
親の役割は「わが子を大人にする」につきます。では大人とは何でしょう。自分の頭で考えて自分なりに判断する。自立性を持つことです。この自立性が最も必要とされる職業がアーティストです。
アーティストのように考えることとは、①自分だけの物の見方で世界を見つめる②自分なりの考え方を生み出す③それによって「新たな問い」を生み出すこと。アート思考を学ぶこととはものの「作り方」を学ぶのではなく、「ものの考え方」を身につけること #13歳からのアート思考 #末永幸歩
— フルタニケンジ@動画制作者 (@kenfru3) July 23, 2020
欧米ではビジネスエリートほど歴史や文学、アートに詳しいといいます。社交の場で交わされる会話にも文化的素養が不可欠なのは歴史とアートとが結び付いて今の社会を築いてきたからかもしれません。
アートを楽しむのに知識を求められ続けるというのも難儀です。数学の問題のように正解を解き明かすのがアートがめざす目的ではありません。
考えることの楽しさを体感することがすべて。絵画など知らない13歳の子どもになったつもりで、自分なりの正解を生み出していけばアートは楽しいという本が現れました。
Contents
「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考
アーティストのように考えるとはどういうことでしょう。自分なりに問いかけができようになるることだと本書は言います。
1.「自分だけのものの見方」で世界を見つめ、
2.「自分なりの答え」を生み出し、
3.それによって「新たな問い」を生み出す
これに対して正解を導き出すことが求められる学問に数学や自然科学があります。数学の答えは「変わらないこと」に価値があるからです。アートの答えはむしろ「変わること」にこそ意味があるのです。
本書では、その違いをこんなたとえで表します。

ある男の子がモネの睡蓮を観て、こんなことを言いました。
「かえるがいる」
しかし、モネの作品のなかに「かえる」は描かれていません。
その場にいた学芸員は「えっ、どこにいるの」と聞き返しました。
するとその男の子は
「いま水にもぐっている」と答えたといいます。
私たちは絵画を見るとき、知識や情報で鑑賞しがちです。つまり、絵の中に正解があると信じて見ようとします。
しかし、この男の子は知識や情報には何の関心もありません。ただ見たままに感じた中から、じぶんなりの答えを見つけたのです。
じっと動かない1枚の絵画を前にしてすら「自分なりの答え」をつくれない人が、激動する複雑な現実世界のなかで、果たしてなにかを生み出したりできるでしょうか?
アート鑑賞の仕方でわかる、「自分なりの視点がある人/ない人」の決定的な違い | 13歳からのアート思考 | ダイヤモンド・オンライン
「自分だけのものの見方」で世界を見つめ「自分なりの答え」を生み出し、それによって「新たな問い」を生み出すこと。それが本来の「アート思考」です。
大人になることとは

「すべての子どもはアーティストである。問題なのは、どうすれば大人になったときにもアーティストのままでいられるかだ」パブロ・ピカソの有名な言葉です。
ほとんどの人は大人になることと引き換えに「アート思考」を失ってしまいます。困ったことに大人たちは「自分だけのものの見方・考え方」を喪失していることに気づいてすらいません。
大人になることとは自立性を持つことです。ゆるぎない自立性とは自分なりの視点や考え方から生み出されるはずです。
アートを楽しむのに知識を求められ続けるというのも難儀と感じる背景には、本質を見失う危機感が隠されていたからかもしれません。
私たちが「美術」で学ぶべきだったのは、「作品のつくり方」ではありません。むしろ、その根本にある「アート的なものの考え方=アート思考」を身につけることこそが、「美術」という授業の本来の役割なのです。
まとめ
日本人の多くが美術館に美術館に求めるのは「心のやすらぎ」だといいます。対照的に、ロンドンやニューヨークの人々は、「非日常的な刺激」を求めて行くのだといいます。
大切なのは、自分だけのかえるを見つけること。アートの役割は、見る人に自分自身を見つけ出してもらうことなのだと感じます。