
資本主義社会を生きていくために私たちはどのような処世術を身に付けたらいいのでしょうか。
「非情で残酷な日本社会を生き抜くには、状況に応じて臨機応変に戦術を変えるられるよう、自身の付加価値を高めることが大事」
惜しまれて夭折した著者が著した本は、公開から10年以上たった今でも新鮮な輝きを放ち続けています。
Contents
僕は君たちに武器を配りたい

非情で残酷な日本社会で、20代が生き残るための思考法とは何か? 不安に立ちすくむ日本人が、今こそ学ぶべき「本当の資本主義」とは何か? 東大、マッキンゼーを経て、京大で人気ナンバー1の授業を持つ客員准教授が世に問う必読の書。
言葉は武器になる
自己啓発系の本には二通りの流れがあります。一つは著者の意図する方向に読者を引っ張ろうとするもの。もう一つは読者の脇に立ち、辿るべき方向に背中を押してくれる本です。この本には背中を押してくれる言葉が詰まっています。
- 信者ビジネス…続けるほど信者のレベルが低下していく
- 自分の頭で考えない人々はカモにされる
- 自分で管理できる範囲でリスクをとれ
- 公開されている情報からでも、普通の人がやらない「一手間」をかけることで、大きな果実を手に入れられる
- イノベのチャンスは「今のしょぼい業界」にある
- 「駄馬」を使いこなすのが本当のマネジメント
「機関投資家は個人投資家をカモにしている。株式投資は”損して学ぶ”つもりで挑む」と著者が言うように、初心者であるほど海千山千で生きてきた人たちにとっては絶好のカモです。
剥きだしの資本主義社会=本当の資本主義社会の中で生き抜くために身に付けておくべき思考法を武器として渡すと言う著者の姿勢には共感させられます。
大学生向けにやや扇動的な口調で書かれていますが、読み進むうちにそれは扇動ではなく、落とし穴を探りながら歩く先導者として書かれた本であることが見えてきます。
初版が発行されたのは今からおよそ10年前。社会もくらしも変わっていますが、芯にあるのは生き方としてアドバイスです。
どういうポジションを取ればこれから先の資本主義社会の中で生き残っていけるのかが熱く書かれている。爽快な読後感を感じる本です。
まとめ
放送局で仕事をしていて思うのは、新聞やテレビで公開された情報は、公開されるまでに鮮度が落ちていることです。さらに一見有益な情報のように見えるものの中には、声の大きな人間が世間を自らの望む方向に誘導するために流しているものだってあります。なぜなら真に価値ある情報は皆が知った瞬間に価値が無くなるからです。
社会に出てから本当に意味を持つのは、インターネットにも紙の本にも書いていない、自らが動いて夢中になりながら手に入れた知識だけ。
「他人の人生を生きるな」というメッセージがびんびん伝わってきます。
瀧本哲史 2019.8.10没