ペン先に神が宿る「萩尾望都 作画のひみつ」

萩尾望都の作画のひみつ
フルタニ
こんにちは、フルタニです。放送局で番組作りをしてました。

少女漫画界の神様とも言われる漫画家・萩尾望都さん。萩尾さんの創作の秘密に密着したテレビ番組の企画があります。2016年3月に放送された「漫勉」です。

萩尾さんの仕事もさることながら、漫画家のアトリエにカメラを入れ、モノづくりの過程をそのまま撮るという大点な企画に舌を巻きました。

萩尾望都 作画のひみつ

「漫画の絵はいろいろ真似をしていたんです。実はいちばん真似したのは横山光輝先生。だいたい顔の大きさが同じで真似しやすかった。結構横山さんの顔のバランスは真似しました。水野英子さんわたなべまさこ先生、牧美也子先生。あそこら辺の目の描き方も真似してみました。睫毛がうまくかけなくってね。どうしてこんなきれいなカーブが出るんだろう」

漫勉 萩尾望都

イメージを形として表現するためには技術は不可欠です。しかし、その技術をどのタイミングでどこに生かすかは作家のひらめき次第です。

出来上がったコンテンツは商品としての価値を持ちます。しかし、熱心なファンや画業に関心を持つ人はむしろ作家のアトリエに強い関心を抱くのではないでしょうか。

ペンの持ち方や構図の描き方、ストーリーを考える苦労など、一流作家であるほどモノ作りの過程はさながらスポーツ中継のように見ている人たちのこころをつかんで離しません。この企画は、できあがった作品ではなく、その過程が持つ緊迫感にこだわったことで、秀逸なコンテンツになることを立証したのです。

「寝ながら頭の中でずっと話がリピートしていくんですよ。そしたらこのコマだけセリフがどんどん増えてくるんですよ。親友だったのに僕はどうしてこんな事をしなきゃいけないんだ。おまえは私を裏切っていたのかとか、ずっと台詞が増えていく。はっと思って改めて読み返したら、えっ2行しかない。妄想に次ぐ妄想が積み重なっていく

漫勉 萩尾望都

一流の作家が長い年月をかけて気づき上げた作画術。一流の作家が書いた作品は面白い。でも作家の生き方・哲学そのものはもっと面白い。番組を見ながら本で深めてみたいという気にさせられます。

漫勉で萩尾望都さんはこういいます。

「読者を喜ばせたい。そのためには命どこまでも削ってもいいやということなのかもしれない」

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