
「テクノロジー思考」の著者で20年以上にわたりベンチャーキャピタルおよびスタートアップ経営に携わってきた蛯原 健さんは「これからはインドだ」と言います。
スタートアップブームの本質とは、中国・インドの本質とは、データ資本主義の未来は。アジア特化VCという職業柄それらを突き詰めて考える年月を過ごし、系統立て言語化し、本書を書き上げました。どうぞご吟味宜しくお願いします。 https://t.co/8MraU0VhLQ
— 蛯原 健 /『テクノロジー思考』著者 (@TakeshiEbihara) August 8, 2019
といっても、普通の日本人は「カレーの国」「ヨガの国」というイメージしか持ちませんよね。でもそれは大国インドの姿の一面しか見ていないのです。「トイレの国」という視点から見るとこれからのインドが見えてきます。情報や知識をまとめた本をご紹介します。
Contents
13億人のトイレ 下から見た経済大国インド

これからはインドの時代だといいます。
世界のトップ企業のCEO最高経営責任者を見ると、インド出身の人の割合が目立ちます。
さらに、情報・通信が急速に発達したことで新しい産業がインドに育っています。
スタートアップ企業が育つためには投資マネーが流れ込み続けるインド。
しかし人口の一割以上が極貧状態というアンバランスさが目立ちます。
そのアンバランスさの正体をトイレから解き明かした異色リポートです。
驚くことにインドの世帯の二つに一つはトイレがないと言います。
国は五年間で1.2億基のトイレを設置することで、「野外排泄ゼロ」を目指しているのだとか。
「立ちション」や「野ぐそ」が当たり前の国なんですね。
衛生上の問題だけならまだましで、野外排泄からレイプや殺人まで起きているというから深刻です。
なぜトイレ整備が立ち遅れているかというと、その背景には深刻なこの国の文明があるといわれます。
カースト制度
生まれで人を差別する「カースト制」です。
トイレの汚物清掃や下水道の清掃は代々低カーストにゆだねられてきました。
社会学者の橋爪大三郎氏は「インドをわかるためには、ヒンドゥー文明の価値観と行動様式を理解する必要がある」といいます。
カースト制は、人びとをばらばらにし、接触を最小限にして、紛争を避ける仕組みである。接触を避けるとは、職業を別々にして、なるべく交流しない。結婚しない。穢けがれが伝染するからと接触しない、などである。
この国のありようがカーストつまり差別によって支えられているのです。
普通に生活していては最下層のカーストから離脱することができないインド社会。最近では仏教に改宗することで脱カーストをめざしたりする動きもあるようです。
台頭する中国によって、民主主義の大国インドとの関係を深めるべきだという論調がよくありますが、私たちはインドのことをよく知らなすぎますし、個人レベルではインド人よりも中国人の方がよっぽど私たち日本人と近い感覚を持っていると思います。どのような意見があるにしても、私たちはインドという国をこれからよく知るべきだと思います。
まとめ
カースト制がゆるみ始めたインド。インド経済はいずれ日本を追い抜くといわれます。ビジネスチャンスをつかむ上でもインドのことを知る必要がありそうです。
なぜインドから「カースト制」がなくならないか その原因はヒンドゥー文明にある (3ページ目) | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)