【予想】2023 第7回 未来屋小説大賞 ノミネート作品

第7回を迎えた「未来屋小説大賞」のノミネート作品15作品をご紹介します。

未来屋小説大賞とは

未来屋小説大賞は、未来屋書店の従業員の中から選りすぐりの読書好きが選考し決定します。従業員が本の面白さを紹介し新たにスポットを当てることで、次のベストセラー作を生み出し、広く世に紹介していくという趣旨のもと選考されます。株式会社未来屋書店

『アリアドネの声』井上真偽

巨大地震が発生した。地下に取り残された女性は、目が見えず、耳も聞こえない。光も音も届かない絶対的迷宮。生還不能まで6時間。想像の限界を超えるどんでん返しの結末とは?

『鏡の国』岡崎琢磨

あなたにこの謎は見抜けるか——。 反転、反転、また反転——!本気の「仕掛け」を堪能せよ! 『珈琲店タレーランの事件簿』の著者・岡崎琢磨さんが贈る、2023年の大本命ミステリー!

『黄色い家』川上未映子

17歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。危ういバランスで成り立っていた共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解し……。人はなぜ罪を犯すのか?

『教誨』柚月裕子

吉沢香純と母・静江は、遠縁の死刑囚・三原響子の身柄引受人として、東京拘置所で響子の遺骨と遺品を受け取った。その遺骨を三原家の墓に納めてもらおうと、青森県相野町にある菩提寺を訪れる香純は、響子が最後に遺した言葉の真意を探るため、事件の関係者と面会してゆく。

『この夏の星を見る』辻村深月

茨城県立砂浦第三高校の二年生・亜紗は、顧問の綿引先生のもと天文部で活動している。コロナ禍で部活動が次々と制限される中、望遠鏡で星を捉えるスピードを競う「スターキャッチコンテスト」も開催できないと悩んでいた——。コロナ禍による未曾有の事態に、複雑な思いを抱える中高生たち。だがリモート会議を駆使して、全国で繋がっていく天文部の生徒たち。スターキャッチコンテストの次に彼らが狙うのは?

『ゴリラ裁判の日』須藤古都離

カメルーンで生まれたニシローランドゴリラのローズは、人間に匹敵する知能を持ち、言葉を理解し「会話」もできる。アメリカの動物園で暮らすことになったローズは、そこで出会った雄のゴリラと愛を育み、夫婦となった。だがその夫ゴリラが、人間の子供を助けるためにという理由で、銃で殺されてしまう。どうしても許せないローズは、人間に対して裁判で闘いを挑む!

『十戒』夕木春央

叔父が生前所有していた「青島」にリゾートを開業することとなり、その視察に訪れた里英。だが初日の夜明け、参加者9人の内1人が殺された。犯人はこの中にいるが、警察には通報できない。何故なら、「この島にいる3日の間、決して殺人犯を見つけてはならない」という戒律が——。

『上海灯蛾』上田早夕里

1934年上海。「魔都」と呼ばれるほど繁栄と悪徳を誇ったこの地に、成功を夢見てやって来た日本人青年・吾郷次郎。彼の許を謎めいた日本人女性が訪ねる。ユキヱと名乗るその女が持ちこんだのは、熱河省産の極上の阿片と芥子の種。次郎は阿片の売買を通じて上海の裏社会を支配する青幇の知己を得て、上海の裏社会に深く踏み入ってゆく。

『水車小屋のネネ』津村記久子

母親とその恋人から逃れ、姉妹二人で暮らすことを決めた18歳の理佐と8歳の律は、とある町にたどり着く。蕎麦屋で働くことになった二人は、蕎麦粉を引く水車小屋の番人・ネネと出会った。ネネは人としゃべることが得意な賢いヨウムだ。ネネと仲良くなり、蕎麦屋の店主夫婦に見守られ、律の担任の藤沢先生や画家の杉子さんら周囲の人との交流を経て、姉妹は成長してゆく……。

『ストロベリームーン』芥川なお

高校の入学式に遅刻した日向は、その日向になぜか積極的にアプローチしてくる学校一の美少女・萌と、なんと出会った初日につき合うことに。そして、好きな人と一緒に見ると永遠に結ばれる神話がある赤い満月「ストロベリームーン」を見に行く。幸せな時間を過ごしていたのも束の間、萌の余命が少ないことを知った日向。すると萌の母親から萌の日記を渡されて——?

『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈

中二の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍、閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。さらにはM-1に挑み、実験のため坊主頭にし、200歳まで生きると宣言。今日も我が道を突き進む成瀬から、誰もが目を離せない!

『ノウイットオール あなただけが知っている』森バジル

1つの街を舞台に描かれる、5つの世界は、少しずつ重なり合い、影響を与え合い、思わぬ結末を引き起こす。すべてを目撃するのは、読者であるあなただけ——。

『リカバリー・カバヒコ』青山美智子

公園の古びたカバの遊具「カバヒコ」。彼に触れると、治したいところが回復するという——。「大丈夫。私たちはきっとリカバリーできる。」誰もが抱く小さな痛みにやさしく寄り添う、青山美智子さんワールドの真骨頂。

『リラの花咲くけものみち』藤岡陽子

家庭環境に悩み心に傷を負った聡里は、祖母とペットに支えられて獣医師を目指し、北海道の獣医学大学へ進学する。動物たちに「生きること」を教えられながら、聡里は自らの「居場所」を見つけてゆくのだった。

『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』新川帆立

六つのレイワ、六つの架空法律をシニカルに描き出す––––。「命権擁護」が謳われ動物たちにも人間同様の権利が認められるようになった。動物裁判を多く手がける若手弁護士である「ぼく」のもとへ、性行動で被告となったボノボがやって来るが……(『第一話動物裁判』)。他5編を収録。