
中身の詰まったビジネス書を立て続けに世に出し続けているのがNewsPicksパブリッシングです。あっという間に10万部を売り上げたのがシン・ニホン。エヴァンゲリオンブームに乗った感はありますが、若い人を大切にしないとこの国はダメだよと進むべき方向性を示してくれる本です。
Contents
「AI×データ化が進んでいる世界の中で一人負けを続けている日本の産官学への叱咤激励の書」
通信の爆速化。コンピューターの心臓部の高速化が止まりません。このまま行くと私たちが生きている間に、システムが人間の能力を追い越す、いわゆる「技術的特異点=シンギュラリティ[1] … Continue reading」の時代がやってきます。
そんな時代。私たちの暮らす日本はどうなっていくのか。『イシューからはじめよ』の著者としても知られるヤフー株式会社CSOで、慶應義塾大学環境情報学部教授、データサイエンティスト協会の理事兼スキル定義委員長でもある安宅和人氏がAI時代の人材育成について考えた本です。
AI×データ時代に必要なスキルとは何か。筆者の主張はこの三つ。それも重ね合わせで持つ必要があるといいます。
- データサイエンス力
- ビジネス力
- データエンジニア力
「データサイエンス力」とは情報科学系の知識と技術のこと。たとえばAIなどの分野に明るいことなどがあげられます。「ビジネス力」とは課題を理解する力や解決する力を言います。「データエンジニア力」とは科学的、数学的な素養。技術力。運用力です。
一つの能力を持つだけでも大変ですが、それを三つ持たないとこれからの時代日本を担っていくことが難しいといいます。
カギを握るのは教育。「未来を創る人」に対する投資です。科学技術予算を比較すると中国は日本の3.7倍。アメリカは4.7倍ものカネをつぎ込んでいるのです。
ではどこにカネが使われているかというと答えはシニアと過去です。年金、医療費、国債の支払いにつぎ込むカネの配分が問題なのです。
これからの時代を担う人は普通の人ではない時代です。筆者は妄想を形に変える力を持つのね地面とと表現しています。
普通ではない能力を持つ人に託さないことには全体の幸福は保障できないことが、数々のデータと歴史をもとに語られています。
まとめ
高級官僚を維持するための方策として述べられた記述。
人は誇りだけで食べていくことはできない。大学で競い合った人間が自分の数倍以上の待遇を受ける可能性が高いとなると、どうしても選択を見直す人が多く出てくるからだ。それが経済原理というものだ。その意味で、現在霞ヶ関の人生を選ぶ方々はかつてないほど志が高いという見方もできるが、喜んでばかりはいられない。大きな権力のある人に、見合った給料を与えなければ不正を生む潜在的な温床になる可能性も高い
日本人が生き残れるかという課題は、こうした人間の心理にまで奥深く分け入って行かないことには解決できない。人はパンのみにて生きるにあらずということが具体的に理解できる。
“シン・ニホン” AI×データ時代における ⽇本の再⽣と⼈材育成 経済産業省産業構造審議会 新産業構造部会
References
↑1 | 未来学上の概念であり、人工知能自身の「自己フィードバックで改良、高度化した技術や知能」が、「人類に代わって文明の進歩の主役」になる時点の事である。 |
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