【選書】ミステリーの収穫 池上冬樹 が選んだ4冊

フルタニ

こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。 池上冬樹 を書きます。※本ページにはPRが含まれます

その年のミステリー作品を競うランキングイベントの季節が近づいてきました。膨大な作品が出版される中、読みたい本を探すのも一苦労ですよね。何を選んでいいか迷ったときには、優れた読み手がイチオシする作品を押さえておくべきでしょう。

海外ミステリーを専門に評論する池上冬樹さんがおすすめする4冊が10月17日付朝日新聞に掲載されました。

池上冬樹さんが選んだ4冊

今回の推薦作の切り口は女性。ヒロインたちが直面する過酷な現実と、すさまじい人生を通じて現実世界のありようを描いた作品が並びます。

贖いのリミット

建設現場で元警官の惨殺死体が発見された。現場は血の海。鑑識の結果、大量出血したのは被害者でなく現場から姿を消した女だと判明する。特別捜査官ウィルは車の側に残された銃が別居中の妻アンジーのものと知り動揺する。やがて事件の背後に恐るべき闇が浮かびあがり―「ウィル・トレント」シリーズ。

他社を攻撃することでしか自分を慰められない女にのすさまじい人生が切々ととらえられている秀作。

贖いのリミット
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【カリン・スローターから皆様へメッセージ】 『贖いのリミット』『開かれた瞳孔』著者カリン・スローターより 日本のみなさまへメッセージが届きました。 ご覧ください。  #stayhome #stayhomereadmore #カリンスローター #ビデオメッセージ #メッセージ #プリティーガールズ #ハンティング #サイレント #血のペナルティ #罪人のカルマ #彼女のかけら #ブラックアンドホワイト #贖いのリミット #開かれた瞳孔 #ミステリー #サスペンス #犯罪小説 #スリラー #ホラー #アメリカ文学 #海外文学 #翻訳小説 #積読 #ベストセラー 

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グッド・ドーター

アメリカ南部の小さな町で白人女性が殺され、容疑者の黒人青年を担当した弁護士の自宅が放火された。28年後、辛くも生き残り、父と同じ弁護士になった次女シャーロットは、後悔を抱えながらも前に進んでいた。だが地元中学校で起きた銃乱射事件が、封印した過去を呼び戻し…。映像化決定!MWA賞受賞作家、渾身のサイコサスペンス。

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果てしなき輝きの果てに

薬物蔓延で荒廃するケンジントンのパトロール警官ミッキーは線路脇でドラッグ中毒者の遺体が発見されたとの報せに現場へ赴く。売春の客引きや麻薬取引をする妹ケイシーかもしれない。ところが遺体は彼女ではなかった。ケイシーの姿も消えさらに似たような事件が相次ぐ。姉妹の絆と孤独を抉る、アメリカの今を映した新しい警察小説。

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念入りに殺された男

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愛する夫と二人の娘と幸せに暮らすアレックス。社交性不安障害を抱える彼女は人付き合いが苦手ではあるが、田舎町で細々とペンションを営んでいた。 ある日、そのペンションに大作家・ベリエがやってくる。周囲の人たちから逃れ執筆に集中するためという。 過去に作家を目指し、今も書き続けているアレックスと、それを応援する夫はベリエを歓迎するが、彼女の誕生日のサプライズパーティーの夜に、アレックスはベリエに襲われかけ、ベリエを殺してしまう。 正当防衛なのだし警察に、と考えた彼女だが、ふともしも正当防衛が認められなかったら?襲われた証拠は何もない。殺人罪で逮捕されたら?娘たちは、夫はどうなる?刑務所に入るなんて耐えられるわけがない。ならば、ベリエは別のどこかで別の誰かに殺されてもらおう。 そう考えたアレックスは家を出て別人になりすまし、ベリエが生きているように見せかけ、誰かを犯人に仕立て上げるべく画策する。彼女に待ち受ける運命は…? ミステリというより犯罪小説。 アレックスはベリエのアシスタントになりすまし、またベリエ本人にもなりすましてSNSに投稿したりメールやSMSに返事をしたり、小説の続きを書いたり。そしてベリエの周囲にいる妻や愛人やエージェント、友人から犯人に適した人物を見つけ出そうとする。 人付き合いが苦手で内向的なアレックスが、見た目を変えて全く違う人物になってあれこれと偽装するのがスリリングで面白い。そこに時々現れるアレックスの顔。 バレる要因の不用意な行為ややりすぎ感も出しつつ、冷静にそれをカバーするアレックスに目が離せません。 なかなか意外なエンディングを迎えるのも面白いし、なんとシリーズ化されるみたいで、犯罪小説の主人公がまた出てくるとか意外すぎる! ドキドキ感溢れる作品でした。 #念入りに殺された男 #エルザマルポ #sonautremort #elsamarpeau #ハヤカワポケットミステリ #早川書房 #読書 #読書記録 #ミステリー小説 #ミステリ好き #海外ミステリー #フランスミステリー

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小説家の夢破れた内気な女性アレックスはゴンクール賞作家のベリエに襲われ、抵抗したはずみに彼を殺してしまう。家族との生活を守るため、殺人を隠蔽しなければ……彼の近くにいる、罪を被せられそうな人物を見つけだし、ベリエに「正しく」死んでもらうために──。

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池上冬樹さん

文芸評論家、書評家。1955年山形市生まれ。山形県立山形中央高等学校、立教大学文学部日本文学科卒。マルタの鷹協会会員。ハードボイルドの翻訳から初めて、ミステリなどの書評家となり、『週刊文春』、『本の雑誌』、『ミステリマガジン』、「日本経済新聞」などではばひろく書評・批評をおこなう。

痛みを癒すのは痛みの記憶

なぜ過酷な現実や凄まじい人生を作家たちは描こうとするのでしょう。その答えは癒しにあると池上さんはいいます。

大震災で経験した人が多いだろうが、悲しみを癒すのは笑いでも激励でもなく、その人に寄り添う他社の悲しみの記憶だ。悲しみは悲しみの、痛みは痛みの記憶でしか癒されないという絶望的真実を見据えている。悲しく、辛く、どこまでも残酷であるけれど、だからこそ救われる。いつまでも読者の胸を揺さぶり続ける、世界で読まれているの用がわかるだろう。

物語としての面白さに加えて、深層を貫くように流れるものが見えてきたとき、本当に読みたかったものに出会える。そんなことをこの4冊は教えてくれる掃守れません。