
本作は、日本史上初の冤罪事件・二俣事件で冤罪事件が舞台。加担した警察と司法関係を題材にしたエンタメミステリーです。
蚕の王
昭和二十五年(1950年)、静岡県二俣町で一家殺害事件が発生した。のちに死刑判決が覆った日本史上初の冤罪事件・二俣事件である。
捜査を取り仕切ったのは、数々の殺人事件を解決に導いてきた名刑事・赤松完治。
だが赤松は、裏で悪質な取調による自白強要を常態化し、「拷問王」と呼ばれていた。
今もなお審理が続く袴田事件に至るまで、警察と司法が手を組んで行った犯人捏造の実態。正義を信じた者たちが勝ち取った、感動の逆転無罪。
そして事件を追い続けた著者だけが辿り着いた真犯人の正体とは?この国の深い闇に迫る、事実に基づく衝撃作。
小説の背景
テレビや新聞であまり深く掘り下げませんが、冤罪事件が発生する背景には、警察当局の取り調べ方にも問題があることを忘れてはなりません。
その代表例ともいえるのが、静岡県警の警察官・紅林麻雄でした。
紅林麻雄は拷問での尋問と自白強要で数多くの無実の人に濡れ衣を着せ続けました。
彼の行為が過去のものにならないわけは冤罪事件の多くは未解決のままだからです。
55年前、今の静岡市清水区で一家4人が殺害された、いわゆる「袴田事件」は彼の部下だった刑事が袴田に自白を強要させ証拠を捏造した疑いが強いとも言われています。
小説が描いた闇は私たちのくらしに地続きでつながっているのです。
昭和二十五年(1950年)、静岡県二俣町で一家殺害事件が発生した。のちに死刑判決が覆った日本史上初の冤罪事件・二俣事件である。
捜査を取り仕切ったのは、数々の殺人事件を解決に導いてきた名刑事・赤松完治。
だが赤松は、裏で悪質な取調による自白強要を常態化し、「拷問王」と呼ばれていた。
今もなお審理が続く袴田事件に至るまで、警察と司法が手を組んで行った犯人捏造の実態。正義を信じた者たちが勝ち取った、感動の逆転無罪。
そして事件を追い続けた著者だけが辿り着いた真犯人の正体とは?この国の深い闇に迫る、事実に基づく衝撃作。
※二俣事件(ふたまたじけん)とは、1950年1月6日に当時の静岡県磐田郡二俣町(現在の浜松市天竜区二俣町)で発生した、四人が殺害された事件である。
逮捕・起訴された少年が地裁・高裁とも死刑判決を受けたが、最高裁が審理を差し戻した後の地裁・高裁とも無罪判決を受け、無罪が確定した。
同じ静岡県内で起きた袴田事件と並ぶ冤罪事件の一つとして知られる。
この事件では、当時静岡県警察の警部補であり、多くの冤罪を作った紅林麻雄による拷問での尋問と自白強要、これに基づく供述調書作成などが、同僚警官の告発書により明らかとなった。
※紅林麻雄(1908~1963)。担当した幸浦事件(死刑判決の後、無罪)、二俣事件(死刑判決の後、無罪)、小島事件(無期懲役判決の後、無罪)、島田事件(死刑判決の後、無罪)の各事件で無実の者から拷問で自白を引き出し、証拠を捏造して数々の冤罪を作った。
まとめ
- 権力側の不正を許せない人
- 歴史の闇に興味ある人
- 歴史ミステリーファン
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