
「開かせていただき光栄です」「アルモニカ・ディアポリカ」に続く三部作の完結編。
Contents
インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー
舞台は18世紀の独立戦争中のアメリカ。イギリス本土からの独立を目指した戦いは、先住民族モホークの蹂躙という複雑な図式の上に成立していました。
イギリス軍の補給隊隊員としてやってきたエドとクラレンス。先住民叛乱鎮圧の国王軍の一員となっていたエドは、地主の息子アシュリーを殺害した犯人として投獄されます。
本書では、アシュリーが先住民達を率いて戦争協力として砦に赴く手記と、投獄されたエドをアシュリーの手記を手に問い詰める記者ロディの章が交互に展開します。
半分モホークの血をひくアシェリーを殺したのは誰か。沈鬱なエドを元気づけようと必死なクラレンスの想いが、前作の読後感を思い起こさせます。
イギリス政府軍と反乱軍、移住者、モホークらの駆け引き、戦闘。
中身の濃い展開が挟まれ、後半になるにつれて色濃くなる愛と情念の描写は、ドイツ史やイギリス史などを背景に90歳を過ぎた今も豊穣な物語を紡ぎだし続ける著者ならではの味わいです。
・エドが解剖ソングを口ずさんだ時に思わず涙ぐんでしまいました。色々後悔もあっただろうけど、やっぱり、クラレンスがついてきてくれてよかった。
・語られていない部分にどれほどの苛酷極まりない悲惨なことがあったのか…と思わずにはいられない。
・ずしりと重い作品。人間の奥底の黒さに耐えながら、それでも真相は知りたくて読みふけってしまった。
まとめ
ラストのワシントンの指令に戦慄し、続くクラレンスの手紙に涙します。
【新刊】このミステリーがすごい !2022選考対象作品リスト《国内編》 | 気持ちのスイッチ
