恋愛小説――それは心の奥底に触れる最も個人的な感情を、言葉によって美しく紡ぎ出す芸術。
あなたにとって、「最強の恋愛小説」とは何ですか?甘く切ない初恋の物語でしょうか。それとも、心の闇を暴くような危険な愛の物語?
代官山蔦屋書店がまとめた恋愛小説の名作たちをご紹介します。「恋」と「愛」が持つ多様な形を楽しむためのガイドとして、ぜひ最後までお楽しみください。
- 恋愛のもどかしさと輝きが交錯する、珠玉の物語たち
- 「放課後の音符(キイノート)」 山田 詠美
- 「猫と庄造と二人のおんな」谷崎 潤一郎
- 「愛のようだ」長嶋 有
- 「ナナイロノコイ」江國 香織,井上 荒野,谷村 志穂,藤野 千夜,角田 光代,ミーヨン,唯川恵
- 「赤い長靴」江國 香織
- 「いつか記憶からこぼれおちるとしても」江國 香織
- 「イニシエーション・ラブ」乾 くるみ
- 「独り舞」李 琴峰
- 「夢見る帝国図書館」中島 京子
- 「国境の南、太陽の西」村上 春樹
- 「女のいない男たち」村上 春樹
- 「仮面の告白」 三島 由紀夫
- 「禁色」三島 由紀夫
- 「永すぎた春」三島 由紀夫
- 「変愛小説集 」岸本佐知子編
- 「阿修羅のごとく」向田邦子
- 「最後の息子」吉田 修一
- 「かわいそうだね? 」綿矢 りさ
- 「ラヴレターズ」川上 未映子,村田 沙耶香
- 「夜は短し歩けよ乙女」森見 登美彦
- 「プルースト効果の実験と結果」佐々木 愛
- 「あちらにいる鬼」井上 荒野
- 「とける、とろける」唯川 恵
- 「キスよりもせつなく」唯川 恵
- 「100万回の言い訳」唯川 恵
- 「あなたの愛人の名前は」島本 理生
- 「ナラタージュ」島本 理生
- 「情事」森 瑤子
- 「ホテル・アイリス」小川 洋子
- 「薬指の標本」小川 洋子
- 「容疑者Xの献身」東野 圭吾
- 「夜明けの街で」東野 圭吾
- 「二周目の恋」
- 「恋せぬふたり」吉田 恵里香
- 「チョコレート・ガール探偵譚」吉田 篤弘
- 「うっとり、チョコレート」
恋愛のもどかしさと輝きが交錯する、珠玉の物語たち
「放課後の音符(キイノート)」 山田 詠美
大人でも子供でもないもどかしい時間。まだ、恋の匂いにも揺れる17歳の日々――。放課後にはじまる、甘くせつない8編の恋愛物語。
「猫と庄造と二人のおんな」谷崎 潤一郎
一匹の猫を中心に、猫を溺愛している愚昧な男、猫に嫉妬し、追い出そうとする女、男への未練から猫を引取って男の心をつなぎとめようとする女の、三者三様の痴態を描く。
「愛のようだ」長嶋 有
40歳にして自動車免許を取得した戸倉。友人の須崎と、その彼女琴美。退院したらどこかいこう――約束を果たすべく、彼らは車に乗り込んだ。車窓の風景は移ろい、音楽は次々流れ、会話は止まらない。各々胸中は違えど同じ車内、同じ方向に進んでいく。そして大切なものを失ったことに気づく瞬間が訪れ……。愛しさと哀しみを鮮明に描きだした恋愛小説。
「ナナイロノコイ」江國 香織,井上 荒野,谷村 志穂,藤野 千夜,角田 光代,ミーヨン,唯川恵
七人の女性作家による恋愛短編小説。恋にどっぷりってのじゃなくって、ちょっと大人の恋のお話が多い。
「赤い長靴」江國 香織
結婚して十年、子供はいない。二人なのに一人ぼっち。漂う心の動きをとらえた、限りなく美しく、少し怖い、絶品の連作短篇小説集
「いつか記憶からこぼれおちるとしても」江國 香織
「いわゆる恵まれた家庭環境の子が多い」私立の女子高の、同じクラスに在籍する女の子たちが、一人称で語る連作短編集。
「イニシエーション・ラブ」乾 くるみ
僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて……。バブルにわく1980年代後半の世相や流行を背景に、甘美でときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説——―と思いきや、最後から2行目(絶対に先に読まないで! )で、本書は全く違った物語に変貌する。
「独り舞」李 琴峰
私は私。海を渡っても、異なる言語を操っても、何も変わらない。自分自身であること、それが生の苦難の根源なのだ――。心惹かれていた同級生との死別により、幼くして死への想いに取り憑かれ、一方で、性的マイノリティとして、内なる疎外感に苛まれていた迎梅。女子高での密やかな恋、そして運命を暗転させる「災難」の果てに、日本に半ば逃亡のような気持ちで渡った彼女の葛藤と孤独を描く、若き台湾人作家の鮮烈なデビュー作。
「夢見る帝国図書館」中島 京子
上野公園のベンチで偶然、出会った喜和子さんは、作家のわたしに「図書館が主人公の小説」を書いてほしいと持ち掛けてきた。ふたりの穏やかな交流が始まり、やがて喜和子さんは終戦直後の幼かった日々を上野で過ごした記憶が語るのだが……。日本で初めての国立図書館の物語と、戦後を生きた女性の物語が共鳴しながら紡がれる、紫式部文学賞受賞作。
「国境の南、太陽の西」村上 春樹
今の僕という存在に何らかの意味を見いだそうとするなら、僕は力の及ぶかぎりその作業を続けていかなくてはならないだろう――たぶん。「ジャズを流す上品なバー」を経営する、絵に描いたように幸せな僕の前にかつて好きだった女性が現われて――。日常に潜む不安をみずみずしく描く話題作
「女のいない男たち」村上 春樹
「ドライブ・マイ・カー」「イエスタデイ」「独立器官」「シェエラザード」「木野」「女のいない男たち」の6編はそれぞれくっきりとしたストーリー・ラインを持ちながら、その筆致は人間存在の微細な機微に触れる。
現代最高の作家がいまできること、したいこと、するべきことを完璧な形で成し遂げた作品集と言えるだろう。「ドライブ・マイ・カー」「イエスタデイ」「独立器官」「シェエラザード」「木野」他全6篇。
「仮面の告白」 三島 由紀夫
女に魅力を感じず、血に塗れた死を憧憬しつつ自らの性的指向に煩悶する少年「私」。軍靴の響き高まるなか、級友の妹と出会い、愛され、幸福らしきものに酔うが、彼女と唇を重ねたその瞬間「私には凡てがわかった。一刻も早く逃げなければならぬ」――。少年が到達した驚異の境地とは? 自らを断頭台にかけた、典雅にしてスキャンダラスな性的自伝。
巻末に用語、時代背景などについての詳細な注解、佐伯彰一、福田恒存、中村文則による解説、さらに年譜を付す。
「禁色」三島 由紀夫
「僕は女を愛せないんです」──。完璧な美貌の青年・南悠一がそう告げたとき、老作家・檜俊輔の復讐遊戯が幕を上げた。「悠一の美を使って自分を裏切った女たちを手酷く堕落させるのだ」。一方で悠一はゲイバー「ルドン」の淫靡を身に纏いはじめ、俊輔はとある「愛」の誤算によって次第に人生をも狂わされていく……。
「永すぎた春」三島 由紀夫
家柄の違いを乗り越えてようやく婚約にこぎつけた若い男女。一年以上に及ぶ永すぎた婚約期間中に起る二人の危機を洒脱な筆で描く。
「変愛小説集 」岸本佐知子編
「愛」をつきつめていくと「変」になる。木に恋をしたり、バービー人形と真剣交際したり。奇想天外で切ない思いがつまった11篇。
「阿修羅のごとく」向田邦子
年老いた父に愛人がいた――。
四人の娘は対策に大わらわ。だが、彼女たちもそれぞれ問題を抱えていた。
未亡人の長女は不倫中、次女は夫の浮気を疑い、三女は独身の寂しさに心がすさみ、四女はボクサーの卵と同棲、そして母は……。肉親のエゴと愛憎を赤裸々に描き、家族の在り方を追求してきた著者の到達点ともいうべき傑作。
「最後の息子」吉田 修一
ゲイバーを経営するオカマの閻魔ちゃんの家に転がり込んだ「ぼく」。昼過ぎまで寝て、起きたら読書したり散歩したり、ときどきはガールフレンドとデートしたりと、気楽な日々を過ごしているのだが、ある事件を契機に、そんなモラトリアム生活がうまくいかなくなってしまう。「ぼく」のビデオ日記に映っていたものとはいったい――?
第84回文學界新人賞を受賞した、鮮烈なるデビュー作。
「かわいそうだね? 」綿矢 りさ
同情は美しい? それとも卑しい?
「許せないなら別れる」――恋人の隆大が、求職中の元彼女・アキヨを居候させると言い出した。百貨店勤めの樹理恵は、勤務中も隆大とアキヨとの関係に思いを巡らせ落ち着かない。悩んだ末に樹理恵がとった行動は――。週刊誌連載時から話題を呼んだ表題作と、女子同士の複雑な友情を描く「亜美ちゃんは美人」の二篇を収録。第6回大江健三郎賞受賞作。
「ラヴレターズ」川上 未映子,村田 沙耶香
あなたはラヴレターを書いたことがありますか?
恋心ほどやっかいで愛しいものはない。
かつての同級生、年齢の離れた伯父、昔自分を弄んだ男、
はたまたコンビニエンスストアなど、贈り先は多種多様。
史上最高の執筆陣による、他の追随を許さない異色の恋文アンソロジー!
「夜は短し歩けよ乙女」森見 登美彦
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。
「プルースト効果の実験と結果」佐々木 愛
はじめてのことをするたび、彼を思い出す――痛々しい自意識過剰、空回る都会への憧れ、思い通りにいかない初恋。思春期の苦くて甘い心情を鮮やかに描き出す、四篇を収録。
「あちらにいる鬼」井上 荒野
一九六六年、講演旅行をきっかけに男女の仲となる二人の作家、白木篤郎と長内みはる。繰り返される情事に気づきながらも心を乱さない篤郎の美しい妻、笙子。みはると笙子、二人の愛と〈書くこと〉に貫かれた人間たちの生を描ききった傑作。至高の情愛に終わりはあるのか。
父・井上光晴、母、そして瀬戸内寂聴をモデルに、逃れようもなく交じり合う三人の〈特別な関係〉を、長女である著者が描ききった衝撃の最高傑作。
「とける、とろける」唯川 恵
恥ずかしいことなんて何もない。彼となら、何でもできる──。幸福な家庭を守りたいのに、気の遠くなるほどの快感とオーガズムを与えてくれる男と出会ってしまった女。運命の相手を探すため、様々な男と身体を重ねていく女。誰にも知られずに、秘密の恋人と痺れるようなセックスを楽しむ女。甘やかで、底知れない性愛の深みに堕ちていく女たちを描く、官能に満ちあふれた九つの物語。
「キスよりもせつなく」唯川 恵
恋人が親友と婚約!?愛する彼の突然の裏切り。もう恋なんかしない、そう誓って心を閉ざす27歳の知可子。でも偶然、出会った徹の一途な愛の告白に、彼女の心は揺らぎ始める…。
「100万回の言い訳」唯川 恵
知り合った頃、この人と恋人になりたいと思った。恋人になったら、結婚したいと思った。夫婦になった今、次はどうすればいいのだろう──。士郎と結子は結婚七年。平穏な生活で仲は悪くない、だけど何か足りない。ところが思いがけない事による別居生活が始まって、ふたりは……。離れて、恋をして、再び問う夫婦の意味。結婚に悩めるあなたの胸に、静かな波紋を呼び起こす長篇小説。
「あなたの愛人の名前は」島本 理生
結婚を控えた恋人と同棲している瞳。バーで浅野さんと出会い、生まれて初めて、ただひたすらに彼が欲しいと思って……(「あなたは知らない」)。月に一、二回会う関係の瞳さんは、家に男の人がいる。絶対に俺を傷つけない彼女との関係は、とても楽だと思っていたが……(「俺だけが知らない」)。同じ部屋で同じ時を過ごしていながら、絶望的なまでに違う二人の心。すれ違う大人の恋愛を描く全6編。
「ナラタージュ」島本 理生
お願いだから、私を壊して。ごまかすこともそらすこともできない、鮮烈な痛みに満ちた20歳の恋。もうこの恋から逃れることはできない。早熟の天才作家、若き日の絶唱というべき恋愛文学の最高作。
「情事」森 瑤子
33歳の夏、いつだって感動的だった夕暮れが、突然、美しさを失った。もう私は若くない…。外国人ジャーナリストとの情事にのめりこんでゆく女の内面を鮮やかに写す話題作。
「ホテル・アイリス」小川 洋子
孤独な初老の男と、学校に行かず母の経営するホテルで働くマリ。二人の出会いから倒錯的な関係、そして破滅までが描かれた作品。
「薬指の標本」小川 洋子
楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡……。人々が思い出の品々を持ち込む〔標本室〕で働いているわたしは、ある日標本技術士に素敵な靴をプレゼントされた。「毎日その靴をはいてほしい。とにかくずっとだ。いいね」靴はあまりにも足にぴったりで、そしてわたしは……。奇妙な、そしてあまりにもひそやかなふたりの愛。恋愛の痛みと恍惚を透明感漂う文章で描いた珠玉の二篇。
「容疑者Xの献身」東野 圭吾
天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は愛した女を守るため完全犯罪を目論む。湯川は果たして真実に迫れるか
「夜明けの街で」東野 圭吾
この恋は甘い地獄。彼女が天使とは限らない。不倫する奴なんてバカだと思っていた。でもどうしようもない時もある――。建設会社に勤める渡部は、派遣社員の秋葉と不倫の恋に墜ちる。しかし、秋葉は誰にも明かせない事情を抱えていた……。
「二周目の恋」
恋という言葉では到底つつみきれない、たくさんの感情と人生のシーン。
第一線の現代人気作家たちの手で紡がれる、繊細で豪華なアンソロジー!
「恋せぬふたり」吉田 恵里香
「恋愛や性的な話を振られてもよくわからない。でも愛想笑いをしていれば大丈夫……」
咲子は、そんなもやもやとした気持ちを家族や友人、同僚に理解されないまま、恋愛や結婚を促され続け、居心地の悪さを感じていた。そんなある日、「アセクシュアル・アロマンティック」というセクシュアリティを自認する男性・高橋と出会い、驚くと同時にどこか救われた気持ちになる。
誰にも恋愛感情を抱かず、性的にも惹かれないふたりが、自分たちなりの生き方を模索すべく始めた共同生活は、家族、同僚、元彼、ご近所と周囲に波紋をひろげていく。その生活の先にある、それぞれの「幸せ」のあり方とは!?
「チョコレート・ガール探偵譚」吉田 篤弘
フィルムは消失、主演女優は失踪、そして原作の行方は……。
巨匠・成瀬巳喜男監督の幻の映画「チョコレート・ガール」を追う作り話のような本当の話。連続ノンフィクション活劇、今宵開幕!
「うっとり、チョコレート」
身も心もとろけるチョコレートの味と香りを堪能できるエッセイアンソロジー。38人の名手によるバレンタインの思い出もぎっしり。