この物語に、救いはあるのか「カミサマはそういない」

フルタニ
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。

直木賞と大藪賞の候補となった『戦場のコックたち』や『ベルリンは晴れているか』の重厚な戦争ミステリーで知られる作家、深緑野分さんの新作短編集です。
「カミサマはそうはいない」と感じさせるダークでシュールな短編集。
闇の中をのぞき込むような物語が六連発されます。

目を覚ましたら、なぜか無人の遊園地にいた。園内には僕をいじめた奴の死体が転がっている。
ここは死後の世界なのだろうか? そこへナイフを持ったピエロが現れ……(「潮風吹いて、ゴンドラ揺れる」)。
僕らはこの見張り塔から敵を撃つ。戦争が終わるまで。しかし、人員は減らされ、任務は過酷なものになっていく。
そしてある日、味方の民間人への狙撃命令が下され……(「見張り塔」)。
現代日本、近未来、異世界――様々な舞台で描かれる圧倒的絶望。この物語に、救いの「カミサマ」はいるのか。
見たくない、しかし目をそらせない、人間の本性をあぶり出すダークな短編集。

海面上昇で陸地がほとんど水没した世界で二人の青年が旅に出る「新しい音楽、海賊ラジオ」からは、
そうはいないはずの神様の存在が救いと希望という形で立ち現れてくるようにかんじられました。

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