【選書】果樹栽培のスゴイ革命家「マル農の人」

マル農のひと
フルタニ
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。

自分の知らない世界を知るにはノンフィクションを手に取るのが早道です。比較的入りやすいのが食べ物を扱った作品群です。このジャンルは誰もが感心を持つ世界なので価値観のズレが起こりにくく、読者のレベルに会わせた発見があるからです。書評家・東えりかさんが奨める本をご紹介します。

Contents

マル農のひと

工夫すれば、肥料を一切使わなくても作物は元気に育つ。そのうち農薬も不要になる。 穀物もくだものも野菜もおいしくつくることができて、収量も増える。つまりこれは地球環境を守るとともに儲かる農業 への道である。

瀬戶内海に浮かぶ島の農協で仕事をしながら道法正徳さんがたどり着いた魔法のような農法ができるまで。ギュッと縛って砂利を撒く驚きの農法はどうやって確立されたのか。爆笑必至。パワーワード満載で描く、超パンクな「農のひとびと」ノンフィクション!!

広島のミカン農家に生まれ、農協のミカン栽培の技術指導員だった著者の農業指導法はこれまでの常識を覆す方法。先輩たちが教える剪定法や薬剤散布など、これまで当たり前だったやり方に著者は疑問を持ちました。「手抜きをしていいミカンを作る方法はないだろうか」たどり着いたのが独自の栽培方法でした。

しかし、従来のやり方になじんだ農家や組織から排除。今では「流しの農業技術作業員」として、日本や世界に無肥料・無農薬の農法を伝授するようになりました。

世の中には、著者のようにいままでのやり方に疑問を持つ農家山もたくさんいます。やがて彼の存在は知れ渡り、連帯の輪が生まれ始めました。

  • 自然栽培を研究する科学者 矢野美紀さん
  • 酪農から転身し、無肥料リンゴを模索する 松村暁生さん
  • 震災後の福島で、電力およびワインをつくる 山田純さん
  • ちょっといっぷく3 自然農法とか有機農業とか 兵庫・丹波に住まう農の達人 橋本慎司さん
  • 走り続ける公務員と水俣病のはなし 福田大作さん

後半は農家としては一癖ある人たちが続々登場。変な農のひとたちのはなしから、色とりどりの人生が見えてきます。

イラストレーターで文筆家の金井真紀さんの取材によるノンフィクション。

道法正徳さん

1953年広島県呉市豊浜町豊島生まれ。肥料・農薬を施さない安全でおいしい果樹・野菜づくりの提案、地球環境に重要な地下水を守る農業技術の普及に努めている。国内外で指導、講演を行う。株式会社グリーングラス代表。著書に川田健次名義で『高糖度連産のミカンづくり』(農山漁村文化協会)、監修した本に『道法スタイル 野菜の垂直仕立て栽培』(学研プラス)など。

まとめ

番組のネタ探しに困ったら、食べ物をテーマに人捜しをすると、意外な発見が見つかります。撮影に必要な人や物もイメージ出来る上、取材協力も取りやすいので駆け出しのころよくお世話になりました。

この本の発見
  • 農業には正解がないことがわかる
  • 作った人がわかる食べ物は食べたくなる
  • 知らない街に旅に出たくなる
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