
取材系の動画をつくるとき欠かせないのが取材です。取材とは人に会うこと。でもその方法には正解がありません。ネット時代だからこそ、身につけたいコミュニケーションスキルがわかる本。
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ネット時代の取材学

取材は人間観察
さながら「人たらし」のすすめとでも言える本なのかもしれません。ページをめくるとその人物を執拗に狙う言葉が綴られています。

取材を生業とする人にとっての教科書とも言える本があります。スタッズ・ターケル著の「仕事!」という分厚い本です。様々な仕事についている人を訪ね、仕事を始めた動機ややりがいなどを地面から何かを掘り起こすように綴っていったもので、読み進めるうちにその時代に生きている普通の人たちの息遣いが聞こえてくるような本です。
ニュースのように速報性を問われる分野では、いつ、どこで誰がという、いわゆる5W1Hの情報を素早く正確に集めることが求められます。
撮影や編集という時間を無視するわけに行かない動画制作の場合、取材とは出来事だけを伝えていたのでは尺が持ちません。尺を持たせ、視聴者にメッセージを伝えるためには出来事に関わった人間を掘り下げる必要があるのです。
著者は「一人の人に時間をかけてじっくり話を聞き、地の文は極力使わず、その人の声でインタビューを構成する」という行為を取材と言います。
取材対象に接近し、その人の警戒をくぐり抜けて「この人になら語れる」という関係を築くには相当な時間が必要です。助走期間を置くことで、質問は切れ味を増し、語られる言葉は深い意味を持ち始めるのです。
まとめ
著者は、この仕事は「ヒマな者勝ち」だとできる限り丁寧な準備をすることを勧め、「インタビューそのものを趣味のように味わってもいいのでは」と宣言しています。
一歩踏み込んで世界を見たい映像制作者には一読することをオススメしたい本です。