いや〜みなさん!今年も来ましたよ、この季節!
夜の空気がちょっとだけ冷たくなって、「あ、秋だ」って気づく瞬間。そしてミステリーファンなら誰もがソワソワしちゃう――そう、「このミステリーがすごい!」ランキング予想の時間です!
今日は2024年10月〜2025年9月刊行作が対象になるうちの2025年5月刊行の海外ミステリーを、僕なりにドドンとレビューします。
作品のあらすじ?いやいや、それはもう公式に任せときましょう。
ここでは「読んで感じたこと、心を揺さぶられた部分」だけを全力でお伝えします。
- ミステリー好き必見!2026年版『 このミステリーがすごい! 』海外篇候補5月作感想
- 『雪山書店と愛書家殺し: クリスティ書店の事件簿』アン・クレア 2025年05月30日
- 『漂着物、または見捨てられたものたち』ルーシー・ウッド 2025年05月30日
- 『罠』キャサリン・R・ハワード 2025年05月28日
- 『揺れる輪郭』グレアム・マクレー・バーネット 2025年05月22日
- 『金庫破りの謎解き旅行』アシュリー・ウィーヴァー 2025年05月12日
- 『獄門橋』エイミー・チュア 2025年05月09日
- 『覚悟』フェリックス・フランシス 2025年05月08日
- 🎯まとめ:5月刊行作は豊作すぎる!
ミステリー好き必見!2026年版『 このミステリーがすごい! 』海外篇候補5月作感想
『雪山書店と愛書家殺し: クリスティ書店の事件簿』アン・クレア 2025年05月30日
美しい雪山の書店、ブック・シャレーを切り盛りするエリーと姉のメグは、いとこが始めた結婚仲介業のモニターをしぶしぶ引き受けることになった。本好きと本好きを、本の好みをもとに結びつける――そんな趣向の図書館デートの翌日、火かき棒で殴り殺されたメグのデート相手が発見される。事件前夜、被害者宅を訪ねたメグに疑いの目が注がれるなか、麓の劇場では第二の事件が起き……。手がかりは、現場から消えたクリスティの戯曲『ねずみとり』の脚本? 謎と雪が降り積もる書店を舞台に、人間関係の糸が絡み合う、ミステリシリーズ第二弾!
まずこれね!もう舞台設定からしてズルい。「雪山」「書店」って言葉だけで、読者の心をつかんでくるんですよ。
でも甘ったるいだけじゃない。事件が起きた瞬間、あの雪の静寂が一気に血の気を失って、白と赤のコントラストが脳裏に焼き付くんです。
個人的に痺れたのは、人間関係の“結びつき”と“断絶”を本の好みで描いちゃうところ。読書って孤独なはずなのに、ここではそれが人間関係を結ぶ糸になって、同時に切り裂くナイフにもなる。
読んでる途中で思わず「本って怖いな……」ってつぶやいちゃいました。
『漂着物、または見捨てられたものたち』ルーシー・ウッド 2025年05月30日
※あらすじは登録されていません
いや、このタイトルだけでゾクゾクきません?「漂着物」ってただのガラクタかもしれないけど、人によっては人生のかけらなんですよ。
英国の観光地コーンウォールを背景にして、不穏で緊張感の漂う世界観が繊細に描かれた短編集です。
どこか怪談っぽい不穏な不条理が描かれた「アンテナ」「帰郷」。読んでると、潮の匂いが漂ってくる。
ページをめくるたびに波の音が遠くでザザーンと響く。で、その波間に漂うのは“人の心に残った置き去りのもの”。正直、ラストに差しかかるあたりで「これ、自分の中にも漂着物あるな」って妙に内省的になっちゃいました。
雰囲気系に見えて、実は心にズシンと刺さるやつ。「癒やされたいのか、不安にさせたいのか、どっちなんだ!」って後を引く読み応えがあります。
『罠』キャサリン・R・ハワード 2025年05月28日
アイルランドの片田舎。ウィックロー山脈付近の人気のない道路を、彼女はひとり歩いていた。そこへ男の運転する車が近づいてきて声をかける……。約一年前の深夜、ダブリンのパブを出たまま行方不明となった妹ニッキの行方を捜し続ける女性、ルーシー。妹の件だけでなく、この数年、アイルランドでは不可解な失踪事件が続いていた。進展のない警察の捜査にしびれを切らしたルーシーは、危険をかえりみず独自に拉致犯を突き止めようと決意するのだった――。『ナッシング・マン』、『56日間』と、斬新な構成の妙でつねにサスペンス小説の新潮流を作り出してきたアイルランドの女性作家が、幾重にも広がる結末を用意して仕掛ける最先端サスペンス!
うわ〜来ました!これ、読んでる間ずっと心臓を握られてるような感覚。
事件に関わる複数の人物の目線で描いたスリラーなんですが、妹を探すルーシーが歩く夜道の描写がね、マジで怖い。街灯が少しずつ消えていくみたいに、安心が一個一個はぎ取られていくんですよ。
で、すごいのは単なる失踪事件じゃなくて、「自分の無力さ」とどう向き合うかってテーマがあるところ。
ルーシーが振り返るたびに「そこに誰かいる!」って錯覚する。読んでるこっちまで背後が気になって、深夜に読むのほんとオススメしません(笑)。
でも最後の結末……いや言えないけど、「え、ここでそう来る!?」って頭を抱えた叙述トリックです。
『揺れる輪郭』グレアム・マクレー・バーネット 2025年05月22日
60年代ロンドンで異端児と呼ばれた精神科医。彼の伝記を書く作家宛てに、ある女性の日記が届く。そこには、姉の自殺と精神科医の治療の関連を疑い、真相を明らかにすべく偽名で治療を受けた女が次第に我を失っていく様が描かれ──。ブッカー賞候補の実験小説
これはもう、実験小説の真骨頂!
日記、伝記、治療記録――現実と虚構の境界線が溶けて、読みながら自分まで“揺れて”くるんですよ。
印象的だったのは、登場人物の語りがどんどん信じられなくなる瞬間。最初は「この人、ちゃんと記録してるんだな」って思ってたのに、ページを追ううちに「いや、これ本当にあったこと?」って疑念がむくむく。
しかも背景は60年代のロンドン。音楽も文化も爆発してた時代の影で、精神の自由と狂気がせめぎ合ってる。
ラストに日記を閉じたあと、頭の中で「信じるとは何か?」って問いがぐるぐる回って止まらなくなりました。
『金庫破りの謎解き旅行』アシュリー・ウィーヴァー 2025年05月12日
金庫破りのエリーは、陸軍のラムゼイ少佐から、国家のための極秘任務として北部のサンダーランドまで旅をするように指示される。翌日現地に到着したエリーは、何者かに背後からぶつかられてトラックに轢かれそうに。親切な男性に助けられるが、下宿屋に入った直後、その男性が前の道路で倒れて死んでしまう。この不審な死は偶然? 第二次大戦下のイギリスを舞台に、凄腕の女性金庫破りと堅物の青年少佐の謎解きを描く人気シリーズ最新刊!
これ、超クラシカルな香りがするのに、読んでみるとめっちゃエンタメ。
第二次世界大戦下っていう重たい時代背景のなかで、金庫破りのエリーと軍人ラムゼイの掛け合いが軽妙で楽しいんです。
「お前、金庫破りって言うけど大丈夫か?」みたいなラムゼイのツッコミに、「はいはい、職人芸ですから!」って返すエリー。もう会話劇を読んでるだけで笑っちゃう。
でもね、死がすぐ隣にある状況だからこそ、そのユーモアが逆に切ない。ラスト近くの“鍵を開けるシーン”は、本当に胸を打たれました。「開いた!」って喜びと「でも失ったものもある」って苦さが同居して、ページを閉じられなかったです。
『獄門橋』エイミー・チュア 2025年05月09日
1944年、カリフォルニア。刑事サリバンは、大統領候補ウォルターが暗殺された事件を追いかけていた。やがて、同じホテルで10年前に少女が不審な死を遂げていたと知る。サリバンは、政治的圧力を受けながらも名家の影に隠された衝撃の真相を突き止めるが……。
読んでて一番ゾワッとしたのが、名家の影に潜む「権力の圧力」。
事件を追う刑事サリバンが、調べれば調べるほど闇に絡め取られていくんですよ。
個人的に忘れられないのは、ホテルの廊下を歩くシーン。
ただ歩いてるだけなのに、絨毯に染み付いた“過去の出来事”が足に絡みついてくる感じがある。10年前の少女の死と、いま目の前で起きた暗殺が重なり合って、読者まで「逃げ場がない」と思わされる。
政治スリラーって時に乾きがちだけど、これは人間の欲望と罪悪感が生々しくて、最後の真相は読んだあともしばらく呼吸が浅くなりました。
『覚悟』フェリックス・フランシス 2025年05月08日
落馬事故で左手を失った元騎手シッド・ハレー。その不屈の意志で競馬界最高の調査員として名を馳せた彼は、6年前に命がけの仕事から引退し、現在は妻子とともに平穏な生活を送っていた。 だが競馬界の重鎮スチュアート卿から不正の疑惑のあるレースが頻発しているという相談を受ける。調査依頼を固辞したハレーだったが、翌朝、卿は変死を遂げた。自分は依頼を断るべきではなかったのか――? スチュワート卿の遺志を継ぎ、ハレーは卑劣な敵のひそむ闇に敢然と踏む込んでゆく。だが調査を阻止しようとする敵の魔手は彼の身辺に及ぶ……。名作『大穴』『利腕』『敵手』『再起』に登場した名キャラクター、シッド・ハレー登場。 英国スリラーを代表する伝説の名作、〈競馬シリーズ〉。日本でも著名人や作家はじめ多くの読者に愛されたディック・フランシスの名シリーズが、長らく執筆の協力を務めてきたフェリックス・フランシスの手でよみがえる。〈新・競馬シリーズ〉、ここに始動。
いや〜これ、古き良き英国スリラーの“王道復活”ですよ!
元騎手シッド・ハレーが再び戻ってくる瞬間、ページのこちら側で思わず「おかえり!!」って叫びました。
すごいのはね、ヒーローの復活劇なのに、“覚悟”っていうタイトル通りめちゃくちゃ重い選択が描かれてること。家族との穏やかな日々と、かつての自分を取り戻す衝動。その狭間で揺れるシッドの姿が、ただのスリル以上に胸を打つんです。
特に、敵の魔手が家族に及ぶシーンは鳥肌ものでした。「やめろ!そこだけは触るな!」って叫びながら読んでましたから。
競馬シリーズを追ってきた人にはもちろん、新規でもガツンとハートに刺さる一冊。
🎯まとめ:5月刊行作は豊作すぎる!
いや〜5月組、全員クセ強すぎ!(笑)
でもそれぞれが違う角度から“人間の弱さと強さ”を描いてて、どれがランキング入りしてもおかしくない。
雪山で凍えるか、潮騒で心をさらわれるか、アイルランドの夜道で震えるか……どれも「ミステリーの快楽」を全力で味わえるラインナップでした。
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。2026年版『 このミステリーがすごい! 』海外篇候補5月を書きます。※本ページにはPRが含まれます