新本格ミステリの師匠 綾辻行人 さんおススメのホラー小説5選

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 綾辻行人 を書きます。※本ページにはPRが含まれます

大阪梅田の紀伊国屋書店で開催されたホラーフェア。棚作りの目玉企画として、新本格ミステリの師匠 綾辻行人 さんが一推しする「ホラー小説5選」コーナーが出現しました。

どんな作品が並んだのでしょうか。

「ホラー小説5選」はこんな並びでございます。

「残穢」小野不由美

この家は、どこか可怪(おか)しい。転居したばかりの部屋で、何かが畳を擦る音が聞こえ、背後には気配が……。だから、人が居着かないのか。何の変哲もないマンションで起きる怪異現象を調べるうち、ある因縁が浮かび上がる。かつて、ここでむかえた最期とは。怨みを伴う死は「穢(けが)れ」となり、感染は拡大するというのだが──山本周五郎賞受賞、戦慄の傑作ドキュメンタリー・ホラー長編!

まったくもって他人事じゃない、という怖さ!

  • ただ怖い話が読めるだけではなく、読み進むうちに明らかになっていく事実にゾクゾクした。
  • 人間の流動化が進み、触穢への意識も薄れた現代日本に於いて、「穢れ」の蔓延は最早止められない。人名が多いのでメモ推奨。
  • 日常の中にじわじわと浸食してくる不穏さが生々しい。明確な怪異が生じるわけではなく、だからこそ自分の身に降りかかってきそうなリアルな怖さがあるお話だった。
  • 怨みを伴う死は「穢れ」となり、感染は拡大する…。 じわ怖。甲乙丙丁展転とか延喜式は興味深い。

「独白するユニバーサル横メルカトル」平山夢明

タクシー運転手である主人に長年仕えた一冊の道路地図帖。彼が語る、主人とその息子のおぞましい所行を端正な文体で綴り、日本推理作家協会賞を受賞した表題作。学校でいじめられ、家庭では義父の暴力に晒される少女が、絶望の果てに連続殺人鬼に救いを求める「無垢の祈り」。限りなく残酷でいて、静謐な美しさを湛える、ホラー小説史に燦然と輝く奇跡の作品集。

『残穢』に実名で登場する平山さんの大傑作、です。

  • 基本的に暴力と、臓物と、破壊のグロ系短編集。表題作のタイトルが秀逸ですごく好き。
  • 読み始めたら短編集だ!と思ったのも束の間、中身のボリュームが凄くて長編をいくつも読んでるかのように頭が痺れました。
  • グロい非道いと言われていましたがそれは全く正解。しかし、そのグロテスクさと汚濁には、必ずミステリやSF、冒険等の要素が内包してあり、エンターテイメントとしても楽しめる、というよりグロテスクと他のギミックの相乗効果で唯一無二の作品となっている。

「六番目の小夜子」恩田陸

津村沙世子――とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。

恩田さんのデビュー作にして学園ホラーの名作。

  • 鳥肌が止まらない不気味な雰囲気。体育館での劇、とても映像的でありながら小説としてとてつもなく怖い。
  • 特に大どんでん返しもないので、筆者が何を書きたいのか一度読むだけでは不明。読み返す必要あり
  • 大満足。再読ですがやっぱり面白かった。手が止まらないじゃなくて止められなくて一気読みでした。

「夏と花火と私の死体」乙一

九歳の夏休み、私は殺されてしまったのです……。少女の死体をめぐる兄妹の暗黒の冒険。斬新な語り口でホラー界を驚愕させた、天才少年・乙一のデビュー作。

弱冠十七歳のデビュー作にして、これもお薦めの名作。

  • 死体が語り部なのは新鮮だったわ。登場人物ほとんどみんなサイコパスで気持ち悪くて良かったわ。
  • 乙一さんのデビュー作らしい。 少し物足りないが、 ラストはよく出来ていて面白かったです。 凄いですね。若い時から才能があるんですね。
  • 素晴らしく奇妙。今まで読んだホラー系で一番くるって美しい。作者天才すぎ。尊敬します。

「懲戒の部屋 自選ホラー傑作集1」筒井康隆

いっさい逃げ場なしの悪夢的状況。それでも、どす黒い狂気は次から次へと襲いかかる。痴漢に間違われたサラリーマンが女権保護委員会に監禁され、男として最も恐ろしい「懲戒」を受ける表題作。たった一度の軽口で、名も知らぬ相撲力士の逆鱗に触れた男が邪悪な肉塊から逃げ惑う「走る取的」。
膨大な作品群の中から身も凍る怖さの逸品を著者自ら選び抜いた傑作ホラー小説集第一弾!

実はホラー小説の名手でもある筒井さんの、まさに傑作集。

  • 読者に不快感しか与えない執拗さが強烈。忍耐が必要な読書なんてどうなのよ。
  • こんなことをやったら皆が驚くぞ!という過激ぶりっ子・いたずら小僧のような感覚を持つので、メタな視線で読むと嵌まれないかも。
  • とにかく理不尽•グロ•後味の悪さにおいてここまで充実している短編集はないんじゃないかと。かなり好みは分かれると思う。

まとめ

「残暑は涼しく ホラーフェア」梅田紀伊国屋書店で2024年8月27日(火)〜2024年9月17日(火)開催。梅田本店 | 阪急三番街の紀伊國屋書店