内なる異形に向き合うコミック「螺旋じかけの海」

フルタニ
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。

動画制作は基本、”ある”ものを撮影して作品に仕上げます。ゼロからイチを生み出すわけではありません。コミックスやアニメーションは人が人力で世界を描かないとはじまりません。だからマンガやアニメーションはすごいなと思います。

これから来るであろう作家や作品を丁寧に紹介しているウェブサイト・アルでこんな作品が紹介されました。

『螺旋じかけの海』遺伝操作でヒトと動物の境界がゆらぐバイオSF

もともとヒトでないモノとして生まれながら、ヒトのような見た目になってしまったモノ。徐々にヒトでなくなっていく自分に戸惑いを隠せないモノ。ヒトを構成するのはなにか

『螺旋じかけの海』遺伝操作でヒトと動物の境界がゆらぐバイオSF | アル

永田礼路のコミックをご紹介します。

螺旋じかけの海

遺伝子操作が産業として発達した世界。遺伝操作を生業とする生体操作師・音喜多(おときた)。自身も何種もの“異種キャリア”を抱えている彼の元に、様々な事情を抱えた者たちが訪れるーー。

本書の内容まとめ
  • 遺伝子操作が当たりまえになった時代、生命とは何かを問いかける
  • 医者でもある作者が生化学的な知見をもとに描くリアリティ
  • 味わいのある舞台設定や登場人物に心を揺さぶられる

「僕らは皆、いつか死んだ誰かで出来ている」

作者の哲学は象徴的な場面で使われる惹句にも表れています。

「死ねばその全てが次の生き物のエサさ、たとえどんな欲深い生き物であっても、死は利他的だ、僕らは皆いつか死んだ誰かでできている」

こうした言葉の数々も、作品に深い味わいを加えています。

  • 「このマンガがすごい」のランキングベスト3に入ってもおかしくない作品。おそらくあまり知れわたっていないからであろう。
  • 内臓が獣化すると寿命もそっちに寄るってのはなるほど。
  • 大人が読んで面白いと思える画力とストーリー構成。細部の設定まで緻密で色々と考えさせられる漫画。
  • 哲学的で、とても重いテーマを扱った作品です。 それでもすんなりと読める。
  • 重いテーマをさほど重く感じないのは、このひとのキャラゆえだろう。 後味の良い佳品で、ぜひオススメしまくりたいと思う。

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永田礼路とはどんな人

(ナガタ・レイジ)医師&兼業漫画家。医療関係のイラストレーター。四季賞2013年冬のコンテントで藤島康介特別賞受賞の後、「アフタヌーン」2014年5月号に読み切り「虚ろ羽の飛ぶ海」でデビュー。 2015年10月に初の単行本となる『螺旋じかけの海』を刊行。現在は非常勤勤務をしながら創作活動を続けている。

永田礼路 – pixiv

永田礼路|note

書評まとめ

同一の固体内に異なる遺伝情報を持つ細胞が混じっている状態をキメラというのだそうです。そのキマイラ(キメラ)の語源を辿ると、ギリシャ神話に登場するライオンの頭、山羊の身体、蛇の尻尾を持つ怪物に行きつきます。

かつて見たアニメーション「鋼の錬金術師」でも、キメラが作中の重要な役割を果たしていたことを思い出しました。本作も「鋼の」と同じように、人格を持ちながら人ならざる異形として作中人物たちは扱われ、葛藤しながら生きていきます。

現実世界の中にはキメラ人間は存在しませんが、キメラに対する人の意識は確実に存在します。その意識と私たちはどう向き合うのか、この作品は問いかけています。