
会社員時代は面倒な税金の計算は会社が代行してくれましたが、独立フリーになるとすべて自分でやらなくてはなりません。
若い人向けのしのぎ方は結構見つかりますが、年金収入などに頼らざるを得ないシニア向けの解説は少ないので困りますよね。
ただでさえややこしいのに、今年は特に複雑な所得金額調整控除が登場しました。いったいこれは何でしょう。まとめました。
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期間限定の緩和措置
年金をもらっている人は特に注意なのが今回登場した「所得金額調整控除(年末調整対象外)」です。
申請するとおおかたのシニアには10万円所得控除することができそうです。
令和2年から①給与所得控除の控除額が減った。②公的年金控除額も下げられた。つまり結果的に払う税金が増えたことに対する期間限定の緩和措置なんだとか。
もらえるものはきちんと申請しないと損です。さっそく具体例を見ていきましょう。
所得金額調整控除(年末調整対象外)を忘れるな
Aさん(65)は定年後、直接雇用スタッフとして週二日働き、給与所得を得ています。また、65歳になったので厚生年金の受給も始まりました。さらに企業年金と私的年金の受給を受けています。
給与所得を得ている人は会社が年末調整であらかじめ税金を引き去ります。令和2年分の年末調整から所得金額調整控除が適用されることになりました。

今年の年末調整を前に配られた説明書にあったのが年金受給者に対する案内です。
その年の給与所得控除後の、給与等の金額と、公的年金等にかかわり雑所得の金額がある給与所得者で、その合計額が10万円を超える者
給与所得と年金所得を有する者は所得金額調整控除(年末調整対象外)が受けられるようです。
つまりAさん(65)の場合はどうなのでしょう。
①給与等の金額、②公的年金等の金額、③雑所得
を確認します。
①は、直接雇用スタッフは勤務先と時給制で契約が結ばれ、年末になると源泉徴収票がもらえます。直接雇用のため記載されているのは給与所得と税金だけ。社会保険費や健康保険費は空欄です。
②は、国から支給される厚生年金に加え、会社から支給される企業年金、それに自分で積み立ててきた私的年金総額です。
③ブログやYouTubeなどの収入です。Aさんは投資も行っていますが、株などで得た収入は含めません。
①と②と③の収入から控除や必要経費を差し引いた残りが所得です。Aさんの場合はらくらく10万円を超えていることが確認できました。
では控除額はいくらになるのでしょうか。所得税法の特例である租税特別措置法(第41条の3の3 所得金額調整控除)が控除額を教えてくれます。
計算式は次の通りです。

- {給与所得控除後の給与等の金額(10万円超の場合は10万円)+公的年金等に係る雑所得の金額(10万円超の場合は10万円)}-10万円=控除額
早い話が(10万円+10万円)-10万円=10万円です。ただし年金には控除があるのでこの額を差っ引く必要があります。ちょっとわかりにくいですね。

自治体のサイトによると雑所得分の控除額は10万円に達しないケースがあるようです。
Aさんの場合はそもそも年末調整の対象者ではないので、確定申告で控除が受けられる対象であることがわかりました。
まとめ
自助努力が求められる時代になりました。自助努力とは自分で働いて収入を得ることと考えがちですが、払わなくて済む税金は払わずに生きていくことも含まれます。
人生、死ぬまで勉強の時代。のんびり老後というのは夢のまた夢のようです。