【2026年版予想】 このミステリーがすごい! 海外篇1月刊行候補作レビュー

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 注目の 海外ミステリー をご紹介します。※本ページにはPRが含まれます


いやぁ、今年もこの季節がやってきました。

夏の猛暑がやっと過ぎ去って、夜風が少し涼しくなってきた頃に、「あ、そろそろだな」って思うんですよ。そう――「このミステリーがすごい!」のランキング予想です。

毎年12月の発表前、この“待ってる間のソワソワ感”こそがファンの特権。2026年版は2024年10月から2025年9月までに刊行された海外ミステリーが対象。その中で今日は2024年1月刊行作に絞って、僕が気になった候補作を語っていきたいと思います。

ランキング予想なんて、当たるも八卦当たらぬも八卦。でもね、「今年はこいつが来るぞ!」って想像しながらページをめくるのが、何より楽しいんです。

このミステリーがすごい! 海外篇1月刊行候補作

17の鍵』マルク・ラーベ,酒寄 進一 2025/1/30

本国でシリーズ累計43万部突破疾走感抜群のドイツ・ミステリ
早朝のベルリン大聖堂で殺人事件が発生。丸天井の下に、女性牧師の死体が吊り下げられていた。現場に駆けつけたトム・バビロン刑事は、信じがたいものを目撃する。被害者の首には、カバーに「17」と刻まれた鍵がかけられていた。かつて、トムが少年の頃に川で見つけた死体のそばにあったのと同じ鍵が、なぜ今、ここに現れたのか? 圧倒的スピードで疾走するドイツ・ミステリ!

いやー、これがもうドイツ・ミステリーの面白さを凝縮したような一冊でした。冒頭から“目をえぐられた女性牧師の吊るされた死体”という衝撃映像。普通なら「グロい」で終わっちゃうんですけど、ここで出てくる“17と刻まれた鍵”。これが主人公トムの少年時代の記憶とつながるんですよ。過去と現在がリンクして、読者も強制的に巻き込まれる感じ。

正直ね、登場人物が多くて最初は混乱しました。でも、慣れると一気に視界が開けてくる。ベルリンの壁崩壊という巨大な歴史の影と、個人の罪と記憶が結びついていく展開は、ちょっと鳥肌モノでした。

トム刑事と元アル中心理士のバディ感も絶妙で、ただの「事件解決もの」じゃなく、人間の弱さと再生がにじみ出てる。4部作の第1弾らしいので、これはシリーズごとランクインもあるかも?

真冬の訪問者』W・C・ライアン 2025/1/29

1921年冬のアイルランド。
独立戦争の影で起きた襲撃事件の真相は?
CWAゴールド・ダガー最終候補作!
内乱のさなかにある1921年1月、冬のアイルランド。第一次大戦帰還兵で現在は保険会社の損害査定人であるトムのもとに、かつての戦友ビリーから、妹のモードがIRAの襲撃を受けて殺されたという報が届く。モードはトムの元恋人だった。保険会社から事件の調査を命じられたトムは、モードが、王立アイルランド警察(RIC)の男性二人と同乗していた車を襲撃され、銃殺されたことを知る。が、IRAの遊撃隊は男二人を殺害したものの、モードに手をかけていなかったことが判明。さらに彼女は妊娠していたことがわかる。はたして、モードを殺したのは誰だったのか……? 元恋人の幻影を追いつつ、祖国のために複雑な人間関係の只中に身を投じるクライム・ノヴェルにして、アイルランド独立戦争の実相を描出する歴史小説の一面ももつ、大作ミステリー。

これね、タイトルの通り“真冬感”がすごい。ページをめくるたびに、冷たい風が顔に吹きつけるような感覚。舞台は1921年、内乱期のアイルランド。僕自身、アイルランド史なんて詳しくないんだけど、それでもこの作品は一気に“現地”に連れて行ってくれるんですよ。

主人公ハーキンはPTSDを抱えた退役軍人。かつての婚約者の死を追うんですが、その過程がただの事件調査じゃなくて、過去の亡霊との対話みたいになってる。IRAの影、内乱の空気、ゴシックな屋敷……どこを切り取っても不穏。

ただね、ラストはちょっと「え、これで終わり?」という肩透かし感も。でもそれを差し引いても、じわじわと迫ってくる“静かな恐怖”は忘れがたい一作でした。

スケープゴート』 ダフネ・デュ・モーリア

【名作ミステリ新訳プロジェクト】
自分と瓜ふたつの相手になりすます羽目になった男の運命は……
『鳥』『レイチェル』の著者による予測なサスペンス人生に絶望していた英国人ジョンは、旅先のフランスで自分と瓜ふたつの男ジャンに出会う。ふたりで飲んだ翌朝目覚めるとジャンの姿はなく、持ち物全てが消えていた。呆然とするジョンは、彼を主人と思い込んだ運転手に伯爵であるジャンの城に連れていかれ、ジャンになりすますことに。だがジャンの工場は経営が危うく、家庭は歪みを抱えていた。名手による予測不能なサスペンス。

いやぁ、さすがデュ・モーリア。『レベッカ』の作者は伊達じゃない。これ、入れ替わりサスペンスの古典なんだけど、今読んでも全然色褪せないんですよ。

空虚な人生を送る学者が、フランスの城で突然“伯爵の人生”を背負わされる。その状況設定だけで十分スリリングなんですが、何より怖いのは「だんだんその役を演じることが快感になっていく」こと。読んでると、自分まで偽りの人生に飲み込まれていく感覚があるんです。

中盤以降はまさにページをめくる手が止まらない。現実感のなさと緊張感が同居していて、ラストに近づくにつれ「これ、どう収拾つけるんだ?」とドキドキしっぱなしでした。

凶弾のゆくえ』サンドラ・ブラウン,林 啓恵 2025/1/21

フェア会場で起きた銃乱射事件。
一発の銃弾が偶然居合わせた男の腕を貫通し、シングルマザーが連れた幼児の命を奪った。
事件は未解決のまま、グループセラピーで顔を合わせたその男、コールダーと幼児の母、エルは互いの苦しみを分かち合ううちに惹かれていく。
そんな中、事件の被害者宛てに脅迫電話が入り、ふたりにも次々と危険が襲いかかり……。
手に汗握る切迫感、一気読み必至のサスペンス!

これはね、アメリカらしい王道のロマンティック・サスペンス。カウンティフェアでの銃乱射事件から始まるんだけど、そこから被害者同士が心を通わせていくんです。王道なんだけど、やっぱり泣ける。

特にね、グループセラピーで心の傷をさらけ出すシーン。人前で涙を見せることってどれだけ勇気がいるか……。そこから2人が互いに惹かれ合う流れは、事件以上に胸を打ちました。

そして終盤のどんでん返し!

「あぁ、やられた」と声に出してしまった。ブラウンって、最後の最後に必ずひっくり返してくるんですよね。ちょっと中盤で“停滞”はあるけど、それもラストの破壊力を高めるためだったのかも。

夜の底を歩く』レイラ・モトリー 2025/1/8

17歳のキアラは、兄と二人暮らし。父は病死、母は獄中。ラッパーを夢見る兄のため、隣家の孤独な少年のため、彼女は職を探す。ある夜、思わぬことから、売春を始める。愛する者を心の支えとして働くキアラだったが、やがて街を揺るがす騒動に巻き込まれ……

これは読んでいて心が痛くなる作品でした。17歳の少女が、家族のために“夜の底”に沈んでいく物語。正直、軽い気持ちで読める本じゃないです。

一番しんどかったのは、警察官による搾取のシーン。守ってくれるはずの存在が、実は一番の加害者になっている。ページを閉じても、その不条理が胸に重くのしかかって離れませんでした。

でもね、単なる告発小説じゃない。少女の語り口の中に、彼女の強さと希望が確かにある。現実の事件を下敷きにしているだけに、なおさらズシンと響く。ブッカー賞候補になったのも納得です。

『エージェント17』ジョン・ブロウンロウ 2025-01-08

暗殺専門のエージェント、17。彼は消息を絶った16の後任だった。ところが、とある作家の暗殺の指令を受けるが、どうもその作家の正体が16らしい。激しい死闘が続くなか、17は自分がハメられていたことを知る。さらに、中東を巡る国際的な陰謀にも巻き込まれ…ていく。果たして闘いの行方は?

これぞエンタメ! 暗殺者が暗殺者を追うという、いかにも映画的な展開。実際に読みながら「これ、もう映画化されてるんじゃ?」って錯覚しました。

特にね、ホテルの一室での肉弾戦シーン。壁が崩れる、窓ガラスが割れる、血と汗が飛び散る――その臨場感は完全にアクション映画そのもの。ご都合主義な部分もあるけど、そのテンポの良さで気にならないんですよ。

頭で考えるミステリーじゃなく、体で楽しむサスペンス。ランキング的には上位は難しいかもしれないけど、読者人気はかなり高そうです。

『西遊記事変』馬伯庸 2025-01-08

玄奘三蔵の箔付けために西天取経を目的とした天竺への旅が企画される。仙界に住む李長庚は三蔵法師に課せられる八十一の試練の管理を押し付けられる。そこには仙界の大物たちによるある目論見が見え隠れしていた。人間界も巻き込んだ壮大な計画。その成否の鍵は孫悟空にあるというのだが…。

これ、めちゃくちゃ面白かった! 西遊記を「裏方の視点」から描くという発想がまず秀逸。しかも“仙界の中間管理職”って(笑)。

三蔵法師の旅が、実は綿密に企画された“プロジェクト”だった――その舞台裏で右往左往する仙人たち。これ、現代のサラリーマン社会の縮図そのものなんですよ。会議で責任を押し付け合うシーンなんか、「あーこれ、うちの職場でも見たわ」って笑っちゃいました。

ただのパロディに終わらず、最後はちゃんと“冒険の意味”に回収していくのが見事。中国発のエンタメ小説の底力を見せつけられましたね。

『アルパートンの天使たち』ジャニス・ハレット 2025-01-09

2003年、ロンドン北西部の廃倉庫で数体の死体が発見される。彼らは自分たちが人間の姿をした天使だと信じるカルト教団“アルパートンの天使”の信者だった。指導者である自称・大天使ミカエルは逮捕されるも、乳児と未成年の男女2人は行方不明のまま。この事件の背後に隠された真実とは?

調査資料形式で構成された異色作。メールやメモ、報告書を積み重ねることで、カルト教団事件の全貌が浮かび上がる。読んでると自分も調査員になった気分になります。

ただね、前作に比べて少し“もう一押し”が欲しかったのも事実。途中まではゾクゾクする展開なのに、真相が明かされた瞬間「あれ、こんなもの?」という拍子抜け感が残りました。

とはいえ、形式に縛られず新しい語りを模索している姿勢はやっぱり魅力的。実験的な試みとして評価されるべき一作です。

『罰と罪』チャン ガンミョン 2025-01-22

22年前に起きた女子大生殺害事件。犯人のDNAや防犯カメラの映像といった有力な手掛かりがあったにも関わらず、犯人逮捕には至っていない。班長の提案でその事件を再調査することになる。新米女性刑事のジヘが真相解明を目指し奔走し、結果、捜査線上には次々と疑わしい人物が浮上していくが…。

900ページを超える韓国警察小説の大作。正直、読み終えた後は「マラソンを完走した」みたいな疲労感がありました。でも、それ以上に達成感がすごい。

地道な捜査の積み重ねが延々と描かれるんですが、犯人のモノローグが合間に差し込まれることで緊張感が切れないんです。警察組織の腐敗をあえて誇張せず、現実に即した描写に徹しているのも好印象。

特に印象に残ったのは、新米刑事ジヘが先輩たちに押し潰されそうになりながら、それでも真実に迫ろうとする姿。読んでいて思わず応援したくなるんですよ。ミステリーでありながら社会派小説としても一級品でした。

まとめ


2025年1月は、多様なジャンルの海外ミステリー小説が目白押しでした。複雑な謎解きが魅力の『17の鍵』、寒さと恐怖が交錯する『真冬の訪問者』、名作『スケープゴート』の復刊、スリリングな法廷サスペンス『凶弾のゆくえ』、そして衝撃的な社会派ミステリー『夜の底を歩く』。どの作品も、それぞれ異なるスリルと魅力を持っています。ミステリー好きの方は、ぜひチェックしてみてください!

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