)賞受賞作家が満を持して発表し、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀長編賞受賞へと至った傑作!

19 ミラクル・クリーク

題名の「ミラクル・クリーク」とはバージニア州郊外の町の名前。ここには、傷害や難病の治療を行なう韓国人移民一家(ユー一家)が経営する酸素治療施設「ミラクル・サブマリン」がある。治療施設で火災が発生し、二名が命を落とした。1年後、はじまった裁判は、施設の経営者一家、その患者、関係者たちの秘密を明らかにする……。エドガー賞最優秀新人賞&国際スリラー作家協会最優秀新人賞二冠、心揺さぶる傑作。

20 血の葬送曲

スターリン体制下のレニングラード。人民警察の警部補ロッセルは、捜査を進めるうちに、連続殺人犯の正体を突き止められるのは自分しかいないと気づく。元ヴァイオリニストの自分しか。