甘くて苦い、忘れられない恋を描いた名作 恋愛小説

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。忘れられない恋を描いた名作 恋愛小説を書きます。※本ページにはPRが含まれます

――ページをめくるたび、あなたの恋がひとつ増える。

「いやぁ、これはやられましたね……」

読書家の友人がそう呟きながら差し出してきたのは、表紙の端がすこし擦れた文庫本。

そこから始まったのが、この“史上最強の恋愛小説”探しです。

ネットや本屋さん、カフェでの偶然の会話まで、片っ端から「あなたの心をえぐった恋愛小説、教えてください」と聞いて回った結果――。

集まったのは、甘酸っぱい初恋から、息が詰まるような不倫、恋の終わり、そして恋をしない人の物語まで。

もうね、ジャンルも時代もバラバラ。でも、どれも胸の奥をガツンと殴ってくるような、そしてそっと撫でてくるような、そんな一冊ばかりです。

今日は、その中から特に印象に残った作品を、できるだけ具体的なシーンと一緒にご紹介します。

「気になる……」と思ったら、迷わず手に取ってみてください。たぶん今夜は眠れません。

Contents
  1. みんなが教えてくれた「史上最強の 恋愛小説 」
  2. 恋愛小説は、自分の心を映す鏡

みんなが教えてくれた「史上最強の 恋愛小説 」

放課後の音符(キイノート)」 山田 詠美

17歳。放課後のチャイムが鳴った瞬間、校舎の空気が少し変わる。

大人でも子どもでもないあの曖昧な時間って、どうしてあんなに匂いが濃いんでしょうね。

例えば、部室の鍵を閉める前の最後の一瞬、窓際に立つ彼の横顔。

その頬をかすめる夕日の色が、なんだか甘くて、切なくて、ちょっと怖い。

山田詠美さんは、その“匂い”を言葉で封じ込める達人です。

この短編集を読むと、自分が17歳だったときの放課後に一瞬で引き戻されます。

猫と庄造と二人のおんな」谷崎 潤一郎

「猫に嫉妬する女なんて……」と笑っていたら、読後は笑えませんでした。

庄造という猫バカ男を巡って繰り広げられる女たちの攻防。

部屋の隅に座る猫のシルエットが、まるで恋の化身のように存在感を放ちます。

一番ゾクっとしたのは、猫を追い出そうとする女が、わざと庄造の目の前で猫を抱き上げ、その首元に唇を押し当てる場面。

愛なのか嫉妬なのか、もはや境界線なんてどこにもありません。

愛のようだ」長嶋 有

40歳で免許を取った戸倉、友人須崎、その彼女琴美。

三人で乗る車の中、窓の外を流れる街並み、FMから流れる洋楽。

他愛ない会話の裏に潜む、それぞれの胸のざわめき。

私が息を呑んだのは、ドライブの終盤、ふと訪れる沈黙の瞬間。

誰もが笑顔を保ちながら、心の中では違う景色を見ている――。

その距離感の描写が、あまりにリアルで、車の中に自分も同乗しているような気がしました。

ナナイロノコイ」江國 香織,井上 荒野,谷村 志穂,藤野 千夜,角田 光代,ミーヨン,唯川恵

七人の女性作家による短編集。

ひとつひとつの物語が、まるで色の違うスカーフみたいに手の中で揺れます。

がっつり恋愛じゃなく、ふと日常に入り込む小さな揺らぎ。

例えば、通勤途中の電車で、見知らぬ人と数秒だけ目が合う。

何もないけど、帰り道にその瞬間を思い出して少し笑ってしまう――そんな恋の芽吹きが詰まっています。

イニシエーション・ラブ」乾 くるみ

これはもう……最後から2行目で全部ひっくり返ります。

バブル時代の合コン、カラオケ、ドライブデート。懐かしさに浸りながら油断してると、最後に背筋が凍る。

あの「え? そういうことだったの!?」感は、一度しか味わえないので、ネタバレ厳禁です。

国境の南、太陽の西」村上 春樹

静かに流れるジャズのような物語。

“僕”の前に現れたかつての初恋の人。

グラスに映る氷の光までが、再会の緊張感を伝えます。

一番刺さったのは、別れ際に彼女が微笑む場面。

何を言ったかは覚えていないのに、その笑みだけが記憶に焼き付く――恋の残り香は、案外言葉じゃなく仕草なのかもしれません。

夜は短し歩けよ乙女」森見 登美彦

この本を読むと、京都の夜を歩きたくなります。

黒髪の乙女を追いかける“先輩”の健気さと空回りが、とにかく愛おしい。

「奇遇ですねえ!」というセリフの裏に、どれだけの偶然と必死さが隠れているか。

笑って、にやけて、最後はほんのり胸が熱くなる物語です。

容疑者Xの献身」東野 圭吾

恋愛小説?と思うかもしれませんが、これは愛の物語でもあります。

天才数学者・石神が守ろうとしたのは、ただ一人の女性。

そのために全てを計算し、全てを犠牲にする。

ラストの石神の告白は、読んだあと数分間ページを閉じられませんでした。

愛の形は人それぞれ。でも、これほど歪で、これほど純粋な愛は滅多にありません。

恋せぬふたり」吉田 恵里香

恋愛感情を持たないふたりが共同生活を始める物語。

一見恋愛から遠く見えるけれど、これは人と人がどうやって“距離”を作り、守り、時に壊すのかという話。

「好きって言わなくても、一緒にいていいんだ」と思わせてくれるやさしい本です。

ナラタージュ」島本 理生

20歳の恋は、まっすぐで、危うくて、時に破壊的。

教師と生徒だった二人の再会。

あまりに痛くて、でも目をそらせない恋。

雨の夜、主人公が「この恋から逃げられない」と泣くシーン。

普通なら止めたいのに、読者のこちらもなぜか「行け」と背中を押したくなる。

恋愛の危うさと美しさを同時に味わえる名作です。

「お願いだから、私を壊して」という一文は、読者の心に直接突き刺さります。

読後、しばらく窓の外を見ながらため息をつきました。

赤い長靴」江國 香織

二人なのに、一人ぼっち。

結婚して10年、子どもはいない夫婦。

食卓で交わすのは最低限の会話。テレビの音だけが部屋に漂う。

そんな「空気の冷たさ」って、経験がなくても分かるじゃないですか。

ある日、主人公は赤い長靴を買うんです。派手すぎて、普段の自分には似合わない。

でも、その靴を履くと、ほんの少しだけ自分が違う人になれたような気がする。

それは「心の逃避先」であり、同時に、夫との距離を自覚させるトリガーにもなってしまう…。

江國さんの文章は、水面を撫でる風みたいにやわらかいのに、読み終わると胸の奥がキュッと痛むんです。

独り舞」李 琴峰

私は私であることから逃れられない。

台湾の女子高で芽生えた、同級生との密やかな恋。

でも、それは突然の「死別」によって断ち切られる。

そして訪れる、異国・日本での孤独と葛藤。

印象的なのは、東京の冬の場面。

雪のない街を、彼女はただ歩く。

「寒さが心の奥まで入ってきて、誰かに触れられるよりも、自分が自分であることを強く思い出す」と語るシーンがあるんです。

読むと、自分がかつて感じた「どうしようもない孤立感」が鮮やかによみがえるはず。

夢見る帝国図書館」中島 京子

図書館は、あなたの物語を待っている。

上野公園のベンチで出会った喜和子さんが、「図書館が主人公の小説を書いて」と言ってくるところから始まります。

そこから、彼女の戦後の思い出と、日本で初めての国立図書館の物語が絡み合う。

僕が好きなのは、終戦直後、焼け跡の街で子どもだった喜和子さんが、はじめて本の匂いを嗅ぐシーン。

その瞬間だけ、空腹も恐怖も忘れてしまう――。

恋愛小説というより、人と物語の「出会いの恋愛版」みたいな感覚です。

女のいない男たち」村上 春樹

失うことからしか、始まらない恋もある。

全6編の短編集。

中でも『ドライブ・マイ・カー』のシーンが強烈です。

主人公が亡き妻の浮気相手と車内で会話する…という、普通じゃありえない状況。

互いに複雑な感情を抱えながらも、雪の高速道路を黙って走るシーンは、まるで心の奥底の雪解けを待っているよう。

村上作品は「間(ま)の恋愛小説」とでも呼びたくなります。

仮面の告白」 三島 由紀夫

愛せない自分に気づく瞬間ほど、残酷なものはない。

少年は女に魅力を感じず、血や死の美に惹かれる。

やがて出会った少女とのキスの瞬間、彼は心の中で「逃げなければ」と思ってしまう。

三島の文は、鋭利なガラスのよう。

光を反射しながらも、指先が少しでも触れれば切り裂く。

恋愛の形は一つじゃない、と突きつけられる作品です。

禁色」三島 由紀夫

まずはもう、これは読んだ瞬間に背筋がゾワッとしたやつ。

主人公・南悠一が放つ一言——

「僕は女を愛せないんです」

…はい、来ました。これですよ。

その一言から始まる、老作家・檜俊輔の復讐劇。俊輔は、自分を裏切った女たちを、悠一という「完璧な美」を武器に堕落させていく。

でもね、これがただの悪巧みじゃないんです。悠一も悠一で、ゲイバー「ルドン」の世界に足を踏み入れて、どんどん妖艶に変わっていく。

読んでると、恋愛って「人を救うもの」じゃなくて、「人を狂わせるもの」なんだって思い知らされる。三島由紀夫の文章は、鋭すぎて時々息が止まります。

永すぎた春」三島 由紀夫

結婚を目前にしたカップル。家柄の違いも乗り越えて、ようやくたどり着いた婚約。

でも、そこから「一年以上」続く婚約期間。…これ、地味にキツいです。

親の顔色、世間体、ちょっとした嫉妬心、そしてほんの少しの退屈。恋が腐り始める瞬間って、派手な事件じゃなくて、こういう静かな日常からなんですよね。

三島はこの「間延びした幸せ」がどんな風に崩れていくかを、笑えるくらい鮮やかに描いてます。読後に、恋人と無言の時間がちょっと怖くなるかも。

変愛小説集 」岸本佐知子編

木に恋する人とか、バービー人形と真剣交際する人とか…。

もう、読んでて「え、なにこの人たち?」って思うんだけど、最後には「なんか、ちょっとわかる…」ってなるのが恐ろしい。

愛って真面目に突き詰めると、こういう形になるのかもしれない。常識を超えるほど強い感情って、時に笑えて、時に泣けます。

最後の息子」吉田 修一

ゲイバーのママ・閻魔ちゃんの家に転がり込んだ「ぼく」。

昼まで寝て、本を読み、散歩をして、ときどき恋人と会う——そんなお気楽な日々。

でも、ある事件をきっかけに、そのぬるま湯みたいな時間が崩れ始める。

吉田修一は、「何も起こらないようで、実は全部変わっていく瞬間」を描く天才。読み終わったあと、自分の部屋の空気がちょっと冷たく感じるんです。

かわいそうだね? 」綿矢 りさ

恋人が、元カノを居候させるって言い出したら、あなたならどうします?

「許せないなら別れる」って言われて、百貨店の売り場で接客しながら、その二人のことばかり考えてしまう主人公・樹理恵。

同情って、優しいものだと思ってたけど、この本を読んだら「いや、同情ってエゴだな」って感じるかもしれない。人間関係のドロドロが、こんなに美しく書けるのは、綿矢りさしかいません。

ラヴレターズ」川上 未映子,村田 沙耶香

かつての同級生、年の離れた伯父、昔自分を弄んだ男…。

普通なら送らない相手に、恋文を送る。

その一通一通が、まるで封を切った瞬間に匂いが立ち上るみたいに生々しい。

読むと、自分も誰かに手紙を書きたくなる。でも送っちゃダメな相手ほど、書きたくなる。これ、恋の重症患者向けです。

プルースト効果の実験と結果」佐々木 愛

初恋って、成功してもしなくても痛いんですよね。

思春期の「都会への憧れ」と「自意識の暴走」、そして「どうにもならない恋」。

短編4つなのに、読み終わったら胸がいっぱいになって、しばらく他の本が読めなくなります。

あちらにいる鬼」井上 荒野

作家・白木篤郎と長内みはる、そして篤郎の妻・笙子。

恋と執筆が絡み合って、どうしようもなく泥沼に沈んでいく3人。

実在の作家夫婦と瀬戸内寂聴をモデルにした…と聞いた瞬間から、現実と虚構の境目がぐにゃっと歪みます。

これは恋愛小説というより「愛という現象の記録」です。読むのに覚悟がいります。

とける、とろける」唯川 恵

「恥ずかしいことなんて何もない。彼となら、何でもできる——」

幸福な家庭がありながら、運命の男に出会ってしまった女。

官能的で、危険で、そして少し悲しい。唯川恵の筆は、女の欲望をこんなにも赤裸々に描きます。

読んでいると、恋愛の甘さと苦さが同時に舌に残る感じ。危ないので、深夜に読むのはおすすめしません。

阿修羅のごとく」向田邦子

家族って、恋愛より複雑だ。

父の愛人発覚をきっかけに、四人姉妹それぞれの恋や夫婦関係が暴かれていく。

三女がぽつりと「姉ちゃんたちは、まだ誰かに必要とされてるだけマシだよ」と言うシーンが刺さります。

この一言が、家族の関係の残酷さと優しさを同時に描いてしまっている。

いつか記憶からこぼれおちるとしても」江國 香織

国境の南、太陽の西」村上 春樹

今の僕という存在に何らかの意味を見いだそうとするなら、僕は力の及ぶかぎりその作業を続けていかなくてはならないだろう――たぶん。「ジャズを流す上品なバー」を経営する、絵に描いたように幸せな僕の前にかつて好きだった女性が現われて――。日常に潜む不安をみずみずしく描く話題作

キスよりもせつなく」唯川 恵

恋人が親友と婚約!?愛する彼の突然の裏切り。もう恋なんかしない、そう誓って心を閉ざす27歳の知可子。でも偶然、出会った徹の一途な愛の告白に、彼女の心は揺らぎ始める…。

100万回の言い訳」唯川 恵

知り合った頃、この人と恋人になりたいと思った。恋人になったら、結婚したいと思った。夫婦になった今、次はどうすればいいのだろう──。士郎と結子は結婚七年。平穏な生活で仲は悪くない、だけど何か足りない。ところが思いがけない事による別居生活が始まって、ふたりは……。離れて、恋をして、再び問う夫婦の意味。結婚に悩めるあなたの胸に、静かな波紋を呼び起こす長篇小説。

あなたの愛人の名前は」島本 理生

結婚を控えた恋人と同棲している瞳。バーで浅野さんと出会い、生まれて初めて、ただひたすらに彼が欲しいと思って……(「あなたは知らない」)。月に一、二回会う関係の瞳さんは、家に男の人がいる。絶対に俺を傷つけない彼女との関係は、とても楽だと思っていたが……(「俺だけが知らない」)。同じ部屋で同じ時を過ごしていながら、絶望的なまでに違う二人の心。すれ違う大人の恋愛を描く全6編。

情事」森 瑤子

33歳の夏、いつだって感動的だった夕暮れが、突然、美しさを失った。もう私は若くない…。外国人ジャーナリストとの情事にのめりこんでゆく女の内面を鮮やかに写す話題作。

ホテル・アイリス」小川 洋子

孤独な初老の男と、学校に行かず母の経営するホテルで働くマリ。二人の出会いから倒錯的な関係、そして破滅までが描かれた作品。

二周目の恋

恋という言葉では到底つつみきれない、たくさんの感情と人生のシーン。
第一線の現代人気作家たちの手で紡がれる、繊細で豪華なアンソロジー!

チョコレート・ガール探偵譚」吉田 篤弘

フィルムは消失、主演女優は失踪、そして原作の行方は……。
巨匠・成瀬巳喜男監督の幻の映画「チョコレート・ガール」を追う作り話のような本当の話。連続ノンフィクション活劇、今宵開幕!

うっとり、チョコレート

身も心もとろけるチョコレートの味と香りを堪能できるエッセイアンソロジー。38人の名手によるバレンタインの思い出もぎっしり。

薬指の標本」小川 洋子

愛は、静かにあなたを標本にする。

標本室で働く女性が、ある男性から靴を贈られ、「毎日履くように」と言われる。

靴は足にぴったりで、脱げない。

愛と束縛の境界線を、透明なガラス越しに覗き込んでいるような不思議な感覚になります。

夜明けの街で」東野 圭吾

甘い地獄からは、誰も救い出せない。

不倫相手の笑顔が、毒のようにじわじわ広がる。

ある夜、主人公が「もう会わない」と言いながらも、その数分後に彼女に電話してしまう場面――

人間って、こんなにも自分に逆らえないのかと震えます。

恋愛小説は、自分の心を映す鏡

こうして並べてみると、甘いだけの恋なんてひとつもないんですよね。

嫉妬、執着、諦め、逃避――その全部を含めて“恋愛”なんだと思います。

だからこそ、読んでいると不思議なことが起きます。

「あ、これ、自分のことだ」と思ってしまう瞬間があるんです。

恋人がいる人も、いない人も、恋をしない人も、きっと心のどこかが震えるはず。

本の中でしか出会えない恋もあります。

でも、その感情はページを閉じても、ずっとあなたの中で生き続けます。

今日のおすすめの読み方

  • 夜、部屋を少し暗くして、コーヒーかワインを片手に読む
  • できればスマホは遠くに置く
  • 読み終わったら、誰かに感想を話す(これがまた楽しい)

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