生きることは誰かの光になること「ライオンのおやつ」

ライオンのおやつ
フルタニ
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。

名作の条件は読後感。読み終わってなにか自分の心の中にのこる物があることだと思います。

それはあれもこれもある必要はなく、一本の灯火のように向かうべき方角を差し示してくれるだけでいいのです。

ライオンのおやつ

表紙に描かれているのは水面に浮かぶ小さな船です。

瀬戸内海でしょうか。手前にはミカン畑を思わせる緑が置かれ、穏やかに凪いだ海には島影が描かれています。

小川糸さんの著書はだいたい簡素なデザインです。本屋の店頭に面陳したとしても、派手に着飾った新刊書たちの間にかすみがちです。

なぜこんな風景画なのかと感じた疑問が、読み終わったと同時に解けました。

最初、目が奪われたのは帯に書かれた帯でした。帯は「人生の最後に食べたい”おやつ”はなんですか」と問いかけます。答えは表紙に描かれていたのです。

主食とは生きること。おやつは楽しむこと。そして船は岸を離れ水平線上に浮かぶ太陽に向かっています。ああこういう未来が待っていてくれるならすばらしい。

読む人の心の中をじんわりと。そして、揺り動かすように暖めてくれる作品です。

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aliceの読了日記★ ライオンのおやつ 小川糸・著 ポプラ社・2019年初版発行 評価・★★★★★ 2020年・6冊目 ▲内容案内▲ 人生の最後に食べたいおやつは何ですか―― 若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを決め、穏やかな景色のなか、本当にしたかったことを考える。 ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫はなかなか選べずにいた。 ――食べて、生きて、この世から旅立つ。 すべての人にいつか訪れることをあたたかく描き出す、今が愛おしくなる物語。 ▲作者プロフィール▲ 小川糸 ・おがわいと 1973年生まれ。2008年『食堂かたつむり』でデビュー。2010年に映画化され、2011年にイタリアのバンカレッラ賞、2013年にフランスのウジェニー・ブラジエ賞を受賞。 ★感想★ よく眠り、心と体を温め、よく笑うことです。良い人生を送りましょうね。 私はこの作品を読んで死というものが、生まれるという事と同じくらい大切で神聖なものだと思うことが出来ました。 生きる事も死ぬ事も私たちには選ぶ権利はありません。だから私たちは自分が与えられた時間を精一杯生きる事しか出来ません。 若くして死んでしまうのはもちろん無念ですが、それも人生でありただそれが不幸なんだとは思わなくて良いのかもと思える作品でした。 母のように闘病の末亡くなった人は死をもってやっと肉体から解放されて楽になったのかもしれない。 ライオンのおやつを読みながらもちろん涙も出ましたが、それよりずっと温かい気持ちで読み続ける事が出来ました。 死を題材にした小説でありながら、希望と勇気をもらい、また前に進みたいと思わせてくれるこの作品、なんとも不思議な作品だな。 またいつか読みたい素晴らしい作品です。 私が気に入ったフレーズ↓ 人生というのは、つくづく、一本のろうそくに似ている。ろうそく自身は自分で火をつけられないし、自ら火を消すこともできません。一度火が灯ったら、自然の流れに逆らわず、燃え尽きて消えるのを待つしかないんです。 生きることは、誰かの光になること。自分自身の命をすり減らすことで、他の誰かの光になる。 誰かの光になるなんてなんて素敵なんでしょう。そして私が母のことを思い出し悲しく思ったり、こんな事では母に笑われてしまうかもと思う事で、死んでからも周りの人の道標や明かりになってるんだなとつくづく思いました。 文中で、死んだ人を思い出すとその人の魂の周りが明るくなるとの表現があり、死んだおばあちゃんやお母さんの事をもっと思い出そうと思います。私も明かりを灯すことが出来るのだから…🕯 #aliceの読了日記 #ライオンのおやつ #小川糸 #本屋大賞 #本屋大賞alice #aliceの読了日記2020 #読了 #読了日記 #読了本 #読了メモ #読了ノート #読書 #読書記録 #読書ノート #読書の秋 #読書好きな人と繋がりたい #読書好き #読書メモ #読書日記 #読書の冬 #読書女子

Akiko Nishikawa(alice)(@a59lice)がシェアした投稿 –