【選書】感情ざわつく悪の魅力 千街晶之 の推すミステリー

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 千街晶之 を書きます。※本ページにはPRが含まれます

ミステリーの世界には欠かせない超人的な能力者。

超人的な能力は、常識の側に振れればヒーローですが、邪悪の側に振れればダークヒーローです。

なぜ法と秩序をあざ笑うアンチヒーローに心を奪われるのでしょうか。

常識の枠に止まらず、境界を欲望のままに駆け抜ける存在は、現実に縛られた私たちにとって自由の象徴かもしれません。

キャラクターの持つ人格的な魅力が善悪の立場を超えて読者の感情をざわつかせます。

ブックキーパー脳男

感情を持たない代わりに超人的な記憶力と身体能力をもつ殺人者・鈴木一郎が14年ぶりに現れた。

3人の男女の拷問死体が日本各地で発見され、シリーズの舞台である愛宕市でも同様の犯罪が起きる。

果たして犯人は鈴木一郎なのか。

は異常犯罪のエキスパートとして警察庁から派遣されたのは破天荒な若き女性警視・鵜飼縣は部下の茶屋警部を従えて捜査にあたる。

悪徳警察官の吹き溜まりのような鞍掛署には、署をあげての交通事故隠蔽疑惑があり、真相を探ろうとしていた茶屋警部の後輩刑事が殺される。

麻倉玲一は信頼できない語り手

死刑が廃止された近未来の日本。

日本最後の死刑囚・麻倉玲一は、離島木菟啼島の特別拘置所に収監されていた。

極端な秘密主義に貫かれていた特別拘置所に死刑囚の告白本を執筆するためやってきたフリーライターの熊澤克也。

厳重に管理された状態にあるにも関わらず、麻倉は血も凍るような殺人の数々を平然と語り始める。

ついに麻倉が逮捕された経緯が話されようとした時、極端な秘密主義に貫かれていた特別拘置所で思わぬ出来事が発生。

連続殺人に展開する。

謎が謎をよび予想できない展開。

ミステリーなのかサスペンスなのか。

超人的な犯罪者の裏に作者が仕掛けたトリックとは。

幻視者の曇り空

横向きにデザインされた装幀が話題のミステリー。
人の心は覗けない。しかし見えてしまったら。
主人公の大学生・久守一は、人に触れると相手の秘密が見えてしまう特殊能力の持ち主だ。
ある日ボランティア事務所から出てきた美大生の佐伯優に触れた久守は、連続通り魔事件の被害者が見えてしまう。
社交的で人当たりもよく、とても殺人犯には見えない佐伯は極めて魅力的な人物で、捜査線上に浮かんですらいない。
特殊能力を持って産まれたがゆえに人と関わらないように生きてきた久守。
佐伯の次の犯行を防ぎ自分や後輩の身を守るため、一念発起して彼に接近を試みる。
偽りの友情で近づいたはずの久守だったが、いつの間にか本当の友情を感じ始めてしまう。