心もお腹も満たされる おいしい小説 9選

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。心もお腹も満たされる おいしい小説 を書きます。※本ページにはPRが含まれます。

突然ですが、みなさんは「小説の中に出てくる料理」に心を動かされた経験、ありませんか?

ページをめくっていると、ふわっと湯気の立つ味噌汁が出てきたり、肉汁がじゅわっとあふれるステーキが描かれていたり。それを読んでいるだけで「あ〜、今すぐ食べたい!」って気持ちになる。小説の料理って、不思議と現実よりも美味しく見えるんですよね。

心もお腹も満たされる おいしい小説 9選

小説に登場する料理って、単なる「食べ物の描写」じゃないんです。登場人物の人生や感情がぎゅっと詰まってる。美味しい料理 が登場する小説おすすめ9選です。

彼女のこんだて帖』角田 光代

僕が最初に衝撃を受けたのは、角田光代さんの『彼女のこんだて帖』でした。主人公が失恋のあと、自分のためだけにラムステーキを焼くシーンがあるんですが、その描写がもう最高なんですよ。フライパンでじゅうじゅう音を立てながら焼ける肉、その香りを想像するだけで、もう夜中に読んではいけないやつです(笑)。あれを読んだあと、僕はスーパーに駆け込んでラム肉を探したんですが、売ってなかったんですよね……。結局、牛肉で代用してステーキを焼きました。味は違ったけど、読んだ時の高揚感はそのままでした。

照子と瑠衣』井上荒野

例えば『照子と瑠衣』では、70歳を過ぎて新しい人生を始める女性ふたりが登場します。彼女たちが長野で食べる素朴なご飯や、照子が作る家庭料理は、「ただの食事」以上の意味を持つんです。読んでるこっちまで、「ああ、年を重ねても、こんな風に新しい時間を楽しめるんだな」って勇気をもらえる。しかも、おいしそうで(笑)。

カフネ』阿部 暁子

『カフネ』も忘れられません。疲れ切った女性が、無愛想な相手からふるまわれた手料理に救われるシーン。たった一膳のご飯やお味噌汁が、人の心をほどいていくんです。読んでると「食べることは生きること」っていう言葉が、本当に胸にストンと落ちてくる。僕なんか、読後に冷蔵庫を開けて「インスタントの味噌汁でもいいから温かいの飲もう」と思っちゃいました。

ランチのアッコちゃん』柚木麻子

そして、柚木麻子さんの『ランチのアッコちゃん』。これはもう、読むとお腹が空くだけじゃなく、元気が湧いてくる小説です。上司とランチを交換することで、主人公がどんどん変わっていく。アッコ女史のポトフの描写なんて、寒い日に外で読むともうダメ。ページの向こうから香りが漂ってきそうで、「ああ、人生ってランチひとつで変わるんだな」って思わされます。

とにもかくにもごはん』小野寺 史宜

食べ物の力ってすごいですよね。『とにもかくにもごはん』では、子ども食堂に集まる人たちがそれぞれの悩みを抱えながら、あったかいご飯で少しずつ心を解かしていく。僕は「豆腐ハンバーグ」のシーンが大好きです。派手じゃないけど、誰かが作ってくれた優しい料理って、どんなご馳走より沁みるんですよね。

パンとスープとネコ日和』群ようこ

群ようこさんの『パンとスープとネコ日和』なんて、もう反則級です。日替わりのスープとサンドイッチ、それだけなのに、涙腺がゆるむんです。僕は猫も好きだから余計にやられました。台所に立つ主人公の姿を思い浮かべると、自分の台所もなんだか物語の一部に思えてくるんですよ。

あつあつを召し上がれ』小川糸

最後に、小川糸さんの『あつあつを召し上がれ』。タイトルからして最高ですが、ここに登場する食事のシーンは、ひとつひとつが人生の宝物みたいです。恋人との最後の朝食、母から受け継いだ味噌汁、家族で食べたかき氷……。どれも「味そのもの」よりも「記憶と感情」が強烈に焼きつく。読んでいて「ああ、自分にとっての忘れられない一食ってなんだろう?」と振り返らずにはいられません。

『本日のメニューは。』行成 薫

行成薫さんの『本日のメニューは。』は、まさに“心が満たされる”短編集。入院中の父にラーメンを届けたい子どもたちを描いた『四分間出前大作戦』や、マズ飯に悩む女子大生とおむすび屋さんの物語『おむすび狂詩曲』など、ほっこり泣ける話ばかりです。僕は「ロコ・モーション」で夫婦が困難を一緒に乗り越える姿にじーんとしました。おむすびのシーンなんて、ただの米と海苔なのに、涙がこぼれそうになるから不思議です。

タルト・タタンの夢』近藤 史恵

近藤史恵さんの『タルト・タタンの夢』は、ちょっと異色。小さなフレンチレストランを舞台にした短編ミステリーで、シェフ三舟が事件や謎を鮮やかに解決していきます。読みながら「カスレってどんな味なんだろう?」「タルト・タタン食べたい!」とググってしまうほど。まるでコース料理を楽しむように読める贅沢な一冊です。

まとめ

こうして見てみると、料理が出てくる小説って、ただ「お腹が空く」だけじゃなくて、「自分の人生」をちょっと照らしてくれるんですよね。ページを閉じたあとも、「誰かとご飯を食べたいな」とか「久しぶりにあの料理作ってみようかな」って気持ちになる。

もし最近ちょっと疲れてたり、気分が沈んでたりするなら、ぜひこういう料理小説を読んでみてください。レシピ本みたいにすぐ役立つわけじゃないけど、心がじんわり温まって、台所に立つ自分の背中をそっと押してくれるはずです。