秋から冬にかけてのお楽しみが、毎年恒例のミステリーランキングの発表です。
SFやミステリーなどの出版で知られる早川書房発行の「ミステリマガジン」1月号の特集「ミステリが読みたい!」では恒例のランキングが公開されました。
首都圏の大手書店(代官山蔦屋、有隣堂など)では軒並み在庫切れという大人気です。
「ほんミス」「文春ミス」「このミス」と合わせて一番面白いミステリーの読書計画を立ててみてはいかがでしょうか。国内編のランキングを紹介します。
- ミステリが読みたい! 2024年ランキング《国内編》
- 1位「地雷グリコ」青崎有吾
- 2位「冬期限定ボンボンショコラ事件」 米澤穂信
- 3位「ぼくは化け物きみは怪物」白井智之
- 4位「檜垣澤家の炎上」永嶋恵美
- 5位「少女には向かない完全犯罪」方丈貴恵
- 6位「伯爵と三つの棺」潮谷験
- 7位「虚史のリズム」奥泉光
- 8位「六色の蛹」櫻田智也
- 9位「乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび」芦辺 拓
- 10位「難問の多い料理店」結城真一郎
- 11位「永劫館超連続殺人事件」南海 遊
- 12位「バーニング・ダンサー」阿津川辰海
- 13位「日本扇の謎」有栖川有栖
- 14位「法廷占拠 爆弾2」呉勝浩
- 15位「半暮刻」月村了衛
- 16位「明智恭介の奔走」今村昌弘
- 17位「Q」 呉勝浩
- 18位「了巷説百物語」京極 夏彦
- 19位「シャーロックホームズの凱旋」森見登美彦
- 20位「彼女が探偵でなければ」逸木 裕
- 海外編のランキング情報
ミステリが読みたい! 2024年ランキング《国内編》
1位「地雷グリコ」青崎有吾
ル系JK。実はとんでもない頭脳の持ち主。グリコにじゃんけん、だるまさんがころんだなど、誰もが知ってる遊びにルールが加わり知的ゲームの騙し合いが展開される。
2位「冬期限定ボンボンショコラ事件」 米澤穂信
交通事故で入院中の主人公。小市民をめざす彼が思いめぐらしたののは、三年前、同じ場所で
同級生が巻き込まれた交通事故のことだった。15年ぶりの新作。シリーズ完結編。
3位「ぼくは化け物きみは怪物」白井智之
クラスメイト襲撃事件を捜査する小学校の名探偵。滅亡に瀕した人類に命運を託された“怪物”。郭町の連続毒殺事件に巻き込まれた遊女。異星生物のバラバラ死体を掘り起こした三人組。見世物小屋(フリークショー)の怪事件を予言した“天使の子”。凶暴な奇想に潜む、無垢な衝動があなたを突き刺す。白井智之は容赦しない。
4位「檜垣澤家の炎上」永嶋恵美
横濱で知らぬ者なき富豪一族、檜垣澤家。当主の妾だった母を亡くし、高木かな子はこの家に引き取られる。商売の舵取りをする大奥様。互いに美を競い合う三姉妹。檜垣澤は女系が治めていた。そしてある夜、婿養子が不審な死を遂げる。政略結婚、軍との交渉、昏い秘密。陰謀渦巻く館でその才を開花させたかな子が辿り着いた真実とは――。小説の醍醐味、その全てが注ぎこまれた、傑作長篇ミステリ。
5位「少女には向かない完全犯罪」方丈貴恵
れた少女・音葉に出会う。
彼女は、出会い頭に彼に斧を叩き込んで、言う。
「確かに、幽霊も子供も一人じゃ何もできないよ。
でも、私たちが力を合わせれば、大人の誰にもできないことがやれると思わない?」
天井に足跡の残る殺人、閉じ込められた第一発見者、犯人はこの町にいる。
6位「伯爵と三つの棺」潮谷験
フランス革命が起き、封建制度が崩壊するヨーロッパの小国で、元・吟遊詩人が射殺された。
容疑者は「四つ首場」の改修をまかされていた三兄弟。五人の関係者が襲撃者を目撃したが、犯人を特定することはできなかった。三兄弟は容姿が似通っている三つ子だったからだ。
DNA鑑定も指紋鑑定も存在しない時代に、探偵は、純粋な論理のみで犯人を特定することができるのか?
7位「虚史のリズム」奥泉光
ら戻り地元で療養中、神島の長兄・棟巍正孝夫妻が何者かによって殺害される。正孝の長男・孝秋とその妻・倫子は行方知れず、三男の和春も足取りが掴めない。他の容疑者も浮かぶ中、神島の依頼を受けた石目は、初めての「事件」を追い始める。ほどなく、石目のもとに渋谷の愚連隊の頭から新たな依頼が舞い込む。東京裁判の行方をも動かしうる海軍の機密が記されている「K文書」の正体を探ってほしいと言われるが……。
8位「六色の蛹」櫻田智也
青年が主人公。6色の色をテーマに虫大好き人間の主人公が解く事件の鍵。人間の奥に潜む善意と本性。温かな余韻に包まれる連作短編集。
9位「乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび」芦辺 拓
1923年(大正12年)に「二銭銅貨」でデビューし、探偵小説という最先端の文学を日本の風土と言語空間に着地させた江戸川乱歩。満を持して1933年(昭和8年)に鳴り物入りで連載スタートした「悪霊」は、これまでの彼の作品と同様、傑作となるはずだった。
謎めいた犯罪記録の手紙を著者らしき人物が手に入れ、そこで語られるのは、美しき未亡人が不可思議な血痕をまとった凄惨な遺体となって蔵の2階で発見された密室殺人、現場で見つかった不可解な記号、怪しげな人物ばかりの降霊会の集い、そして新たに「又一人美しい人が死ぬ」という予告……。
期待満載で幕を開けたこの作品はしかし、連載3回ののち2度の休載を挟み、乱歩の「作者としての無力を告白」したお手上げ宣言で途絶した。
本書は、『大鞠家殺人事件』で日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞を受賞した芦辺拓が、乱歩がぶちあげた謎を全て解き明かすと同時に、なぜ「悪霊」が未完になったかをも構築する超弩級ミステリである。
10位「難問の多い料理店」結城真一郎
。オーナーシェフからバイトを頼まれた主人公。噓みたいな儲け話に主人公はこの店は「ある手法」で、探偵業も担っているらしいことに気づく。「もし口外したら、命はない」オーナーの正体とは。
- 謎解きモノかと思いきや最後にはゾクっとさせられるダークな展開に驚く『真相はあなた次第』の新感覚のミステリ。
- 連載開始時からここまで計算していならすごいよな、と感心。なかなかおもしろかったです。
- 真相の究明というよりも謎解きがキモになっていてその解釈を楽しむという新感覚なミステリ。
11位「永劫館超連続殺人事件」南海 遊
「私の目を、最後まで見つめていて」
そう告げた『道連れの魔女』リリィがヒースクリフの瞳を見ながら絶命すると、二人は1日前に戻っていた。
母の危篤を知った没落貴族ブラッドベリ家の長男・ヒースクリフは、3年ぶりに生家・永劫館(えいごうかん)に急ぎ帰るが母の死に目には会えず、葬儀と遺言状の公開を取り仕切ることとなった。
葬儀の参加者は11名。ヒースクリフ、最愛の妹、叔父、従兄弟、執事長、料理人、メイド、牧師、母の親友、名探偵、そして魔女。
大嵐により陸の孤島(クローズド・サークル)と化した永劫館で起こる、最愛の妹の密室殺人と魔女の連続殺人。そして魔女の『死に戻り』で繰り返されるこの超連続殺人事件の謎と真犯人を、ヒースクリフは解き明かすことができるのかーー
『館』x『密室』x『タイムループ』の三重奏(トリプル)本格ミステリ。
12位「バーニング・ダンサー」阿津川辰海
コトダマと呼ばれる特殊能力による犯罪に対抗するため作られた警視庁公安部公安第五課。全身の血液が沸騰した死体と炭化するほど燃やされた死体が発見される。相棒を失った元捜査一課刑事が寄せ集めの新部署で関係を築きながら殺人犯を追う特殊設定ミステリー。
- 超能力バトルエンターテイメント。ジャンプ黄金期世代にはたまらない。限定条件の設定がよいですね。
- アクションシーンもしっかり。ミステリとしても上質で、最後は警察ものお約束のどんでん返しが「キター!」という感じ。
- 設定自体がかなり現実離れしてるから苦手な人はいるかも。それでも私はこの本に出会えてよかった。
13位「日本扇の謎」有栖川有栖
舞鶴の海辺の町で発見された、記憶喪失の青年。名前も、出身地も何もかも思い出せない彼の身元を辿る手がかりは、唯一持っていた一本の「扇」だった……。そして舞台は京都市内へうつり、謎の青年の周囲で不可解な密室殺人が発生する。事件とともに忽然と姿を消した彼に疑念が向けられるが……。動機も犯行方法も不明の難事件に、火村英生と有栖川有栖が捜査に乗り出す!
14位「法廷占拠 爆弾2」呉勝浩
東京地方裁判所、104号法廷。史上最悪の爆弾魔スズキタゴサクの裁判中、突如銃を持ったテロリストが乱入し、法廷を瞬く間に占拠した。「ただちに死刑囚の死刑を執行せよ。ひとりの処刑につき、ひとりの人質を解放します」前代未聞の籠城事件が発生した。スズキタゴサクも巻き込んだ、警察とテロリストの戦いが再び始まる!
- 後半はタゴサクも本領発揮して存在感抜群。この先どうなっていくんだろうか?もう第3弾に期待しかない。
- めっちゃ面白かった!こりゃ、まだ続くねぇ。このレベルの小説を続けられる呉勝浩さんが凄い!
- まさかの続編。そしてまさかの結末。これはまだ続きそうな予感……?
15位「半暮刻」月村了衛
児童養護施設で育った元不良の翔太は先輩の誘いで「カタラ」という会員制バーの従業員になる。女を釣っては風俗へ堕とす悪質ホストとして成り上がった「翔太」と「海斗」の暗躍と転落を通して、社会の闇と現代人の生き方を浮き彫りにした、社会派小説。
- 最後に人生、生き方を示唆するまとめ方がとても文学的で素晴らしかったです。
- 虐めや様々な事件で見る平然とした若者の姿と重なり読後も戦慄が止まらない。
- 欲深い人達は無傷なまま。本当にこういう世界が存在するのかもと思うようなリアリティに溢れていた。
16位「明智恭介の奔走」今村昌弘
信家でミステリ愛好会の会長明智恭介。その生前の活躍譚。葉村くんと共に謎に挑む新作シリーズ第1作。肌着引き裂き事件に試験問題漏洩事件。手紙ばら撒き事件など五つの謎に挑む日常系ミステリ。
- あの「明智先輩」が主役の短編集なんて! いろいろ考えますね〜。シリーズの持つインパクトこそありませんが、読みやすくて面白かったです。
- 明智恭介のまさかの復活を祈っているファンは多いはず。私もその一人。キョウスケ、カムバック!!
- 屍人荘での明智の運命を考えると切ないが、青春ミステリシリーズとして、もう少し続いても良いのではと感じた。もちろん本編シリーズの続編にも期待したい。
17位「Q」 呉勝浩
18位「了巷説百物語」京極 夏彦
狐獲りの名人で、裏の渡世として人の嘘を見抜く洞観屋も行う藤兵衛のもとに依頼がかかる。老中・水野忠邦の改革の邪魔をしようとする一派を見抜くことが、藤兵衛に与えられた仕事だった。藤兵衛は源助とお玉の三人で、化け物が関わる事件の現場に出かけていくが…。巷説百物語シリーズ堂堂の完結。
- これまでとは違い短編連作形式ではない。オールスターキャストで楽しい。
- 過去の巷説シリーズだけではなく、江戸怪談シリーズも出てくるなんて、再読したい本が増えちゃうじゃないですか。
- 四半世紀にわたって1作目から欠かさず追って来たシリーズが遂に。千代田のお城に巣食う鼠…その全貌がようやくなのは嬉しいはずなんだけど寂しさが勝るなあ。
19位「シャーロックホームズの凱旋」森見登美彦
舞台はヴィクトリア朝京都。
洛中洛外に名を轟かせた名探偵ホームズが……まさかの大スランプ!?
- 京都を右往左往する登場人物たちの可笑しくも哀しい様に笑った。聖なる怠け者の破綻でスランプに陥ったという作者の苦悩が想像できた。これはモリミーの凱旋でもある。
- 途中のどんでん返し等あり、最後まで不思議な話だった。
- ヴィクトリア朝京都を舞台にしたシャーロック・ホームズと言われれると、なんじゃそら!?と思わず声に出てしまうが森見登美彦が書いたとあれば読まずにはいられまい。
20位「彼女が探偵でなければ」逸木 裕
森田みどりは、高校時代に探偵の真似事をして以来、人の〈本性〉を暴くことに執着して生きてきた。気づけば二児の母となり、探偵社では部下を育てる立場に。時計職人の父を亡くした少年(「時の子」)、千里眼を持つという少年(「縞馬のコード」)、父を殺す計画をノートに綴る少年(「陸橋の向こう側」)。〈子どもたち〉をめぐる謎にのめり込むうちに彼女は、真実に囚われて人を傷つけてきた自らの探偵人生と向き合っていく。謎解きが生んだ犠牲に光は差すのか。痛切で美しい全5編。
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海外編のランキング情報
1位「死はすぐそばに」アンソニー・ホロヴィッツ/山田蘭訳
テムズ川沿いの高級住宅地リヴァービュー・クロースで、金融業界のやり手がクロスボウの矢を喉に突き立てられて殺された。昔の英国の村を思わせる敷地で住人たちが穏やかに暮らす――この理想的な環境を乱す新参者の被害者に、住人全員が我慢を重ねてきていた。誰もが動機を持っているといえる難事件を前にして、警察は探偵ホーソーンを招聘するが……。あらゆる期待を超えつづける〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズ最新刊!
- 「本当に最新作が最高傑作の見本のような、大傑作でした!」「犯人当てミステリーの極致というしかない傑作!」【Web東京創元社マガジン 9月11日更新】
- ちょっと!!!あんた!!!ここで終わるって無いよ!!!!!続きは?続きは何年に出るの!?!?
- よくもまあ次から次へと古典ミステリを優良アップデートさせる発想があるなあと感心。
2位以降は別記事にまとめました。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 ミステリが読みたい! を書きます。