
100歳まで生きるこの時代。65歳で引退してのんびり老後などできるわけありません。これまでと違う世界で一花咲かすことが生きがいにつながります。
これからの働き方を模索する全ての人に新たな気づきを与えてくれる本をご紹介します。
Contents
どこでも誰とでも働ける

AI以後」「人生100年時代」の働き方を先駆けて実践するITのエヴァンジェリストが圧倒的な経験をベースに記す新・仕事論。
著者が渡り歩いた様々な会社で学んだ知識や経験をひもときながら、人生を豊かに生きるためのヒントをまとめた本。
ではどうすればその能力を高められるのか?本書に一貫して書かれているのが「行動すること」「GIVEすること」という2つの柱です。
著者の経歴や経験は普通の人にはハイスペックすぎる気もしますが、読み進めると誰にでも納得できるメッセージがあふれています。
- 自分の名前で生きる勇気を持つ
- 目的合理性を持つことはなんでもやる
- ラフでもいいから先に全体像を掴む
- クセを身につける自分に対してアカウンタブル(説明責任を持つ)であると迷いがなくなる
- プロとしての成長と、人を動かす熱量は「自分事化」から生まれる
ラショネールを伝えること
なるほどと思ったのは「ラショネール」という考え方についての奇祭。
グーグルで重視される「ラショネール」という考え方があります。「ラショネール(rationale)」とは「自分はなぜ、その行動をするのか」という考えを相手に対し合理的に説明できることだと言います。
「アメリカではこういう条件で実施しているが、日本では・・・が規制されている代わりに・・・が・・・%と普及しており、コストは・・・%高くなる。しかしその分、一旦利用を開始した後の利用回数は・・・%アメリカより高いと予測できるので、成功確率の高いシナリオが描ける・・・」
グローバル企業のグーグルで働く人は、それぞれのバックグラウンドがバラバラです。そのため意思を伝えるためには合理的な説明が必要です。
逆に言えば、「なぜそれをするのか」を合理的に説明できれば「やっていい」とゴーサインが出るのです。グーグルが革新的な取り組みを連発できる背景には「ラショネール」という文化があるからです。
寸秒を惜しむ最先端の企業だからできるのかもしれませんが、こうした考え方は日本的な慣習の染まった会社社会から見るとおいそれと真似できるものではありません。
しかし、逆に言えばこうした心がけが欠けていたからこそ、働き方に悩む多くの人が生まれているかもしれません。自分の人生は自分で決める。そんな思いを抱く人は手に取られると新しいヒントに出会えるような気がします。
尾原和啓(おばら・かずひろ)1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用人工知能論講座修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援、リクルート、Google、楽天(執行役員)などの要職を歴任。現職の藤原投資顧問は13職目になる。
著書に『ITビジネスの原理』『ザ・プラットフォーム』(NHK出版)、『モチベーション革命』(幻冬舎)などがある。