夏の蒸し暑さが過ぎ、夜に窓を開けると少しひんやりした空気が流れ込んでくる――そんな時期になると、ミステリーファンとしてはソワソワしちゃうんですよね。そう、「このミステリーがすごい!」の予想シーズンです!
2026年版に向けて、エントリー期間は2024年10月~2025年9月。つまり今、ちょうど折り返し地点。
この記事では「2024年4月刊行」の海外ミステリの中から、ランクイン必至の注目作をガッツリレビューしていきたいと思います。
今回はただの紹介じゃありません。テンション高め、でも作品の芯を深くえぐりながら語ります!
【2026年版予想】 このミステリーがすごい! 海外篇・4月刊行作
『暴風雪』 C・J・ボックス 2025年04月30日
猟区管理官ジョー・ピケットは、州知事からある事件を解決しろと命じられる。昨年、英国大手広告会社取締役の女性が、サラトガ地区で行方不明になっていた。彼女はジョーの娘シェリダンが働く高級リゾート牧場に滞在し、帰国するために車で空港へと向かっていたが、忽然と姿を消したという。行方を探るためにジョーは現地に向かい、盟友の鷹匠ネイトの協力を得て調査を始めるが……。謎とサスペンスが横溢する大人気シリーズ最新作!

いやぁもうね、冒頭から吹雪でガンガン煽られるわけですよ!「雪山×失踪事件」ってだけでワクワクするのに、ジョー・ピケットの不器用だけど誠実な調査が絡むと、ただのサバイバルじゃなくて“人間関係の地雷原”になっていく。
特に印象的なのは、娘シェリダンとの関係性。父親としての顔と、猟区管理官としての顔がぶつかり合うシーンは胸が締め付けられるんですよね。「職務か家族か」ってテーマを、自然の猛威と並行して突きつけられるのはズルい!
ページを閉じても、吹雪の音がまだ耳に残っているような余韻。いやこれ、上位ランクイン狙えるでしょ。
『骨と作家たち』キャロル・グッドマン 2025年04月30日
著名な作家でもあった大学教授が悲劇的な死を遂げてから25年。その追悼式が開かれる前日、教授の教え子たちが大学の施設に一泊することになった。激しくなっていく吹雪。姿を見せないベストセラー作家の同級生。そして、ある部屋のベッドでカラスの死骸が発見されるという不穏な夜が明けると、階段の下で首の骨を折った死体が――。ミステリファンの心をくすぐるあの設定を、ベテラン作家が練達の筆致で紡ぎあげる傑作ミステリ!

はい来ました、“大学のキャンパスで雪に閉ざされる作家仲間たち”というクラシックな設定! これだけで心が躍るミステリーファン、多いんじゃないですか?
でも本作の真髄は「作家という存在の二重性」にあるんですよ。創作に憑かれた人間の孤独、嫉妬、執念……。死体の冷たさ以上に、彼らの言葉の鋭さが突き刺さる。
とくにベストセラー作家が姿を現さない場面――もうね、読んでるこっちまで「次は誰が消える?」って背筋がゾワゾワするんです。吹雪の白と、カラスの黒。その対比のイメージが頭から離れない。
この作品、ランキングに入ったら「閉ざされた館」クラシック復権の象徴になると思う!
『沈黙』アン・クリーヴス 2025年04月23日
ガラス職人のイヴが首を切り裂かれた父の遺体を発見した。凶器はイヴが作った花瓶でマシュー警部は慎重に聞き込みを進めるが……

父親の死体を見つけるシーン。しかも凶器は娘自身の作った花瓶。これ、もう最初の数ページで心をわしづかみにされます。
アン・クリーヴスの筆致って、風景描写と感情の起伏がピタッと重なるんですよね。冷たい空気の中にある、家族の熱と冷え切った関係性。
イヴが「自分の作品が父の死に使われた」という事実にどう向き合うか。その心理描写がめちゃくちゃ細やかで、ただの犯人捜しじゃなく、“人間の沈黙と対峙する物語”になっている。
正直、事件の真相がどうこうより、ラストのイヴの表情に心を奪われました。
『こうしてぼくはスパイになった』 デボラ・ホプキンソン 2025年04月18日
第二次世界大戦中のロンドン。13歳のバーティは通りでノートを拾う。それはイギリスに来て秘密諜報員になる訓練を受けたフランス人女性のもので、文章の後半は暗号化されていた。ノートを落とした少女エレノアに会ったバーティは、そのフランス人女性が失踪したことを知る。彼女の行方を探るため、エレノアと一緒にノートの暗号解読に挑むが……。数々の文学賞に輝いた児童文学作家が贈る、子どもたちの勇気と謎解きを描くミステリ!

いやぁ、これはズルい! 子どもたちが暗号を解きながら冒険する物語なんですけど、テンションがもう映画そのもの!
拾ったノートに隠された暗号、そして消えた女性スパイ。少年少女が「ゲーム感覚」で始めたはずの冒険が、いつしか国家レベルの謎に接続していく展開はアガるしかないでしょ。
特に、ロンドンの夜のシーン。灯火管制で真っ暗な街を、二人が小さな懐中電灯で照らしながら進む描写……もう完全に頭の中で映像が流れます。
大人が読んでも胸が熱くなるし、子どもに読ませても勇気をもらえる。これ、翻訳ミステリランキングで「児童向け」の壁をぶち破る可能性アリですよ!
『真夏の夜の悲劇 イヴ&ローク』J・D・ロブ 2025年04月11日
200人の若者がひしめくクラブで、16歳の少女が殺された。 人気ロックバンドのライブ中、何者かに致死量のドラッグを注射され息絶えたという。 その翌日、同じ手口で17歳の少女が犠牲となった。 二人に共通点はなく、恨みを買うような理由も見当たらない。 なぜ彼女たちが選ばれたのか――動機がつかめないまま聞き込みを続けるイヴだったが、 浮上した容疑者の目撃証言には〝顔〟だけが抜け落ちていて……。

クラブでの殺人シーン。大音量の音楽と、汗の匂いが充満する空気の中で、突然の死。16歳の少女が命を落とす瞬間の残酷さに、読んでて息が止まりました。
しかも犯行の手口が「顔の抜け落ちた証言」ってところが不気味すぎる! “見えてるのに見えない”って、一番怖いんですよ。
イヴの冷静な推理と、彼女の内側にある怒り。二重のベクトルが物語を引っ張っていく。
読後感は決して爽やかじゃないけど、エンタメとしての推進力はトップクラス。これ、シリーズ未読でも絶対楽しめます。
『迂回』イヴ・ラヴェ 2025年04月09日
妻と関係修復のためにシチリア島タオルミーナを訪れたメルヴィルは、レンタカーで宿に向かう途中「何か」に衝突する。事実から目を背け、最悪の選択を重ねる男の行く末は。陰気で、不穏で、スリリング……ジョルジュ・シムノンの後継者と名高い著者が放つ怪作。

冒頭の衝突シーン。ほんの一瞬の判断ミスが、男の人生をねじ曲げていく。その“どうしようもなさ”に、ページをめくる手が止まらない!
「自分だったら……」と考え始めたらもう地獄。逃げるか、告白するか。選べないまま、どんどん奈落に落ちていく姿に背筋が冷えました。
シムノンの系譜を思わせる、人間の暗部を容赦なく炙り出す作風。事件そのものより、「人間はどこまで悪に染まれるのか」を問う一冊。これは読み終えたあと一週間ぐらい胃が重くなるやつです。
『鎖された声』エミコ・ジーン 2025年04月09日
20年前、妹が誘拐されて以来、刑事チェルシーは誘拐事件を憎んでいた。ある日、2年前に誘拐された少女エリーが帰ってくる。さらに一緒にさらわれた少女の死体が発見された。だが、エリーは事件について何も語らない。彼女はただの被害者なのか、それとも?

20年前の誘拐事件と、帰ってきた少女の“沈黙”。
読んでて一番苦しかったのは、エリーが何も語らない場面なんですよ。沈黙がこんなに重いのか、と。
「被害者」として迎えられるはずなのに、彼女の口が閉ざされているだけで、すべての視線が疑念に変わっていく。人間の残酷さが突きつけられる。
刑事チェルシーの怒りと葛藤も含め、これは単なるサスペンスじゃなくて“トラウマの物語”。 読後に心にズシッと鉛が残ります。
『奇術師の幻影』カミラ・レックバリ 2025年04月08日
地下鉄トンネル内で発見された白骨の山。やがて連続殺人だと判明した事件は、法務大臣の失踪へと予想を超える大事件へと発展した。ストックホルム警察特捜班が奔走する中、たびたび犯罪捜査に関わってきたメンタリスト、ヴィンセントのもとにはパズルめいた挑戦状が頻々と届き、彼の過去を暴こうとする……。 特捜班の刑事ミーナと、ヴィンセント。それぞれを巻き込む事件は、いずれもクリスマスをデッドラインとしていた。聖夜にいったいどんな惨劇が演じられるというのか?

地下鉄の白骨。もうこれだけで最高の掴みなんですけど、その後に広がるのは「クリスマスをデッドラインにした連続殺人」。
メンタリストのヴィンセントに届く挑戦状が、ただの謎解きじゃなくて彼自身の過去を暴こうとしてくる。この“個人的な謎”が、国家レベルの事件とリンクする展開にシビれました。
特にクリスマスの鐘が鳴る中でのクライマックス。祝祭と惨劇のコントラストが強烈すぎて、ページを閉じても胸の鼓動が収まらない。これはシリーズ化してほしい!
『円環』アルネ・ダール 2025年04月04日
北欧ミステリ界トップランナーの新境地! スウェーデン・ウプサラ市郊外の高速道路を走行中のBMWが、突然暴走し菜の花畑で炎上した。死亡したのは、運転中の大手製鉄会社幹部。一週間後、石油業界のキャンペーンを手がけていた広告会社幹部が第2の爆破事件で命を落とす。被害者はどちらも気温変動や環境破壊に関係していた。 容疑者に挙げられたのは、15年前に先端技術の活用を拒否したがためにある誘拐事件の解決に失敗して辞職し、森で隠遁生活を送る元警部ルーカス・フリセル。当時の彼の部下で今は国家作戦局(NOD)の主任警部エヴァ・ニーマン宛てに、彼からと思われる犯行予告の手紙が届いていたのだ。 エヴァは、立ち上げられた特捜班Novaの曲者たちを率いて事件の捜査にあたり、第3の事件を警戒しながらフリセルを追うが――。 『時計仕掛けの歪んだ罠』で翻訳ミステリファンの度肝を抜いた、北欧ミステリ界のトップランナーが贈る驚愕の新シリーズ、ここに誕生!

爆発するBMW。環境問題とテロ。正直、出だしから「でかいテーマきたな!」と叫びたくなりました。
でもこの作品の真骨頂は、逃亡する元警部フリセルと、彼を追うエヴァの関係性にある。二人の過去の傷が、事件の謎とシンクロしていく。
ダール作品って、社会問題を真正面から扱うのに、ちゃんと人間の弱さを描ききるんですよね。
環境テロの衝撃的な描写もさることながら、最後に残るのは「一人の人間の罪と救済」の問い。
北欧ミステリの新境地、これは確実に話題になります。
『マット・スカダー わが探偵人生』ローレンス・ブロック 2025-04-01
父と母、幼い弟の死。警官時代の相棒との逸話。
はじめて犯罪者を射殺した日。復讐者との因縁。
そして少女を死なせてしまったあの日――。
記憶を探りながら諦念を交え静かに語る
最後のマット・スカダー。死は、生きている者たちにどんな影響を及ぼすのか。
弟の死は、スカダーの父と母を変えてしまったという。エストレリータの死はスカダーを破壊した。スカダー・シリーズの中核には「死」がつねにあった。スカダー・シリーズの題名のほとんどは「死者」や「墓場」といった「死」と直結する言葉を含んでいる。死という喪失は、このシリーズの最大のテーマだった。本書もまた例外ではない。
いやぁ、泣きました。
スカダーが「死」とどう向き合ってきたかを静かに語るその筆致に、シリーズを追いかけてきた読者なら間違いなく心を揺さぶられるはず。
とくに“はじめて人を撃った日”の回想シーン。淡々とした描写が逆に重くて、読みながら何度もページを閉じて深呼吸しました。
これはエンタメ小説というより、“読者に贈られる鎮魂歌”。ランキング入りしたら「殿堂入り枠」みたいな扱いになるんじゃないかな。
まとめ
4月刊行作だけでこの充実っぷり! サスペンスから冒険譚、社会派からクラシックまで、もう豊作すぎてランキング予想が難しい!
でもね、この“どれが来るんだろう”と考える時間が一番楽しいんですよね。いやぁ、12月が待ち遠しい!

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こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 このミステリーがすごい! 海外篇・4月刊行作を徹底レビューを書きます。