毎年恒例の「このミステリーがすごい!」ランキングの2025年版が発表されました。
本記事では、このランキングの概要と、注目すべき作品、そして今年の傾向について詳しく見ていきたいと思います。
対象となるのは2023年10月から2024年9月に刊行された新刊本です。ミステリーナビが詳しくまとめています。
- このミステリーがすごい!2025版 発表!国内編注目の作品と傾向を探る
- 2025年版 国内ミステリーのランキング
- 1位「地雷グリコ」青崎有吾
- 2位「冬期限定ボンボンショコラ事件」 米澤穂信
- 3位「檜垣澤家の炎上」永嶋恵美
- 4位「少女には向かない完全犯罪」方丈貴恵
- 5位「伯爵と三つの棺」潮谷験
- 6位「日本扇の謎」有栖川有栖
- 7位「法廷占拠 爆弾2」呉勝浩
- 8位「バーニング・ダンサー」阿津川辰海
- 9位「ぼくは化け物きみは怪物」白井智之
- 10位「六色の蛹」櫻田智也
- 11位「乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび」芦辺 拓
- 12位「永劫館超連続殺人事件」南海 遊
- 13位「明智恭介の奔走」今村昌弘
- 13位:[イッツ・ダ・ボム] – [井上 先斗]
- 13位「虚史のリズム」奥泉光
- 13位「名探偵の有害性」桜庭一樹
- 17位「Q」 呉勝浩
- 18位「了巷説百物語」京極 夏彦
- 19位「ぼくらは回収しない」真門浩平
- 20位「兎は薄氷に駆ける」 貴志祐介
- 20位「黄土館の殺人」 阿津川辰海
- 注目の作品分析
- 2025年版の傾向
- 読者の反応
- まとめ
このミステリーがすごい!2025版 発表!国内編注目の作品と傾向を探る
「このミステリーがすごい!2025」国内部門ランキング1位に輝いたのは、青崎有吾さんの『地雷グリコ』でした。主人公の女子高生が持つ心理戦と推理の妙技が読者を引き込み評価されました📷
— ふるたに@狸穴図書館 案内人 (@kenfru1) December 6, 2024
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2025年版 国内ミステリーのランキング
「このミステリーがすごい!」は、宝島社が毎年発表している日本のミステリー小説のランキングです。ミステリー評論家や書店員など、専門家による投票で決定され、その年に出版されたミステリー作品の中から選ばれます。
今年のランキングトップ10は以下の通りです:
1位「地雷グリコ」青崎有吾
ル系JK。実はとんでもない頭脳の持ち主。グリコにじゃんけん、だるまさんがころんだなど、誰もが知ってる遊びにルールが加わり知的ゲームの騙し合いが展開される。
2位「冬期限定ボンボンショコラ事件」 米澤穂信
交通事故で入院中の主人公。小市民をめざす彼が思いめぐらしたののは、三年前、同じ場所で
同級生が巻き込まれた交通事故のことだった。15年ぶりの新作。シリーズ完結編。
3位「檜垣澤家の炎上」永嶋恵美
横濱で知らぬ者なき富豪一族、檜垣澤家。当主の妾だった母を亡くし、高木かな子はこの家に引き取られる。商売の舵取りをする大奥様。互いに美を競い合う三姉妹。檜垣澤は女系が治めていた。そしてある夜、婿養子が不審な死を遂げる。政略結婚、軍との交渉、昏い秘密。陰謀渦巻く館でその才を開花させたかな子が辿り着いた真実とは――。小説の醍醐味、その全てが注ぎこまれた、傑作長篇ミステリ。
4位「少女には向かない完全犯罪」方丈貴恵
れた少女・音葉に出会う。
彼女は、出会い頭に彼に斧を叩き込んで、言う。
「確かに、幽霊も子供も一人じゃ何もできないよ。
でも、私たちが力を合わせれば、大人の誰にもできないことがやれると思わない?」
天井に足跡の残る殺人、閉じ込められた第一発見者、犯人はこの町にいる。
5位「伯爵と三つの棺」潮谷験
フランス革命が起き、封建制度が崩壊するヨーロッパの小国で、元・吟遊詩人が射殺された。
容疑者は「四つ首場」の改修をまかされていた三兄弟。五人の関係者が襲撃者を目撃したが、犯人を特定することはできなかった。三兄弟は容姿が似通っている三つ子だったからだ。
DNA鑑定も指紋鑑定も存在しない時代に、探偵は、純粋な論理のみで犯人を特定することができるのか?
6位「日本扇の謎」有栖川有栖
舞鶴の海辺の町で発見された、記憶喪失の青年。名前も、出身地も何もかも思い出せない彼の身元を辿る手がかりは、唯一持っていた一本の「扇」だった……。そして舞台は京都市内へうつり、謎の青年の周囲で不可解な密室殺人が発生する。事件とともに忽然と姿を消した彼に疑念が向けられるが……。動機も犯行方法も不明の難事件に、火村英生と有栖川有栖が捜査に乗り出す!
7位「法廷占拠 爆弾2」呉勝浩
東京地方裁判所、104号法廷。史上最悪の爆弾魔スズキタゴサクの裁判中、突如銃を持ったテロリストが乱入し、法廷を瞬く間に占拠した。「ただちに死刑囚の死刑を執行せよ。ひとりの処刑につき、ひとりの人質を解放します」前代未聞の籠城事件が発生した。スズキタゴサクも巻き込んだ、警察とテロリストの戦いが再び始まる!
- 後半はタゴサクも本領発揮して存在感抜群。この先どうなっていくんだろうか?もう第3弾に期待しかない。
- めっちゃ面白かった!こりゃ、まだ続くねぇ。このレベルの小説を続けられる呉勝浩さんが凄い!
- まさかの続編。そしてまさかの結末。これはまだ続きそうな予感……?
8位「バーニング・ダンサー」阿津川辰海
コトダマと呼ばれる特殊能力による犯罪に対抗するため作られた警視庁公安部公安第五課。全身の血液が沸騰した死体と炭化するほど燃やされた死体が発見される。相棒を失った元捜査一課刑事が寄せ集めの新部署で関係を築きながら殺人犯を追う特殊設定ミステリー。
- 超能力バトルエンターテイメント。ジャンプ黄金期世代にはたまらない。限定条件の設定がよいですね。
- アクションシーンもしっかり。ミステリとしても上質で、最後は警察ものお約束のどんでん返しが「キター!」という感じ。
- 設定自体がかなり現実離れしてるから苦手な人はいるかも。それでも私はこの本に出会えてよかった。
9位「ぼくは化け物きみは怪物」白井智之
クラスメイト襲撃事件を捜査する小学校の名探偵。滅亡に瀕した人類に命運を託された“怪物”。郭町の連続毒殺事件に巻き込まれた遊女。異星生物のバラバラ死体を掘り起こした三人組。見世物小屋(フリークショー)の怪事件を予言した“天使の子”。凶暴な奇想に潜む、無垢な衝動があなたを突き刺す。白井智之は容赦しない。
10位「六色の蛹」櫻田智也
青年が主人公。6色の色をテーマに虫大好き人間の主人公が解く事件の鍵。人間の奥に潜む善意と本性。温かな余韻に包まれる連作短編集。
11位「乱歩殺人事件――「悪霊」ふたたび」芦辺 拓
1923年(大正12年)に「二銭銅貨」でデビューし、探偵小説という最先端の文学を日本の風土と言語空間に着地させた江戸川乱歩。満を持して1933年(昭和8年)に鳴り物入りで連載スタートした「悪霊」は、これまでの彼の作品と同様、傑作となるはずだった。
謎めいた犯罪記録の手紙を著者らしき人物が手に入れ、そこで語られるのは、美しき未亡人が不可思議な血痕をまとった凄惨な遺体となって蔵の2階で発見された密室殺人、現場で見つかった不可解な記号、怪しげな人物ばかりの降霊会の集い、そして新たに「又一人美しい人が死ぬ」という予告……。
期待満載で幕を開けたこの作品はしかし、連載3回ののち2度の休載を挟み、乱歩の「作者としての無力を告白」したお手上げ宣言で途絶した。
本書は、『大鞠家殺人事件』で日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞を受賞した芦辺拓が、乱歩がぶちあげた謎を全て解き明かすと同時に、なぜ「悪霊」が未完になったかをも構築する超弩級ミステリである。
12位「永劫館超連続殺人事件」南海 遊
「私の目を、最後まで見つめていて」
そう告げた『道連れの魔女』リリィがヒースクリフの瞳を見ながら絶命すると、二人は1日前に戻っていた。
母の危篤を知った没落貴族ブラッドベリ家の長男・ヒースクリフは、3年ぶりに生家・永劫館(えいごうかん)に急ぎ帰るが母の死に目には会えず、葬儀と遺言状の公開を取り仕切ることとなった。
葬儀の参加者は11名。ヒースクリフ、最愛の妹、叔父、従兄弟、執事長、料理人、メイド、牧師、母の親友、名探偵、そして魔女。
大嵐により陸の孤島(クローズド・サークル)と化した永劫館で起こる、最愛の妹の密室殺人と魔女の連続殺人。そして魔女の『死に戻り』で繰り返されるこの超連続殺人事件の謎と真犯人を、ヒースクリフは解き明かすことができるのかーー
『館』x『密室』x『タイムループ』の三重奏(トリプル)本格ミステリ。
13位「明智恭介の奔走」今村昌弘
信家でミステリ愛好会の会長明智恭介。その生前の活躍譚。葉村くんと共に謎に挑む新作シリーズ第1作。肌着引き裂き事件に試験問題漏洩事件。手紙ばら撒き事件など五つの謎に挑む日常系ミステリ。
- あの「明智先輩」が主役の短編集なんて! いろいろ考えますね〜。シリーズの持つインパクトこそありませんが、読みやすくて面白かったです。
- 明智恭介のまさかの復活を祈っているファンは多いはず。私もその一人。キョウスケ、カムバック!!
- 屍人荘での明智の運命を考えると切ないが、青春ミステリシリーズとして、もう少し続いても良いのではと感じた。もちろん本編シリーズの続編にも期待したい。
13位:[イッツ・ダ・ボム] – [井上 先斗]
「日本のバンクシー」と耳目を集めるグラフィティライター界の新鋭・ブラックロータス。公共物を破壊しないスマートな手法で鮮やかにメッセージを伝えるこの人物の正体、そして真の思惑とは。うだつの上がらぬウェブライターは衝撃の事実に辿り着く。(第一部 オン・ザ・ストリート)
20年近くストリートに立っているグラフィティライター・TEEL(テエル)。ある晩、HEDと名乗る青年と出会う。彼はイカしたステッカーを街中にボムっていた。馬が合った二人はともに夜の街に出るようになる。しかし、HEDは驚愕の〝宣戦布告〟をTEELに突き付ける。(第二部 イッツ・ダ・ボム)
13位「虚史のリズム」奥泉光
ら戻り地元で療養中、神島の長兄・棟巍正孝夫妻が何者かによって殺害される。正孝の長男・孝秋とその妻・倫子は行方知れず、三男の和春も足取りが掴めない。他の容疑者も浮かぶ中、神島の依頼を受けた石目は、初めての「事件」を追い始める。ほどなく、石目のもとに渋谷の愚連隊の頭から新たな依頼が舞い込む。東京裁判の行方をも動かしうる海軍の機密が記されている「K文書」の正体を探ってほしいと言われるが……。
13位「名探偵の有害性」桜庭一樹
かつて、名探偵の時代があった。ひとたび難事件が発生すれば、どこからともなく現れて、警察やマスコミの影響を受けることなく、論理的に謎を解いて去っていく正義の人、名探偵。そんな彼らは脚光を浴び、黄金時代を築き上げるに至ったが、平成中期以降は急速に忘れられていった。
……それから20年あまりの時が過ぎ、令和の世になった今、YouTubeの人気キャンネルで突如、名探偵の弾劾が開始された。その槍玉に挙げられたのは、名探偵四天王の一人、五狐焚風だ。「名探偵に人生を奪われた。私は五狐焚風を絶対に許さない」と語る謎の告発者は誰なのか? かつて名探偵の助手だった鳴宮夕暮——わたしは、かつての名探偵——風とともに、過去の推理を検証する旅に出る。
17位「Q」 呉勝浩
18位「了巷説百物語」京極 夏彦
狐獲りの名人で、裏の渡世として人の嘘を見抜く洞観屋も行う藤兵衛のもとに依頼がかかる。老中・水野忠邦の改革の邪魔をしようとする一派を見抜くことが、藤兵衛に与えられた仕事だった。藤兵衛は源助とお玉の三人で、化け物が関わる事件の現場に出かけていくが…。巷説百物語シリーズ堂堂の完結。
- これまでとは違い短編連作形式ではない。オールスターキャストで楽しい。
- 過去の巷説シリーズだけではなく、江戸怪談シリーズも出てくるなんて、再読したい本が増えちゃうじゃないですか。
- 四半世紀にわたって1作目から欠かさず追って来たシリーズが遂に。千代田のお城に巣食う鼠…その全貌がようやくなのは嬉しいはずなんだけど寂しさが勝るなあ。
19位「ぼくらは回収しない」真門浩平
数十年に一度の日食が起きた日、名門大学の学生寮で女子学生が亡くなった。密室状態の現場から自殺と考えられたが、小説家としても活躍し、才気溢れた彼女が死を選ぶだろうか?
三年間をともに過ごしながら、孤高の存在だった彼女と理解し合えないまま二度と会えなくなったことに思い至った寮生たちは、独自に事件を調べ始める――。第十九回ミステリーズ!新人賞受賞作「ルナティック・レトリーバー」を含む五編を収録。大胆なトリックと繊細な心理描写で注目を集め、新人賞二冠を達成した新鋭による、鮮烈な独立作品集。
20位「兎は薄氷に駆ける」 貴志祐介
資産家を殺害した疑いで逮捕された主人公。しかしそれは、過去に殺人の容疑で捕まった自らの父の冤罪を雪ぐためだった。主人公は本当に殺人犯なのか。それとも冤罪なのか。冤罪をテーマとした法廷ミステリー。
20位「黄土館の殺人」 阿津川辰海
地震による土砂崩れで滞在する荒土館に閉じ込められた田所と三谷の2人。そこで起きる惨劇。頼みの綱の葛城はいない。果たして2人は生き残れるか。館四重奏シリーズ第3作目
注目の作品分析
今年の1位に選ばれた『地雷グリコ』(青崎有吾)は、文化祭の場所取りを賭けたギャンブルトーナメントを描く斬新なストーリーが特徴です。主人公の女子高生、射守矢真兎(いざもりやまなと)が持つ心理戦と推理の妙技が読者を引き込み、緻密なプロットやユーモアも高く評価されています。推理小説としての革新性や、魅力的なキャラクター造形が多くの支持を得た理由といえます
2025年版の傾向
今年のランキングでは、以下のような傾向が見られました:
- バラエティ豊かな作品テーマの選出
2025年版では、ギャンブルや文化祭をテーマにした『地雷グリコ』など、日常の場面に独創的な要素を組み込んだ作品が注目され、従来のミステリーに新鮮さを加える傾向が見られました。 - 幅広いジャンルを網羅
ランキングは推理小説に限らず、サスペンスや社会派テーマを含む多様なジャンルを評価。これにより、幅広い読者層のニーズに応えられる選考基準が伺えます。 - キャラクター重視の作品が支持
読者が感情移入しやすいキャラクターや魅力的な探偵役を持つ作品が上位を占めており、特に主人公の魅力や物語への没入感が重視される傾向がありました。
読者の反応
- エンターテインメント性を重視する読者層の増加
ミステリーランキングには、謎解きの緻密さだけでなく、物語全体の面白さやユニークな設定が評価される作品が多くランクインしており、娯楽性を求める読者傾向が伺えます。 - キャラクター主導型作品の人気
主人公や探偵役など、強く印象に残るキャラクターが登場する作品が注目を集めており、読者が感情移入できる要素が重要視されています。 - ジャンルの多様化を受け入れる姿勢
ミステリーの枠を超えた要素(社会派テーマ、サスペンス、青春要素など)を持つ作品が支持され、読者の嗜好が幅広くなっていることが反映されています。
まとめ
2025年版「このミステリーがすごい!」は、日本のミステリー界の現状を反映する興味深いランキングとなりました。
日本全国のミステリーファンの正確な推定人数は公式には公開されていません。ただし、ミステリー小説や関連イベントの規模、販売データ、SNSでの関連トピックの人気度から考えると、数百万人規模のファン層がいると推測されます。
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