書店に行くといつも思うのが、本がたくさんありすぎて何を読んだらいいかわからないという悩み。頼りになるのは表紙だけ。でもそれって結構リスクがおおきいですよね。
解決策は書店に行く前に、信頼できる人がまとめた選書リストを見ておくことです。
わたしが頼りにしている選書情報の一つが、読書ブログ「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」です。
- スゴ本の中の人が2020年読みたい本15冊
- 「Lost in Math」数学に魅せられて、科学を見失う
ザビーネ・ホッセンフェルダー - 「哲学探究」ルートウィッヒ・ウィトゲンシュタイン
- 「暴力と社会秩序」ダグラス・C・ノース,ジョン・J・ウォリス,バリー・R・ワインガスト
- 「アーダ」ウラジーミル ナボコフ
- 「ワールドトリガー」葦原 大介
- 「ドロヘドロ」林田 球
- 「薬屋のひとりごと」
- 「天冥の標」小川 一水
- 「七王国の玉座」〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌1)
ジョージ・R・R・マーティン - 「掃除婦のための手引き書」
- 「燃える平原」フアン・ルルフォ
- 「ザ・ループ 」TALES FROM THE LOOP
シモン・ストーレンハーグ - 「レファレンスと図書館 ある図書館司書の日記」大串 夏身
- 「マルセル・シュオッブ全集」マルセル・シュオッブ
- 「オーバーストーリー」リチャード・パワーズ
- 「Lost in Math」数学に魅せられて、科学を見失う
- まとめ
スゴ本の中の人が2020年読みたい本15冊
昨年からの持ち越しも山積みだ。Sabine Hossenfelder ”Lost in Math” とウィトゲンシュタイン『哲学探究』は絶賛放置中だし、ノース&ウォリス&ワインガスト『暴力と社会秩序』とナボコフ『アーダ』は積山だ。葦原大介『ワールドトリガー』は追い付いたけれど、林田球『ドロヘドロ』は追いかけている途中だ。
新たに積み上がっているのが、日向夏『薬屋のひとりごと』と小川一水『天冥の標』、そしてR.R.マーティン『氷と炎の歌』の巨大な山だ。読む前から絶対に面白いことは分かっているし、読んでる途中もやめられない止まらないことも実感してる。めったに誉めない嫁様が「『薬屋』と『氷と炎』はイイゾ!」と言うぐらいだから、間違いないことは分かっている。だが途中だ。
追い打ちで積まれるのが、ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』とルルフォ『燃える平原』、ストーレンハーグ『ザ・ループ』と大串夏身『レファレンスと図書館』、そして『マルセル・シュオッブ全集』である。どれもこれも、わたしが絶大なる信頼を寄せる方が、「これはスゴい」と推してくるのだから、外れるワケがない。そうそう、読書会鈍器部の課題図書になるパワーズ『オーバーストーリー』も読むぜ読むぜ。
この本がスゴい!2019: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
「Lost in Math」数学に魅せられて、科学を見失う
ザビーネ・ホッセンフェルダー
フランクフルト高等研究所(FIAS、ドイツ)研究フェローである著者が世界の名立たる理論家らにインタビューしての記事。筆者は女性かな。「研究者たち自身の語りを通じて浮かび上がるのは、究極のフロンティアに進撃を続けるイメージとは異なり、空振り続きの実験結果に戸惑い、理論の足場の不確かさと苦闘する物理学の姿」が浮かび上がる。
- 研究者の本音が聞ける
- 一般向けの科学の本とは違った視点からの話が多くとても面白かったです。しばらく経ったらもう一度読みたいです。
- 科学を見失ってしまった筆者が再びそれを見出そうとする、知的遍歴といった側面も持っているのが本書の特徴です。
「哲学探究」ルートウィッヒ・ウィトゲンシュタイン
『哲学探究』は、ウィトゲンシュタインの後期の主著として、哲学史上に燦然と輝く名著です。翻訳は、現在の日本で、もっとも厳密かつ魅力的な研究を続けている鬼界彰夫氏が担当します。
鬼界氏は、『哲学探究』というテキストが、どのような構造になり、何をめざしているのか、日本語で明確にわかるよう、特に版権所有者の許可を得て、見出しや解説等を、十分に入れていきます。
- 『論考』のシンプルでカチッとした定義を自ら疑い切り崩していく流れで、思っている以上に読みやすくて驚いた。 あの形として完成された世界の解釈を、日常的な言語や私的な発話などのリアリティでほぐしていくのは困惑しながらも楽しめた。
- 既に古典的ではあるが、現代の分析哲学につながる源流の1つだと感じた。
「暴力と社会秩序」ダグラス・C・ノース,ジョン・J・ウォリス,バリー・R・ワインガスト
制度学派の巨匠ダグラス・ノース 最後のメッセージ近代の政治経済のシステムが必要な条件とは何か。世界の学界で論争の続く大テーマに長年の研究成果を注ぎ込み、新たな地平を切り開く。
- 現代には様々な国家が存在し、それぞれ警察、軍、政府を持っているが、その内実はかなり異なっていてとても不思議に思っていたがその訳を本書が教えてくれた。
- 民主主義と資本主義を包摂する近代的国家はどのようにして誕生したのか、という問いに斬新な答えを与える。
「アーダ」ウラジーミル ナボコフ
「一九四〇年以降の、いわば英語時代におけるナボコフの著作は、長篇小説に限れば、世界的なベストセラーになった『ロリータ』、さらに『青白い炎』、そしてこの『アーダ』と続く時期に頂点を極める。言い換えれば、『アーダ』はナボコフ山脈において英語期 の三大巨峰の一つ。
[itemlink post_id=”5539″]「ワールドトリガー」葦原 大介
異次元からの侵略者「近界民」の脅威にさらされている三門市。そこに住む少し正義感の強い中学生・三雲修は、謎の転校生・空閑遊真と出会う。遊真の行動に振り回される修の運命は!? 最新型SFアクション始動!!
「ドロヘドロ」林田 球
自分を醜い姿に変えた、憎むべき「魔法使い」を頭からバックリ!! 口の中にもう一人の人間を住まわせた謎の異形の男・カイマン。魔法使いたちに姿を変えられた時に記憶を失い、いまはただ連中を狩る日々を過ごしている。「口の中の男」が犯人を言い当て、元の姿に還れるその日まで…
- ずいぶん前に読むのが止まってしまっていたが、やっと最終巻まで読了。途中で中だるみした気もするが、全体的には良い作品だった。
- 人は大勢死ぬし、暗いはずなのにカラッとしているのは主人公の性格や悪魔のキャラクター、死が必ずしもエンドでない世界観あってこそな気がする。自分にないものに憧れる話でもあった。
- 世界観が最高でしたね。唯一無二の作品というか、この作家さんしか出せない雰囲気が大好きです。
「薬屋のひとりごと」
シリーズ累計3300万部突破の原作最新刊は投薬実験と外科手術がカギに? 禁書に記された名前とは?
「小説家になろう」発!
ヒーロー文庫の大人気タイトル『薬屋のひとりごと』が、待望のコミカライズ!
中世の宮中で下働きをする少女・猫猫(マオマオ)。
花街で薬師をやっていた彼女が、帝の御子たちが皆短命であるという噂を聞いてしまったところから、物語は動き始める。
持ち前の好奇心と知識欲に突き動かされ、興味本位でその原因を調べ始める猫猫の運命は――…!?
- 小説もまだ終わらないことを考えると、この漫画が終わるのには、あと10年以上はかかりそうで、ちょっと気が滅入る。
「天冥の標」小川 一水
植民星のメニー・メニー・シープが300周年を迎えようとしているが、臨時総督のユレイン三世が不当に弾圧を加えていく等統治機構や政治体制が腐敗しつつある。この惨状に大してメニー・メニー・シープの未来を憂える者や、未開拓地へと脱出を図る者等多くの登場人物の視点からメニー・メニー・シープの現状が語られる。
[itemlink post_id=”5545″]「七王国の玉座」〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌1)
ジョージ・R・R・マーティン
ウェスタロス大陸の七王国は、長い夏が終わり、冬を迎えようとしていた。狂王エイリスを倒し、ターガリエン家から〈鉄の玉座〉を奪って以来、バラシオン家、ラニスター家、スターク家ら王国の貴族は、不安定な休戦状態を保ってきた。だが、ロバート王がエダード・スタークを強大な権力を持つ〈王の手〉に任命してから、状況は一変する。それぞれの家の覇権をめぐり様々な陰謀が渦巻き……。ローカス賞に輝く歴史絵巻開幕!〈氷と炎の歌〉第一部
[itemlink post_id=”5546″]大人気大河ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」。この年末年始にその原作シリーズ《氷と炎の歌》に手を出してはいかがでしょう? え、何? 長い? では、このたび刊行なったシリーズ初の短篇集、『七王国の騎士』から読んでみてはいかがでしょう。
《氷と炎の歌》はコレから読め!|『七王国の騎士』訳者あとがき出張版|酒井昭伸|cakes(ケイクス)
「掃除婦のための手引き書」
毎日バスに揺られて他人の家に通いながら、ひたすら死ぬことを思う掃除婦(「掃除婦のための手引き書」)。道路の舗装材を友だちの名前みたいだと感じてしまう、独りぼっちの少女(「マカダム」)。波乱万丈の人生から紡いだ鮮やかな言葉で、本国アメリカで衝撃を与えた奇跡の作家。
大反響を呼んだ初の邦訳短編集。
- 大変な傑作揃いで衝撃を受けた。著者自身の体験がベースになっていて、これでもかというほどアルコール依存の話が続く。
- 痛み、悲しさ、生活を描きながら何処か現実に馴染みきれない姿。美しさと醜さ、弱さが混じり合っている。
- リズミカルな独白で情景を描写し、それが読者の想像力をかき立てるような文体。読むとすっと文章の中に入り込んでしまい、ベルリンが次々に出してくる単語が頭の中で踊るようだ。
- 人気あるみたいだけど自分には気が滅入るだけであった。
「燃える平原」フアン・ルルフォ
現代ラテンアメリカ文学における最重要作家フアン・ルルフォ(1918―86)の傑作短篇集。焼けつくような陽射しが照りつけ砂塵が舞い上がるメキシコの荒涼とした大地を舞台に、革命前後の騒乱で殺伐とした世界にあえぐ貧しい農民たちの寡黙な力強さや愛憎、暗い情念の噴出から生じる暴力や欲望を、修辞を排した、強い喚起力に富む文体で描く。
- 通勤読書でちびちびと読んでいたが、そういう読み方をするにはもったいないくらいの傑作ぞろい。
- 一遍一編が非常に短いので忙しい日々にも愉しみやすい作品です。ガルシアマルケスが絶賛したという「マティルデ・アルカンヘルの息子」が白眉。
- 焼けつくような大地と静かな月夜メキシコの大地を、駈け抜ける男達、短編は、どれも素晴らしい ペドロパラモを、思いおこす。
「ザ・ループ 」TALES FROM THE LOOP
シモン・ストーレンハーグ
1969年、スウェーデン・ストックホルム郊外に世界最大の粒子加速装置「ループ」が完成。
周辺ではマグネトリン技術で空を飛ぶ船、感情を持つロボット、時空をゆがませるエコー球、そして恐竜までもが出現。
1980年代のスウェーデンに育った話者の原風景と、奇妙な事象が交じり合うノスタルジックで異様な世界。
「レファレンスと図書館 ある図書館司書の日記」大串 夏身
「与謝蕪村全集はありますか」「ワニの捕まえ方を書いた本はありますか」「昭和が終わったらどうしたらいいでしょう」……
レファレンスカウンターには、毎日いろんな人がやってくる。
昭和最晩年、レファレンス現場の「ジグザグ」な実態を描いた名著、『ある図書館相談係の日記』を大幅に増補復刊。
- レファレンス事例が載った本というのはたしかにあんまり無いので貴重な著作。
- 久しぶりに引き込まれるように読んだ本だった。都立図書館ってすごいところなのだなと改めて思う。
- 信じ難いつまらなさだ。知識としても無価値で面白味もゼロ。時代の違いのせいも大きそうだなー。出版は最近だが中身は何十年も前のものだからね。そういうズレは実用系の本の宿命ではあるかもね。
「マルセル・シュオッブ全集」マルセル・シュオッブ
現在大きな注目を浴びる、夭折の天才作家マルセル・シュオッブ。ヴァレリー、ジイド、ジャリをはじめ、ボルヘス、ボラーニョ、澁澤龍彦らにまで多大な影響を与えた、19世紀末フランスの小説家の初めてとなる邦訳全集。『架空の伝記』『モネルの書』『少年十字軍』『黄金仮面の王』『二重の心』等の全小説はもちろん、評論や単行本未収録短編まで収録。約4割が新訳。
- これは、苦手な方の幻想文学だった。自分の中で幻想文学を乾燥系と湿度高い系に分けているのだが、これはとても湿度高い系だった。好きな人にはたまらないだろうと思う。
- 絶版が多い彼の著作が一同に集められた一冊。900頁ほどの丁寧な造本で、一冊の重量感がすごい。静かな夜にお酒でも飲みながら、ちびちびとページを繰るのが贅沢な時間だ。
- 作品それぞれが小さな宝石のようで、鉱石の標本を眺めるように楽しみました。
「オーバーストーリー」リチャード・パワーズ
アメリカ最後の原始林を救え。米現代文学の旗手が放つ、森羅を覆い尽す物語。撃墜されるも東南アジアの聖木に救われた兵士、四世代に亘り栗の木を撮影し続けた一族の末裔、感電死から甦った女子大生……アメリカ最後の手つかずの森に聳える巨木に「召命」された彼らの使命とは。南北戦争前のニューヨークから20世紀後半のアメリカ西海岸の「森林戦争」までを描き切る、今年度ピュリッツァー賞受賞作。
- この本を読んでから、普段目にしてる木とか周りの風景が違って見えた。最後まで読めて良かった。
- 環境破壊が叫ばれるようになって、すでに多くの時が過ぎているが、地球に残された時間はあとどれくらいだろうかと考えさせられる。
- スピリチュアルな部分はあまり入り込めないが、樹木同士のコミュニケーションの話は感動的。見えないふりをするのが簡単だがそれではいけない。
撃墜されるも東南アジアの聖木に救われた兵士、四世代に亘り栗の木を撮影し続けた一族の末裔、感電死から甦った女子大生……アメリカ最後の手つかずの森に聳える巨木に「召命」された彼らの使命とは。南北戦争前のニューヨークから20世紀後半のアメリカ西海岸の「森林戦争」までを描き切る、今年度ピュリッツァー賞受賞作。
「オーバーストーリー」書評 樹木が語る 環境破壊への危機|好書好日
まとめ
いかがでしたでしょうか。教養書からコミックスまで幅広いジャンルの中から選んだ一冊にたどり着くこと。その一冊を手掛かりに世界を広げていくイメージを持つと迷わなくなります。
それは、自分がいったい何を読みたいのかがわかってくるからです。自分の中にはまだまだ知らない自分がたくさん隠れています。
一冊の本を懐中電灯代わりに、暗闇の中を分け入っていくと結構楽しいし、自分が一体何者なのかわかってくるような気になります。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 スゴ本の中の人 を書きます。※本ページにはPRが含まれます