本の雑誌 が選ぶ現代文学のベスト10

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 本の雑誌 が選ぶ現代文学のベスト10 を書きます。※本ページにはPRが含まれます

2023年11月から2024年10月までに発行された新刊本から、本の雑誌が年間ベストという「王者」を選ぶベスト10。

Contents
  1. 本の雑誌 が選ぶ現代文学のベスト10

本の雑誌 が選ぶ現代文学のベスト10

第一位『恐るべき緑』ベンハミン・ラバトゥッツ (著), 松本 健二 (翻訳)

人類と自然界の「過剰さ」への傾向に関する考察世界33か国で刊行、オランダ生まれのチリの新鋭による、科学史に着想を得た斬新なフィクション。
・プルシアン・ブルー
・シュヴァルツシルトの特異点
・核心中の核心
・私たちが世界を理解しなくなったとき
・エピローグ 夜の庭師

第二位『東京都同情塔』九段理江

ザハの国立競技場が完成し、寛容論が浸透したもう一つの日本で、新しい刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることに。犯罪者に寛容になれない建築家・牧名沙羅は、仕事と信条の乖離に苦悩しながらパワフルに未来を追求する。ゆるふわな言葉と、実のない正義の関係を豊かなフロウで暴く、生成AI時代の預言の書。

第三位『死んでから俺にはいろんなことがあった』リカルド・アドルフォ (著), 木下眞穂 (翻訳)

俺はただ家に帰りたいだけなのに、それがそんなにおかしいか?
郵便配達をしていた俺は故郷の「くに」から逃げてきた。妻のカルラと幼い息子とともに「島」で不法滞在している。買い物をした帰りに乗っていた地下鉄が故障で止まってしまい、右も左もわからない場所で降ろされてしまった一家。なんとか家にたどり着こうとあれこれ画策するが、やることなすことすべてが裏目に出て——。
周囲から存在を認められず、無視され続ける移民の親子は、果たしてどうなるのか?

第四位『ノイエ・ハイマート』池澤夏樹

「新しい故郷」を求めて「難民」になる――。そんなに遠い世界の話ではないのです。
戦禍や迫害を逃れ、住み慣れた家、懐かしい故郷を離れて、難民となった人々。日本とシリア、二人のビデオ・ジャーナリストの物語を軸に、クロアチアの老女、満洲からの引揚者、トルコの海岸に流れ着いたクルド系シリア人の小さな男の子など、さまざまな難民たちの姿を多様な形式の20章で描きだす。今どうしても書かざるを得なかった作品集。

第五位『別れを告げない』ハン・ガン

作家キョンハは木工作業中大怪我をした友人のインソンから残してきた鳥の世話を頼まれ済州島へ向かう。吹雪の中バスを乗り継ぎようやくインソンの工房に入るがインコのアマはすでに息絶えていた。丁寧に木の下に葬る。戻った工房に死んだはずの鳥がいたり病院にいるはずのインソンが現れたりする。生死の境に見た幻のような中でインソンから語られるのは済州4・3事件での父や母、おじやおば、虐殺を受けた大勢の人たちの物語だった。

第六位『南光』朱 和之

日本統治時代の台湾で客家の商家の元に生まれ、内地留学先の法政大学でライカと出会ったことで写真家の道を歩み始めた鄧騰煇(鄧南光、1908–1971)。彼のライカは、東京のモダンガールや、戦争から戦後で大きく変わりゆく台湾の近代を写し続ける……。
歴史小説の名手が、実在の写真家が残した写真をもとに卓越した想像力で、日本統治時代や戦後の動乱、台湾写真史の重要人物との交流などを鮮やかに描き出す。

第七位『スイマーズ』ジュリー・オオツカ

公営地下プールに集まるスイマーズ、地上では腰痛、扁平足、潰えた夢、傷心…認知症。「プールではたいていの場合、悩み事を地上に残しておける。」最初の章ではプールに集まる様々な人が描かれる。それぞれの内的解放や独特なルールが続き、次第に不穏な流れが散文のように重なる。後半は認知症になったアリスの記憶について娘目線で仕分けられ、施設への入所から疎遠だった娘とアリスの日々へと移っていく。

第八位『私の小説』町屋 良平

作家・町屋良平が、私の文体·労働·推敲·批評·大江について語る、私小説なのか擬似小説なのか、純文学なのか不純文学なのか。イマジナリーに慰めながら書き上げる、この小説を「ガチ」に熟読すべきなのか、「エンジョイ」で流し読むべきなのか。やっぱりその中間が正解なのか。文学の枠をぶっ壊す檄文

第九位『大使とその妻 上下』水村 美苗

大使夫妻は、なぜ軽井沢から姿を消したのか。12年ぶり、待望の新作長篇小説。
世界がパンデミックに覆われた2020年、翻訳者のケヴィンは、軽井沢追分の小さな山荘から、人けのない隣家を見やっていた。京都の宮大工の手になるその日本家屋は、親しい隣人だった元外交官夫妻の住まいだった。しかし前年、二人は行方も告げずに姿を消してしまっていた。能を舞い、嫋やかに着物を着こなす、古風で典雅な夫人・貴子。夫妻から聞かされた彼女の数奇な半生を、ケヴィンは、日本語で書き残そうと決意する。失われた「日本」への切ない思慕が溢れる傑作長篇小説。

第十位『続きと始まり』柴崎 友香

あれから何年経っただろう。あれからって、いつから? どのできごとから?日本を襲った二つの大震災。未知の病原体の出現。誰にも同じように流れたはずの、あの月日──。別々の場所で暮らす男女三人の日常を描き、蓄積した時間を見つめる、叙事的長編小説。