「メモの魔力」の魅力に触れる 前田裕二X箕輪厚介

フルタニ
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。

先日、下記のツイートをしたところ瞬く間に3万件を超えるインプレッションをいただきました。

反響も多くて1ツイート/数百件の私にとってこれだけ注目されたことはなく、正直ビビりました。

熱量がすごい。これはライブだ

きっかけとなったのは、2月9日青山ブックセンターで開催された前田裕二さんのトークショーです。

聞き手山下店長(左) 前田裕二さん(右)

前田さんは「メモの魔力」の著者でSHOWROOMの社長です。メモがわりに前田さんの発言をツイートしたところ。それが多くの方に響いたのではないかと思います。

このイベントは、「メモの魔力」出版を記念して企画されたものです。イベント当日の時点で19万部近くの売れ行きです。入場券もあっという間に完売。当日の会場も二十代前後の若い人たちであふれていました。記念というよりも祝勝会に近い盛り上がりを感じました。

会場の熱気はSNSに発信されている通りです。私なりに感じた強烈な印象をまとめてみました。

謙虚なトップランナー 事実と抽象の説得力

登壇した前田さんの第一印象は、ビジュアル系バンドのスター。スラリとした長身。謙虚な話し振りで、トークの中でも出ていましたが、「ゴールデンボンバー」のメンバーのようなオーラが漂います。

トークショーは青山ブックセンター山下店長が聞き役となって進行。後半は来場者の質問に答えるという内容です。

驚いたのは前田さんの反応の速さと的確さです。普通トークショーは出演者の考え方を聞かせてもらうような内容が多いのですが、前田さんの場合は、そこに具体性が加わるのです。「なになにによれば」「誰々さんに会って聞い話によれば」と、必ず前田さんの経験した事実がきっかけとなって話が展開します。

具体的な事実に基づいて語るのはジャーナリズムの基本ですが、まさに教科書を開いているかのような語り口は、前田さんの引き出しの広さと深さを感じさせられました。

  • キュレーターに価値が出る時代
  • 志を掲げる経営者に人は集まる
  • 抽象は記憶に残らない
  • 需要と供給の境目を不明瞭にすることがヒットの秘訣
  • インスタグラムは敵を作らない。ツイッターはアンチが現れる

明確なイメージとシャープな言い回しが聞き手の好奇心に刺さります。

前田さんの話に度々登場するキーワードが「具体と抽象」です。具体とは、日々私たちが目にする出来事や情報。抽象とは、具体に触れた自分自身が感じた解釈であり、納得ではないかと思いますが、それが血肉になって前田さんの体を支えているような印象を受けました。

次に感じたのは、謙虚さです。知識があり物語る力をもち、企業経営者としての能力や財力があると、人は得てして傲慢になりがちです。

会場の質問に答える前田さんをみていて感じたのは、受け答えの真摯さでした。質問の内容を受け止め、自分の体験を探し出して、その体験を引用しながら答えるという姿勢です。そして結論はポジティブな回答。

前田さんは、西野亮廣さんを引用しながら、「(ヒットの秘密は)供給と需要の関係を不明瞭にすること」と語っていました。

これは今の時代、特権的な位置に立っていただけではダメで、スターと観客の境目を不明確にすることで観客とスターの距離感をなくすことが肝心という考え方です。

不遇な家庭環境から始まり、路上バンドという日々のしのぎをバネにビジネスを展開してきた経歴を見ると、ギラギラした人を思い浮かべてしまいがちです。しかし、その思い込みを裏切るような個性が、明日を夢見る多くの若い人たちの心を鷲掴みしている意味がわかりました。

ツイッターのインプレッション三万超える 箕輪厚介という集合体

ABC入り口の新刊平台

トークショーを聞きに行った目的は、今をときめく著者の人柄を直に触れることだけではありません。「メモの魔力」の前作「人生の勝算」の編集者としていられる箕輪厚介さんの存在を確かめたかったからです。

進行役の山下店長が触れていたように、箕輪厚介さんが編集に関わった本はヒットを連発しています。青山ブックセンターでもトークショーの進行をかなりいい加減な姿勢で関わったようで、呆れられながらも頼れる存在となっています。

西野亮廣さんの「新世界」、明石ガクトさんの「動画2.0」、本人の「死ぬこと以外かすり傷」など、扱うテーマは今を生きる若い世代の心を引きつけてやみません。

その存在をどう評価しているのか聞きたかったのです。

普通、著者が編集者のことを語ることはありませんが、前田さんの話では幸運にもこんな言葉を聞くことができました。それが「箕輪厚介さんは集合体。周りの人たちの支えがあって成立している。(リーダー役は)自分のやるべきことを見極めることが大切」という言葉でした。

すかさずTwitterで発信したところ、多くの人のアンテナに触れたのです。

評価いしてただいた発信者のプロフィールを見て気づいたのは、皆さんの年齢層が若いこと。そして自己表現にポジティブな人の多いことでした。

しばらくして箕輪厚介さんと思われる方からの評価もいただきました。

私としてはこれだけで十分。今をときめくトップランナーの素顔がわかり、それを支える人たちの物の見方や考え方に触れられたのです。

私のような年配者は、今の日本を支える若いつながりに目を背けがちです。当然、ネット上にあるサロンの存在にも気がつきません。気が付いたとしても色眼鏡で見がちです。なぜなら輪に入れないからです。

ベストセラー編集者には、その活動を支える様々な人がいることがわかりました。映像編集を目指す人もいれば、起業を夢見て参加する人、地方活性化の志を持つ人と様々です。ある女性はこのトークイベントの板書を担当をしていました。板書という仕事は、あとで述べますが画期的です。

3万を超える反響のインパクト以上に、リアルな人の手触りが見えてきたことが私にとっては新鮮であり、感動的な出会いでした。

トーク内容のライブ板書とその舞台裏 本が売れない時代の処方箋

トークも終盤に差し掛かったとき、壇上の前田裕二さんは突然、舞台上手を振り向き驚きの声をあげました。上手にはホワイトボードがあり、ボードに貼り付けられた模造紙にひたすらトークの内容を板書する女性の姿があったのです。

調べると、この女性は守隨佑果しゅずいゆかさん。箕輪編集室を支える人材であることがわかりました。後で知ったのですがこの仕事「グラフィックレコーダー」というのだそうです。仕事というものは熱意で切り開くものなのですね

イベントの撮影を手掛けたのは元ゼネコン社員だったダイヤ監督。ジンバル付きのミラーレスで撮っていたので仕上がりの安定度は私が保証します。

トークの内容を心に目ようと思ったらメモを取るしかありません。そのことに着目したサービスです。多分トークイベントの参加者の誰もが感じていたであろうニーズをうまくすくい上げた試みです。

一のサービスを百にするより、ゼロから一を生み出すことの方が難しいとよく聞きます。必要がサービスを生み出す土壌がそこにあることがわかりました。

広く知られているように出版という業態は急坂を転げ落ちるように右肩下がりを続けています。書店も引きずられるように売り上げを落としています。青山ブックセンターも六本木店を失いました。そんな環境にありながら再販制度に守られた書店の多くは次の手を打とうとしません。

トークイベントの内容を即興で板書にしてみるという企画は光ります。イベント参加者の多くは、メモがわりに板書を写メして拡散していました。これは参加者にとって価値ある余禄です。

路上ライブの経験を持つ前田さんは、その価値に当然気づいていたのでしょうニコニコしていました。箕輪編集室は本の編集という枠を超えて何かやってくれそうな気がします。

まとめ

人気のコミック「ワンピース」の主人公は、海賊王になるという志を掲げています。そして当面の目標として宝の果実を探しに旅をします。その志に共鳴して個性的なツワモノ達が集まり、適度な距離を保ちながら自己実現に励む物語です。

マンガのような世界が現実にあるのならば、未来が語れます。今日のトークイベントに参加して、それはあながち夢ではないような気がしました。

ついに10刷

「メモの魔力」は刷りを重ねるたびにちょっとした仕掛けが施されています。その全貌がこのツイートで明らかにされました。