
自分の知らない世界を知るにはノンフィクションを手に取るのが早道です。書評家・東えりかさんが奨めるのは食べ物にまつわるノンフィクション。コロナ過で外出自粛のこのご時世、食生活を見つめ直すタイミングだからです。
Contents
肉とすっぽん

うまい肉が生まれる現場にはソウルがある!オール讀物に掲載された平松洋子さんのエッセイが一冊の単行本になりました。・“害獣”を地域の恵みに変えた島根県美郷町モデル・「肉にも旬がある」ジビエ料理のフロンティア・常識の壁を乗り越え、馬肉文化を守り抜いた熊本の挑戦・「捨てていたもの」から価値をつくり出す職人芸とは?・「露地養殖」という“非効率”が異界の味わいを生む……etc.それぞれの土地で培われた〈知恵と技〉が日本の食の未来を照らし出す。歩いて、食べて、考えた。“食の未来図”をまるごと味わう傑作ノンフィクション!
人気エッセイストが日本のうまい肉を作る現場を歩くノンフィクションエッセイ。
猟師とともに山を走り解体現場に立ち会い、生産者が長い間守ってきた狩猟法や加工法を記録。産地の本音まで聞き出します。
生き物の命が私たちの命を支えるという現実。その上でおいしい料理を味わい喜ぶことの意味がリズムある文体で伝わってきます。
スーパーでパックされているものだけが食肉ではない。もう少し動物に近い距離で、我々の食を考える必要がある。
「何やっても被害は止まりません。悪いのは何やいうたら、守れない農業や集落管理をやってる人間のほうや」畑を荒らす猪を害獣と捉えるのではなく、貴重な資源と考えて過疎の町を活性化させた島根県・美郷町の試み。
日本の素晴らしい食文化と濃い〜食肉の知識が詰まった本です。
平松洋子さん
エッセイスト。岡山県倉敷市生まれ。東京女子大学文理学部社会学科卒業。食文化と暮らしをテーマに執筆活動を行う。『買えない味』で第16回Bunkamuraドゥマゴ文学賞、『野蛮な読書』で第28回講談社エッセイ賞を受賞。
まとめ
日本で最高峰と著者が思う羊、猪、馬、鴨、鯨やすっぽんなど多種多様な肉、そしてその生産者の努力や思いがしっかり詰まった一冊になっています。