誰が引き金を引いたのか?「リボルバー」

リボルバー
フルタニ
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。

誰が引き金を引いたのか?    
「ゴッホの死」。アート史上最大の謎に迫る、著者渾身の傑作ミステリです。

パリ大学で美術史を学んだのち、オークション会社で働く高遠冴のもとに、自身も画家であるサラという女性が、ゴッホが自殺したときに使用したリボルバーを持ち込みます。冴が会社の同僚たちとリボルバーの真偽を探る旅をするうちに、読者も自然とゴッホやゴーギャンへの理解が深まっていく。

「当時PARCO劇場のプロデューサーだった毛利美咲さんから「戯曲に挑戦してみませんか」とご依頼をいただいて、ゴッホと彼に深い関係があるゴーギャンにフォーカスした戯曲を書けたら面白いと思ったんです」

原田さんは、大卒後、独学で現代アートを学び、早稲田大で学芸員資格を取り、森美術館の設立準備室に在籍した美術の専門家です。

「ゴーギャンはよくゴッホと対で語られることが多い画家で、ゴッホの神話化に比べると、ゴッホを見捨てて出て行った冷徹な男としてヒール役にされることがとても多い。でも研究者たちはまったく違う見方をしていて、ゴーギャンが残した作品のクオリティの素晴らしさから、ポスト印象派主義の一角をなす非常に重要な画家だと評価しています」

学芸員とはいわば知の巨人。膨大な知識を正確に習得していなければなれない資格です。したがって創作とはいえ真贋の境目は押さえながらのストーリーになっています。

「テオ(ゴッホの弟)が常識人過ぎて、彼らを上手に売り込むことができなかったということ。テオが思い切ったことができたら、美術史が大きく変わっていて、モダンアートが50年ほど早く始まっていたかもしれない」

作品鑑賞では見えてこなかったリアリティが、人物や背景を丹念に描くところから見えてくるような気がします。

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