今回紹介するのは、水生大海さんによる短編集 『その噓を、なかったことには』 です。嘘をテーマにした5つの短編が詰まったこの本、ただのミステリーじゃありません。ゾワっとする恐怖や皮肉たっぷりのユーモアが組み合わさった、まさに読後感のクセがすごい一冊です!
嘘について深く考えさせられつつも、「あ、これ絶対読んでみたい!」と思わせる内容になっていますので、ぜひ最後までお付き合いください!
『 その噓を、なかったことには 』レビュー:人間の嘘と本性を暴く5つの短編集
🤥 嘘がテーマの5つの短編
この短編集、5つの作品すべてが「嘘」を軸に展開されます。嘘と聞いて、あなたはどんなものを思い浮かべますか?
小さな嘘?大きな嘘?それとも悪意ある嘘?どれもなかったことにできればいいのに……でも、この短編集はそんな甘いものではありません。むしろ、嘘がどんどん大きく膨らみ、ついには人間関係や人生を揺るがすまでの展開を描いています。
🏡 印象的な短編「家族になろう」
個人的に最も印象的だったのは、短編の一つ「家族になろう」。
主人公は性格が良く、誰からも愛されるような好青年。でも、彼の結婚には義父が猛反対。なぜか?その理由は物語が進むにつれて徐々に明らかになります。
さらに、義母が亡くなり、遺品整理をしているときに「予想の斜め上を行く真実」が明かされます。この展開が、「あ、やられた!」という感じで、ゾクッとさせられるんですよね。
家族の絆や信頼といったテーマの裏に隠された嘘。読み終えた後、「もし自分がこの立場だったらどうする?」と考えずにはいられません。
🔄 現代風のモチーフが魅力的
この短編集が特に面白いのは、現代的なモチーフが取り入れられていること。
たとえば、以下のような題材が登場します:
- 推し活
- ネットリンチ
- 学校内のトラブル
どれも私たちが日常的に耳にするテーマばかり。だからこそ、「もしかしたら自分にも起こりうるかも?」とリアルに感じられるんですよね。特にSNSやインターネットが絡む話は、現代の社会問題を鋭く描いていて、どこか痛々しさも感じます。
😏 コミカルで皮肉たっぷりの作風
水生大海さんの文章には、絶妙な皮肉とコミカルさが含まれています。どの短編も、最初は軽いタッチで進むんですが、後半になると急にヒリヒリするような展開に。
読んでいて思わず苦笑いしてしまう場面も多々あります。「あ、こういうことあるよな……」と共感しつつも、「いやいや、ここまでいくか?」というブラックジョークのようなオチが待っているんです。
🚪 「嘘」の怖さと魅力
嘘は誰にでもついた経験があるもの。でも、この本が教えてくれるのは、「嘘は小さくても、それが積み重なるとどうなるか」ということです。
たとえば、「ちょっとした見栄」から始まった嘘が、次第に制御不能になり、人間関係を壊してしまう。あるいは、誰かを守るための嘘が、逆に最悪の結末を招いてしまう。この短編集には、そんな「嘘の怖さ」が存分に描かれています。
でも同時に、嘘をつくことで誰かを救ったり、笑い話に変えるようなポジティブな側面も少しだけ垣間見えます。このバランスが絶妙なんですよね。
✍️ まとめ
『その噓を、なかったことには』 は、短編ならではのスピーディーな展開と、嘘がもたらす予想外の結末が楽しめる一冊です。ゾワっとする緊張感を味わいたい方や、ブラックユーモアが好きな方には特におすすめ。
読みやすい文体と、スキマ時間にサクッと読める長さもポイントです。「嘘」について深く考えさせられるだけでなく、読後には思わず「こんな展開、考えもしなかった!」と感心してしまうはず。
ぜひ、次の読書リストに加えてみてください!
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 その噓を、なかったことには を書きます。※本ページにはPRが含まれます