
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。
子どもの本というと、たいていの人は赤ちゃんや幼児向けの本、取り扱っているのは絵本屋さんをイメージします。しかしよく見てみるとその世界は広大で、話題になっている映画作品の原作は児童向けの本から生まれているといっても大げさではありません。
児童文学作家・上橋菜穂子さんの文庫本をご紹介します。
Contents
鹿の王 水底の橋
2015年本屋大賞を受賞した作品『鹿の王』
「鹿の王」の主人公のひとり、オタワルの医術師ホッサルと、その助手で恋人のミラルを中心とした物語。
患者を診るために訪れた異教徒である清心教の発祥の地で、ホッサルは跡目相続などの政治問題に巻き込まれます。
血清や輸血を穢れと考え拒む清心教医術。ホッサルは救える命を目の前に悩みます。人の命と医療の在り方を描いた傑作エンタテインメントです。
本書の内容まとめ
- 鹿の王のスピンオフ的ストーリー
- 生命との向き合い方、幸福のあり方を考えさせられる
- ホッサルとミラルの恋の行方に胸躍る
- 前作でヴァンとユナの物語が、読者に幸せな想像をかきたてる温かな終わり方だったので、今回のホッサルにも同様の結末が用意されていて、なんだか安心。
- ラルのような芯の強い女性は素敵だと思う。
- 副題の「水底の橋」について、ミラルの父ラハルが語る場面があります。その見解が、本作の世界観での医術に対する一つの答えなのかな、と感じました。
鹿の王 水底の橋 上橋 菜穂子:文芸書 | KADOKAWA
上橋 菜穂子はどんな人
立教大学博士課程単位取得(文学博士)。専攻は文化人類学。オーストラリアの先住民であるアボリジニを研究。女子栄養大学助手を経て、現在川村学園女子大学特任教授。

『精霊の守り人』(野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞、アメリカ図書館協会バチェルダー賞)など12巻からなる代表作「守り人」シリーズは、内外から高い評価を得ている。2014年に国際アンデルセン賞作家賞を受賞。
内容
- 出版日:2020/6/12
- ページ数:424ページ
書評まとめ
穢れなきままに生を終わらせることが正義なのか、諦めずに死に立ち向かうことが正義なのか、考えさせられる作品。児童書の世界観は、昔子どもだった大人たちの心をわしづかみにします。