フルタニ
【順位】週刊文春2018 ミステリーベスト10
国内部門
1「沈黙のパレード」東野圭吾 著(文藝春秋)
突然行方不明になった町の人気娘が、数年後に遺体となって発見された。容疑者は、かつて草薙が担当した少女殺害事件で無罪となった男。だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。さらにその男が堂々と遺族たちの前に現れたことで、町全体を憎悪と義憤の空気が覆う。秋祭りのパレード当日、復讐劇はいかにして遂げられたのか。殺害方法は?アリバイトリックは?超難問に突き当たった草薙は、アメリカ帰りの湯川に助けを求める。
2「それまでの明日」原尞(早川書房)
渡辺探偵事務所の沢崎のもとに望月皓一と名乗る金融会社の支店長が現われ、赤坂の料亭の女将の身辺調査をしてくれという。沢崎が調べると女将は去年亡くなっていた。顔立ちの似た妹が跡を継いでいるというが、調査の対象は女将なのか、それとも妹か? しかし当の依頼人が忽然と姿を消し、沢崎はいつしか金融絡みの事件の渦中に。切れのいい文章と機知にとんだ会話。時代がどれだけ変わろうと、この男だけは変わらない。14年もの歳月をかけて遂に完成した、チャンドラーの『ロング・グッドバイ』に比肩する畢生の大作。
3「ベルリンは晴れているか」深緑野分(筑摩書房)
総統の自死、戦勝国による侵略、敗戦。何もかもが傷ついた街で少女と泥棒は何を見るのか。1945年7月。ナチス・ドイツが戦争に敗れ米ソ英仏の4カ国統治下におかれたベルリン。ソ連と西側諸国が対立しつつある状況下で、ドイツ人少女アウグステの恩人にあたる男が、ソ連領域で米国製の歯磨き粉に含まれた毒により不審な死を遂げる。米国の兵員食堂で働くアウグステは疑いの目を向けられつつ、彼の甥に訃報を伝えるべく旅出つ。しかしなぜか陽気な泥棒を道連れにする羽目になり―ふたりはそれぞれの思惑を胸に、荒廃した街を歩きはじめる。最注目作家が放つ圧倒的スケールの歴史ミステリ。
4「雪の階」奥泉 光(中央公論新社)
昭和十年、春。数えで二十歳、女子学習院に通う笹宮惟佐子は、遺体で見つかった親友・寿子の死の真相を追い始める。調査を頼まれた新米カメラマンの牧村千代子は、寿子の足取りを辿り、東北本線に乗り込んだ―。二人のヒロインの前に現れる、謎のドイツ人ピアニスト、革命を語る陸軍士官、裏世界の密偵。そして、疑惑に迫るたびに重なっていく不審な死。陰謀の中心はどこに?誰が寿子を殺めたのか?昭和十一年二月二十六日、銀世界の朝。惟佐子と千代子が目にした風景とは―。戦前昭和を舞台に描くミステリーロマン。
5「火のないところに煙は」芦沢央 著(新潮社)
「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」突然の依頼に、作家の「私」は、かつての凄惨な体験を振り返る。解けない謎、救えなかった友人、そこから逃げ出した自分。「私」は、事件を小説として発表することで情報を集めようとするが―。予測不可能な展開とどんでん返しの波状攻撃にあなたも必ず騙される。一気読み不可避、寝不足必至!!読み始めたら引き返せない、戦慄の暗黒ミステリ!
6「錆びた滑車」若竹七海 著(文藝春秋)
女探偵・葉村晶は尾行していた老女・石和梅子と青沼ミツエの喧嘩に巻き込まれる。ミツエの持つ古い木造アパートに移り住むことになった晶に、交通事故で重傷を負い、記憶を失ったミツエの孫ヒロトは、なぜ自分がその場所にいたのか調べてほしいと依頼する―。大人気、タフで不運な女探偵・葉村晶シリーズ。
若竹 七海 文藝春秋 2018-08-03
7「宝島」真藤順丈 著(講談社)
英雄を失った島に、新たな魂が立ち上がる。固い絆で結ばれた三人の幼馴染み、グスク、レイ、ヤマコ。生きるとは走ること、抗うこと、そして想い続けることだった。少年少女は警官になり、教師になり、テロリストになり―同じ夢に向かった。超弩級の才能が放つ、青春と革命の一大叙事詩!!
真藤 順丈 講談社 2018-06-21
8「碆霊の如き祀るもの」三津田信三 著(原書房)
断崖に閉ざされた海辺の村に古くから伝わる、海の怪と山の怪の話。その伝説をたどるように起こる連続殺人事件。どこかつじつまが合わないもどかしさのなかで、刀城言耶がたどり着いた「解釈」とは……。シリーズ書き下ろし最新作!
三津田信三 原書房 2018-06-28
9「凍てつく太陽」
昭和二十年、終戦間際の北海道を監視する特高警察、通称「北の特高」――。
彼らの前に現れた連続毒殺犯「スルク」とは何者か。陸軍がひた隠しにする「軍事機密」とは。
そして、真の「国賊」は誰なのか? かつてない「特高」警察小説!
葉真中 顕 幻冬舎 2018-08-23
10「凶犬の眼」柚月裕子 著(KADOKAWA)
所轄署から田舎の駐在所に異動となった日岡秀一は、穏やかな毎日に虚しさを感じていた。そんななか、懇意のヤクザから建設会社の社長だと紹介された男が、敵対する組長を暗殺して指名手配中の国光寛郎だと確信する。彼の身柄を拘束すれば、刑事として現場に戻れるかもしれない。日岡が目論むなか、国光は自分が手配犯であることを認め「もう少し時間がほしい」と直訴した。男気あふれる国光と接するにつれて、日岡のなかに思いもよらない考えが浮かんでいく……。
柚月裕子 KADOKAWA 2018-03-30
海外部門
1「カササギ殺人事件」上下 アンソニー・ホロヴィッツ 著(東京創元社)
1955年7月、サマセット州にあるパイ屋敷の家政婦の葬儀が、しめやかに執りおこなわれた。鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足を引っかけたのか、あるいは…。その死は、小さな村の人間関係に少しずつひびを入れていく。余命わずかな名探偵アティカス・ピュントの推理は―。アガサ・クリスティへの愛に満ちた完璧なるオマージュ・ミステリ!
アンソニー・ホロヴィッツ 東京創元社 2018-09-28
アンソニー・ホロヴィッツ 東京創元社 2018-09-28
2「そしてミランダを殺す」ピーター・スワンソン 著(東京創元社)
空港のバーで離陸までの時間をつぶしていたテッドは、見知らぬ美女リリーに出会う。彼は酔った勢いで、妻のミランダの浮気を知ったことを話し「妻を殺したい」と言ってしまう。リリーはミランダは殺されて当然だと断言し、協力を申し出る。だがふたりの殺人計画が具体化され決行の日が近づいたとき、予想外の事件が起こり……。男女4人のモノローグで、殺す者と殺される者、追う者と追われる者の策略と攻防を描く傑作ミステリ!
ピーター・スワンソン 東京創元社 2018-02-21
3「乗客ナンバー23の消失」セバスチャン フィツェック 著(文藝春秋)
乗客の失踪が相次ぐ大西洋横断客船“海のスルタン”号。消えた妻子の行方を追うべく乗船した敏腕捜査官の前に現れる謎、謎、謎。錯綜する謎を解かないかぎり、ニューヨーク到着まで逃げ場はない。無数の謎をちりばめて、ドイツ屈指のベストセラー作家が驀進させる閉鎖空間サスペンス。
セバスチャン フィツェック 文藝春秋 2018-03-28
4「IQ」ジョー イデ (早川書房)
ロサンゼルスに住む黒人青年アイゼイアは“IQ”と呼ばれる探偵だ。ある事情から大金が必要になった彼は腐れ縁の相棒の口利きで大物ラッパーから仕事を請け負うことに。だがそれは「謎の巨犬を使う殺し屋を探し出せ」という異様なものだった!奇妙な事件の謎を全力で追うIQ。そんな彼が探偵として生きる契機となった凄絶な過去とは―。新たなる“シャーロック・ホームズ”の誕生と活躍を描く、新人賞三冠受賞作!
ジョー イデ 早川書房 2018-06-19
5「監禁面接」ピエール ルメートル 著(文藝春秋)
監禁面接
〈就職先企業の重役会議を襲撃し、重役たちを監禁、尋問せよ〉
重役たちの危機管理能力と、採用候補者の力量の双方を同時に査定するというのだ。アランは企業人としての経験と、同じく人生どんづまりの仲間たちも総動員し、就職先企業の徹底調査を開始した。そしてその日がやってきた。テロリストを演じる役者たちと他の就職希望者とともに、アランは重役室を襲撃する!
だが、ここまでで物語はまだ3分の1。「そのまえ」「そのとき」「そのあと」の三部構成を操って名手はアランと読者を翻弄する。残酷描写を封印、ルメートルが知的たくらみと皮肉なブラック・ユーモアを満載して送るノンストップ再就職サスペンス!
ピエール ルメートル 文藝春秋 2018-08-30
6「元年春之祭」陸 秋槎 著(早川書房)
前漢時代の中国。かつて国の祭祀を担った名家、観一族は、春の祭儀を準備していた。その折、当主の妹が何者かに殺されてしまう。しかも現場に通じる道には人の目があったというのに、その犯人はどこかに消えてしまったのだ。古礼の見聞を深めるため観家に滞在していた豪族の娘、於陵葵は、その才気で解決に挑む。連続する事件と、四年前の前当主一家惨殺との関係は?漢籍から宗教学まで、あらゆる知識を駆使した推理合戦の果てに少女は悲劇の全貌を見出す―気鋭の中国人作家が読者に挑戦する華文本格ミステリ。
陸 秋槎 早川書房 2018-09-05
7「数字を一つ思い浮かべろ」ジョン ヴァードン 著(文藝春秋)
数字を一つ思い浮かべろ。その奇妙な封書にはそう記されていた。658という数字を思い浮かべた男が同封されていた封筒を開くと、そこにあった数字は「658」!数々の難事件を解決してきた退職刑事に持ち込まれた怪事は、手品めいた謎と奇怪な暗示に彩られた連続殺人に発展する。眩惑的な奇術趣味と謎解きの興趣あふれる華麗なミステリ。
ジョン ヴァードン 文藝春秋 2018-09-04
8「あやかしの裏通り (名探偵オーウェン・バーンズ) 」ポール アルテ 著(行舟文化)
ロンドンのどこかに、霧の中から不意に現れ、そしてまた忽然と消えてしまう「あやかしの裏通り」があるという。 そこでは時空が歪み、迷い込んだ者は過去や未来の幻影を目の当たりにし、時にそのまま裏通りに呑み込まれ、行方知らずとなる――単なる噂話ではない。その晩、オーウェン・バーンズのもとに駆け込んできた旧友の外交官ラルフ・ティアニーは、まさにたった今、自分は「あやかしの裏通り」から逃げ帰ってきたと主張したのだ! しかもラルフは、そこで「奇妙な殺人」を目撃したと言い……。謎が謎を呼ぶ怪事件に、名探偵オーウェンが挑む!
ポール アルテ 行舟文化 2018-09-10
9「許されざる者」レイフ・GW・ペーション 著(東京創元社)
国家犯罪捜査局の元凄腕長官ヨハンソン。脳梗塞で倒れ、命は助かったものの麻痺が残る。そんな彼に主治医が相談をもちかけた。牧師だった父が、懺悔で25年前の未解決事件の犯人について聞いていたというのだ。9歳の少女が暴行の上殺害された事件。だが、事件は時効になっていた。ラーシュは相棒だった元刑事らを手足に、事件を調べ直す。スウェーデンミステリの重鎮による、CWA賞インターナショナルダガー、ガラスの鍵賞等五冠に輝く究極の警察小説。
10「ブラック・スクリーム」ジェフリー ディーヴァー 著(文藝春秋)
ニューヨークで起こった誘拐事件の犯人、自称“作曲家”が国外に逃亡、名探偵ライムと刑事アメリア、介護士のトムの3人はあとを追ってナポリに渡り、現地の警察と共同で捜査を開始する―ほぼ全編がイタリアで展開する最新作は、シリーズのファンが「こうでなくちゃ」と快哉をさけぶ場面が満載。名探偵ライムが証拠とロジックで快刀乱麻の名推理を導き出せば、アメリアは凶行を阻止するために車を疾走させ、死地へと飛び込む。もちろん大規模ドンデン返しも待ち受けています。
文春図書館2017「ミステリーベスト10」
「屍人荘の殺人」今村昌弘 著(東京創元社)
「盤上の向日葵」柚月裕子 著(中央公論新社)
「ホワイトラビット」伊坂幸太郎 著(新潮社)
「狩人の悪夢」有栖川有栖 著( KADOKAWA)
有栖川 有栖 KADOKAWA 2017-01-28
「機龍警察 狼眼殺手」月村了衛 著(早川書房)
「教場0: 刑事指導官・風間公親」長岡弘樹 著(小学館)
「AX(アックス)」伊坂幸太郎 著(KADOKAWA)
伊坂 幸太郎 KADOKAWA 2017-07-28
「いまさら翼といわれても」米澤穂信 著(KADOKAWA)
米澤 穂信 KADOKAWA 2016-11-30
「この世の春 上下」
「かがみの孤城」辻村深月 著(ポプラ社)
「ミステリークロック」貴志祐介 著(KADOKAWA)
貴志 祐介 KADOKAWA 2017-10-20
索引
索引
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