
放送局で番組を作っていると、同業他社がやらかした不始末は他人事とは思えません。はっきり言って迷惑感を覚えます。その感覚は年を追うごとに強くなってきました。なぜなら批判の声はSNSを通じて瞬間的に広がるからです。
職業的に情報を扱う業者ですらSNSとの向き合い方には気を使わざるを得ない時代。情報の恐ろしさを知らない個人が突然の炎上に巻き込まれたらどうなるのか。その怖さと背景は取材を掘り下げてゆくことでようやく見えてきます。
Contents
SNS暴力 なぜ人は匿名の刃をふるうのか

SNSによる暴力が過激化。匿名になることで、言葉が凶器へと変わり、容赦なく人の心を切りつける。果たして加害者はどんな人物で、動機は何なのか。背景には、社会の構造的な問題があるのだろうか。記者が徹底的な取材で掘り下げる。
【紹介】この本はどういう本で、何ができます。
- 誹謗中傷する書き込みをしているのはごく一部の人
- 相手の顔が見えないから問題の大きさに気づかない
- 被害者を守る仕組みを早急に整えるべき
本書は毎日新聞の調査報道企画に携わった取材陣がまとめたもの。被害者やジャーナリスト、研究者などに取材を重ねながら問題の在りかを探っていきます。
これまではネット空間は匿名で自由に相手を攻撃できる「外野」だと思っている人が多く、言葉が過激になりがちだった。伊藤さんは自身を直接中傷した漫画家だけでなく、その投稿を拡散した人も対象に損害賠償訴訟を起こしました。今後は訴訟という形でどんどん球が跳ね返ってくるし、もう安全地帯ではないというふうに、意識をアップデートしていかなければならない。女子プロレス選手の件では、古い意識のままアップデートできていない人の多さが改めて明らかになったのだと思います。
匿名の刃~SNS暴力考:せやろがいおじさんが、ネットの伊藤詩織さん中傷について語りたかったこと – 毎日新聞
これまで常識であったものは、次の瞬間常識ではなくなってしまう時代に私たちは生きているといえます。トラブルに巻き込まれたくなければ、他人の事を意識しながら用心深くふるまっていかなければならないというわけです。
コンピューターの世界では当たり前のアップデートは、人間にとっては簡単なことではあれりません。ひどく気疲れする世界の中に私たちは生きていることをこの本は伝えてくれます。