人生を辿る旅をするミステリー「羊は安らかに草を食み」

フルタニ
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。

過去の断片が、まあさんを苦しめている。
それまで理性で抑えつけていたものが溢れ出してきているのだ。
彼女の心のつ・か・え・を取り除いてあげたい──

東京で知り合った三人の老女、
都築益恵(86歳)、持田アイ(80歳)、須田富士子(77歳)。
二十年来の仲良し三人組だったが、益恵が認知症になり、意思疎通が難しくなっていた。
ある日、アイと富士子は、益恵を最後の旅に連れ出す。
彼女がかつて住んだ土地を辿る旅。それは彼女の人生を遡る旅でもあった。
湖を見はるかす大津、天守閣を望む城下町松山、そして絶海の五島列島へ。

太平洋戦争末期、銃弾飛び交う満州を歩き通し、命からがら祖国に辿り着いた益恵は、
いかにして敗戦後の苛酷を生き延び、今日の平穏を得たのか。
日ごと記憶を失っていく益恵が、生涯隠しつづけてきた秘密とは?

やがてアイと富士子にも、それぞれ人生の転機が訪れ……。

旅の果て、益恵がこれまで見せたことのない感情を露わにした時、
老女たちの運命は急転する──。