今度は水攻めだ「蒼海館の殺人」

蒼海館の殺人
フルタニ
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 蒼海館の殺人 を紹介します。

2019年本ミス三位「紅蓮館の殺人」、
2020年本ミス一位の「透明人間は密室に潜む」

ヒットをたたき出す東大ミス研出身の作家・阿津川辰海さんの新作は、濁流押し寄せる館が舞台の連続殺人。
「火」を題材にした『紅蓮館の殺人』の続編にあたります。

「紅蓮館の殺人」以来、失意の日々を送る葛城は登校せず自宅で謹慎させられていた。

学校に来なくなった「名探偵」に会うため、僕はY村の青海館を訪れた。
政治家の父と学者の母、弁護士にモデル。
名士ばかりの葛城の家族に明るく歓待され夜を迎えるが、激しい雨が降り続くなか、連続殺人の幕が上がる。
刻々とせまる洪水、増える死体、過去に囚われたままの名探偵、それでも――夜は明ける。
新鋭の最高到達地点はここに、精美にして極上の本格ミステリ。

内外のミステリー本を読み込んだ著者ならではのアイデアにあふれた作品です。
終盤のシーン250ページは一気に初稿を書き上げたと著者は語ります。
7万字というのは想像もつかない分量ですが、どこからそれだけのエネルギーがわき出したのか自分でもわからないと言います。
それだけ、「名探偵とは何か?」という問いに真摯に向き合った作品でもあるのでしょう。
蓄積した思索と謎解きの興味が結びつき、堅牢な物語構造を作り上げています。

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