
ABC(青山ブックセンター)で3月16日開催予定されていた『ZENOBIA ゼノビア』作家のモーテン・デュアーさんトークイベントが中止です。
シリア内戦に巻き込まれた普通の家族の物語を少女の目を通じて辿った北欧グラフィックノベルの傑作をご紹介します。
Contents
ZENOBIA ゼノビア
ゼノビアとはローマ帝国にも屈しなかったシリアの女王のことです。

世界17の国や地域で翻訳された北欧グラフィックノベルの傑作!
シリア内戦下に生きる少女の物語『ZENOBIA ゼノビア』の著者、モーテン・デュアーさんがデンマークから来日!『ZENOBIA ゼノビア』は、本国デンマークでは数々の賞を受賞しており、公共放送のデンマークラジオは「現代の戦争を理解するための出発点として、子供だけでなく大人にもこの本を読んでもらいたい」と報じ、文芸誌『アトラス』は「子供が読む大人の本であり、大人が読む子どもの本でもあると評しています。
世界各国で高く評価されている『ZENOBIA ゼノビア』の制作背景、読者に伝えたいメッセージ、そして、本書が世界中で評価されている理由についてなど、本書の翻訳者・荒木美弥子さんを通訳に迎え、たっぷりとお話しいただきます。
※開催中止『ZENOBIA ゼノビア』の著者、モーテン・デュアーさん来日トーク | 青山ブックセンター
本作はシリア難民少女の悲劇を穏やかなタッチのグラフィックで表現した児童書。
地味なテーマということもあり、クラウドファンディングでようやく日本語版出版にたどり着いたという作品です。

主人公はシリアの小さな村に住む少女アミナ。家族は平和な日々を過ごしていました。ところが内戦が始まります。戦火を逃れるためアミナはボートで国を脱出しようと試みるが荒波に襲われ船は転覆してしまいました。

水底に沈む少女の脳裏に浮かんだ光景とは何だったのでしょうか。
『ZENOBIA(ゼノビア)』は2016年11月デンマークで出版されて以来、アメリカ、ヨーロッパ、韓国など世界15カ国の国々で翻訳されました。
日本では出版の予定がないことを知ったのが発起人の荒木美弥子さん。デンマーク出身の友人で本書の作者であるモーテン・デュアーさんの絵本を見て心を奪われました。
海外文学の出版点数が減少している日本では、通常のしくみではなかなか紹介することができない。荒木さんは意を決しクラウドフアンディングを通じて日本語版の制作に乗り出しました。
「悲惨さやショッキングな部分だけが映像になっている国ですが、平和だった時期は普通の家庭があって、普通の親子の絆があって、幸せな空間があったということを穏やかに伝えてくれている本です。どの子どもにもこういった世界があってしかるべきだということを短い言葉で伝えてくれています」NGO「国境なきこどもたち」荒木美弥子
世界15カ国で翻訳された北欧グラフィックノベルの傑作 シリア内戦下に生きる少女の物語『ZENOBIA』を翻訳出版したい! | THOUSANDS OF BOOKS
まとめ
急速に情報化が進む現代社会。ばらばらに分断された大量の情報が瞬時に届く時代です。
しかし、デジタル化になじまない血肉が通ったリアリティのある情報はむしろ届きにくくなっている気がします。
その隙間を埋めるのは志ある人のアナログな作業しかありません。物をつなぎとめる荒縄のようなものが分断を防ぐ最後に残された手段のように感じます。