【2026年版予想】 このミステリーがすごい! 国内ミステリー 8月新刊を徹底紹介

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 国内ミステリー 新刊12冊を書きます。※本ページにはPRが含まれます

夏の暑さも、扇風機の音も、遠くの花火も。
全部消してしまうミステリーが、ここにある。

いやあ、8月って本当に危ないんですよ。何が危ないって、財布の中身が一気に蒸発するんです。だってね、出版社さんたちが「お盆休みも終わったし、そろそろ君たち本読まないとダメでしょ?」って言わんばかりに、魅力的すぎる新刊をこれでもか!って並べてくるんですよ。

今年の8月は特にヤバい。

冷房ガンガンの部屋でアイスを食べながら一気読みしたくなるような、ドキドキの国内ミステリーが12冊。

「どうせ宣伝でしょ?」なんて言わないで。今回のラインナップは、そんな次元じゃない。読んだ瞬間、日常に戻れなくなる危険なやつらばかりなんです。

では、私なりにシーンを想像しながら、ひとつひとつ紹介していきます。

2025年8月、新刊ミステリーの波がやってきたぞ!

白魔の檻』 山口未桜(8/29)

霧とガスで閉ざされ牢獄と化した病院。非常事態下で発生する不可能犯罪に、研修医・春田芽衣と医師・城崎響介が挑む。デビュー作にして本屋大賞第4位に輝いた『禁忌の子』に連なるシリーズ第2弾。

まずは、病院×密室×不可能犯罪。はい、もう勝ちです。

霧とガスで閉ざされた病院の中で起きる、ありえない事件。研修医・春田芽衣と医師・城崎響介のコンビが挑むわけですが…想像してみてください。

手術室の時計が「12:00」で止まってるんですよ。誰も触ってないのに。患者のカルテは消え、ドアは内側から鍵がかかってる。そして、そこにあるのは冷たく横たわる遺体だけ。

あの『禁忌の子』のシリーズ第2弾。いやもう、これは徹夜案件。

殺し屋の営業術』 野宮有(8/29)

凄腕営業マン・鳥井(とりい)。珍しい夜間のアポイントを受けて向かった豪邸で刺殺体を発見、自身も背後から殴打され意識を失ってしまう。鳥井を襲ったのは「殺し屋」だった。 目撃者となってしまった鳥井は口封じとして刺殺体とともに埋められそうになる。そのとき鳥井は「ここで私を殺したら、あなたは必ず後悔します」と、いまにも土を被せて埋められそうな状況で、風見と耳津を相手に、鳥井は「営業」を開始する。

はい、出ました。タイトルからしてすでに面白い。

背後から殴られ、気づいたら死体と一緒に穴に立たされている営業マン・鳥井。普通なら「助けて!」って叫びますよね。でも彼は違う。「ここで私を殺したら、あなたは必ず後悔します」って言って、営業を始めるんですよ。

想像してみてください。スコップ持った殺し屋の横で、「この契約、今なら特別条件付きです!」って真顔で話してるんですよ。狂ってる。でも読みたい。

蜘蛛屋敷の殺人』 大神晃(8/28)

名探偵VS名探偵!? 二転三転の推理バトル! 寒い正月のことだった。恋人の現役女子大生イタコ探偵・水鏡氷華【みかがみひょうか】とともに飛驒の山奥“蜘蛛【くも】屋敷”を訪れた僕は、迷宮入りした女当主密室殺人事件の謎を調査する。高額賞金に釣られて現れた怪しい便利屋・樋山【ひやま】さんと氷華の火花散らす超絶推理合戦。二人の名探偵が辿り着いたのは、哀しきひとつの真実だった。雪が降るたび思い出す、あの美しい名探偵を。元カノ実家訪問系トラベルミステリ。

元カノが女子大生イタコ探偵っていう時点で、ツッコミ待ちですよね。

雪深い飛驒の山奥、蜘蛛屋敷。密室殺人の真相を巡って、怪しい便利屋と名探偵の推理合戦。

火花散る推理バトルって、読んでるこっちの脳まで熱くなるんですよ。

個人的に一番ワクワクするのは、真夜中、囲炉裏の火だけが揺れる和室で、「あなたの推理は半分だけ正しい」って囁かれる瞬間。

悲鳴』 櫛木理宇(8/28)

だが彼女は誘拐され、何年も男に監禁された。教育を、青春を奪われ、子を産まされ……けれどようやく事件は発覚し、生還を果たす。しかしそれは新たな苦痛の始まりだった。旧弊な価値観のまま変化のない住人による嫌がらせや無理解に疲弊する彼女の元へこの骨が本物のサチだと白骨死体が送りつけられるーー。重なる悪意の根幹に何があるのか。衝撃のミステリ。

これは…重いです。けど目を逸らせない。

誘拐、監禁、そして帰還後の地獄。白骨死体が「本物のサチだ」と送られてくるシーンを想像してください。届いた段ボール、開けた瞬間の空気の凍りつき方。

櫛木さんはいつも、人間の嫌な部分を遠慮なく突きつけてくる。読むのに覚悟が要るけど、その分忘れられない物語になります。

虚池空白の自由律な事件簿』 森晶麿(8/26)

その一言が、謎を呼ぶーー。 自由律俳句の伝道師といわれる俳人・虚池空白と、編集者の古戸馬は、本の企画のため、世の中の落書きや看板などに落ちている言葉を、詠み人知らずの名句〈野良句〉として集めている。 そんな彼らが手にした〈野良句〉の裏には、喜怒哀楽に満ちた、それぞれの秘密が隠されていたーー。言葉の裏に潜む人間の愛憎や秘密、時にはある犯罪を二人が解き明かしていく。 極上の俳句ミステリー誕生!

自由律俳句×ミステリーという新ジャンル。

街の落書きや看板から拾った「野良句」に隠された秘密を、俳人と編集者が解き明かす。

例えば、公園のベンチに書かれた「帰らぬ人を待つ 猫の昼寝」。これがただの詩じゃなく、ある事件の証拠だったとしたら…?

静かだけど確実に胸をざわつかせるタイプ。

森栄莞爾と十二人の父を知らない子供たち』 逸木裕(8/21)

野々宮椿は日本で一番優秀な十五歳の女の子。 生まれ育った修道院を救うため、魔法の天才・条ヶ崎マリスの執事になるがーー。 「おいド庶民。お前に俺の執事がつとまるわけないだろ」 ご主人は傍若無人で傲岸不遜、名門一家の御曹司だった。 椿はマリスの尊大な態度に辟易しながらも、マリスと共に魔法と法律の学び舎・魔法律学校に入学する。契約通り、執事の仕事をこなそうとする椿だが……。 「え? 私が男のふりをして、男子寮で暮らすんですか!?」

精子提供で105人の子供を持つカリスマ経営者。

自分の父親が誰かという問い、そこに金が絡むと人間はどうなるのか。

兄妹が集まる部屋の空気、妙な連帯感と不信感が混ざり合うあの感じ…うわ、胃が痛い。

魔法律学校の麗人執事』 新川帆立(8/20)

野々宮椿は日本で一番優秀な十五歳の女の子。 生まれ育った修道院を救うため、魔法の天才・条ヶ崎マリスの執事になるがーー。 「おいド庶民。お前に俺の執事がつとまるわけないだろ」 ご主人は傍若無人で傲岸不遜、名門一家の御曹司だった。 椿はマリスの尊大な態度に辟易しながらも、マリスと共に魔法と法律の学び舎・魔法律学校に入学する。契約通り、執事の仕事をこなそうとする椿だが……。 「え? 私が男のふりをして、男子寮で暮らすんですか!?」

魔法×法律×執事。ジャンル盛りすぎだけど、それがいい。

魔法の天才の執事になった十五歳の少女。

男のふりをして、男子寮で暮らすことになるという設定。

いやこれ、絶対トラブルしか起きないじゃないですか。

しかもご主人が超傲慢。読者は確実に「はいはいまた喧嘩ね」ってニヤニヤするやつ。

今日未明』 辻堂ゆめ(8/8)

あのとき、 もっと話せていたら あの人を殺めずに、すんだのかな。 まだ引き返せる。 あなたがニュースになる前に。 【著者からのコメント】 目に留まる短いニュース。 憶測だらけのコメント。 肯定。否定。あふれかえる世間の声と、 拾われることのない当事者の声なき声。 先入観ほど怖いものはないけれど、 人間はそれを捨てられない 生き物なのだとも思います。 それを浮き彫りにする5篇を 書いたつもりです。 プロローグの「私」は、 作者の私かもしれませんし、 あなたかもしれません。

短編5篇で描かれる「声なき声」。

SNSやニュースの憶測コメントに埋もれてしまう当事者の想い。

一番刺さるのは、ニュースの見出しの裏にある人間臭さ。それを物語として掘り起こしてくれるのが辻堂さんです。

誘拐劇場』 潮谷験(8/6)

近畿地方のベッドタウン・水倉地区で起きた薬物事件。バニッシュと呼ばれるペーパーアシッド、最初の被害者は小学生だった。 県では薬物撲滅キャンペーンが展開され、イメージキャラクターとして俳優・師道一正が選ばれた。クリーンなイメージで俳優としても超一流、人を魅了することに長けた彼は、探偵としての能力も発揮。県警の義永誠刑事に協力して、事件の恐るべき真相を看破した。 事件解決の名声も手伝って師道は国会議員となり、水倉を地元として帰ってくる。そして囁かれはじめる黒い噂。 熱狂の最中にも師道に違和感を持っていた支倉彼方と義永刑事の娘・真理子は、師道の真実に迫ろうと仲間を集め、位置情報アプリ「MK2」を使って水倉丘陵に隠されているはずの秘密を調べ始める。 そして誘拐事件は起こった。 二転三転する物語と手に汗握る知的攻防。善とは悪とは? 『スイッチ 悪意の実験』『伯爵と三つの棺』の潮谷験が贈る、傑作ジェットコースターミステリー!

薬物事件から政治の闇、そして誘拐へ。

薬物撲滅キャンペーンのイメージキャラクター選ばれた俳優。そして広がる黒い噂。

位置情報アプリで真相に迫る展開は、現代的でゾクゾクします。

「善とは悪とは?」というテーマが、ラストに向かってどんどん加速していく感じ、絶対ページめくる手が止まらない。

『バンクハザードにようこそ』 中山七里(8/1)

社員を自殺に追い込んだ悪徳銀行に、天才詐欺師が挑む! 司法書士の東雲は、箱根銀行に勤める友人、燎原が多額の金を横領して自殺したと、燎原の妹の杏子から聞く。二人は燎原が死ぬ前に残した、「箱根銀行は二百億もの金を粉飾しており、その責任を自分一人に押し付けようとしている」というメッセージを見つけ、燎原の自殺の謎を探ること、また、箱根銀行に復讐し、必ず潰すことを誓う。東雲は、実は詐欺師であることを杏子に打ち明けた。予算未達に追い込まれ融資先を必死に探す本店営業部、インサイダー取引の惧れのある未公開株に手をかける運用部、マスコミ対策に追われる広報部、赤字決算の粉飾をした経理部……。不正と陰謀にまみれた悪徳銀行を、天才詐欺師が鮮やかに追い詰める、痛快エンターテインメント!

最後は痛快系。悪徳銀行に天才詐欺師が挑む!

会議室での緊張感、経理部の粉飾がバレる瞬間、運用部のインサイダー疑惑…

中山さんの作品って、読んでると「これ映像化してほしい!」って思うんですよね。詐欺師が笑顔で最後の一手を放つ瞬間が目に浮かびます。

『モンテスキューノート アガタ2』首藤瓜於(2025年8月29日)

若い女性がサバイバルナイフで刺され片目を抉りとられるという異様な殺人事件が立て続けに発生した。捜査本部の青木一は何か助言を得ようと鵜飼縣とともに元精神科医のレイチェルの部屋に集まって事件の概要を説明したところ、レイチェルが異常なほどに動揺する。縣は、彼女がかつて行った犯罪者の精神鑑定のカルテを調べるよう桜端道に指示して、十年数前に鑑定した凶悪犯が来日していることを突き止めるも、第三の事件の発生とともにレイチェルの失踪を知らされる……。

連続猟奇殺人事件と、元精神科医レイチェルの過去が交錯していく本作。

十数年前に精神鑑定した凶悪犯が再び姿を現す…というだけでも背筋がゾクッとするのに、彼女自身の失踪が物語に重くのしかかってきます。

「推理小説」というよりも、人物の心理と過去が織り重なる“濃厚な人間ドラマ”として楽しめました。レイチェルと“隻眼の少女”の記憶がどう繋がるのか…読んでいてずっと胸がざわつく一冊。

『女王様の電話番』渡辺優(2025年8月26日)

好きだけど、触れあうことはできない。 そんな私は異端者なのだろうか。 主人公の志川は、新卒で就職した不動産会社を辞め、現在、SMの女王様をデリバリーするお店の電話番をしている。友達には「そんな職業は辞めたら?」と眉をひそめられたが、女王様の中でも美織さんという最高に素敵な人に出会い、そこそこ幸せに暮らしていた。私はアセクシャルなのだろうか? 「ない」ことを証明するのは、悪魔の証明だ。もしかしたら、まだ見ぬピンクのひつじに会えるかもしれないのに……。なんでも性的なことや恋愛に結びつける世の中に馴染めない主人公の戸惑いを通じて、現代社会を描く問題作。

SMクラブの電話番という突飛な舞台設定なのに、読めば読むほど「人間のあり方」を突きつけられる不思議な小説。

アセクシャルである主人公のモノローグは、マイノリティに限らず「自分は普通からズレているのでは?」と感じたことのある人なら、きっと心に響くはずです。

奇抜な舞台で展開するドラマなのに、彼女の悩みや考え方はとてもリアルで普遍的。最後に「失踪した女王様」との繋がりが腑に落ちる瞬間は、思わず息をのんでしまいました。

失われた貌』櫻田智也(2025年8月20日)

山奥で、顔を潰され、歯を抜かれ、手首から先を切り落とされた死体が発見された。不審者の目撃情報があるにもかかわらず、警察の対応が不十分だという投書がなされた直後、上層部がピリピリしている最中の出来事だった。
事件報道後、生活安全課に一人の小学生男子が訪れ、死体は「自分のお父さんかもしれない」と言う。彼の父親は十年前に失踪し、失踪宣告を受けていた。
間を置かず新たな殺人事件の発生が判明し、それを切っ掛けに最初の死体の身元も判明。それは、男の子の父親ではなかった。顔を潰された死体は前科のある探偵で、依頼人の弱みを握っては脅迫を繰り返し、恨みを買っていた男だった。

まずタイトルからして不穏。「顔を潰され、歯を抜かれ、手首を切断された死体」なんていう猟奇的な出だしに度肝を抜かれます。けれど読み進めると、これはただの残酷ミステリではなく、むしろ“人間ドラマ”としての厚みが際立つ作品でした。

小学生男子が「その死体は父かもしれない」と訴えに来る場面、もう胸がぎゅっと掴まれる。その真相が少しずつ捜査で明らかになる過程は、まさにいぶし銀の警察小説。捜査線上に浮かぶ人間模様の複雑さが、どんどん事件の核心に迫っていきます。そして最後に待ち受ける真相は、意外すぎて、思わず「そうきたか!」と声に出したくなるほど。渋さと驚きの両立、見事でした。

『部屋には葦が生えている』新馬場新 (2025年8月20日刊)

気づかぬうちに犯罪の片棒を担ぐことになってしまった「私」は、共に逃亡することになった手塚という男と話すうち、幼少の頃、解けないはずの謎を解いてしまったことを思い出す。それはノストラダムスの大予言に世間が騒然としていた1998年の思い出。ひと夏立ち寄った海沿いの町で、かつて「ぼく」だった「私」はかけがえのない友人と出会い、償うことの出来ない過ちを犯した。「私」は過去と向き合うため、記憶が眠るその町に向かうことになる。人間として思考し続けることの尊さを突き付ける、ジュブナイル×暗号ミステリ!

このタイトル、まず引っかかりますよね。「部屋に葦?」って。で、読み進めると、逃亡劇と少年時代のノスタルジーが絡み合う、不思議な読書体験になります。

「私」は気づかぬうちに犯罪に巻き込まれ、逃げる途中で“1998年の夏”を思い出す。そう、ノストラダムスの大予言で世間がザワついてたあの時代。海辺の町で出会った友との記憶、取り返しのつかない過ち…。暗号ミステリでありながら、読んでいて胸をしめつけられる切なさがメインで残るんです。

👉 謎解きもあるけど、「あの頃」の匂いに胸を突かれたい人にぴったり。

『さよならまでの三日間』 伴田音(2025年8月8日刊)

『彼女が遺したミステリ』で 注目の新鋭が贈る タイムリミット恋愛ミステリー! 与えられた時間は三日間。 船上という限定空間で 彼女が抱える秘密に辿りつけるのか? 高校の同級生と約十一年ぶりに再会した僕。 その場所は不可解なことに、 横須賀から新門司港に向かう フェリーのデッキだった。 なぜ彼女は九州に向かうのだろう?  理由を聞いても教えてくれない。 到着までは、約一日。 「それまでに当ててみて」 突如彼女が仕掛けてきた船上ゲーム。 僕は質問を投げかけながら、 彼女が抱える秘密に徐々に迫っていく。 そんなさなか、エンジントラブルが発生。 船は和歌山県沖で停泊することになり……。 高校時代の苦い恋の思い出、 突如現れた謎の男ーー。 船上という閉じられた空間で タイムリミット推理劇が始まる!  手に汗握り、 最後は涙がこぼれる エモさ100%の恋愛ミステリ!

舞台はフェリー。与えられた時間は三日間。久々に再会した彼女と「秘密当てゲーム」を始める主人公。もうこの時点で青春の匂いがぷんぷんしてきません?

エンジントラブルで船が止まったり、謎の男が現れたり、設定は確かにミステリなんですけど、読後に残るのは圧倒的に「恋愛小説」なんですよ。彼女の抱える秘密は現実味があって、最後には思わず涙。エモさ100%のラストで、納得の「恋愛ミステリ」でした。

👉 推理よりも、胸がぎゅっとなる人間ドラマを求めている人にオススメ。

ラバウルの迷宮』鈴木 智 2025/8/8

〈戦後最大の“捕虜収容所×忠臣蔵”サスペンス〉終戦直後、ラバウル。10万の日本兵がひしめく捕虜収容所で、元情報将校に下された密命はただ一つ――「禁じられた忠臣蔵を上演せよ」。暴動の火種がくすぶる舞台に、紙の雪は降るのか。

これね……正直、読後はしばらく言葉を失いました。

舞台は終戦直後のラバウル捕虜収容所。10万人の日本兵がいる中で、元情報将校に下された命令は「忠臣蔵を上演せよ」。

一見、荒唐無稽に思えるんですが、これ史実に基づいてるんです。実際にラバウルで忠臣蔵が上演されてたっていうから驚き。

紙の雪を降らせるかどうか、その裏で暴動の火種がくすぶる。もう緊張感が尋常じゃない。しかも、主人公・霧島は玉砕部隊の生き残りで、その過去に苦しんでいるんです。戦争の影と、舞台の上での「忠義」が重なり合う……これがただの歴史小説じゃなくて、魂を揺さぶる戦争文学になってるんですよ。

👉 読み応えは圧倒的。戦争を知らない世代こそ読んでほしい一冊です。

『暴走正義』 下村敦史(2025年8月6日刊)

正義を見破れ! 全編どんでん返しミステリ集 一億総”正義の暴走族”時代を生きる 今日もスマホを握りしめ怒っている 「正義系」の私たちのための 常識大逆転ミステリ。 『同姓同名』『全員犯人、だけど被害者、しかも探偵』の著者最新作も話題作! 今日もどこかで誰かが絶賛炎上中。 「暴露系」–俺があいつの悪事を晒してやる。 「報道加害」–夫を殺した毒婦のネタを掴んだ。 「エスカレート」–私が殺されたらどうするんですか! 「誤認逮捕」–現場にはいつもヤツがいる。 「再犯」–犯人は「厚生」できるのか。 「死刑反対」–法の下、人を殺すなんて何事だ

きました、“正義シリーズ”第2弾。今回も全編どんでん返しの短編集です。

「暴露系」「報道加害」「誤認逮捕」「死刑反対」……SNSで誰もが“正義”を振りかざせる時代に、それって本当に正しいの?と突きつけてくる。特に「死刑反対」の多重反転トリックには痺れました。

正義はいつも相対的。片方から見れば正義、でももう片方から見れば暴力。笑えるところもあるけど、読んでてゾッとする瞬間も多い。ネットで炎上する光景がリアルすぎて胃が痛くなりました(笑)。

👉 考えさせられる系ミステリが好きな人はマストチェック。

 『みんなで決めた真実』 似鳥鶏(2025年8月6日刊)

犯人はあなた。 名探偵がそう決めました。 裁判中継が国民的娯楽に!? 真実なき時代のモキュメンタル・ミステリ!! 裁判の生中継番組が一大エンターテイメントとなり、「名探偵」が活躍するようになった社会。 法学部生の僕はじいちゃんと裁判中継を観ていた。 一瞬でトリックを暴く名探偵。有罪は確定。 しかし、じいちゃんは言う。 名探偵の推理は間違っている。 凄腕の探偵だったじいちゃんは法廷でかつての弟子と推理対決をすることにーー。 論理(ロジック)の刃は、空気で決まる“真実(フェイク)”を切り裂くか?

裁判中継が国民的娯楽になり、名探偵がテレビで「犯人はあなた」と断言する社会。これ、めちゃくちゃ怖いけど、ちょっと笑えちゃうのもズルいんですよ。

主人公の“元探偵じいちゃん”が、「名探偵の推理は間違ってる」と挑むところから一気に熱くなる。論理で戦う展開は知的興奮が止まらないし、「空気で真実が決まる」社会を切り裂くテーマも強烈。

👉 エンタメしつつも、「今の日本」にガツンと一石を投じる一冊。

『新・教場2』 長岡弘樹(2025年8月6日刊)

風間公親を襲撃して右目の視力を奪った連続殺人犯、十崎波琉。警察学校の校長・四方田秀雄は彼の逮捕に貢献のあった風間の門下生たちを特別講師として呼んでみてはと提案する。風間はそれを承諾し、最初に招かれた隼田聖子巡査長は子供を奪おうとした男を母親が殺した事件について語るが..。

シリーズ第6弾。今回も短編6本収録です。

警察学校という“密室”で繰り広げられる若者たちの苦悩と闇。毎回「えー!気づかなかった!」と叫んでしまう退校シーンは健在。風間教官の眼光が鋭すぎて、読んでるこっちまで背筋が伸びる(笑)。

若干ご都合主義的な展開もありますが、それを凌駕するテンポとキレ。人間の弱さを鋭く切り取る短編の冴えは、やっぱり長岡さんならではです。

👉 シリーズファンはもちろん、初めて読む人にも安心して勧められる一冊。

『飛び込め地獄』上田春雨 2025/08/05

「わたしは解脱した。探さないでほしい」 新興宗教の教祖だった姉が失踪した。刑事志望のすばるは、教団から次期教祖になるよう迫られ、姉の捜索を開始。同じ頃、殺し屋を名乗る少女いよに出会う。彼女は「親友を殺したカルト教団に復讐する」ため捜索を手伝うという。密室で変死した両親、姉の失踪、いよの親友の不審死、次々と電車に飛び込む信徒たち……。二人は教団の闇に迫っていく!

読んだ瞬間、背筋ゾワっときました。元教祖の姉が失踪し、刑事志望の少女すばるは、なぜか教団から次期教祖に指名されてしまう。いやいやいや!そんなの受けたら人生詰むでしょ!って思うわけですが、そこで出会うのが“殺し屋少女・いよ”。「親友を殺したカルト教団に復讐するため」って……動機が重すぎる。

そしてここから、密室変死、信徒たちの連続飛び込み、そして教団の闇。もうね、ページをめくる手が止まらない。

ただ、注意点があります。登場キャラ全員クセが強すぎ!感情移入は難しいんです。でも、それが逆に「映像的」なんですよ。もう映画を観てるみたい。ラストの伏線回収なんて、鳥肌モノでした。読んでる途中から「これNetflixでドラマ化するだろ」って思いましたね。

👉 アクション重視、スピード感重視の読者にオススメ。理屈よりライブ感で攻めてくるタイプです。

『プーチンになろうとした女 歌舞伎町麻薬捜査』 永瀬隼介 2025/08/05

闇バイトで強制的に強盗をさせられそうになった大学生・的場祐介は、突入寸前に謎の男により助け出された。だがそれは、筋金入りの革命家・清家文次郎が遺した最恐のテロリスト姉弟からの恐怖のリクルートだった。広瀬雅子、隆彦姉弟を一度は退けた新宿署の高木と洲本だったが、復讐に燃える二人と再び相まみえることに――

『アリゲーターブリッジ』 菊谷保 2025/08/01

雪に閉ざされた屋敷で遺産を手にするのは誰か? 莫大な遺産をめぐり、爬虫類が棲む湖上の邸宅に集められた山吹家一族。当主の遺言状には既に遺産は児童養護施設へ寄付したとあった。やがて立会人が襲われ、養女の代理として出席した探偵・美羽瞳は事件の真相に迫っていく。

舞台は雪に閉ざされた屋敷、そして遺産をめぐる山吹家の人々。もう設定だけでワクワクしますよね。で、遺言状には「遺産は全部寄付します」と書かれてる。ズコーッ!てなるんですけど、当然そこで終わらない。

湖にはワニやら爬虫類がうじゃうじゃいて、屋敷は孤立状態。で、立会人がいきなり襲われるわけですよ。いや〜、この辺から一気に雰囲気が「閉ざされた館ミステリー」になるんですよね。

出てくるのが、探偵・美羽瞳。養女の代理として事件に巻き込まれていくんですが、このキャラがいい意味で軽妙。作品全体の空気がライトノベルっぽくて、重すぎないのがまた読みやすいんです。

👉 深夜ドラマで放送されたら絶対ハマるやつ。ワニCGの予算だけ心配だけど(笑)。

まとめ

2025年8月は、とにかくバラエティ豊か。

密室から社会派、痛快エンタメまで、夜更かしの理由には困りません。

「どれから読もう…」って迷う時間すら楽しい。

もう、これは財布と時間の自己管理との戦いです。

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