「この本の続きを読まずに、夜を越せるか。」
どうも、旅先の本屋で財布のひもが緩みがちなブロガーです。
ふと気がつくと、僕たちはいつも「どこかに行きたい」と思ってる。
でも実際には、なかなか現実は動けないし、時間もお金もない。そんなときに僕を助けてくれるのが、本です。しかも「流浪の旅」が描かれてる物語は格別。読んでるだけで風に吹かれて、知らない駅で降りたような感覚にすらなれるんですよ。
今回は、読書好きの人たちから聞いた「読んだら旅が始まるような本」を30冊集めました。舞台は、北海道から火星、そして心の奥まで。
この中から、あなたの「旅の扉」が開く一冊が見つかると嬉しいです。
流浪の 旅 が、あなたを呼んでいる。思わず読書したくなる本30選
■ 旅はどこから始まるのか――心? 地図? 過去?
まず紹介したいのは、旅というより“逃避行”に近い、池澤夏樹さんの『アトミック・ボックス』。
終戦直後の日本、父の過去に巻き込まれて公安に追われる娘。逃げ場のない中で、彼女が選ぶ道とは……。
この本、正直ドキドキしすぎて、電車の中で読むと降りる駅を3回乗り過ごします(経験談)。
他にも伊坂 幸太郎さんの『バイバイ、ブラックバード』なんかも旅というより“別れの旅”。
5人の女性と同時に付き合っていた男が、事件に巻き込まれ、一人一人とお別れをしていく物語です。
なのに、全然憎めない!
途中で「この人、好きになってもいいのかな?」って戸惑う自分がいる。
最後には涙と共に「バイバイ」って言いたくなる、不思議な読後感。
■ 荒れた海でも、誰かとなら渡れる――そんな本もある。
江國香織さんの『神様のボート』。
“恋に囚われた母と、その旅に同行する娘”。
この関係性が、最初は「切ないなぁ」と思うんだけど、読み進めるうちに「でも分かる…」ってなるんです。
一緒に行く旅って、安心する。でも、どこか不安定で。
そんな気持ち、経験ありませんか?
あと、津村記久子さんの『水車小屋のネネ』(津村 記久子)も良かった。
山中で静かに続く蕎麦屋と、人間と鳥の40年の物語。
大事件は起きない。でも、それがいい。
流れる水のように、じわっと心に沁みてきます。
■ 旅じゃなくても“流れて”いる。人生って、そういうものかもしれない。
角田光代さんの『笹の舟で海をわたる』は、戦争、結婚、疎開、家族の記憶…。すべてを背負って、それでも生きていく女性たちの話。
男が全員ダメ。なのに女性たちは、なぜかかっこいい。
釧路の空気が流れる『蛇行する月』(桜木紫乃さん)も、過去に引きずられながらそれでも進む5人の女性の物語です。
旅をしていなくても、「心」は流れている。
それをしっかり描いている本って、なかなかないんですよ。
■ 本の中のホテルで一泊してみませんか?
もし今、疲れている人がいたら「ホテルもの」の小説を読んでみてほしい。
喜多嶋 隆さんの『かもめ達のホテル』は、葉山の小さなホテルに集まる、傷を抱えた人たちの話。
読むとね、「あぁ…こんな場所、あったらいいなぁ」って心から思える。
あと、浅田次郎さんの『プリズンホテル』はまさかの“極道団体客専用ホテル”って設定なんだけど、めちゃくちゃ笑えて、最後ちょっと泣ける。
人生、時には「とんでもない旅先」に泊まることも必要なのかもしれません。
■ 怖い。でも目が離せない。「闇の旅」へようこそ
湊かなえさんの『豆の上で眠る』は、小一の妹の失踪→二年後に帰ってきたけど「この子…ほんとにお姉ちゃん?」というミステリー。
読んでて背筋がぞくっとする。
流浪の旅どころか、心の底を引きずりまわされる感じ。
似た感覚だったのが川上弘美さんの『真鶴』。
夫が残した「真鶴」という言葉に導かれて、主人公が現実と幻想の境目をふらふら彷徨っていく話。
読後感、「うわ、なにこれ」ってなる。なのに、嫌じゃない。
不思議な余韻が残る、まさに「旅の残像」です。
■ 荒れた海を渡る物語もある
恩田陸さんの『鈍色幻視行』。
舞台は豪華客船。映画と出版関係者たちが乗り合わせ、繋がるのは撮影が3度も頓挫した「いわく付きの本」。
甲板を歩く音、客室の重いカーテン、そして「謎」。
――解決したのか? いや、そもそも何が謎だったのか?
読んだ後、海の色まで鈍色に見える瞬間があります。
そして佐々木譲さんの『北帰行』。
ロシア人女性と彼女の世話をするビジネスマンが、ヤクザとマフィアに追われる逃避行。
「この二人、絶対無理だろ…」と思いながらも、ページをめくる手が止まらない。
港町の夜景が、やけに鮮やかに浮かんでくるのは私だけじゃないはずです。
■ 心だけが逃避行する本もある
町田康さんの『告白』は、明治26年大阪で実際に起きた「河内十人斬り事件」を題材にした小説。
賭けに負け、破滅に向かって狂気に進む熊太郎。
読みながら、「これは昔の事件じゃない。今でも、どこかでこういう人はいる」と感じてしまう。
旅というより、時代と精神を行き来する読書体験です。
柴崎友香さんの『また会う日まで』も、物理的な距離よりも「心の距離」が旅の主役。
高校の同級生に会うため上京した女性の一週間。
最後まで掴めない主人公の気持ちに寄り添いながら読むと、自分まで上京して誰かに会いに行ったような、ちょっと切ない余韻が残ります。
■ 闇の旅に迷い込む
桐野夏生さんの『リアルワールド』。
親を殺して逃げる男子高校生と、その逃亡を手助けする4人の女子高生。
視点が切り替わるたび、登場人物の内面が濃く、そして黒く浮かび上がる。
読み進めるうち、心の奥にドロっとしたものが沈殿していく感覚――これ、間違いなく旅の一種です。
吉田修一さんの『悪人』も忘れられません。
女性の絞殺遺体が発見され、犯人は誰か? そして本当の「悪人」は誰か?
終盤の涙は、ただの感動じゃなく、「あぁ、旅が終わった…」という喪失感と一緒にやってきます。
角田 光代さんの『紙の月』も事件がらみの作品です。
ネジが外れた女性の犯罪者たちの持つ閉塞感と高揚感が全開する横領小説。
■ 宇宙にも旅に出る
平野啓一郎さんの『ドーン』は、有人火星宇宙船から地球に帰還した飛行士を待つのは、政治・戦争・不倫…スキャンダラスなアメリカ。
宇宙の静けさから、一気に人間臭い世界に引き戻されるコントラストがすごい。
宇宙は遠いけど、このギャップは日常の中にもありますよね。
■ 京都の路地裏から、不思議の国まで
森見登美彦さんの『聖なる怠け者の冒険』。
人間である前に怠け者である主人公と、京都の正義の味方“ポンポコ仮面”。
追う者が追われ、追われる者が追う――まさに森見節の大活劇。
これを読んだら、京都の小道を歩くたびに「あれ、ポンポコ仮面出てくるんじゃ…」と期待してしまうはず。
新名智さんの『あさとほ』は、「あさとほ」が何なのか分からないまま読み進める不思議なホラーミステリー。
読後、「説明できないのに、ずっと覚えている」タイプの旅です。
■ 実話の旅は、もっと熱い
沢木耕太郎さんの『凍』(とう)は、登山家山野井夫妻のノンフィクション。
命をかけた究極の挑戦からの生還。
雪山の冷気がページから立ち上がるようで、読んでいて手がかじかみます。
■ 笑ってるうちに旅が進む
東川篤哉さんの『もう誘拐なんてしない』は、狂言誘拐のはずが殺人事件に発展。
コメディとミステリーが同居する、珍しいタイプの旅。
電車で読んだら笑いをこらえるのに必死でした。
東野圭吾さんの『ゲームの名は誘拐』は、誘拐を仕掛けた主人公が予想を裏切られる展開。
「してやったり」からの「やられた」が見事すぎる。
■ ゆっくり泊まる旅もある
『ナナメの夕暮れ』(若林正恭さんのエッセイ)は、旅というより人生の小休止。
生きづらさに共感しつつ、「あ、これ自分だけじゃない」と安心できる時間が流れます。
東野圭吾さんの『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は、過去と現在が一つの雑貨店を通して交錯。
読後は、知らない街角でも「ここにナミヤ雑貨店があるかも」と思ってしまいます。
三浦しをんさんの『舟を編む』は、辞書作りという地味な仕事が、実は長い旅そのものだと気づかせてくれる。
■ ホテルの一夜は、旅の縮図
小川洋子さんの『ホテル・アイリス』は、少女と孤独な初老の男の倒錯的な関係。
最後に与えられる罰は、読む側の胸にも突き刺さります。
東野圭吾さんの『マスカレード・ホテル』は、ホテルの奥深さと伏線回収の快感が同時に味わえる一冊。
有栖川有栖さんの『暗い宿』は、宿をテーマにした短編集。
宿泊施設って、それぞれ独特の“空気”がありますよね。
近藤史恵さんの『ホテル・ピーベリー』は、一度しか泊まれないハワイのホテルが舞台。
穏やかな日常が、じわじわと不穏に変わっていく――まるで夢が悪夢に変わる瞬間を覗き込んでいるようです。
あなたの旅は、どこから始めますか?
今回紹介した本は、どれも「移動」だけじゃなくて「変化」を描いています。
それは、地理的なものだけじゃなくて、心の動き、人間関係、人生そのもの。
旅って、もしかすると“移動”よりも“変容”の方が本質なのかもしれませんね。
だから本を読むと、旅に出たくなる。
そして本を読んでる間だけでも、少しだけ「新しい自分」に会える気がするんです。
■ 最後に、あなたの旅はどこから始めますか?
30冊、全部紹介しきれないけど、どれも「一行目から旅が始まる本」ばかりです。
気になる一冊があったら、ぜひ手に取ってみてください。
読んだら、感想教えてね。
本の旅は、読者の数だけ道があるから。
紹介した本リスト
『鈍色幻視行』恩田陸
豪華客船に乗り込んだ映画と出版関係者たち。彼らを繋げるのは撮影が3度頓挫したいわく付きの本。謎が解決したのか、そもそも謎は何なのか。
『告白』町田康
明治26年大阪で起きた河内十人斬り事件。博奕に負ける心理そのままに狂気に突き進む熊太郎の、現代に繋がる物語。
『蛇行する月』桜木紫乃
釧路の高校で図書部員だった5人の女性たち。誰も死なない。でも、皆苦しみながら生き続けている。
『また会う日まで』柴崎 友香
高校の同級生に会うために上京した女性。その一週間の物語。最後まで掴めない主人公の気持ちに寄り添う本。
『紙の月』角田 光代
1億円を横領した女、買い物依存症の女、節約の度が過ぎる女。ネジが外れた人たちの持つ閉塞感と高揚感が全開する横領小説。
『北帰行』佐々木譲
復讐をはたしたロシア人女性と彼女の世話をするビジネスマン。がヤクザとマフィアに追われるサスペンス。二人は逃げ切れるのか
『神様のボート』江國 香織
恋に囚われ流れものとなった母。母に同行する娘は成長するにつれ、母の生き方に疑問を抱き始める。
『リアルワールド』桐野 夏生
親を殺して逃げる男子高校生。その逃亡を手助けする4人の女子高生。それぞれの内面が視点を変えながら描かれるサスペンス。
『バイバイ、ブラックバード』伊坂 幸太郎
同時に5人の女性と付き合う優男。事件に巻き込まれ一人一人別れを告げていく。何故か憎めなくなる物語。
『悪人』吉田 修一
女性の絞殺遺体が発見される。犯人は一体誰なのか。彼女に一体何があったのか。本当の悪人は誰か。涙のラスト。
『ドーン』平野啓一郎
有人火星宇宙船ドーン。地球に帰還した飛行士を待っていたのは政治・戦争・不倫等が絡み合うスキャンダラスなアメリカだった。
『聖なる怠け者の冒険』森見 登美彦
人間である前に怠け者である主人公と京都の正義の味方を自称する“ポンポコ仮面”。追う者が追われる者でもある森見節炸裂の阿呆な大活劇。
『アトミック・ボックス』池澤 夏樹
終戦間際、父が原爆製造計画に参加していたため、公安から追われる羽目になった娘の逃避行。一気読みのサスペンス。
『あさとほ』新名 智
「あさとほ」が何なのか分からない、けれどその周縁では何かが起き続けている。ゆらぎのホラーミステリー。
『凍』沢木 耕太郎
登山家山野井夫妻のノンフィクション。命をかけた究極の挑戦、そこからの生還と再帰の遭難小説。
『もう誘拐なんてしない』東川 篤哉
組長の娘と知り合い、話の流れで狂言誘拐をすることになった大学生。狂言誘拐を進める中で殺人事件に巻き込まれるユーモアミステリー。
『ゲームの名は誘拐』東野 圭吾
クライアントの重役に仕事を潰された主人公。誘拐で勝負に挑むが、予想を裏切る展開に。
『ナナメの夕暮れ』若林 正恭
オードリー若林さんのエッセイ3作目。生きづらさを感じてる人は共感できる。感じていない人にも、刺さるものがある。
『豆の上で眠る』湊かなえ
主人公は幼い少女。小一の時二つ上の姉が消え、二年後に戻ってきた。お姉ちゃん、あなたは本物なの? 面白すぎる姉妹ミステリー。
『笹の舟で海をわたる』角田 光代
戦時中の集団疎開の思い出に引きずられながら,戦後から高度経済成長期を経て老後に向かう二人の女の物語。出てくる男はすべてだめ。
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾
全ての人物や事柄がひとつに繋がっていく。過去と現在がナミヤ雑貨店を通して交錯するファタジー。
『真鶴』川上 弘美
失踪した夫の日記に残された「真鶴」という言葉から、現世と浮世を行き来するかのように真鶴へ足を運び続ける主人公。ざわざわとした印象につきまとわれる幻想小説。
『舟を編む』三浦しをん
辞書を作るには長い月日がかかる。だから関わったすべての人に持続するやる気と、恐れずに新さを取り入れるまなざしが必要だ。
『水車小屋のネネ』津村記久子
山中のお蕎麦屋さんで四十年間つづく鳥と人間の物語。自分はおそらく出会ったあらゆる人々の良心でできあがっている
『ホテル・アイリス』小川 洋子
孤独な初老の男と、母の経営するホテルで働く少女。二人の出会いから倒錯的な関係。最後に男が彼女に与えた最大の罰に息を呑む。
『マスカレード・ホテル』東野 圭吾
接客の奥深さやホスピタリティの本質を感じさせながらも、巧妙に張られた伏線と容疑者たちの駆け引きが魅力のミステリー。
『プリズンホテル』浅田 次郎
リゾートホテル。行ってみるとそこは、極道団体客専用ホテルだった!ついたあだ名がプリズンホテル。出来事をきっかけに宿泊客がいい方向へ心変わりするストーリー。
『暗い宿』有栖川 有栖
火村&アリスシリーズ。宿泊施設に関連する4編のミステリを収録した短編集。どれも違った宿の雰囲気が楽しめます。
『かもめ達のホテル』喜多嶋 隆
湘南は葉山のかたすみに立つホテル。心に傷を持ったお客さんを若き女性オーナーと使用人のホスピタリティで回復していく物語。
『ホテル・ピーベリー』近藤 史恵
一度しか宿泊を許されないハワイのホテル。穏やかな日々が続いているとみせかけて、徐々に不穏な空気になるミステリー。

「本をたくさん読みたいけど読む時間がない」
「本を何冊も買うとお金がかかる」
「読書はしたいけど腰が重い」
そんなお悩みがある方には、オーディブル(聴く読書)がおすすめです✨
Audible(オーディブル)は、Amazonが提供するオーディオブックサービス。古典ミステリーを読むならオーディブルが最適です。
その理由は、圧倒的に作品数が多いから✨
月額1500円で約12万冊以上が聴き放題なので、書籍代の節約にもなるし、読書の幅も広がります。
電車やバス、車に乗っている時間や家事中であっても聴くことができるので、忙しい方でも本が楽しむことができます!Audibleの登録は超簡単です。

サービスは良さそうだけど、お金がかかるの面倒かも。

登録後、30日間無料体験が使えるので気楽にお試しできます?
有料の時と同じ機能が使えて、期間内に解約すれば無料。
この機会に登録してみてはいかがですか!
今だけ30日間無料
期間内に解約すれば無料です。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 “ 流浪の 旅 ”を感じさせる小説を30冊厳選しました。