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闇に這うもの

オカルトに興味を持つ若い怪奇作家ロバート・ブレイクは、移住したロードアイランド州プロビデンスでフェデラル・ヒルの廃教会堂で活動する星の智慧教派という宗教団体に強い関心を抱き廃教会堂に忍び込む。そこで1893年に姿を消した記者、エドウィン・M・リリブリッジ(Edwin M. Lillibridge)の骨を発見する。しかし廃教会堂を調べてから1週間後、ブレイクも何者かの恐怖を訴えながら怪死してしまう。
ラヴクラフトとは
米国の怪奇小説作家として知る人ぞ知る作家ハワード・フィリップス・ラヴクラフト。
ニューイングランド地方を主な舞台に,彫琢された文体と悪魔的雰囲気で怪奇現象を描く短編に佳作が多い作家です。生前は無名でしたが死後、数多くのゲームやアニメ、劇映画のモチーフとして使われるようになり教祖的な存在になりました。
本書はラヴクラフトの二大人気作を元に「魔犬」「異世界の色彩」で、ラヴクラフトの描き手として熱狂的に支持される気鋭の絵師・田辺剛が約100年前の怪作を写実的描写で甦らせた話題作です。最後の傑作と呼ばれる「闇に這う者」と、遠洋の悪夢を描きラストシーンが伝説となっている「ダゴン」の世界観を忠実にコミカライズしました。

『闇をさまようもの』(やみをさまようもの、The Haunter of the Dark)は、ハワード・フィリップ・ラヴクラフトの小説。今からおよそ100年前。1935年11月に執筆され、1936年12月のパルプ雑誌『ウィアード・テイルズ』に掲載されました。
コミカライズされたものを見て驚くのは、設定や展開が今私たちが目にする映画やゲームなどのコンテンツに通じていること。おどろおどろしい闇の中の存在や物語の展開。そのすべての原型がラヴクラフトの作品に重なって見えるのです。
それもそのはず。『闇をさまようもの』で主人公が手にした架空の魔道書「ネクロノミコン」は小説やゲーム、映画などに数多く引用されています。現代の恐怖モノの原点として人気を誇るクトゥルフ神話。その原型ともいうべき「ダゴン」怪奇小説の巨星が遺した最晩年の傑作は、怪奇系クリエイターの必読書と言えるかもしれません。
古い劇画調の、つまりおっさんくさい画ではなく、割と現代的な絵柄に好感。かつての弐瓶勉並の黒さ。ダイナミックな構図も印象的。
「窓に!窓に!」でおなじみの『ダゴン』と、悪魔のような怪物の登場する『闇に這う者』の二本。いずれも魔物の造形が凄く良い。ダゴンの目(?)のあたりの作りなんて、直視されればそりぁあ気が触れても仕方ないだろうって禍々しさ。