
終戦記念日を挟んで特集が編成されるこの時期は、関心のあるなしに関わらずすべての制作者に企画が求められます。
「過去の話だし」「下手に触るとやけどするし」なんて思っている制作者もいますが、この仕事を続ける以上は関わざるを得ません。平和の暮らしにどっぷり浸かって生きていると、戦争のイメージがリアルに感じられないからかもしれません。
戦争企画の初心者にとって比較的入りやすいの作業が体験者の話を聞くことです。体験者から辛い記憶を聞き出すのは簡単ではありません。
しかし高齢化が進む中、今のうちに語り残したいという人もいます。戦争で被害を受けた人にしろ、戦場で加害側に回った人にしろ、その事実をしっかり受け止めるのが放送の仕事だと思います。
Contents
歴史探偵少年の見た戦争
元文藝春秋編集長で近現代史に関する著述も多い作家の半藤一利さん。半藤さんには古代史の番組でお世話になったことがあります。
初めてお会いした時は、仕事柄気難しい人かなと思っていたのですが、終始笑顔で私たちの愚問にも答えていただく実直な人柄を感じました。
その時は、なぜ歴史とりわけ近現代史に関心を持たれるのか聞きそびれてしまいました。
焼け痕のちかい

しかし、出版されたこの本を見て、半藤さんが歴史に興味を持たれ、近現代史を語り続ける意味がわかりました。
半藤さんもあの戦争を体験した人だったのです。
番組を作る上で制作者に求められるのが「事実をして語らしめよ」という物証主義の姿勢です。今を生きる私が過去に戻ることは不可能です。できることは物証つまり証言を丁寧に拾うことしかありません。
半藤さんは、戦争の記憶を背負いながら、あの時何が起きたのか、なぜ起きたのかと世に問い続けてきた人です。
しかし、半藤さんのように見たことを語ることができる人は多くありません。私たちができるのは、半藤さんの話を道しるべに、それ以外の人々の話を掘り起こすことです。
数多くの経験を聞きながら、その中に見えてくる大きな流れを掴むこと。
番組制作者がめざすのは積み木を積み上げるような作業なのです。
週刊ダイヤモンド
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