2023年6月の 国内ミステリー ベスト5

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 国内ミステリー を書きます。

書店は本との出会いの場。しかし、新刊や旧作、ベストセラーと並んだ中からどんな作品を選んだらよいか悩む人も多いのではないでしょうか。

おすすめ国内ミステリーを月別にご紹介します。

2023年6月発行の国内ミステリー

2023年6月に発売された国内ミステリー小説をご紹介します。

  • 「この夏の星を見る」辻村深月
  • 「アンリアル」長浦京
  • 「エフェクトラ――紅門福助最厄の事件」霞流一
  • 「その謎を解いてはいけない」大滝瓶
  • 「アリアドネの声」井上真偽

さてこの5冊は年間ベストに入るでしょうか。

「槇ノ原戦記」

太平洋戦争。 寒村で起きた悲喜劇。 靜と綾。上槇ノ原で生まれた双子の姉妹には不思議な力が宿っていた。 天才的な頭脳と統率力を持つ靜。絶対に死なない綾。 そんな二人が成長したとき、太平洋戦争が勃発する。 食料が枯渇した村は強烈な飢えに襲われ、打開策として靜がとった行動は、長年対立してきた下槇ノ原への襲撃だった。 戦火の中、二人が人々を導く先は天国か地獄か

「この夏の星を見る」

亜紗は茨城県立砂浦第三高校の二年生。顧問の綿引先生のもと、天文部で活動している。コロナ禍で部活動が次々と制限され、楽しみにしていた合宿も中止になる中、望遠鏡で星を捉えるスピードを競う「スターキャッチコンテスト」も今年は開催できないだろうと悩んでいた。真宙(まひろ)は渋谷区立ひばり森中学の一年生。27人しかいない新入生のうち、唯一の男子であることにショックを受け、「長引け、コロナ」と日々念じている。円華(まどか)は長崎県五島列島の旅館の娘。高校三年生で、吹奏楽部。旅館に他県からのお客が泊っていることで親友から距離を置かれ、やりきれない思いを抱えている時に、クラスメイトに天文台に誘われる――。 コロナ禍による休校や緊急事態宣言、これまで誰も経験したことのない事態の中で大人たち以上に複雑な思いを抱える中高生たち。しかしコロナ禍ならではの出会いもあった。リモート会議を駆使して、全国で繋がっていく天文部の生徒たち。スターキャッチコンテストの次に彼らが狙うのは――。 哀しさ、優しさ、あたたかさ。人間の感情のすべてがここにある。

「彼女はそこにいる」

「人が居つかない家、というものは存在する」恐怖が3度襲うホラーミステリ 第1話「あの子はついてない」 母と共に庭付きの一軒家へ引っ越してきた中学生の茜里。妹の面倒を見ながら、新しい学校に馴染んでゆく茜里だが、家の中で奇妙なことが起こり始める。知らない髪の毛が落ちている。TVが勝手に消える。誰もいないトイレで水が流れる。ささやかだが気になる出来事の連続に戸惑う茜里。ある夜カーテンを開けると、庭に見知らぬ男性の姿が――。 第2話「その家には何もない」 不動産仲介会社に勤める朝見は、大学の先輩でフリーライターの高田に「曰わく付きの物件」を紹介して欲しいと頼まれる。次々に貸借人が入れ替わる家の話をしたところ、「内覧したい」という高田に押し切られて現地へ向かうことに。そこは最近まで中学生の娘と母親が暮らしていた庭付きの一軒家だった。 第3話「そこにはいない」 その家にはなぜ人が居つかないのか? 新たな住人をきっかけに、過去の「ある事件」が浮かび上がる。

「まるで名探偵のような: 雑居ビルの事件ノート」

高校生の小南通は、雨宿りに入った雑居ビルの喫茶店で名探偵に出会った――。探偵事務所、古書店、占いの館など、ビルに店を構える住人たちが持ち込む奇妙な謎。日常に退屈していた小南は謎解きに挑むが、正解を導くのは決まって、喫茶店店主の娘である三津橋芹だった。トリッキーな難問に挑む高校生コンビの推理と、雑居する人々の人生模様を描く連作短編集。

「川滝少年のスケッチブック」

列車内には、学校や職場へ行こうとしている人が乗り合わせていた。 突然、「ダダダダーン」という爆音が鳴り響いて、窓から外を見ると、アメリカ軍の飛行機が間近まで迫ってきているではないか。 操縦席のパイロットの表情まで見えるほど、爆撃機は近くにいる。 明かに、僕らの乗っている列車を攻撃しようとしている。 このままでは死んでしまう。 反射的に、列車から飛び降りた。

「縁切り上等! 離婚弁護士 松岡紬の事件ファイル」

最良の離婚、請け負います! 家族はもっと、いろんな形がある。前を向く元気をもらえる、新時代のリーガル・エンタメ! 夫のモラハラと浮気に耐えられなくなった聡美は、子供を連れて実家のある北鎌倉に避難する。そこで出会ったのは、縁切寺として名高い「東衛寺」の娘で、離婚専門弁護士の松岡紬。勢い込んで紬に離婚相談をした聡美だったが、思いがけないことを言われ……。 離婚したいと思ったらまずは何から? 財産分与と親権の争い方は? 熟年離婚、同性カップル、離婚前後の泥沼トラブル。切り抜け方は……? 知っておいて損なし! 上手な縁の切り方、教えます。 可愛らしくも方向音痴で意外と天然(?)な紬先生をはじめ、個性豊かなキャラクターが織りなす、温かなヒューマン・ドラマにして、スカッと痛快なリーガル・エンタメ。

「世界の終わりのためのミステリ」

「Q.人はなぜ謎に惹かれるのか?」 「A.知ることは、生きることとイコールだから」 人間の意識を半永久的に持続可能な人工身体にコピーしたヒューマノイド=〈カティス〉が生まれた近未来。 〈カティス〉の女性・ミチが目覚めると、世界から人類は消失していた。 搭載された〈安全機構〉により自殺はできず、誰もいない世界で孤独な時間を生き続けることに絶望していた彼女は、少年の姿をした〈カティス〉のアミと出会う。 〈人類消失の謎〉の解決を目指すと語る彼に誘われ、ミチは失われた人間の頃の記憶と永遠に続く時間を生き続ける意味を探す旅を始めるーーーー。 人類が消失した終末世界を、人類の残骸=ヒューマノイドのふたりが旅する、最果ての〈日常の謎〉。 日本推理作家協会賞受賞作家が、人間が〈生き続ける意味〉を問う終末旅行ミステリ!

「不実在探偵の推理」

いつだって僕は彼女の助手だ。目には見えない、“名探偵”の彼女の。 マンション内で女性が毒死した。その手に藍の花を強く握りしめて。 殺人か、それとも自殺か。 立て続けに、彼女の恋人も自殺を図る。 途方に暮れた刑事の百鬼は、烏丸とともにある“名探偵”を頼りにいくーー。 Q.藍の花を握って恋人が死んだのを聞かされた男が自殺したのはなぜか 謎はすべて解けている。あとはその名探偵の推理を知るだけだ。 目に見えない彼女と会話をするには、サイコロをふる。出た目が1なら「はい」、2なら「いいえ」、3なら「わからない」。 質問を重ねて、真実に辿り着け。 新感覚の水平思考×ミステリー!

「アンリアル」

両親の死の真相を探るため、引きこもり生活を脱し警察官を志した19歳の沖野修也。 警察学校在学中、ある能力を使って二件の未解決事件を解決に導いたが、推理遊び扱いされ組織からは嫌悪の目を向けられることになってしまう。 そうした人々の目は皆、暗がりの中で身構える猫のように赤く光って見える。それこそが、沖野の持つ「特質」だった。 ある日、単独行動の挙句、公安の捜査を邪魔したことで、沖野は副所長室に呼び出され聞きなれない部署への異動を命じられる。 「内閣府国際平和協力本部事務局分室 国際交流課二係」。 そこは人知れず、諜報、防諜を行う、スパイ組織だった–。 日本を守る暗闘に巻き込まれた沖野は、闇に光る赤い目の数々と対峙していくことになるのだが……。 スパイ小説のシンギュラリティとなる記念碑的作品、ついに刊行。

「脈動」

狙われた警視庁本部庁舎で、 常識を超えた力が蠢く――。 不祥事によって崩壊寸前の警察。巡査部長・富野は“亡者祓い”を招集する。 「警視庁本部が患っているということですか?」 警察官による暴力や淫らな行為――警視庁内で非違行為が相次ぐ。常時ではあり得ない不祥事の原因とは? 事態の悪化をおそれた警視庁生活安全部少年事件課の巡査部長・富野輝彦は旧知のお祓い師・鬼龍光一を呼び出す。その結果、警視庁を守る結界が破られており、このままでは警察組織は崩壊するという。一方、富野は小松川署で傷害事件を起こした少年の送検に立ち合い、半グレ集団による少女売春の情報をつかむ。一見無関係なふたつの出来事は、やがて奇妙に絡み合う……。 警察小説と伝奇ミステリが融合した、圧巻のエンターテインメント!

「一寸先の闇 澤村伊智怪談掌編集」

たった数ページで、あなたの日常が蝕まれる……恐怖の深淵を覗く物語21編! ホラー小説の旗手が贈る、戦慄の初ショート・ショート集 「得体が知れないからこそ怖く、面白い。」――野水伊織(声優) ◆「どパァん!……って感じやねん、飛び降り自殺の音って」 自宅マンションからの飛び降り件数が異常に多い理由とは?(「名所」) ◆とある町の小学生たちは、夏休みにも登校するという。「かみさま」を作るために。 僕にはそれがどういう意味を持つのかはわからないが、先生も、親も、その親もずっと続けてきたからだ――。(「かみさまとにんげん」) ◆愚鈍なバイト仲間の人生相談に乗ることになったバイトリーダーの私。 善意で引き受けただけだったが、雲行きはどんどん怪しい方向へ――その衝撃の結末とは?(「さきのばし」) ほか

「幽世の薬剤師4」

冬を迎えた幽世(かくりよ)にて、新たな事件が起こる。曰く「死神」に魂を刈り取られた者は目を覚まさなくなる……。昏睡に陥った患者を救うため、破鬼の巫女・御巫綺翠(みかなぎきすい)とともに診療に赴いた薬剤師・空洞淵霧瑚(うろぶちきりこ)だったが、謎の症状に頭を悩ませる。そして深夜、二人は衝撃的な出会いをすることに――。死神とは誰か。病の原因は、何か。 現役薬剤師が描く漢方×巫女×薬屋の異世界ファンタジー、第4弾!

「すべてはエマのために」

一次大戦。ルーマニアの首都ブカレスト。 リサとエマの姉妹は、ドイツ軍の侵攻から逃れるために、迷路のような地下水道に入り込んでいた。その深奥で、傷ついたルーマニア兵と出会う。 「良かった、本当に、最後にお会いできて……」 見知らぬ兵士は、なぜかそう呟き、 「……お別れです。あなたにお仕え出来て良かった……」 力を振り絞って、リサに指輪を手渡した。 それは、すべての謎の始まりだった――。2年後、看護婦になったリサに、地方の名家から仕事の依頼が届く。謎めいた邸で目にしたのは、黒いドレスの令嬢、仮面を被った死体。雪に閉ざされた旧家でリサが目にしたこととは。 すべては彼女のために――。

「流れる島と海の怪物」

母に連れられた大きなお屋敷で、朱音(あかね)と朱里(あかり)という二人の神秘的な姉妹に出会った。母はなぜ「俺」を姉妹に会わせたのか。それは、母の姉である福子から聞いた、自分の出生にまつわる信じられないような秘密と、朱音たちの母の故郷である「流れる島」にまつわる悲しい神話に結びついていた──。 衝撃の『共喰い』から10年。再び下関を舞台に仕組まれた、濃密な家族と血をめぐる、少年と少女の鮮烈な神話。最新長編小説!

「夜果つるところ」

遊廓「墜月荘」で暮らす「私」には、三人の母がいる。孔雀の声を真似し、日がな鳥籠を眺める産みの母・和江。身の回りのことを教えてくれる育ての母・莢子。表情に乏しく、置き物のように帳場に立つ名義上の母・文子。ある時、「私」は館に出入りする男たちの宴会に迷い込む。着流しの笹野、背広を着た子爵、軍服の久我原。なぜか彼らに近しさを感じる「私」。だがそれは、夥しい血が流れる惨劇の始まりで……。 謎多き作家「飯合梓」によって執筆された、幻の一冊。 『鈍色幻視行』の登場人物たちの心を捉えて離さない、美しくも惨烈な幻想譚。

「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」

親や学校、すべてにイライラした毎日を送る中2の百合。母親とケンカをして家を飛び出し、目をさますとそこは70年前、戦時中の日本だった。偶然通りかかった彰に助けられ、彼と過ごす日々の中、百合は彰の誠実さと優しさに惹かれていく。しかし、彼は特攻隊員で、ほどなく命を懸け戦地に飛び立つ運命だった――。のちに百合は、期せずして彰の本当の想いを知る…。涙なくしては読めない、怒濤のラストは圧巻!

「シャーロック+アカデミー Logic.1 犯罪王の孫、名探偵を論破する」

犯罪王の孫と探偵王の娘、宿命の結ぶ二人は探偵学園にて相見える──! 日本で最も取得困難とされる国家資格、国家探偵資格を求めて日本中から生徒が集まる真理峰探偵学園。 そこに今年、とある少年と少女が同時に入学する。 一人は〈犯罪王〉と呼ばれた男の孫、不未崎未咲。 一人は探偵全盛時代を築き上げた〈探偵王〉の養女、詩亜・E・ヘーゼルダイン。 正義と悪の末裔が探偵を目指し学園で邂逅する時、物語の幕は開く──!

「完璧な小説ができるまで」

想定外のラスト!人気作家が仕掛けた「完璧な小説」とは――? 人気作家・柊木逸歌の監禁容疑で捕まった月村荘一は柊木の高校時代の友人であった。仲の良かった二人の間に何があったのか。取調室の一席で月村は全ての始まりである高校時代の出会いから語り始めた。文芸同好会での活動と執筆への目覚め。人気作家となった友人からの突然のSOS。5年ぶりの再会から徐々に狂い始めた歯車は、やがて高校時代に起こった同好会メンバーの死へと繋がっていき――。 全てが明らかになった時、月村が辿り着いた驚きの真実とは? 二転三転する展開から目が離せない衝撃サスペンス!

「もっと悪い妻」

男たちの身勝手さを、一行で打ち砕く桐野文学の極北! 夫公認のもと、元恋人と自由な時間を過ごす妻を描いた表題作「もっと悪い妻」など、計六作の短編を収録。 「麻耶は大事だと思っている人が他にいるの?」 「いるよ。男でも親友になれるよ」 「それはそうだろうけれど。困ったな」 (「もっと悪い妻」より) ネット上で〈悪妻〉と批判されることに悩むバンドのヴォーカルの妻を描いた「悪い妻」。 妻と離婚した後、若い女性にしつこく迫る壮年の男性の哀歓を伝える「武蔵野線」など、男と女のカタチを切り取った現代の「悪妻論」。

「落語刑事サダキチ-泥棒と所帯をもった女」

百戦錬磨の掏摸に伝説の空き巣泥棒。翻弄されまくる新人刑事・三崎優子の相談相手は、神楽坂署の「落語刑事」平林定吉だ。豊富な捜査経験を語りつつ、今日も落語ネタを挟まずにはいられない。そしていつも最後に真相を見抜くのは、名探偵・八代目林家正蔵。人情味あふれる噺と意外な謎解きが絡み合う、落語ミステリ×警察小説、第二弾。

「オーグメンテッド・スカイ」

2024年、鹿児島。寮で高校生活を送る僕たちは、インターネットの向こう側の世界に「ゲリラ戦」を挑むことにした。

「小説家と夜の境界」

幸福な作家など存在しない――山白朝子による業界密告小説。 私の職業は小説家である。ベストセラーとは無縁だが、一応、生活はできている。そして出版業界に長年関わっていると、様々な小説家に出会う。そして彼らは、奇人変人であることが多く、またトラブルに巻き込まれる者も多い。そして私は幸福な作家というものにも出会ったことがない──。 そんな「私」が告発する、世にも不思議な小説家の世界。

「図書館のお夜食」

東北地方の書店に勤めるものの、うまくいかず、仕事を辞めようかと思っていた樋口乙葉は、SNSで知った、東京の郊外にある「夜の図書館」で働くことになる。そこは普通の図書館と異なり、亡くなった作家の蔵書が集められた、“本の博物館”のような図書館だった。開館時間は夜7時から12時まで、まかないとして“実在の本に登場する料理”が出てくる「夜の図書館」で、本好きの同僚に囲まれながら働き始める乙葉だったがー。

「私の心臓は誰のもの」

高校生の奏は想いを寄せる幼馴染・彩音と始まる高校生活に胸を弾ませていた。一方、かつて世間を震撼させた「新宿カッティング事件」を模倣したと思われる凄惨な殺人事件が続発し、二人の身にも危険が迫る。それは「ある日」を境に始まっていた恐ろしい計画によるものだったー。シリアルキラーと病弱な女子高生。交わるはずのない世界がつながり、禁忌に触れた時、明かされる衝撃の事実に恐怖が止まらない!

「治験島」

世界が注目する新薬治験の現場で、得体の知れない事件の数々が被験者たちを襲う!治験が終わるまで島から出ることは許されない。狙われているのは被験者か病院か、それともこの島か――。 徹底的に公正さを追及した隔離環境で、いかに犯行が起こったのか。 治験という〝密事〟を舞台に描く、ノンストップ・ミステリー!

「乱菊」

不浄な首斬人と蔑まれる生業を十八歳で継いだ別所龍玄は、まだ若侍ながら恐ろしい使い手。小伝馬町の牢屋敷で首打役の手代わりを務め、切腹場の介添役をも請ける。母・静江、五つ年上で幼い頃から龍玄の憧れだった妻・百合と幼子の娘・杏子。凄まじい業を背負い、慈愛に満ちた日々を過ごす、若き介錯人の矜持。「介錯人別所龍玄」シリーズ最新作。

「昭和怪談」

我が身可愛さに欲をかき、他人を傷つけ深みにはまる。ほら、また同じ過ちを―― 〈まだ気づかないのか。お前は今も昭和を生きているんだよ〉。 関東大震災、戦争と復興、高度経済成長と公害、マスメディアの台頭、バブル崩壊……破壊と創造に明け暮れた「こわい昭和」を描き出した異色の作品集

「一日署長」

新人警察官、未解決事件に挑む。 ただし、一日だけ、署長に憑依して。 過去にタイムスリップして。 警察学校を首席卒業の五十嵐いずみに課せられた仕事は、なぜか警視庁の一室での資料整理。地味な作業に彼女はふて腐れてばかりいた。しかしある日、パソコンの画面が発する光に包まれたいずみは、自分が一九八五年の署長室にいて、署長の身体に憑依していることに気づく。折しも署では、資料で目にしたばかりの未解決事件捜査の真っ最中。事態に狼狽えている間もなく、いずみは思いがけず、“一日署長”として、現場の最前線に赴くことになるのだった……! 『福家警部補の挨拶』の大倉崇裕がいざなう、 奇想×本格ミステリの時間旅行。

「アリアドネの声」

救えるはずの事故で兄を亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから救助災害ドローンを製作するベンチャー企業に就職する。業務の一環で訪れた、障がい者支援都市「WANOKUNI」で、巨大地震に遭遇。ほとんどの人間が避難する中、一人の女性が地下の危険地帯に取り残されてしまう。それは「見えない、聞こえない、話せない」という三つの障がいを抱え、街のアイドル(象徴)して活動する中川博美だった――。 崩落と浸水で救助隊の侵入は不可能。およそ6時間後には安全地帯への経路も断たれてしまう。ハルオは一台のドローンを使って、目も耳も利かない中川をシェルターへ誘導するという前代未聞のミッションに挑む。

「ジウX」

生きながらにして臓器を摘出された死体が発見された。東弘樹警部補らは懸命に捜査にあたるが、二ヶ月が経っても被害者の身元さえ割れずにいた。一方、陣内陽一の店「エポ」に奇妙な客が集団で訪れた。緊張感漂う店内で、歌舞伎町封鎖事件を起こした「新世界秩序」について一人の女が話し始める。「いろいろな誤解が、あったと思うんです」――。各所で続出する不気味な事件。そして「歌舞伎町セブン」に、かつてない危機が迫る……。

「雫の街: 家裁調査官・庵原かのん」

光と影が交錯する街・川崎の家裁は日本の縮図! 家庭は病み、家族間の争いは絶えない。 だからこそ、かのんの真実を「聴く」力が必要―― モラハラ夫、我が子を見捨てる母親、身寄りのない記憶喪失の男……横浜家裁川崎中央支部にやってくる家事事件の当事者たちは多種多彩。社会から零れ落ちそうな人たちの心を開き、それぞれの人生に寄り添うため、赴任したばかりのかのんはひたむきに奔走する! 人間、そして家族の表と裏を心揺さぶる筆致で描く連作短篇集。

「七人怪談」

「これは、わたしが小学校の、高学年だった頃の話です」――少女が雑誌に寄稿した、ある家族を襲った不気味な怪異の記録。悪化していく一方の父の怪我、何者かに乗っ取られ不気味な笑い声をあげる妹。そして親類たちの死。霊能者“マツシタサヤ”によって怪異は鎮められ、記録は締めくくられる。だが、この投稿を皮切りに、マツシタサヤを巡る不可解な記録が世に溢れはじめ……(澤村伊智「サヤさん」)。 同窓会をきっかけに、故郷の実家に泊まることになった「私」。すでに実家には誰も住んでおらず、何も無い家に過ぎないはずなのに、「私」以外の何者かの気配が段々と濃くなっていく。居間にたたずむ邪悪な笑みをたたえた阿弥陀如来像、座敷の布団の中で蠢くモノ、そして――。忌まわしい記憶とともに、何かが迫ってくる(三津田信三「何も無い家」) ホラー界の巨星、三津田信三が、屈指のホラー小説の名手七人それぞれに相応しいテーマで「自分が最も怖いと思う怪談を」と依頼して編まれた戦慄のアンソロジー。

「この限りある世界で」

中学三年生の少女が同級生に刺殺された。加害者はネットに、最終候補作になっていた小説の新人賞に落選して哀しいので殺すと書き込んでいた。 一方、加害者が応募していた新人賞の受賞作を担当することになった編集者の莉子は、受賞者・青村とともに原稿の修正を行っていたが進捗は捗々しくなかった。 加害者の小説がネットに公開されていたことから受賞作と比較され、ネットを中心に青村への批判が起こる。そんな中、青村が自殺を図る。――赦しと再生を描いたミステリー。

「限界国家」

これは本当に小説なのか!? 30年後の日本社会がどうなっているか調査をすると……仕事はAIにより「人間は不要」になり、働きたくても働けない人たちが続出。 また、地方の過疎化は深刻化の一方だという。 誰がこんな国にしたのか?そして、この国に明日はあるのか?経済小説のトップランナーが描く、日本の未来。 そしてそれを担う若者の生きる道とは!? 老いも若きも男も女も、全世代必読の未来予想小説。

「霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない (4)」

地獄巡りの終着。滅びゆく世界と二人の未来 地獄巡りの末に、藤花と朔は「神様」と逢った。 山査子の座敷牢に囚われていた神様と呼ばれる超常の存在はーー力を抑えていた異能消去者の逃亡によりーー暴走を開始。 神様という名のアレは世界を滅ぼせる怪物。 アレは、世界を呪っている。人間を呪っている。生物を呪っている。 海を。陸を。空を。生者を。死者を。なにもかもを呪い続けている。 そして、その殺意は伝染する。 神様の呪いの影響を受けた者は壊れ、殺意に取り憑かれ、他者を襲い殺す。 伝染した人間や動物は呪いの新たな感染源となり、殺意を世界に伝播させていく。 混乱した世界はやがて藤花と朔をも呑み込み、破滅へと突き進む。 世界を救う道はひとつ、神様を殺すことーーつまり「神殺し」。 その神殺しのためには「藤咲の女たち」が必要であり、特に藤咲藤花は重要な存在なのだという……。 「かみさま」になりそこねた少女とその従者の物語は、ここに終演を迎える。

「校庭の迷える大人たち」

小六の息子の授業参観で母校を訪れた幹太は、自分がこの小学校に転校してきた時の奇妙な出来事を思い出す。(「シェルター」)担任する児童の誰かが手のかかる児童ということで、「危険業務手当」をもらっている真奈だが――(「危険業務手当」)学校に集う大人たちに起きた、5つの奇談。

「夜獣使い: 黒き鏡」

私が死んだら〈黒屋敷〉へ行きなさい――〈異様の敵〉と闘った末に姿を消した母の言葉に従い、冬乃ひなげしは、黒ずくめの男・鏡見夜狐と出逢う。男は、僕が探偵であるならば君は助手にならなければならない、と突如ひなげしにその役を担わせる。二人の許に、冷蔵庫で育つ胎児、落下する三つの首、幻影で人を惑わす鋼の羊など怪事が舞い込む。裏に隠れていた悪夢の正体とは? 妖しくかつ恐ろしい美麗怪異連作ミステリ!

「逆ソクラテス」

逆境にもめげず簡単ではない現実に立ち向かい非日常的な出来事に巻き込まれながらもアンハッピーな展開を乗り越え僕たちは逆転する!無上の短編5編(書き下ろし3編)を収録。

「吸血鬼心中物語」

“怪奇映画愛好会”に所属するめぐみと邦広に大学の学園祭で特別ゲストとして講演を頼まれ、大ハリキリの「正統な」吸血鬼フォン・クロロック。「本物の」吸血鬼の登場に、講演会は大成功間違いなし!?だったのだが…。ひょんなことから、めぐみと邦広が、ちょうど居合わせた奇妙な心中事件を解決することになって!?おなじみ吸血鬼父娘が怪事件に立ち上がる。表題作ほか、2編を収録。

「刑事何森 逃走の行先」

ベトナム人技能実習生が派遣先の上司を刺して行方をくらました。ようとして行方が掴めない中、埼玉県警刑事の何森稔と荒井みゆきは加害者と同じ会社に務める同僚から、ある重要な情報を聞き出す――。技能実習生や入管の仮放免、高齢女性のホームレス問題など、罪を起こさざるを得なかった女性たちに対峙する何森刑事の苦悩。〈デフ・ヴォイス〉シリーズスピンオフ、第2弾。

「影踏亭の怪談」

第17回ミステリーズ!新人賞受賞作ほか4編を収録 僕の姉は実話怪談作家だ。本名にちなんだ「呻木叫子」というふざけた筆名で、民俗学でのフィールドワークの経験を生かしたルポルタージュ形式の作品を発表している。ある日姉の自宅を訪ねた僕は、密室の中で両瞼を己の髪で縫い合わされて昏睡する姉を発見する。この怪現象は、取材中だった旅館〈K亭〉に出没する霊と関連しているのか? 調査のため〈K亭〉こと影踏亭を訪れた僕は、深夜に発生した奇妙な密室殺人の第一発見者となってしまう――第十七回ミステリーズ!新人賞受賞作ほか全四編を収録する、怪談×ミステリの最前線。

「フォトミステリー ―PHOTO・MYSTERY―」

世の中にすでに存在する写真に文を添えることで  まったくあたらしい物語が生まれた――  道尾秀介による危険な悪戯  写真から生まれた、道尾秀介初のショートショート集。 読み返すほど深まる――写真と連動する新感覚のミステリー。

「戸張と御子柴 孤島の夜の黄泉還り」

幻想小説家の戸張尚也は、行き詰まっていた。 新作の売れ行きが芳しくなく、出版社で対策を考えていると、 大人気動画配信者の御子柴ユウから声をかけられる。 彼は配信している心霊スポット検証動画が大人気で、 書籍化の打合せをしていたらしい。 戸張の最新作が気に入ったので、次の動画のロケに 一緒に行かないかと御子柴に誘われ、戸張は迷う。 しかし、動画で新刊を紹介してくれるという言葉につられ、 満月の夜、死者が蘇るという伝説がある無人島 「根ノ島」に行くことになり……。

「本格王2023」

今年を代表する謎はこれだ。作家・評論家が厳選した、年に一度の短編傑作選。今村昌弘「ある部屋にて」、結城真一郎「転んでもただでは起きないふわ玉豆苗スープ事件」、潮谷験「二〇××年の手記」、矢樹純「血腐れ」、荒木あかね「同好のSHE」、白井智之「モーティリアンの手首」、道尾秀介「ハリガネムシ」。

「まりも日記」

猫のまりもさんと出逢ったのは「運命」だった。四十六歳、年収二百万円以下の私が彼女をお迎えした日から、私の「人生」もまりもさんの「猫生」も少しずつ狂いはじめた。猫に翻弄される人間側のドラマと猫から見た物語が同時に読める唯一無二の読み心地。イヤミスの女王が紡ぐ究極にして戦慄の猫ミステリー!

「数学者の夏」

リーマン予想の証明で壁にぶつかっていた上杉和典は、夏休みに伊那谷の学生村を訪れる。羨むほどの数学的センスを持つ元京大生と知り合い、数学に没頭するはずが、村では不穏な事件が頻発。中学時代に付き合った立花彩と再会した和典は事件の解決を試みるが、やがてそれは過去の殺人事件にまで繋がってゆく。

「マーダーズ」

法の網をすり抜け、街なかに紛れる犯罪者たちー。商社マンの阿久津清春と現職刑事の則本敦子も、犯した殺人が露見されず過ごしていた。ふたりの罪の証拠を握る柚木玲美は、自殺とされた母の死と消息不明の姉の安否を清春と敦子に調べさせる。善悪では割りきれない正義とは。圧倒的迫力のクライムノベル。

「どちらかが彼女を殺した」

最愛の妹が偽装を施され殺害された。愛知県警豊橋署に勤務する兄・和泉康正は独自の“現場検証”の結果、容疑者を二人に絞り込む。一人は妹の親友。もう一人は、かつての恋人。妹の復讐に燃え真犯人に肉迫する兄、その前に立ちはだかる練馬署の加賀刑事。殺したのは男か?女か?究極の「推理」小説。

「エフェクトラ――紅門福助最厄の事件」

名脇役の40周年記念イベントに異変の予兆…… リハーサル現場に立ち会った私立探偵・紅門福助の推理は冴える? トリック、ロジック、ギミック満載の本格エフェクトが炸裂! 数多くの「死に役」を演じ「ダイプレイヤー」と称された役者・忍神健一。その役者生活四十周年を記念するセレモニーを開催することに。それに乗じて役をもらおうと集まる一癖も二癖もある役者の卵たち。イベント準備中、不可解な事象が続くなか足跡のない雪のバンガローで関係者の変死体が発見される。

「ミステリな食卓 美味しい謎解きアンソロジー」

極上の謎解きに加え、趣向を凝らした料理の描写も楽しむことが出来る、人気作家の短編作品を収めたミステリアンソロジー。 ふと空いた時間のおともや、頑張った一日のごほうびに、読んで美味しい1冊はいかがでしょう? 編者 山前譲/監修 日本推理作家協会 碧野圭/近藤史恵/斎藤千輪/太田忠司/新津きよみ/西村健

「絶体絶命ゲーム13 負けたら地獄の学年対抗戦!」

自分のパワーを見せつけろ!?上級生たちを敵に回して、どうする春馬! なにかと勝手だった3年生4人組、 【渋神四星】が、いよいよ卒業する。 その卒業式の日、春馬たちは生徒会室に呼びだされた。 待ちかまえていたのは、やっぱり絶体絶命ゲーム! ゲームをたくらんだのは、なんと2年生。 「優秀な1年と3年の間で、自分たちはずっとソンをしてきた。 今こそ、力を見せつけてやる」だって!? いまはじまる、1年生vs2年生vs3年生の対抗戦。 このゲームに負けたチームは、 四星も恐れる「奈落」の地に送られるらしい!? スリルの頂点を極める、最強シリーズ!

「高校事変 15」

巫女としての技術向上のため、夏期巫女学校に通うことになった瑠那。学校は山奥にあり、全国から多くの少女たちが集まった。四方を緑に囲まれ、十代の女子ばかりが整列する風景は平穏そのものに見えたが、瑠那は辺りへの警戒を怠らなかった。実は直前、この学校に参加予定の女子高生から一通の手紙を受けとっていたのだ。そこに書かれている内容は、驚くべきことだった…。期間は25日。無事にこの講習を終えられるのか!?

「平家谷殺人事件: 浅見光彦シリーズ番外」

時は明治。浅見元彦は代言人試験に落ちた。無聊をかこっていると、謎解きを頼まれたという友人の内田紫堂から、「うまくいったら金になる」と誘われて共に高知へ向かう。着いた早々、紫堂の依頼人が死んでいると大騒ぎになるが、その姿が忽然と消え、事態は紛糾するーー。 名探偵浅見光彦のご先祖様も名探偵だった!国民的人気シリーズのスピンオフが登場です!

「六人の嘘つきな大学生」

成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。 怒濤の伏線回収に驚嘆の声続出! 青春ミステリの傑作が、ついに文庫化!

「この本を盗む者は」

“本の町”読長町に住み、書物の蒐集家を曾祖父に持つ高校生の深冬。父は巨大な書庫「御倉館」の管理人を務めているが、深冬は本が好きではない。ある日、御倉館から蔵書が盗まれたことで本の呪いが発動し、町は物語の世界に姿を変えてしまう。泥棒を捕まえない限り町が元に戻らないと知った深冬は、不思議な少女・真白とともに様々な物語の世界を冒険していく…。初めて物語に没頭したときの喜びが甦る、胸躍るファンタジー。

「谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題」

東京・谷中には、おいしい食べ物、下町情緒、そしてミステリが揃っている! 下町情緒あふれる谷根千にある、鰯専門の居酒屋。看板娘(?)のつみれの元に謎めいた相談が持ち込まれる。困り果てて頼った開運グッズ店の店主・竹田津は、お好み焼きを食べたり猫を構ったり、寄り道ばかりしながらも、鮮やかに謎を解き明かす!?

「Another 2001(上下)」

始まってしまったら……人が死ぬ。何人もの人が。 多くの犠牲者が出た1998年度の〈災厄〉から三年。――春から夜見山北中学三年三組の一員となる生徒の中には、三年前の夏、見崎鳴と出会った少年・想の姿があった。〈死者〉がクラスにまぎれこむ、という奇怪な〈現象〉に備えて、今年度は特別な〈対策〉を講じる想たち。だが、クラスに広がる不安と疑心が次第に歯車を狂わせていき……ついに惨劇の幕が開く! 名手・綾辻行人が満を持して放つ、圧巻の学園ホラー&ミステリ。

「六人の嘘つきな大学生」

成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。 怒濤の伏線回収に驚嘆の声続出! 青春ミステリの傑作が、ついに文庫化!

「平家谷殺人事件: 浅見光彦シリーズ番外」

時は明治。浅見元彦は代言人試験に落ちた。無聊をかこっていると、謎解きを頼まれたという友人の内田紫堂から、「うまくいったら金になる」と誘われて共に高知へ向かう。着いた早々、紫堂の依頼人が死んでいると大騒ぎになるが、その姿が忽然と消え、事態は紛糾するーー。 名探偵浅見光彦のご先祖様も名探偵だった!国民的人気シリーズのスピンオフが登場です!

「あなたも私も」

13億円は私のもの? 気づけば大騒ぎの中心に! 売れないファッション・モデルとして貧乏生活を送るサト子。実は自らも知らぬ間に、時価13億円の鉱業権の相続人に指定されていた! あれよあれよという間にサト子は、一攫千金のにおいをかぎつけた実業家や弁護士らに囲まれることに。莫大な資産はいったい誰の手にわたるのか、肝心の鉱山の実体は――。小説の魔術師・久生十蘭が、大きな運命に翻弄される女性の生を鮮やかに描く。今も色あせない傑作ミステリ。

「妖たちの気ままな日常: 妖怪の子、育てます3」

江戸の片隅で養い子の千吉と暮らす青年弥助は、実は妖怪の子預かり屋だった。そんな弥助の家の外にそっとたたずむひとりの妖怪、人恋しそうな妖怪を弥助は家に招き入れるが……「軒先にたたずむもの」、石地蔵そっくりの妖怪が子供たちを預けにきた、だが三人の兄弟は仲が悪く喧嘩ばかり……「仲の悪い三兄弟」等、妖怪たちのにぎやかで不思議な日常を描いた短編9編を収録。可愛くてちょっぴり怖い、お江戸妖怪シリーズ第3弾!

「ヒポクラテスの悔恨」

「これから一人だけ殺す。自然死にしか見えないかたちで」 解剖されない9割の遺体に、隠れた犯罪が潜む!?  真相とともに浮かび上がる、光崎教授の〝悔恨〟とは?  死体は雄弁に語る――法医学ミステリー第4弾 「一人だけ殺す。絶対に自然死にしか見えないかたちで」浦和医大法医学教室の光崎藤次郎教授への脅迫文がネットに書き込まれた。日本の解剖率の低さを訴えるテレビ番組での、問題の九割はカネで解決できるという彼の発言が発端だった。 挑発などなかったかのように、いつもの冷静さで解剖する光崎。一方、助教の真琴は光崎の過去に手がかりを求めると、ある因縁が浮上し……。

「助っ人刑事 非情捜査」

教祖の遺骨はどこへ?  殺された犯罪ジャーナリストが 追っていたものとは…  一匹狼の隠れ捜査官が真実を暴く!  石津翔平は警視庁刑事部長直属の極秘捜査官だ。元警察学校教官の犯罪ジャーナリストが無灯火の車に撥ねられて死亡した。被害者は、死刑が執行されたカルト教団教祖の遺骨を巡り、遺族や後継教団が対立していることに強い関心を持っていた。石津の単独捜査線上でも、東京拘置所に怪しい影が差し、さらに、遺骨の神格化や利用価値を巡り、邪悪な思惑が幾重にも交差していった!

「ブラックバード」

朝鮮戦争での原爆投下を阻止せよ! トルーマン、マッカーサー、李承晩らの謀略とは? その狂気を粉砕すべく飛び立った日本人パイロットの決死行! 朝鮮半島を第三の被爆地にしてはならない 昭和二十年、日本は連合国に敗戦を喫し、飛行機の操縦、航行、製造など、航空機に関するあらゆることを禁止されていた。 五年後、旧日本軍でも卓越したパイロットだった堀江功は米軍関係者と思しき人物に声をかけられ、高給を条件に、GHQにも極秘の飛行訓練を開始する。その頃、朝鮮半島では新しい戦争が勃発し、北朝鮮の背後に中国人民解放軍やソ連軍の影がちらつき始めた。一方、マッカーサーの独断に怒り狂うアメリカ大統領のトルーマンは、彼の解任を考え、さらに共産主義の拡大を防ぐため、原爆による決着をつけようと動き出す。やがて、計画を知った堀江たちは、原爆の投下を阻止しようと決死の作戦に挑むが……。

「黒鍵は恋してる」

天才ピアノ少女〈黒鍵〉との出会いが事件の始まりだった! 夏休み最後の日の夜。高校一年生の米田あかねは、ベランダで上の階から聞こえてくるピアノの音に耳を傾けていた。その音が止まったとき、ふと目を向かいのマンションに向けると窓に怪しいシルエットが。女性に誰かが飛びかかったのだ! 翌朝、上の階に住んでいる天才ピアノ少女、〈黒鍵〉こと根津真音から殺人事件が起きたと聞かされる。その日からあかねは命を狙われることに!? 

「神曲法廷」

「真の探偵は神である」壮麗な新本格推理巨編 神に選ばれた検事が追う、神宮ドームに隠された連続殺人の謎とは? 29人の死傷者を出した神宮ドーム火災事件。公判直前、東京地裁の密室で担当弁護士と判事が殺害された。やがてドームに被告の死体が。司法への挑戦か!?「正義は果されねばならない」神の声を聴いた検事・佐伯は事件を追う。謎は失踪した異端の建築家が造るドームに!?ダンテの「神曲」が底に流れる新本格推理。

「有栖川有栖選 必読! Selection11 シェイクスピアの誘拐」

突如、舞台上で『ハムレット』の原典にないアドリ ブを口にした役者。奇妙な行動が図らずも暴きだし た仰天の犯罪とは?(「シェイクスピアの誘拐」) ――暗号、安楽椅子、倒叙、アリバイ、人間消 失……ミステリの様々なテーマから8つを厳選。生 涯400編の短編を執筆した鉄人作家が挑む遊び心 とテクニックの集大成。超高難度の<テーマ縛り> 短編集。

「日暮れのあと」

過ぎてみれば、全部、どうってことなかった―― 日々老いを感じつつ山裾の町で暮らす絵本作家の雪代。ある日やってきた植木屋の青年に興味を惹かれ話をしてみると、彼が結婚を望む恋人は、還暦を過ぎた現役の風俗嬢だという――。 生と死、そして性を描き、人生を謳いあげる短編集。名手がつむぐ至高の7作。

「恋する殺人者」

大好きな従姉の事故死に不審を抱く大学生・高文は、彼に片思いするフリーター女子・来宮を“助手”に真相を探っていく。大型猫科肉食獣を思わせる担当刑事・鷲津にあしらわれながら“捜査”を進める高文だが、彼が協力を依頼した人が次々と殺されていく。一体、何がどうなっているのか――?

「写真館とコロッケ ゆうれい居酒屋3」

新小岩の路地裏にある居酒屋・米屋。 ここには、甘酸っぱい初恋やピリ辛の下積み時代、ほろ苦い嘘や挫折など、人生の喜怒哀楽にそっと寄り添い、あなたの背中を押してくれる美味しい料理とお酒があります。だけど、このお店には大きな秘密があって……。 売れっ子のDJや女将さんの亡夫の釣り仲間、写真館の主人などなど、きょうも米屋にはいろいろなお客さんが訪れます。 父と娘、母と息子、すれ違う想いや許されぬ恋、そして忘れられぬひと……素敵な出会いと切ない秘密、読めば必ず元気になれる、ちょっと不思議で温かい居酒屋物語、待望の第3弾。

「逃亡遊戯 歌舞伎町麻薬捜査」

伝説のカリスマ捜査官・桜井文雄の後を継ぎ、新宿署組織対策課に異動して歌舞伎町で命がけの麻薬捜査に取り組む若手刑事・高木誠之助。 高木は組織対策課のやり手主任・洲本栄とコンビを組み、時に鍔迫り合いを演じながら捜査に邁進する。 やがて二人は、宿敵ともいうべきテロリスト姉弟と再び相まみえることになる–。 刑事たちの生き様が熱い本格警察エンタテインメント。

「交渉人・遠野麻衣子」

三人組強盗が病院に押し入り、患者たちを人質に立て籠もった。交渉人・石田が到着するまでの間、交渉を任されたのは、石田の元部下の遠野麻衣子。武器は1台の「電話」だけ。刻々と過ぎゆく時間、逆上する犯人との困難な交渉ー。手に汗握る展開の末、ラストに暴かれる、衝撃の真実と驚愕の真犯人とは?ベストセラー『交渉人』が大幅改稿&改題の上、完全復活!

「機龍警察 未亡旅団」

女性だけの 自爆テロ集団が チェチェンより潜入。 特捜部は、子供兵を殺すのか? 政界と警察全体を揺るがす悪夢を描く 至高の大河警察小説シリーズ第4弾! チェチェン紛争で家族を失った女性だけのテロ組織『黒い未亡人』が日本に潜入した。公安部と合同で捜査に当たる特捜部は、未成年による自爆テロをも辞さぬこの敵の戦法に翻弄される。一方、城木理事官は実の兄・宗方亮太郎議員にある疑念を抱くが、それは政界と警察組織全体を揺るがす悪夢につながっていた――現代の悲劇と不条理を容赦なく描き尽くす、至高の大河警察小説シリーズ、憎悪と慈愛の第4弾。

「全裸刑事チャーリー」

「全裸は究極のエコだ」時の総理大臣がヌーディスト法の施行を高らかに宣言してから一年。人々の価値観は多様化し、日本は公共の場での全裸生活を認めることとなった。そしてついに、警視庁に全国初となる全裸刑事が登場した。彼の名は茶理太郎ー通称チャーリー。捜査一課強行犯第5係の警部である彼は、反全裸派の相棒・七尾を巻き込み、ヌーディスト絡みの事件を次々と解決していく!

「爆ぜる怪人 殺人鬼はご当地ヒーロー」

街に潜む悪人を次々と殺し始めた犯人は、主人公がかつてデザインし お蔵入りになったヒーロースーツを着ていた!? ご当地ヒーローの運営会社で働く青年が、町田で起きた連続殺人事件の真相に迫る。 東京・町田の人気ご当地ヒーロー、マチダーマン。 その運営会社であるMHF(マチダ・ヒーロー・ファクトリー)のデザイン部で働く志村は、ある日テレビのニュースを見て衝撃を受ける。 町田で少年が誘拐されたが、何者かが誘拐犯を殺害し、少年を救出。 助けられた少年が「正義のヒーロー」として描いた絵は、かつて志村がデザインし、お蔵入りになったはずのヒーロースーツと酷似していた! 周囲は空似だというが、志村が悶々とするなか、第二の事件が起き――。

「満天キャンプの謎解きツアー かつてのトム・ソーヤたちへ」

キャンプ場で起こった誘拐事件を解決したのは、一見頼りなさそうな温和なアウトドアガイド・天幕包助だった。鋭い推理で事件の謎を解き、その原因となった人間関係のわだかまりを、極上のキャンプ飯で解きほぐす。事件の捜査にあたった刑事・桐谷歩子はその手腕に感激し、客としてキャンプ場に通うようになる。死体が見つかりにくい山の噂を執拗に聞いてくる客の真の目的とは? 関係者全員にアリバイがある窃盗事件の犯人は誰? さまざまな謎を華麗に解いてゆく天幕だったが、とある殺人事件の容疑者として逮捕されてしまい……?

「懲役病棟」

舞台はなんと女子刑務所! 「後悔病棟」「希望病棟」に続くシリーズ第三弾! 神田川病院の“金髪女医”太田香織と看護師・松坂マリ江は、ひょんなことから女子刑務所に派遣される。当初は、受刑者との距離を感じていたが、同僚から授かった不思議な聴診器を胸に当てると―― 惣菜四三〇円の万引きで懲役二年を科せられていたり、夫からの執拗なDVに耐えきれず殺害に及んでいたり、はたまた悪い男にそそのかされ、クスリに手を出していたり、と彼女たちの切実な事情が見えてきた。 二人は受刑者たちとは個人的に接してはならないという禁を破り、あっと驚く方法で解決に乗り出してゆくが……。

「マザー/コンプレックス」

蜂須賀恵理子は、悲嘆に暮れている。自慢の息子が痴漢行為を咎められ、逃げようとして地下鉄に轢かれ、死んだのだ。冤罪だと信じる恵理子は、亡き息子のSNSにのめり込み、事件の真相を探ろうと奔走する。 夏川美夏は、激怒している。高校生の娘が電車内で痴漢を捕まえたが、被害には長い間遭っていたというのだ。美しい娘には芸能界で活躍してほしい。週刊誌記者に身辺を嗅ぎ回られ、美夏は苛立つ。 高奈琴絵は、幸せの絶頂から突き落とされる。不妊治療の末、ようやく待望の子供を妊娠した矢先、夫が痴漢をして逮捕されたのだ。琴絵を責める義母に、逆ギレする夫。離婚がちらつくが、一人で子供を育てる自信がなく琴絵は途方に暮れる。 地下鉄で起きたある事件を発端に、歪み、崩壊していく三つの家族。 そして、新たな悲劇が起こる―― 暴走する母性の先に衝撃の結末が待ち受ける、ドメスティック・スリラーの新たなる傑作!

「仮面幻双曲」

この町の誰が”顔を変えた殺人者”なのか? 時は、戦後間もない昭和22年。東京で亡き父の事務所を継いだ私立探偵の川宮兄妹は、依頼を受けて滋賀県の双竜町に赴く。 依頼主は、地元随一の製糸会社を営む占部家の先代社長夫人。専務の武彦が双子の兄である現社長の文彦に恨みを抱き、殺害を目論んでいるのだという。武彦は女子工員の小夜子に恋をしていたが、彼女は町中に中傷の手紙がばらまかれたことを苦に自殺。兄の仕業だと思い込んだ武彦は姿をくらまし、整形手術を受けて顔を変え、別人になりすまして双竜町に戻っている。 「なぜ顔を変えたかわかるか? お前の近くにいる」 川宮兄妹の使命は、武彦を探し出し、文彦の命を守ること。 しかし、琵琶湖のほとりに建つ巨大な洋館に招かれ、寝ずの番にあたった矢先、文彦は惨殺されてしまう―― 果たして誰が”武彦”なのか。 本格ミステリの名手による傑作が、待望の文庫化!

「歩く亡者 怪民研に於ける記録と推理」

瀬戸内にある波鳥町。その町にある、かつて亡者道と呼ばれた海沿いの道では、日の暮れかけた逢魔が時に、ふらふらと歩く亡者が目撃されたという。かつて体験した「亡者」についての忌まわしい出来事について話すため、大学生の瞳星愛は、刀城言耶という作家が講師を務める「怪異民俗学研究室」、通称「怪民研」を訪ねた。言耶は不在で、留守を任されている天弓馬人という若い作家にその話をすることに。こんな研究室に在籍していながらとても怖がりな馬人は、怪異譚を怪異譚のまま放置できず、現実的ないくつもの解釈を提示する。あの日、愛が遭遇したものはいったい何だったのか――(「第一話 歩く亡者」)。ホラー×ミステリの名手による戦慄の新シリーズ始動!

「デモクラシー」

「あなたは今日から議員です」 202×年、日本の政治システムは一変していた。 憲法は改正され、20歳以上の国民から合計1000人の「国民議員」がランダムに選出され、総理大臣は直接選挙で選ばれる。国会は解散し、「国民議会」(二院制)を新たに結成。議会は完全オンラインで行われ、議員の任期は4年、年間報酬500万円、基本再選はなし。専用のデバイスを支給され、議員としての活動は全てオープンに。さらに、国民は常にそれらを確認、監視できるようになっていた。 突然議員に選ばれた大学生の混乱、直接選挙で選ばれた新首相の苦悩、国民議員の不正を監視する機関「国民議員調査委員会」の危うさ、一気に権限が大きくなった官僚、現首相と旧政治体制に固執する都知事らの政権争い…… 有り得るかもしれない「未来」を描く実験的政治小説。堂場瞬一の新境地!

「アコギなのかリッパなのか 佐倉聖の事件簿」

政治家事務所の日常は、難問・奇問・珍事件だらけ……その実態は、妖よりも、もっと怪しい!?  佐倉聖は21歳の大学生。異母弟を養うため、元大物政治家・大堂剛の事務所でアルバイトをしている。後援会幹部殴打の謎、立候補者のダイエット騒動etc.――大堂を頼って持ち込まれる種々雑多な陳情や難問珍問を、元不良で負けん気は強いが機転の利く聖が、鮮やかに解決する姿を描く! ベストセラー「しゃばけ」の著者が贈る、ユーモアお仕事×ミステリー! 実業之日本社文庫版刊行記念として、著者デビュー直後の現代ミステリー短編「思い出した……」を文庫初収録。

「その謎を解いてはいけない」

生まれつき左眼だけ翠色、オッドアイの女子高生・小鳥遊(たかなし)唯(ゆい)は、右目に緑色のカラコン、黒いマントの二八歳独身男性、暗黒院(あんこくいん)真実(まこと)(本名・田中友治)が営む探偵事務所で助手を務めている。 ある日、探索中に日が落ちて山奥から帰れなくなった二人は、蛇怨館(じゃえんかん)と呼ばれる洋館に泊めてもらうが、翌朝一室で死体が見つかる。ところが探偵として推理しようとした田中が暴いたのは犯人ではなく、決して解いてはいけない謎で……。 異能の著者が贈る新感覚本格ミステリ開幕!

まとめ