こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。
番組作りの仕事は忙しかったけれど、ほぼ強制的に自分が知らない世界に飛び込むことで有益な情報に触れることができました。
達人たちから学んだのは、その道を究めた人ほどわかりやすい言葉をつかっていることでした。
その経験を語っていきたいと思います。
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人生を生き抜くための強いことばとは
仕事をはじめたばかりの頃、テレビは中学一年生でもわかるように作れと言われました。
テレビを見るのはエライ人ばかりじゃないというわけです。制作者の視点と力量を問うような一言に、この先どう自分をアップグレードしていくか課題を突きつけられました。
その考え方を貫いたのが池上彰さんです。池上さんが手がけた「週刊こどもニュース」は、初めて見た人でも内容が理解できるように、難しい言葉はやさしい言葉に言い換えるなど作り手の精緻な仕掛けがちりばめられています。
結果、番組の視聴者は子どもだけでなく、年配の人たちの人気を集めることになりました。理由は新聞を見ても内容について行けない大人たちのガイドとしても評価されたのです。
わかりやすい説明をするために必用なのは、ものごとをなるべく平易なことばに置き換えてみることです。シンプルな表現をめざせばめざすほど、作る側はものごとの本質をしっかり理解することが求められます。
わかったつもりでいても、深いところまで理解しないと相手を説得することはできません。伝える側も学ぶ努力が欠かせないのです。
シンプルなことばであるほど、中身が理解しやすくなり、結果として心の中に強く刺さるのです。
生きるための知恵を五十個のルールとしてまとめた児童書が好評と聞き書店に向かいました。
メシが食える大人になる! よのなかルールブック
これから世の中に出ていく子どもたち向けに送る50の言葉が詰まった本です。ページをめくるとわかりやすい表現が並んでいます。
- いいことを言うよりも、よい行動をとる。
- 話を聞くときは、ことばではなく相手の心にこそ耳をすます。
- すぐに「きらい」「苦手」と言って自分の世界をせばめない。
- 「一生懸命」をバカにする人にはふりまわされない。
- 合わない人がいるのは「よのなかの当たり前」だと知る。
#メシが食える大人になる!よのなかルールブック#高濱正伸#花まる学習会#ルールは50#絵がかわいい し#文もいい pic.twitter.com/KEavfKuT6u
— happy129 (@happy1291) 2019年1月29日
刊行から四カ月少しで七万部超えは、児童書としては異例の速度なのだそうです。
読後感の評価が高いのは、子どもを相手にしているようで、大人の心にも鋭く刺さる「まっすぐな生き方」がシンプルに提示されていることです。
「編集する上で気をつけたのは、物事の上辺をなぞるような言葉を使わず、説教くさくない本にすることでした。子供たちに綺麗事ではない、本当に大事なことが書いてあると感じてほしかったんです」(編集担当の小菅由美子さん)
週刊文春2019.06.20文春図書館
私のこころを揺さぶったのは「 どうしてもツラいときは、逃げる 」でした。番組で取材した福祉関係の人たちに、「がんばれと言われるのが一番辛い」と言われたことがあります。
「がんばらなくてもいい」といわれた方がよほど励まされるといいます。人の心に刺さり、気づきを与える言葉とは、子どもでもわかる言葉なのだと思います。
読むだけではなく実践しよう
こうした表現を自分のものにするためには読んだことを実際にやってみることです。
体を使って行動したり、ブログなどで記事を書いたりすることです。自分で考え、考えたことを自分の力でアウトプットすることが大切です。
知らずにできない事と、知っててやらない。またはやろうとしても出来ていない事には、大きな差があると思います。
最初のうちはできなくても、毎日継続すること。わかりやすく表現することは意外に難しく結構辛い作業です。しかし、続けていくうちに書くことになれてきて、書いた記事を読み直すと「自分もけっこういいこと言っている」という瞬間がきっとやって来ます。
そんな気持ちに出会えると、その気持ちが継続のエネルギーに変わります。
自分の中に潜んでいたサイクルを見つけ出し、磨くことこそが人生を強く生きていくための秘訣です。